かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

こまつな保育園

対象事業所名 こまつな保育園
経営主体(法人等) 横浜中央市場保育園株式会社
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 221 - 0801
神奈川区山内町1番地
tel:045-620-8111
設立年月日 2015(平成27)年09月01日
公表年月 2019(令和元)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 市民セクターよこはま
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の概要】
事業所内保育園「こまつな保育園」は、JR横浜駅から徒歩20分、あるいは京浜急行神奈川駅から徒歩15分の、横浜中央市場内の市場センタービル2階にあります。同じビル内には、企業や郵便局、銀行、歯科医などが入っています。
「こまつな保育園」は2015年(平成27年)9月に、全国初の市場内保育園として開設されました。運営法人は横浜中央市場保育園株式会社です。0・1・2歳児の乳児だけの保育園で、定員は9名、その中の地域枠は4名、事業所枠は5名となっています。開園時間は、7時〜18時(月曜日〜土曜日)です。
ワンルームの保育室は明るく日当たりがよく、床暖房仕様のウッディ仕上げを施しています。園庭はありませんが、5階の体育館を室内運動場として用いています。
保育理念は、「事業所内保育園として、市場で働く保護者の子育て支援とともに地域の子育てを支援します」保育目標は、「市場ならではの食育を通じ心身共に健やかな子を育てます」「安心安全な食材を活用し、親子の食育教室を開催し市場の活性化と地域貢献に取り組みます」「家庭的な雰囲気の中で人格形成の芽生えを大切に育てます」です。

◆高く評価できる点
1、家庭的な雰囲気の中、子どもたちは素直に自分を表現し、保育士に甘えています
定員が9名という小規模で家庭的な雰囲気の中、園は、子ども一人一人の育ちや思いを大切に保育しています。保育士は、子ども一人一人の言葉や表情、仕草などを観察し、子どもの発信を見逃さないように努めています。子どもが思いを伝えやすいよう、その日一番コンタクトが取れている保育士が担当するなど工夫しています。
子どもの興味や関心、意欲が育ってきた時には、保護者と相談しながら、すぐに計画を変更し、活動に取り入れています。「買い物をしたい」という子どもからの声で素材を買いに行き食育活動を行った、保護者から「子どもが米を食べなくなった」という相談で翌日に米をとぐ経験を取り入れた結果、子どもが米を食べるようになったなどの事例があります。散歩の行き先なども、一人一人の子どもが自分らしさを発揮できるような公園を、職員間で話し合って選んでいます。散歩先の公園では、思いっきり走り回って身体を動かす子ども、斜面を登り降りしながら探索する子ども、砂遊びに熱中する子どもとそれぞれが好きな遊びを選んでいます。保育士は、声をかけあってそれぞれの持ち場を確認し、一人一人の子どもが自分らしさを発揮できるように声をかけたり、遊び方のヒントを出したりしています。
このような環境の中、子どもたちは保育士に甘えてそれぞれの思いを素直に表現し、のびのびと自分らしさを発揮して園生活を過ごしています。

2、保育士は、毎日のランチミーティングで目指す方向性を統一し、全職員で全園児の育ちを支えています
保育理念や保育目標を園内に掲示するとともに、園の基本理念や社会的責任、子どもの人権尊重等を記載した業務マニュアルを全職員に配布し、個人評価会議や園内研修で目を通して振り返りを行っています。年度初めには全体的な計画を一項目ずつ読み合わせ、保育の方向性を確認しています。
その日の出勤者全員で行うランチミーティングでは、子どもの気持ちを一人だけで判断することがないよう、子どもの状況や子どもとの関わりについて情報共有し、複数の目で子どもの今の状況を捉え、関わりが子どもの今の気持ちに沿っていたか振り返っています。毎日密にコミュニケーションを取ることで、風通しの良い職場環境ができていて、気になる事例があった時にはお互いに注意し合う意識が育っています。

3、保護者が楽しく子育てできるよう、保護者とのコミュニケーションを大切にしています
園は、保護者と連携して子育てすることで、保護者が子どもの成長を喜び、子育てを楽しめるよう、保護者支援に力を入れています。年1回の保護者懇談会のほか、保育参加または保育参観を保護者の希望により随時受付けていて、全保護者が年1回は参加しています。保護者の勤務状況にあわせ、昼休みだけでも受け入れるなど柔軟に対応しています。
日々の連絡帳とともに各保護者対保育園のモバイル端末のアプリケーションソフトを用い、保護者と密に情報共有しています。送迎時などの保護者との日常会話の中から保護者の子育ての悩みや不安を聞き取り、必要に応じて個別面談を設定して相談にのっています。保護者のモバイル端末を用いての相談にものり、夜間の急な発疹で不安になった保護者が写真付きで相談してくることもあります。
小規模な保育園ということもあり、保護者同士も良くお互いを知り交流していて、お迎えに来た保護者が保育士も交えておしゃべりを楽しむ時もあります。
このような取り組みを通し、保護者と連携する関係ができています。

4、地域との交流を通し、子どもたちは様々なことを学んでいます
子どもたちは、散歩や買い物で、市場で働く人々と挨拶や会話を交わし、日常的に交流しています。市場で働く人々も子どもたちが来ることを楽しみにしていて、子どもたち一人一人の名前を覚えて呼びかけてくれたり、クレーン車を動かして見せてくれたりと、皆で子どもたちを可愛がってくれます。市場の人々からハロウィンやクリスマスのプレゼントをもらったり、市場内の企業の人がサンタクロースや節分の鬼になってくれたり、勤労感謝の日には子どもたちが感謝の気持ちをこめて絵などを届けるなど、楽しい交流をしています。市場開放日には、子どもたちは、生きている魚を見たり、マグロの解体ショーの見学をしています。
このように、様々な働く人と触れ合い、可愛がられる経験を重ねているため、子どもたちは皆とても人なつこく育っていて、人と関わる楽しさを学んでいることが読み取れます。

◆特に力を入れている点
1、市場の中の保育園という特性を生かし、食育に力を入れています
園は、市場の中の保育園という特性を生かし、様々な食に関する取り組みをしています。毎日の献立は、「和食離れ、魚離れを見直そう」という市場のコンセプトに沿い和食中心の魚を多く取り入れた献立となっています。調理室が保育室に面しているので、調理の音や匂いなどを感じることができ、給食の前には今日の献立が何かとのぞき込む子どもの姿があります。
市場の中の保育園ということもあり、子どもたちが季節の野菜や魚などの食材を見たり、実際に触ってみる機会が多くあります。子どもたちは市場に買いに行き「どれがおいしい」などとお店の人とやりとりをして食材について教えてもらい、野菜の皮むきなどを通して素材の匂いや触感を楽しみ、食べる経験をしています。また、クリスマスケーキの盛り付けや米とぎなど、年齢に応じた活動もしています。また、食育計画に「家庭との連絡、指導」欄を設け計画的に保護者に向けて食への啓発をしています。毎月の給食便りには、季節ごとの食の注意事項などを掲載するほか、子どもに人気のメニューや旬の食材を用いたメニュー、家庭で作りやすい時間短縮メニューなどを掲載しています。保護者の要請に応じて個別にアレルギー食などの紹介もしています。年1回、懇談会の後には、調理法の指導と試食を実施していて、保護者に好評です。また、時間が許す保護者には、個別に声をかけておやつや給食を試食する機会を作っています。

◆今後の取り組みが期待される点
1、地域向けの食育講座や離乳食講座を実施し、地域貢献の取り組みをさらに深めていくことが期待されます
園は、保育目標に地域貢献を掲げ、地域の子育て支援に意欲を持っていて、保育園見学や園が提供する「あかちゃんの駅」の利用者との会話から保護者の不安や悩みを丁寧に聞き取り、子育ての相談にのるなどしています。
今年度、横浜市経済局の魚を使ったメニュー紹介冊子作りに協力しています。園に寄せられる相談の多くが食に関わることであることもあり、地域で子育てする家庭に向けての食育活動の必要性を認識していて、今後は離乳食教室などでの協力を呼びかけています。市場ならでは新鮮な食材を用いた地域向けの食育講座や離乳食講座。アレルギー食講座等を実施し、園が子どもの食に関して培ってきたノウハウを地域に還元していくことが期待されます。

2、今後の園運営を考え、人材育成計画を作成していくことが期待されます
毎年、園独自の自己評価表に各職員が記載し、それを基に園長が保育の課題や職員のキャリア形成を把握し、研修計画を作成しています。内部勉強会をアレルギー・保護者対応・障害児保育・感染症・新保育指針の項目に分けて定期的に行っていて、全職員が参加するほか、研修計画に沿って各職員が研修に参加しています。
ただし、理念や方針をふまえた保育を実施するための体系的な人材育成計画は作成されていません。今後、園が発展して行くためにも、人材育成計画を作成し、計画的に職員を育成していくことが期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ・保育目標は「市場ならではの食育を通じ心身共に健やかな子を育てます」、「安心安全な食材を活用し、親子の食育教室を開催し市場の活性化と地域貢献に取り組みます」、「家庭的な雰囲気の中で人格形成の芽生えを大切に育てます」で子どもを尊重するものとなっています。保育理念や保育目標を掲示するとともに、全職員に園の基本理念はじめ社会的責任、子どもの人権尊重を記した業務マニュアルを配布し、周知しています。
・毎日のランチミーティングで子どもの状況や気持ち、子どもとの関わりについて話し合っています。子どもの気持ちを一人だけで判断することがないように、お互いの気づきを報告し合い、子どもの今の気持ちに寄り添った関わりができるようにしています。職員は一人で判断することの危険性を自覚し、気になる関わりがあった時には注意し合っています。
・「個人情報取り扱いマニュアル」があり、全職員に周知しています。入園時に保護者に個人情報の取り扱いについて説明し、「使用承諾ならびに撮影等の同意書」と用いて項目ごとに確認・承諾を受け、それに基づき対応しています。個人情報に関する記録は事務所の施錠できる棚に保管しています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ・保育士は、一人一人の子どもの関心や興味を見逃さないよう心がけ、子どもが今興味を持っているものを活動に取り入れることで子どもが集中して遊び込めるようにしています。日常的に異年齢で活動していますが、子どもの発達や興味に応じてグループ分けをするなど、子どもが好きなことをして遊べるように環境構成を工夫しています。
・季節の製作物や粘土遊び、歌やリトミックなどで、子どもが自由に表現できるようにしています。安全上の問題もあり素材や道具は保育士が管理していますが、子どもから声があれば、保育士がいつでも取り出して遊びを提供することができます。
・かけっこや鬼ごっこ、斜面のぼりなどを取り入れ子どもが思いっきり身体を動かせるようにしています。園庭はありませんが、建物内の体育館を室内運動場として用いています。リトミックやダンスも取り入れています。
・食育計画を作成し、計画的に食育に取り組んでいます。市場の中の保育園ということもあり、子どもたちが季節の野菜や魚などの食材に触れる機会が多くあります。子どもたちは市場に買いに行き「どれがおいしい」などとやりとりをしたり、トウモロコシやタマネギなどの野菜の皮むきなどを通して素材に触れたり、クリスマスケーキの盛り付けをしたりしています。
・季節の素材を多く用いた和食中心のメニューとなっていて、魚を多く取り入れています。七夕、終戦記念日(すいとん)、お月見団子、ハロウィン、冬至(カボチャの煮物)など季節の行事食を多く取り入れています。
・食育計画に保護者欄も設け、水分補給の大切さと摂取法、スタミナ、食欲の上がるメニューの提案、避難食の提案などの情報提供を計画的に進めています。給食だよりの「今月のおすすめレシピ」欄で、子どもに人気のメニューや旬の食材を用いたメニュー、家庭で作りやすい時間短縮メニューなどを掲載し保護者に紹介しています。年1回、懇談会の後に調理法の指導と試食を実施していて、保護者に好評です。
・子ども一人一人の排泄のリズムを把握して記録し、個々に合わせた声かけをしています。トイレに座ってみることから始め、子どもの発達状況や興味に合わせて保護者と相談し、トイレットトレーニングを開始しています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 ・指導計画は子どもの発達に応じて職員全員で作成・評価・見直しを行っています。子どもの様子を伝えながら保護者と話し合い意向を柔軟に受け入れています。また、指導計画には子どもが興味の湧いたものを急遽、取り入れたりします。子どもの関心に合わせて柔軟に計画は変更しています。
・配慮を要する子どもを受け入れる際は園内研修で取り上げて全職員で学習し日々の保育に生かしています。共有する情報は個別台帳としてファイリングして事務所の棚に置き、いつでも職員が確認できるようにしています。
・健康管理、衛生管理、安全管理などの各種マニュアルを備えています。マニュアルは毎年、職員会議で話し合い見直しています。見直し後には、回覧し再度確認しています。「マニュアルチェック表」を用いてマニュアルの管理をし、点検漏れがないようにしています。
4 地域との交流・連携 ・地域の子育て支援としては、「あかちゃんの駅」に参加し、授乳場所やおむつ交換場所の提供、保護者がトイレに行く間の子どもの預かりなどをしています。
・横浜市経済局の魚を使ったメニュー紹介冊子作りに協力していて、今後は離乳食教室などでの協力を呼びかけていく予定です。離乳食や食育など園のノウハウを地域に発信していくことが期待されます。
・園見学者や「あかちゃんの駅」の利用者との会話を通して子育ての悩みを引き出し、相談にのっています。
・子どもたちと保育士は、市場で働く人々とは日常的に挨拶や会話を交わしたり、買い物に出かけたりしています。市場の人々も子どもたちを可愛がっていて、子どもたちの名前を覚えて呼びかけてくれる人もいます。ハロウィンやクリスマスには、市場の人々からプレゼントをもらったり、市場内の企業の人がサンタクロースや節分の鬼になってくれたりとしています。勤労感謝の日には、子どもたちが感謝の気持ちをこめて絵などを届けるなど、親しく交流しています。
・見学希望の問い合わせには園長が対応し、保護者が入園にあたって何が心配かを聞き取り、それに合わせて見学時間を設定しています。食事や食物アレルギーなどが不安な場合には給食時間を、送迎が気になる場合には夕方を勧めるなど、個々のニーズに応じて見学時間を設定し、実際の場面を見学できるようにしています。
5 運営上の透明性の確保と継続性 ・組織及び職員が不正・不適切な行為を行わないよう守るべき法・規範・倫理等が明文化された就業規則を用いて全職員に周知しています。事例会議を設けて横浜市等での不正、不適切な事例を挙げて全職員で話し合い情報の共有をしています。
・重要な意思決定にあたっては園長が送迎時や懇談会等で継続的に意見交換をしています。重要な意思決定は書面を作成し配布し、日ごろの送迎時に意見を求めたり、わかりにくいところは補足で説明しています。
・神奈川区の子育て支援連絡会や園長会に参加し、情報を収集しています。重要な情報は緊急で伝達しなければいけない時はすぐに設定し全職員に伝えています。そして情報を共有した上で、全職員で重点課題として取り組んでいます。
・運営に関して、社会保険労務士や行政書士からの意見を取り入れています。
・単年度の計画はありますが、中長期的な事業計画は作成されていませんので、次代の運営の為にも中長期計画の作成が望まれます。
6 職員の資質向上の促進 ・園独自の書式で職員の自己評価表があります。それを各職員が記入して保育の課題や職員のキャリア形成を把握して研修計画が作成されています。自己評価表をもとに園長と個人面談を年1回以上行い、個人目標の達成度や振り返りをして次年度の個人目標を立てています。
・園長が個人面談等を通して研修ニーズを把握して研修計画を立てます。年度ごとに園内研修をアレルギー、保護者対応、障がい児保育、感染症、新保育指針の5項目に分けて担当者を決め、定期的に行っています。
・年に1回、保育所の自己評価をまずは各保育士の個人作業後、職員会議で全職員が振り返りをしています。
・年に1回、全職員に園独自の書式で職員アンケートを取ります。それは具体的で詳細な項目に答えるような職員アンケートで全職員が行っています。それをもとに出た課題に対して改善策を全体で話し合っています。

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