かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

伊勢佐木町保育園

対象事業所名 伊勢佐木町保育園
経営主体(法人等) 特定非営利活動法人 白百合の会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 231 - 0058
中区弥生町4丁目39番地の2
tel:045-251-2053
設立年月日 2016(平成28)年04月01日
公表年月
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

 《施設の概要》
 伊勢佐木町保育園は、横浜保育室を経て、平成28年4月に認可保育所として開所しました。地下鉄ブルーラインの阪東橋駅が最も近い駅で徒歩30秒、さらに徒歩4分のところに京浜急行線黄金町駅があり、とても交通の便が良い場所にあります。園は大きな道路に面したマンションの1階ワンフロアを保育室として、可動式のパーテーションで年齢ごとの活動場所を仕切っています。周囲には、大通り公園、富士見川公園など散歩に出向くことのできる公園も多く、そのほか横浜橋商店街にも近く、地域と交流しやすい環境にあります。また、園から徒歩圏内に系列園があり、系列園で開催される音楽会などのイベントにも参加しています。0〜2歳児までの定員で現在は24名が在園しています。開園時間は平日は7時から20時まで、土曜日は7時から19時までで、保育標準時間を11時間とし、延長保育を受け入れています。保育理念は「これからの社会を担う子どもの健やかな育ちを求め、一人ひとりの子どもと心の伸びようとする力を大切にした保育を目指します」と掲げ、園長は情緒豊かな子ども、自主性のある子ども、社会性のある子どもをはぐくむことを大切にしています。

《特に優れている点・力を入れている点》
○子どもの食べられる量、形、好き嫌い、そのほか家庭での食事の傾向にも配慮し、おいしく安全に食べられる食事を提供しています
 子どもの食の安全・安心に配慮し、米や味噌、醤油などには特に無農薬有機食材を選ぶようにしています。食物アレルギーにもきめ細かく対応して、提供の手順を定め、誤食がないよう徹底しています。昼食時は、0〜2歳すべての子どもたちの食事スペースを調理室に近い場所に作って、食事をとります。調理員は、調理室から子どもたちの食事の様子を観察し、子どもの家庭での食事環境を推察しながら、一人一人が楽しく食べられるよう常に配慮しています。ふだん家庭で食べなれない形状や味で、なかなか食事が進まない様子を把握したときには次の献立で、少しでも食べやすいものになるよう工夫しています。また、食事の彩りや盛り付け、提供する食器にも配慮し、温かみのある家庭的な食事で子どもたちの「食を営む力」を育てています。

○子ども一人一人の生活リズムを大切にした保育を実践するため、保護者との密接な距離感を保つよう努めています
 0〜2歳児を受け入れている保育園として、身近な人やものとのかかわりを大切に考え、子ども一人一人の生活リズムや環境に配慮しています。保護者とのコミュニケーションを密にとり、家庭での状況をこまやかに把握することで、家庭での生活リズムと園での生活リズムがうまく連動するように努めています。連絡帳で子どもの成長を共有し、家庭での様子を伝えてもらうためには、まず、園での様子を多く伝えることとして、送迎時には口頭でその日にあった子どものエピソードを伝えるようにしています。そのほか、園だよりで月ごとの保育目標を伝え、クラスだよりにはクラスごとの活動内容を掲載しています。保護者の信頼を得ることが、子どもにとっても安心して過ごせる環境を家庭と園の両方で保証することにつながると考え、相互理解が得られるよう努めています。

○低年齢の子どもたちを受け入れ、はぐくむためのさまざまな環境作りに取り組んでいます
 0〜2歳児が、安全で快適に過ごせるための環境作りに工夫しています。保育室はワンフロアで、ほとんどの場所からすべての年齢の子どもたちを見渡せるため、常に安全に気を配ることができています。活動に応じて、可動式のパーテーションのほか手作りや既製品の低い仕切りを使い、体を思いっきり動かせる広いスペースとコーナー遊びのできる落ち着いたスペースとを使い分けています。ワンフロアということもあり、常に異年齢同士が身近にいます。しかし室内遊びのときは、2歳児たちの大きな声や動きがほかの年齢の子どもに影響を与えないよう、天井まであるパーテーションを使いその活動スペースをすっかり囲むこともあります。また、当園の卒園後は引き続き保育園に入る子どももいれば幼稚園に行く子どももいることから、2歳児たちは年度の後半になると活動をほかの年齢と分けることで、卒園後の準備につなげています。子どもたちの状況と主体性に配慮した環境作りに努めています。

《事業者が課題としている点》
 子どもたちが遊びに夢中になれるような環境作りを課題として取り組んでいます。特におもちゃの準備については、常に学ぶことがあり、月案の中にどう取り入れどう生かしていけるかを検討し実践することを今後の課題ととらえています。子どもたちが安定した生活リズムを身に着け、自ら見通しを立て、主体的に園生活を送ることができる環境作りも課題として取り組んでいます。また、近隣保育園の子どもたちと近くの公園で一緒に遊ぶなど、今まで以上に地域の方々との交流を深めていきたいと考えています。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重  園の保育理念は「これからの社会を担う子供の健やかな育ちを求め、一人ひとりの子どもの心と伸びようとする力を大切にした保育を目指します」となっています。理念および基本方針は明文化され、園の入り口や保育室に掲示するとともに、重要事項説明書に記載しています。保護者には重要事項説明書を用いて、入園時の説明会で園長が理念と基本方針、園の保育目標を説明し、周知しています。懇談会でも園長が保護者に話しています。理事長と園長は新年度が始まる前に全職員に基本方針を説明します。全職員は理念に基づいて、保育方針を理解し、子ども一人一人に寄り添い、子どもの気持ちを大切にする保育を行っています。
 「個人情報管理規定」があり、個人情報の管理体制、個人情報管理に係る安全措置の概要、個人情報規定などで個人情報の取り扱いについて決めています。規定は全職員に渡して、守秘義務の順守や重要性について周知しています。保護者には入園前の説明会で重要事項説明書を使って、個人情報の取り扱いについて話しています。ボランティア、実習生受け入れの際にもオリエンテーションで話をしています。個人情報の含まれる記録は施錠できるキャビネットで保管し、職員が退出する際は部屋を施錠しています。個人情報が含まれているお知らせや、記載されている書類を保護者に配付するときは、個別の重要書類袋に入れて渡しています。
 子どもの園での呼び名は、入園の際の保護者面接で保護者にどのように呼んでいるかを聞いて、保護者の同意を得たうえで決めています。園長は保育に入っているときに、職員がどのような言葉遣いをしているのか注意しています。気になる言葉遣いを聞いた時には、職員に指導をすることもあります。職員は子どもの発言や気持ちを受け止め、子どももおとなも人権を持った一人の人間であると考えています。子ども同士のトラブルは成長要素の一つと考えて、子どもの育ちがどこの段階なのかを見極めて、その子どもの目を見つめて話します。職員は子どもの人権に関連する外部研修を受けています。年度末には保育士の心得の読み合わせを行っています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供  保育理念に基づいて作られた全体的な計画では、子どもの最善の利益を第一義とし、組織として社会的な責任を果たしていくことを大切にしています。7人の職員が中心となってチームを作り、全体的な計画の素案を作成しました。素案は職員会議で読み合わせ、検討しました。この地域の特性や、園の利用者には核家族が多いこと、利用者の半数以上が8時半過ぎから18時の利用時間であることなどにも配慮しました。新人の職員には園内研修の際に説明しています。保護者には、全体的な計画は重要事項説明書に載せるとともに、入園時の説明会で園長が説明しています。改定する際には園だよりでの記載や、懇談会で説明する予定です。
 個別に年間、月間指導計画があり、週案の中に日案を書き込めるようにしています。子どもの発達や状況を把握したうえで、クラス担任と職員が話し合い、保育業務支援システムで指導計画を作成します。指導計画は職員会議で検討し、子どもが安定して過ごせるかを確認します。指導計画に沿った保育を行った後、今回のエピソード、次回のチャレンジ、期待と計画、反省点を支援ソフトに入力します。アンケートを行った後の計画の見直しは、記載された保護者の意向を反映できるように、職員会議で話し合います。園長がコメントを入れることもあります。指導計画の評価や改定を行った際には、連絡ノートに書いたり、保護者と直接話して意向を聞いています。
 園は0〜2歳児の保育をしており、0歳児はパーテーションを使って食事と睡眠のスペースを分けています。1歳児のスペースにはコーナーを作って小集団で落ち着ける場所を作っています。2歳児は可動式のパーテーションを使ってスペースを分け、午前中は年齢ごとに活動しています。1歳児の保育スペースをランチルームとして1、2歳児が食事をし、午睡は2歳児の保育スペースでして機能別の空間を確保しています。食事の際に子どもの座る椅子やテーブルは年齢ごとに高さを変えて、正しい姿勢で食事ができるようにしています。午後には1、2歳児は一緒に活動することが多く、0歳児も月齢が進むと徐々に1歳児と交流する時間が増えていきます。
3 サービスマネジメントシステムの確立

 入園までの面接で保護者の意向を確認し、入園から10日をめどに短縮保育を開始します。その際には家庭と同じ哺乳びんやミルクを用意し、子どもができるだけ早く園での生活になじめるようにしています。0、1歳児の主担当の職員は決まっています。子どもが心理的なよりどころとする物の持参は許していますが、保育室では出さずにカバンに入れたり、保護者に持ち帰ってもらったりします。子どもの生活が家庭と園で無理なく引き継がれるように、一日の生活を詳しく伝えられる連絡ノートがあり、職員が毎日記載しています。3月中旬から、進級の準備のために引き継ぎ書類を作成してクラスの様子を新担任に伝え、進級後も子どもが落ち着いて生活できるようにしています。
 配慮を必要とする子どもを積極的に受け入れています。個別のケースについては、子どもの様子や置かれている状況を把握し、適切に対応するために職員会議、クラス会議で情報共有しています。会議では配慮を必要とする子どもの様子、保護者との会話や面談内容、中区こども家庭支援課との話し合いなどを報告し合います。園長が新聞などで報道されている障がい者関係の記事をもとに、園で同様のケースがあった場合どうしたらいいかを話すこともあります。職員は職員会議の内容をクラス会議で検討し、障がいのある子どもとどう向き合えばいいのかを話し合っています。共有された情報はいつでも確認できるようにファイリングされています。
 外国籍の子どもを受け入れる際には、保護者との話し合いの中で生活習慣や考え方を聞き、担当職員が理解するようにしています。子どもと接するときは、わかりやすいように日本語ではっきりと発音しながら、動作を見せるようにします。保護者から日常生活に関する簡単な単語を教えてもらい、保育の中で使って子どもとコミュニケーションを取ることもあります。宗教上の制約で食べられないものがある場合には、主菜だけ持ってきてもらう場合もありますが、できるだけ保育園の食事を食べてもらえるように工夫しています。子ども同士はすぐに仲よくなるので、職員はほかの子どもに外国籍についての説明はせず、自然に溶け込めるようにしています。


4 地域との交流・連携  園では、地域の子育て中の保護者に対する育児相談や、絵本の貸し出し活動を「グランマ保育園」と位置づけ、地域の子育て支援事業として実施しています。この活動での保護者との交流のほか、施設見学者や、散歩先の公園での未就園の子どもの保護者との会話などを通じて、地域における保育ニーズを把握し、職員間で共有に努めています。また、系列園との合同研修会を開催し、地域の保育ニーズに応じたテーマでの検討を通じて、日ごろの保育の振り返りの機会としています。さらに園長は地域の園長会や、行政とのカンファレンスに参加し、地域における共通課題の解決に向けて協働して取り組んでいます。
 横浜市のホームページでの広報や、玄関前の掲示板にチラシを掲示して、園の保育内容などの情報提供に努めています。チラシには、保育目標や開園時間、主な行事、給食の特徴など、保護者が知りたい情報をわかりやすく、コンパクトにまとめて伝えています。また、地域子育て支援の一環として行う「グランマ保育園」も、市のホームページで伝えるほか、掲示板を活用して広報に努め、利用者を募っています。さらに民間の保育園紹介サイトに情報提供で協力するなど、幅広くインターネットサイトを活用して広報に努めています。中区区民祭り「ハローヨコハマ」の保育園紹介ブースでチラシやパネル展示に協力しています。
 園ではボランティア受け入れマニュアルを整備し、保育園の社会的役割を認識して受け入れ体制を整備しています。マニュアルには、事前打ち合わせで園のしおりをもとに、保育理念や保育方法、守秘義務、一日の流れなどを説明することを規定しています。また、当日は希望クラスに入ってもらい、終了時には報告書の提出や、園長との振り返りの機会を設けるなど、実りある体験となるよう配慮しています。報告書は職員の間で共有し、運営の参考とするようにしています。保育ボランティアの実績はありませんが、外国籍の子どもがいるので、必要に応じて通訳ボランティアの協力をお願いしています。
5 運営上の透明性の確保と継続性

 保育園への問い合わせは園長が常時対応しています。その場で対応できない時は、折り返しの連絡を伝え、時間をおかずに連絡するようにしています。見学希望者には、できるだけ子どもの活動を見学できる午前中を勧めながら、希望者の都合に応じて柔軟に対応しています。また、見学希望者の日程が決まった場合、職員に周知し、受け入れ態勢を整えています。見学者への対応や質問、困っていることなどは記録し、職員の間で共有しています。入園希望者には、パンフレットと入園のしおり(重要事項説明書)を使って説明し、園で大切にしていることや保育内容の特徴などを理解してもらうよう努めています。
 職員の行動規範は、就業規則の「服務心得」、倫理規程「保育士の心得」に明文化され、職員に配付して周知、徹底を図っています。経営や運営状況については、理事会や運営委員会の審議、監査などを通じて事業の適正な運営を確保しています。さらに法人が特定非営利活動法人であることから、内閣府NPO法人ポータルサイトを通じて、事業報告や財務諸表の公表を行い、事業運営の透明性を確保しています。ほかの保育施設での不適正事例や事故事例などを扱った記事や行政資料などを題材にして、日ごろの保育実践の振り返りを行い、防止対策に取り組んでいます。
 園では、日ごろの送迎時の保護者とのコミュニケーションを大切にするほか、年1回保護者懇談会を開催し、保護者の意見を聞く機会とするとともに、運営上の変更などがある時は、その決定内容や経緯を伝えて理解を得るよう努めています。また、保護者や子どもにかかわる重要な案件については、必ず保護者アンケートを行い、実施にあたっては保護者の気持ちに配慮するよう努めています。園では、食育を大切にしており、その効果を高めるためにも、月1回、調理員と保育士による給食会議を開催し、給食のねらいやメニューの共有に努めています。


6 職員の資質向上の促進  職員の平均在職年数は12年を越えて定着しています。職員の職種や員数、職務内容は、運営規程に示され、これを下回る事態、欠員が予想される場合、理事長や園長が協議して補充について決定し、採用を行っています。また、キャリアパスが設定され、全体、初任者、中堅者、主任、管理者の到達目標、必要な研修内容が示され、これに応じて年間の研修計画が作成されています。さらに職員の資質向上に向けた目標管理を行うため、自己評価と目標管理を一体的に行うシートを活用し、運用しています。人材育成の基本方針や具体策を示す人材育成計画は未着手です。キャリアパスがあることから、今後、これと連動する人材育成計画を作成されることを期待します。
 園の運営規程には、保育士などの自己評価と保育園全体の自己評価を行う旨の規定があります。職員はこの規定に従って年に1回年度末に、次年度の目標設定と振り返り、自己評価を行っています。自己評価は、保育理念や、子どもの発達援助、保護者に対する支援、保育を支える組織的基盤の項目で構成されています。年度末に保護者アンケートを行い、これを踏まえて職員会議で園全体の自己評価を行い、結果は園だよりで公表しています。保育の質の向上を目ざして、コーナー遊びや、タブレット端末を使った記録などのテーマで勉強会を開催するほか、元公立園の園長をアドバイザーとして、保育技術の指導や評価を受け、保育の振り返りを行っています。
 保育の振り返りについては、年間指導計画、月間指導計画、週日案・日誌に自己評価の項目があります。担任は日誌を通じて毎日、自己評価を行うとともに、月間指導計画を通じて月ごとに、目標とねらいに照らして評価や反省を行っています。これらの評価や反省の結果を積み上げ、年間指導計画は3か月に一度見直しを行い、次期計画期間に課題を反映しています。これらの自己評価結果は職員会議で報告し、職員全員で共有を図っています。さらに職員一人一人が作成する自己評価、園全体の自己評価結果を踏まえて、次年度の計画を作成しています。

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