かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

横浜市岩井保育園(2回目受審)

対象事業所名 横浜市岩井保育園(2回目受審)
経営主体(法人等) 横浜市
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 240 - 0023
保土ヶ谷区岩井町238
tel:045-713-1790
設立年月日 1972(昭和47)年06月01日
公表年月 2019(平成31)年04月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 よこはま地域福祉研究センター
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の概要】
岩井保育園はJR横須賀線・保土ケ谷駅から坂を上って10分の高台にあります。近くには小学校・中学校・高齢者施設などがあり、また自然豊かな公園も多くあります。昭和47年(1972年)6月に横浜市によって設立されました。
園舎は4階建て鉄筋コンクリートの市営住宅建物の1、2階部分にあります。広い園庭は日当たりも良く、みかんの木があり、子どもたちは畑やプランターで四季の花や野菜を育てています。ビオトープと呼んでいる小さな池にはメダカやタニシが育ち、水草や周囲には苔など水辺の植物が生えています。砂場やジャングルジム、滑り台、鉄棒などの固定遊具があり、プールもあります。
定員は98名、現在104名在園(満6か月〜5歳児)で、開園時間は平日は7時から19時、土曜日は7時半から16時半です。
 保育理念は「子ども自身が持っている育つ力を十分に発揮し、自らの人生を主体的に生きていかれるように、環境を整え適切な援助をします。また、保護者の子育てを支援していきます」としており、保育目標として「いきいき輝く 心とからだ」「ともに育ちあう なかま」としています。

1.高く評価できる点  
●子どもたちはのびのびと主体的に遊び、豊かな園生活を送っています 
 どの子どもたちも自由に好きな遊びをたっぷり楽しみ、のびのびしています。3歳未満児では保育士にふれあい遊びを繰り返ししてもらったり、読んでほしい絵本を持って保育士の膝に来たり、好きなおもちゃで遊んだり、園庭や散歩先で探索活動を十分楽しんでいます。幼児になると制作をしたり、ごっこ遊びをしたり、鬼ごっこやドッジボールをするなど、一人で、または数人で、クラス全体で遊んでいます。公園では段ボールをそりにして斜面で遊んでいましたが、自分たちで遊ぶルールを決めたり、二人乗りになったり、身体を使って転がって下りたり、と全身を使って遊びを発展させていました。子どもたちは主体的に遊び、挑戦してみて、うまくできなかったり、できるようになったりする経験をしながら達成感を味わい、遊びに満足し、見通しを持った生活をしています。このような経験を通して、子どもたちは保育士の話を聞いたり、みんなで話し合う、制作をする、などの時は、とても静かに集中して意欲的に取り組んでいます。保育士は子どもの関心や興味を拾いあげ、子どもの意見や発想を保育に活かしています。子どもが興味を示した絵本や遊びを集団遊びに発展させたり、制作につなげたりしています。
 また、異年齢活動に積極的に取り組んでいます。3〜5歳児は縦割りの「ファミリー」という名前の各年齢1人ずつ3名で構成するグループを作って、散歩に行ったり、リズム活動をしたり、行事の準備や会食を楽しんだり、夏の合同保育をするなどしています。そのため、日常的にコマ回しを5歳児が4歳児に教えたり、転がしドッジボールを3〜5歳児まで混ざって遊んだりしています。年上の子どもたちに優しく関わってもらっているので、3歳児が1歳児の子どもを保育室まで送っていく姿も見られました。 
●保育士は子どもたちが主体的に遊びこめる環境を作っています  
 保育士は横浜市こども青少年局の研修や保土ケ谷区のこども家庭課の研修、大学主催の研修に参加するほか、幼保小研究事業で他区の公立園や民間保育園での訪問研修に参加しています。研修内容は職員会議で報告し、常に子どもにとって良い環境とは何かを話し合っています。園内研修として、今年度は環境をとりあげ、「発育発達、アレルギー対応に配慮した部屋作り」や「食事と午睡の環境」等、各クラスでテーマを決めて保育室の環境に取り組みました。子どもの動線を考え、発達に合わせてレイアウトを変更したり、おもちゃ棚の収納を考えたり、手作りおもちゃを増やしたりして、どうしたら子どもたちが主体的に遊べるか、どうしたら乳児クラスでも自分たちで片付けやすいか、考えて構成し、幼児クラスになった時には自分で工夫して遊びが楽しめるよう取り組まれています。また、子どもたちの発達や興味関心に合わせて自由遊びの時間がたっぷりとれるように余裕を持った日案を考え、遊びに夢中になっている子どもたちを中断させることがないように配慮しています。遊びの発展によっては、日案の変更もしています。保育士は声をかけすぎることなく、子どもたちの発想や意見を大事にして見守っており、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を意識して、子どもたちが自ら動けるような配慮をし、お互いに気づき、育ちあう環境を作っています。
園は古い施設ですが、明るく清潔であり、過剰に飾ったり、子どもたちにとって必要のない情報があふれることのないよう配慮しています。保護者へ発信する「お知らせボード」も各クラスで統一し、園全体にすっきりとした環境になっています。
●地域の子育て支援に積極的に取り組んでいます
 園は子育て支援として、園庭開放(週5日)、交流保育(年10回)、育児講座(年2回)、食育講座(年2回)、毎月1回子育てサロン「いわっこルーム」、を開催したり、保土ケ谷区の合同育児講座に参加したり、保土ケ谷区福祉保健センターが行う赤ちゃん教室に会場を提供したり、「いわっこ文庫」で絵本の貸し出しをしたりしています。園庭開放の水曜日には絵本の時間があり、7〜8月は水遊びができ、近隣の親子が多く訪れています。また育児相談は随時受け付けています。一時保育は専用の部屋と専任の保育士を配置し、非定型、リフレッシュ、緊急を毎日受け入れています。

2.工夫・改善が望まれる点 
●保護者の理解を深めるために情報発信のより一層の工夫が望まれます。
 園では入園説明会や懇談会などで園の方針や取り組みについて説明するとともに、連絡帳やクラスノート、登降園時などに保護者には子どもの様子を伝えるよう努めています。また、行事のあとや年度末にはアンケートを実施し、保護者の意見や要望の把握に努めています。今回の家族アンケートの結果からみても安全面や、子どもの日中の様子などについて、園での取り組みが伝わり、保護者の不安を取り除き、安心できるような情報発信についてさらなる工夫改善が望まれます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ・子どもが思いを自由に発信できる環境を作っています。子どもからの発信をしっかり受け止めるようにかかわり、事柄によってはみんなの前では話さず、個別に話すようにしています。そのような普段の言葉かけや態度について、保育士は自己評価で振り返りを行うようにしています。
・押し入れの下などに、少し落ち着いて過ごせる場所があったり、一人でじっくり遊びたい子どもがいるときは、テーブルや棚を利用してスペースを確保し、子どもの状況に応じて環境を整えています。
・守秘義務の意義や目的を、ボランティアや実習生にしおりをもとにオリエンテーションで丁寧に説明しています。個情情報の取り扱いについては、資料やマニュアルをもとに全職員に周知し、確認をしています。保護者に対しては入園のしおりにより説明し、疑問や気づいた点がある時は、職員間で話し合うようにしています。
・行事等で子どもたちの名前を呼ぶときは「○○さん」で統一しており、日常的にも遊びやグループ分け、整列などで性別にしていません。性別で役割を決めつけず、自由にやりたいことを大切にするよう心掛けています。無意識に性差による差別をしていないか、自己評価などで振り返りをします。
・職員は全員人権研修に年に1度出席しています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ・全体的な計画に基づき、年齢ごとに子どもの姿、ねらい、教育と養護、食育にわけた内容、環境構成、保育士の配慮、などの項目に沿って指導計画を作成しています。保育士は子どもの姿をよく観察し、態度や表情、しぐさなどから子どもの思いを汲み取り、言葉にして返し、子どもの意向の確認をしたり、子どもの話に丁寧に耳を傾け、意見や希望を聞いています。制作や発表など、子どもたちの発想を大事にして変更や発展をさせています。
・衛生管理マニュアルを用いて清掃が行われていて、屋内・外ともに清潔に保たれています。各保育室に温・湿度計を設置し、エアコン、加湿器付空気清浄機を用いて温・湿度の管理を適切に行っています。窓は大きく、どの部屋も陽光を十分に取り入れることができ、カーテンを用いて調整しています。各保育室は独立しており、他のクラスの音や動きに影響されずに過ごすことができます。
・活動内容や月齢に応じて、おもちゃ棚やテーブルなどでコーナーを作ったり、テラスや廊下を活用して、小集団で活動できるようにしています。1歳児クラスでは段ボール箱を利用して自分の場所(お家・車等に見立てて)として楽しめるようにしています。3・4歳児クラスはホールで午睡しています。5歳児クラスは3歳児の食事が終わったあと、清掃して、3歳児室に布団を敷き午睡しています。1〜3歳児クラスは食事と睡眠のスペースを別に設けています。朝夕の合同保育で保育室を活用しているほか、2階の絵本コーナーやホールを異年齢交流の場にしています。
・0〜2歳児は毎月個別指導計画を作成しています。幼児に関しても、課題が見られたり、特別な配慮が必要な場合には、月案に個別配慮欄を設けて記載しています。個別指導計画は、毎月、クラス担任と主任で話し合い、個々の発達状況に応じて見直しています。トイレットトレーニングや離乳食の進み具合、食物アレルギーなどの個別の課題についての計画の作成、見直しにあたっては、保護者の意向を確認し、同意を得て計画に反映させています。
・各保育室には、子どもの年齢や月齢に応じた布製の玩具やおんぶひも、ままごとセット、カードゲーム、絵本や図鑑などが用意され、子どもたちは自由に取り出して遊ぶことができます。子どもの様子に合わせて玩具の入れ替えも行っています。また、手作りの遊具、テーブル、絨毯などを利用して、子どもたちは自分たちが遊べる空間を自分たちで作り、コーナー遊びができるようになっています。
・段ボールを使ってごっこ遊びをしたり、保護者から集めた菓子箱やマジック、のり、テープなどを使って、自由に制作を楽しみ、友だち同士のごっこ遊びなどに活動が広がっています。
・収納するかごや箱には、何をしまうのかがわかるように写真が貼ってあり、子どもたちが自分で片付けがしやすくなるよう工夫されています。
・園庭のビオトープにはメダカが飼育され、エサやりなど子どもたちも世話をします。また、園庭にはみかんの木があり、年長児が収穫し、幼児クラスで食べます。夏には「いわっこ畑」として、園庭のプランターや畑にクラスごとに野菜や花を育てます。収穫したポップコーン、なす、トマト、キュウリはピザを作って食べました。園庭で見つけた昆虫などに興味を持つと、図鑑で調べる姿も見られます。4歳児の時に植えて5歳児で収穫する保土ケ谷区の「ほどじゃが」栽培活動に参加し、じゃがいもの栽培の様子や収穫を共有し、味わいました。
・ファミリーと呼ばれる異年齢活動により、日常的に子どもたちは、園内で小さな子の名前を呼んだり手をつないで歩いたりしています。年上の子は年下の子の面倒を見て、年下の子は年上の子へのあこがれの気持ちも育ち、いろいろなことに挑戦する意欲につながっています。
・毎日、給食に使用されている野菜の小さくカットしたものを保育室に置いて、見たり触ったりすることで食材に関心を持てるようにしています。また幼児クラスはそれが「体のもと」「元気のもと」「力のもと」になることについて、クイズを出し合って確認しています。
・保護者会があり、各クラス2名ずつ役員を選出しています。保護者会は2か月に1回、保育室を貸し出し、園内の保育室で開催されています。保護者会との連絡は、連絡ノートを使用しています。保護者会主催行事、特に保育園と共催の「夏の遊びを楽しむ会」は、共に行う姿勢で協力し、交流も深められるよう配慮しています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 ・前月の子どもの様子を基にクラスで話しあって月案を作成したあと、毎月の乳児・幼児会議で話し合って月案を完成し、園長・主任も確認の上、カリキュラム会議で全職員で確認、共有しています。指導計画の作成にあたっては、保護者とも連携を取り、生活面、子ども同士の関わりについてなど保護者の意見を反映しています。
・特に配慮を要する子どもについて、保育に必要な最新の情報は保土ケ谷区こども家庭支援課や横浜市西部地域療育センターから得て、園長を通じて職員へ伝えたり、年に1〜2回の横浜市西部地域療育センターの巡回相談で得た知識を職員会議で話し合い、職員間で共有しています。
・行事については、障害児に合わせた対応を行い、負担なく子どもも保護者も楽しめるようにしています。また、ケガのないよう配慮しながら、子ども同士の関わりの中で、互いを理解できる機会を作っており、保育士は周りの子どもへの影響も考慮して関わり方に気をつけています。
・意見箱が1階と2階の両方に記入用紙と共に置いてあり、また、懇談会の場やアンケートで保護者の要望や苦情を聞いています。保育士は保護者と信頼関係を築き、送迎時や日々の会話の中から保護者の思いやニーズを把握し、要望を聞くように努めています。
・子どもの健康管理に関するマニュアルがあり、毎日一人一人の健康状態を把握しています。手洗いやうがいについては、方法だけではなく意味も伝えています。子どもたちには、痛いところや気持ち悪いときなど、自分の体調の変化を保育士に伝えてくれるよう話をしています。職員間で子どもたちの健康状態に関する引継ぎを行い、配慮が必要な場合などは職員全員で情報を共有するようにしています
・衛生管理マニュアルがあり、年度始めに見直しを行い、内容について職員会議やミーティングで共有しています。また、必要に応じて、マニュアルに基づき職員同士が一緒に清掃等を行い、具体的に引き継ぐようにしています。
・安全管理に関するマニュアルがあり、事故防止のための対策及び避難訓練に合わせて災害に備えた対応方法についてミーティング等で確認し、職員間で共通認識を持つようにしています。地震に備えてロッカーが倒れないようベルトや滑り止め、棚には扉が開かないよう対策が講じられています。さらに、トイレのドアなど手を挟む可能性のあるところには指詰め防止のためクッション材などで保護しています。
4 地域との交流・連携 ・子育て支援事業として育児講座や子育てサロン「いわっこルーム」を開催しています。参加者にアンケートをとり、積極的に会話をする中で、要望や状況を把握するようにしています。アンケートの情報から、ニーズを把握し、次年度の育児支援計画に活かしています。育児支援事業の情報は、育児支援センター園より聞いたり、情報通信を確認したりするほか、園長が地域の子育て支援者連絡会に参加し、情報交換を行っています。
・園庭開放は週に5回実施し、絵本の貸し出しや絵本の読み聞かせをしています。育児講座は年4回開催し、保土ケ谷区の合同育児講座にも参加し、地域の親子に遊びの楽しさや工夫を伝え、親子の触れ合いが更に楽しいものとなるよう支援しています。
・園庭開放や育児講座などで、ちょっとした相談に応じることを大切にしています。また、育児相談は平日9時から16時の間に電話や来所で相談に応じています。また、園庭開放や育児講座で育児支援についての情報提供を行うとともに、保土ケ谷区の情報通信やホームページ等も活用しています。子育て支援者連絡会と情報を共有し連携しています。。
・保土ケ谷区の情報通信や横浜市のホームページ、保土ケ谷区子育て支援拠点(こっころ)のおたよりなどに、随時保育園の情報を提供しています。園の見学者で必要に応じて、より詳細な延長保育の料金表なども案内しています。
5 運営上の透明性の確保と継続性 ・保育士の自己評価を基に、カリキュラム会議や職員会議で報告、話し合い、保育所としての課題を明らかにし、改善にむけて取り組んでいます。また、年度末に保護者アンケートを行い、結果を基に課題を取り上げ、話し合っています。保育所としての自己評価は保育方針と保育目標に沿って行い、課題と取り組み状況を評価し、次年度の課題、改善点を明らかにしています。自己評価は保育室に掲示し、保護者に公表しています。
・横浜市の就業規則に倫理規定、服務規程が明記され、職員は職員行動基準に基づき、不正・不適切な行為を行わないよう、入職時の研修で周知しています。また、コンプライアンスに関する不適切事例があった時は、横浜市役所や保土ケ谷区役所から情報を得て会議やミーティングで周知、検討をしています。
 職員は人権研修に1年に1度必ず参加しています。
・「土曜日11時間開所」や「紙オムツ廃棄」等重要な意思決定にあたり、職員会議で議論したり、決定した際の工夫や配慮等を全体で検討し共有しています。また、保護者会役員会と継続的に意見交換し、丁寧に説明し、必要に応じておたよりを出したり、懇談会で説明したりしています。
・横浜市こども青少年局や保土ケ谷区こども家庭支援課から運営に関する重要な情報や、園長が市立保育所全体責任職会議、エリア別責任職会議、行政区責任職会議、育児支援会議、保育資源ネットワーク会議、保土ケ谷区公私保育施設・事業長会に参加し、内容を職員会議等で職員に報告し共有しています。
6 職員の資質向上の促進 ・実習生の受け入れに際しては、オリエンテーションを事前に行い、保育園の方針や利用者への配慮事項などを伝えています。希望を聞きながら、実習目的に沿った効果的なプログラムを工夫して組み立てます。実習期間中は毎日担当保育士と話をし、最終日前には担当保育士と意見交換を行い、実習終了時は園長・主任も含めての振り返りの場を設けています。
・横浜市の保育士分野人材育成ビジョン、キャリア自己分析に基づき人材育成に取り組んでいます。けれども欠員が出た場合の年度途中の補充については厳しい状況にあります。
・横浜市西部地域療育センターの巡回訪問で指導を受けたり、臨床心理士による保育士の対応についての指導を受けています。
・職員は年度初めに目標共有シートを作成して自分の目標を定め、具体的な取り組み事項や達成時期を記入し、年度末に自己評価しています。園長は年に3回個別面談を行い、目標設定や進捗状況、達成度の振り返りと確認をしています。
・横浜市保育分野人材育成ビジョン、キャリア自己分析表に経験や能力、習熟度に応じた役割が期待水準として明記されています。

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