かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

森のエルマー保育園(3回目受審)

対象事業所名 森のエルマー保育園(3回目受審)
経営主体(法人等) 特定非営利活動法人森のエルマー保育園
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 223 - 0058
港北区新吉田東3-6-33
tel:045-546-6202
設立年月日 2004(平成16)年04月01日
公表年月 2019(令和元)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 森のエルマー保育園は昭和59年12月に開設して35年目、平成16年4月1日認可保育園となり15年目を迎えました。園は市営地下鉄グリーンラインの高田駅から徒歩6分ほどの住宅地にあります。定員は60名で、平成30年12月現在60名が在籍しています。産休明け保育や延長保育、障がい児保育を行っています。園には東京方面へ通勤する保護者が多くいます。周辺地域は、かつては工場が立ち並んでいた地域でしたが、市営地下鉄が開通し、道路整備も進み、次第に大規模マンションをはじめ、住宅地化が進んでいます。園は開園当初から在園児のみでなく、地域の方々とともに育ち合う園を目ざし、交流を重ねています。山や畑、そして散歩に行く公園もあり、こうした自然環境の中、子どもたちは四季を楽しみ、伸び伸びと過ごしています。

《特に優れている点・力を入れている点》
○少人数のアットホームな園であり、全職員で子どもたちを見守っています
 定員が各クラス10人、園全体で60人の園で、多くの子どもは0歳児から一緒に育っています。0〜2歳児が2階、3〜5歳児が1階の保育室を使っていて、1階は保育室間の壁を取り払うことができるオープンな造りです。子どもたちはほかのクラスの様子を感じながら過ごし、落ち着かない子どもは少し隣のクラスに入れてもらって気持ちを変えるなどしています。職員会議などで子どもたちの様子を話し合い、どの職員も子どもたちのことをよく知っています。また日ごろから気がついたクラスの様子や子どもたちの状況を付せんにメモしておき、毎週の「保育カンファレンス」で伝え合い、それを1枚の紙にまとめて、各職員が確認し、共有するようにしています。職員は全クラスの子どもの情報を把握して、子どもたちを全職員で見守る体制にしています。

○「食は命」をスローガンに、日常的な自然との触れ合いや栽培からおいしく食べる工程までの食育は、楽しい好循環がはぐくまれています
 園では子どもたちが社会に貢献する意欲ある成人に成長することを念頭に、「食は命」にもとづく食育活動により、今年度の目標「丈夫な心と体づくり」に取り組んでいます。子どもたちは毎日の戸外遊びや小山への散歩など自然に親しみ、農家の人の協力を得て、畑でさつま芋の苗植えから収穫、調理しておいしく食べる一連の工程を体験しています。5歳児は、お米とぎや野菜洗いを行い、出汁のにおいを知る機会や、みそ汁作りや行事の夕食作りなど調理活動を通して、食べ物が丈夫な体を作ることも学んでいます。卒園前には親子でみそ作りを行い、みそが熟成する夏にはみそ汁を作って同窓会を開いています。0歳児から野菜の触感やにおいを体験し、おにぎり作りなど年齢に応じた食育は、楽しい経験から次の体験への期待が膨らむ好循環がはぐくまれています。
○地域とともに育ち合うという園の理念を誠実に積み上げ、今日の地域の協力と信頼に結実しています
 園は保育理念にあるように、開園当初から在園児のみでなく、地域の方々とともに育ち合う園を目ざしています。園は「エルマーとお日さまの会」と名付けた地域の子育て支援活動を展開し、毎週木曜日に園庭や地域の公園で行う公開保育で、園の子どもといっしょに遊んだり、紙芝居や紙人形劇を見たりしています。毎月園庭での誕生会では、園庭開放や絵本の貸し出しをしています。また、毎月発行する「エルマー子育て新聞」100部を町内の各自治会の回覧板で回覧しています。町内会と共催で年に数回町内会館で子育て講座を開いています。地域の夏祭りに子どもたちが参加し、町内の老人会が毎月来園し、こま回しやけん玉、あやとりなどで交流しています。地域の農家の厚意で子どもたちが「山」と呼ぶ、小山の上の広場で外遊びを楽しんでいます。こうした長期にわたる互いの協力が地域との信頼関係に結実し、今日に至っています。

《事業者が課題としている点》
 園の課題として、保育理念や方針などを保護者に理解してもらい、子育ての工夫を家庭でも生かしてもらえるように働きかけています。園では、年齢に応じた「子どもの姿」を目標として示し、毎月発行している「子育て支援プログラム」を通して、生活や遊び、暮らしやすさの工夫を保護者に伝えています。また、35年を迎える園の歴史の中で培ってきたことを大切にしながらも、時代の激しい変化に対応できるような経営や運営に取り組んでいくために必要な保育士の確保や、人材育成も課題であり、全力で取り組んでいます。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重  保育理念は「児童福祉法に基づき、乳幼児の保育を行います」「ひとりひとりの子どもが現在を最もよく生き、望ましい未来を作り出す力の基礎を培う場となる保育をめざします」「職員は豊かな愛情をもって接し、児童の処遇向上のため、知識の習得と技術の向上に努めます」「保護者や地域社会と力を合わせ、児童の福祉を積極的に増進し、あわせて地域における家族援助を行います」の4つです。基本方針に「どの子も健康で健やかに育つように」、保育目標に「丈夫な心と体づくりを進めます」を挙げて、子どもを尊重した保育を行うことを明らかにしています。保育理念や基本方針、保育目標を玄関などに掲示し、「入園のしおり」に載せ、職員に配付して職員会議で唱和するとともに、入園前の面談や新年度説明会で保護者に説明して、保育を実施しています。
 子どもの気持ちを受け止め、共感し理解する保育を心がけ、フロア会議や日々の打ち合わせの際に職員間で話をしています。保育士の言葉はせかすことなく穏やかで落ち着いており、おむつを変える際に歩き回る子どもにも、「きれいにしよう」「おいで」などの言葉がけをしながら子どものほうから来るのを待っています。3歳児からは子どもの名前を「さん」付けで呼ぶようにし、保育士は子どもの気持ちや発言を受け止め、気持ちを代弁したり友達との間の仲立ちをしています。子どもの人権に配慮し、自尊心を傷つけるような保育を行ってはならないことは日々の話し合いの中で全職員が認識しています。
 職員には就業規則の服務規定で守秘義務について周知しています。実習生やボランティアには受け入れマニュアに守秘義務について記載し、オリエンテーションで周知しています。また個人情報に関するガイドラインを職員と保護者に知らせ、保護者からは個人情報の取り扱いについて同意書を得ています。子どもの写真を掲示する場合は保護者に確認しています。個人情報にかかわる書類は事務室の鍵付き保管庫に入れて管理しています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

 0〜2歳児には個別の月間指導計画を作成しています。食事や着脱、排泄、友達との関係などを、発達に合わせて、子どもの様子や、保育士の配慮・援助について記載し、0歳児は家庭との連携についても記載しています。3歳児以上の子どもについても必要に応じて個別の月間指導計画を作成し、前月の様子を踏まえて、健康、人間関係、言葉など項目別に子どもの様子と保育士の配慮について記載しています。計画は保育カリキュラム会議で毎月見直すほか、子どもの様子を見ながら随時見直しをしています。保護者には個別の計画について個人面談で説明し、トイレットトレーニングや箸の使用について、園での様子を連絡帳などで伝えながら開始時期を検討しています。また保護者から横浜市総合リハビリテーションセンターでの様子を伝えてもらい保育に生かしています。
 子どもたちのおもちゃや道具は、自由に取り出して片づけられるよう低い棚のケースに収納しています。ケースには種類ごとに写真を貼って、同じものがわかるようになる発達への取り組みにもなっています。道具箱や靴箱、着替えのロッカーケースには子どもが決めたマークを貼って、取り間違えないよう工夫しています。収納棚は向きを変えて配置してあり、保育室を好きな遊びごとのコーナーとして、ゆるやかに仕切っています。子どもたちは、自然に遊びごとのグループができたり、落ち着いて絵本読みやごっこ遊びを満喫しています。登園から9時までと午後のおやつの後は自由遊びの時間となっていて、子どもたちにとって家庭と園の生活が自然に切り替わっています。
  毎日の戸外活動は、天候に応じていろいろな年齢のグループで、小山への散歩や畑仕事、公園や園庭での運動や遊びがあります。職員が持参するお散歩リュックには、着替えや救急セットとともに小型図鑑を入れて、出会った生きものをその場で調べています。採集した昆虫や木の実などは園で飼育や観察をしたり、画題としても使います。園庭では花や野菜をプランターで栽培しています。畑では農作物を見せてもらったり、農家の人の指導でさつま芋の苗植えから収穫作業を行い、おいしく食べるまで一連の活動を行っています。戸外で日常的に顔を合わせる近隣の人や、伝承遊びを教わっている町内の老人会の人には、子どもたちから挨拶をして言葉を交わしています。


3 サービスマネジメントシステムの確立

 短縮保育については「入園のしおり」に記載し、子どもの様子や保護者の希望から「ならし保育計画表」を作成して実施しています。0歳児から3歳児まではクラスを成長に応じて2グループに分け、それぞれに2人ずつ担当保育士を決めています。また園で落ち着いて過ごすことができるよう、心理的よりどころとなるタオルなどの持ち込みができるようにしています。家庭と連携を図るため園では全園児が連絡帳での情報交換を行っていますが、特に0歳児から2歳児までは1日の生活を詳しく記載できる形式にしています。連絡帳には家庭や園での子どもの様子について細かい記載があり、連携を取って保育をしています。0歳児、1歳児の進級の際は4人の担任のうち1名は持ち上がり子どもたちに配慮をしています。
 意見や要望などの受付担当者は主任保育士であり、解決責任者は園長であることを、「ご意見・ご要望の解決のための仕組みについて」に記載して入園の際に説明し、玄関に掲示しています。また相談窓口として第三者委員を紹介し、連絡先を記載しています。玄関に意見箱を設置し、懇談会で意見や要望を聞くほか、行事やさまざまな機会に保護者から意見を募り、意見は発達記録とともにファイルしています。自分で意見を表明することが困難な子どもや保護者とは、様子を察知して面談を行うよう努め、送迎時間の関係で担任と会えない保護者に対して、必要に応じて担任が遅い時間帯に入ることもあります。権利擁護機関としてかながわ福祉サービス運営適正化委員会事務局や横浜市福祉調整委員会事務局を紹介しています。
 子どものけがや事故発生時の、緊急連絡や対応のフローチャート図は、玄関に掲示して保護者にも周知しています。発生時は事故報告書やヒヤリハットに記載し、保護者にも速やかに報告して、対応の了承を得て実行しています。ささいな出来事であっても連絡ノートに記録して、即日に職員間で周知するとともに、保護者には口頭と連絡帳で伝えています。改善対策は保育カンファレンスや職員会議で話し合っています。事故の防止策としては、あそび場点検表の活用や、ヒヤリハットを掲示して保護者に報告しています。また、散歩での人数確認や、子どもや家族状況の職員間での周知など、確認や連絡が速やかに実施できるよう徹底しています。


4 地域との交流・連携  園の保育理念の一つに「保護者や地域社会と力を合わせ、児童の福祉を積極的に増進し、あわせて地域における家族援助を行います」とあり、保育目標に「地域とともに育ちあう保育園をめざします」とあるように、園は在園児のみでなく、地域の方々とともに育ち合う園を目ざしています。園の子どもたちと散歩に出かけた公園などで親しくなった地域の親子連れや、園の見学者などとの会話を通じて、園への要望を聞いています。育児相談からも園への要望を把握しています。園長は、町内会の会合や、港北区園長会や横浜市私立園長会の研修会、港北区社会福祉協議会の研修会などに出席して地域の子育て支援ニーズなどの情報交換をしています。
 園は「エルマーとお日さまの会」と名付けた地域の子育て支援活動を展開しています。これは毎週木曜日に園庭や地域の公園で行う公開保育で、園の子どもと一緒に遊んだり、紙芝居や紙人形劇を見たり、毎回数組の親子が参加しています。来た方には「エルマー子育て新聞」を渡し、育児相談なども受けています。また、毎月1回の誕生会では園庭を開放し、園の子どもと一緒に遊んでいます。毎月の職員会議での子育て支援活動担当者からの報告や、全体的な計画にある「保護者・地域支援」の項目の年度末の見直しなどで、話し合っています。町内会と園の共催で年に数回、町内会館で子育て講座を開催し、触れ合い遊びや食育講座などを続けています。
 地域の子育て支援活動「エルマーとお日さまの会」について、毎月の開催日と来園案内などを記載した「エルマー子育て新聞」100部を、町内の各自治会の回覧板で回覧してもらっています。園の前の掲示板には、地域の親子が参加できる今後の行事予定を掲示しています。園の見学者には園のパンフレットとともにエルマー子育て新聞などを渡しています。育児相談は、エルマーとお日さまの会や、園行事のエルマーフェスティバルなどで実施していますが、ほかの日でも随時受け付けています。
5 運営上の透明性の確保と継続性

 毎月末ごろにカリキュラム会議を行い、クラスごとの月間指導計画などの振り返りの結果を報告し、話し合い、課題の解決に取り組んでいます。保育カンファレンスでは、課題を明らかにして改善してきており、保護者会長やクラス代表に父親の協力を呼びかけたところ、以後保護者全員の育児意識と理解が高まり、園行事などへの協力体制ができた事例があります。園の自己評価は、園の理念や方針、目標と、全体的な計画に基づいて、職員の自己評価も参考にして行っています。園の自己評価は職員に開示し、説明後、玄関で公表しています。
 「就業規則」の中の「服務規程」には、個人情報保護や守秘義務など職員として守るべき法や規範、倫理などが明記してあり、全職員は入職時に園長や主任から説明を受け、誓約書を提出しています。また、職員会議の中の園内研修などで、「児童憲章」や「倫理綱領」などを学び、子どもの人権の尊重や、子どもの最善の利益を第一にすることなどを確認し周知しています。園の運営の状況はファイルに入れ、玄関で保護者に開示しています。また、NPO法人であるため、内閣府NPO法人ポータルサイトからも閲覧が可能です。世間で発生した子どもの虐待事例などは、新聞記事などを基に、直ちにミーティングを開き、注意喚起と対応方法を再確認しています。
 2018年度から2022年度までの「中長期事業計画とスケジュール」を作成しています。計画の対象領域として「子どもの発達・成長」「保護者への子育て支援」「職員の働きやすさへの充実」「地域への子育て支援」「財務の健全性」「園のイメージ向上」の6つをあげ、各領域ごとの具体策の実施、完了スケジュールを示して、わかりやすく策定しています。中長期計画を踏まえて、今年度の事業計画が作られています。園の運営面では例えば、毎月保護者に配付する「エルマーのこどもたち」を、関心を引き、わかりやすいように絵を増やすなど、サービス内容の改善に常に努めています。園は主任育成計画やステップアップ計画で、後継者の育成を図っています。運営に関しては、税理士や社会保険労務士の指導や助言を受けています。


6 職員の資質向上の促進  園長は園の運営に必要な人材が確保されているかを常に把握しています。職員の欠員が予想される場合、各学校やハローワーク、ホームページなどで募集したり、年度途中の場合は派遣会社からも補充しています。園の理念や方針をふまえ、また職員のキャリアパス(キャリアアップのモデル)を見据えて、研修の体系的なステップアップ計画を策定しています。これは園の職位と役割に必要な能力、研修を組み合わせた従来のキャリアパスの表に、さらに必要となる研修を組み入れたもので、これを基に経験や職位に応じた今年度の研修計画を策定しています。また、職員は職位と経験年数別の「人事考課表ステップアップ自己評価表」に自己評価と反省、来年度の目標を記入し、毎年1月ごろに園長など上位者の評価や面談を受けています。
 職員研修計画は、研修を「ステップアップ研修」と「キャリアアップ研修」に区分して作成しています。この計画に沿って、横浜市などの研修から、業務上必要な研修や、職員の受講希望、平等な受講などを勘案して、主任と園長が外部研修の受講計画を策定しています。内部研修は、非常勤職員も受講できるように、子どもの午睡時間中に外部講師を招いて「コーチング研修」を行ったり、職員会議の中で行ったりしています。月2回内部研修として職員の絵の学習会もあります。外部研修の参加者は研修報告を作成し、職員会議などで報告し、会議録を回覧して周知を図っています。園長と主任は研修の活用状況などから研修を評価して、次の研修選定に生かしています。
 職員の自己評価は、職位と経験年数別の4種類の人事考課表ステップアップ自己評価表で行っています。職員の自己評価の結果も参考に、主任と園長が園の自己評価を作成しています。伝達漏れ防止や気づきを役立てるため、日ごろ各クラスで発生したヒヤリハット事例や子どもの気になる様子、気づいた事項を全職員が付せんにメモし、ノートに貼っておき、毎週月曜日午睡時間にクラス代表が集まる「保育カンファレンス」で討議しており、情報交換や全職員の意識と能力向上に役立っています。港北区福祉保健センターや横浜市総合リハビリテーションセンターなどから、年に何回か来園や電話で専門的な指導を受け、日ごろの保育に生かしています。

詳細評価(PDF534KB)へリンク