かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

介護老人保健施設 ハートケア横浜(3回目受審)

対象事業所名 介護老人保健施設 ハートケア横浜(3回目受審)
経営主体(法人等) 医療法人社団愛友会
対象サービス 高齢分野 介護老人保健施設
事業所住所等 〒 220 - 0011
西区高島1-4-18
tel:045-440-0722
設立年月日 2003(平成15)年04月01日
公表年月 2019(平成31)年04月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

[施設の概要]
 ハートケア横浜は、横浜駅から徒歩10分程の市街地にある9階建ての施設です。平成15年4月に医療法人社団愛友会が開設した定員150人の介護老人保健施設です。平成30年8月現在の入所者数は150人です。男性25人、女性125人が入所し、平均年齢は86.5歳です。平均要介護度は3.0、常時車椅子利用者は105人、平均入所期間は9か月となっています。同じビルには定員50人の通所施設、ショートステイも運営しています。
 横浜市西区唯一の介護老人保健施設として、入所機能の強化を施設運営の基本とし、超強化型在宅支援機能に取り組んでいます。職員は、利用者一人一人の存在を尊重し馴染みの関係を築き、利用者が社会性を取り戻すための認知症ケアの推進に取り組んでいます。利用者とその家族のニーズを尊重し、在宅復帰から終末期ケアを含めた一貫したサービスの提供を施設運営の方針としています。

≪優れている点≫

1.多職種が連携し超強化型在宅支援の取り組みを推進しています

介護、看護、リハビリ、栄養、相談、ケアマネジャー等、多職種各部門連携により高いサービスレベルを実現しています。看護師15人、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のリハビリ・機能訓練専門職員の合計18人、介護護職員66人、その他ケアマネジャー、相談員、管理栄養士、薬剤師等多数の常勤職員がいることを強みとし、高い稼働率と質の向上に取り組んでいます。在宅強化型の上位区分として「超強化型」の在宅支援を推進し、高い在宅復帰率と入所稼働率を実現しています。
在宅復帰に向けて、リハビリ専門職員だけではなく、フロア介護職員も生活リハビリに取り組んでいます。多職種各部門がサービス品質の向上に取り組んでおり、利用者と職員の満足度の向上への良いスパイラルにつながっています。
3ケ月ごとに多職種カンファレンスを実施し、個別支援計画の実践の状況を評価し、それぞれの部門ごとに課題を整理し次の支援計画に反映しています。毎月一回部門会議を開催し、「部門別年度目標実施計画兼進捗管理表」を用いて目標達成の状況を振り返ります。毎年3月に部門別成果発表会を開催し年間の活動実績とその成果を発表し、4月のキックオフで部門ごとの年間計画を発表し全職員に周知しています。

2.高齢者支援の技法により介護の質の向上に努めています

 介護の質向上委員会を立ち上げ毎年利用者・家族満足度調査を実施しています。満足度調査の結果をもとに職員アンケートを実施し、利用者の意向をサービス改善につなげています。年一回、自己点検シートを用いて30項目からなる人権擁護に関する日々の利用者支援について職員自身が振り返り、虐待防止等人権擁護の注意を喚起し、また、フロア会議で自己点検の結果について話し合い、課題があれば相互に指摘し注意を喚起しています。介護の質向上委員会が中心となり、業務マニュアルの改定を定期的に実施し、現場作業の標準化を図っています。
認知症高齢者に対するユマニチュード(「ケアをする人中心」でもなく「ケアされる人中心」でもない、両者の絆を中心にとらえたケア)の取り組みが定着しています。利用者一人一人の存在を尊重し、社会性を取り戻すための支援をしています。ユマニチュードを実践することで、認知症のBPSD(行動・心理症状)の利用者はほぼ見られなくなり、利用者の日々の生活は穏やかです。平成29年度の横浜市介護老人保健施設研究大会に、ユマニュードによる利用者支援「穏やかな生活を送っていただきたい」という題目で取り組みを発表し、優秀賞を獲得しています。

3. 利用者の目標管理による充実した人材育成の仕組みが整備されています

 人材育成マニュアルを整備し、教育委員会が人材育成計画をもとに研修計画を作成します。プリセプター制度を採用し新任職員が1人立ちするまでの期間、育成担当職員をつけて指導計画に沿って育成を図ります。個々の職員の資質向上を目的に、キャリアラダー制度を導入しています。キャリアパスを明確にし、階層別に職務内容を明示し、職務遂行に必要な職員のスキルを定めています。階層別に毎月研修を実施しています。職員一人一人が知識習得のテーマを決め、到達目標を定め研修を受講します。キャリアラダーのレベルごとに職員が身に着けている認定バッチの色が異なります。
年に3回職員は管理者との目標管理面接を行います。自身のスキルアップに関する進捗状況を確認し、達成にむけた課題や改善の取り組みについて管理者に相談します。人事考課制度が整備されており、目標管理面接とは別に年3回人事考課面接を実施し、職務達成度の自己評価、主任評価、科長評価等を行い昇給・賞与に関する相互理解と意識の共有を図っています。

≪課題や改善することが期待される事項≫

1.生活の充実への工夫と説明

施設ではフロア毎に利用者の希望を尊重し毎月イベントを企画しています。また、年に一回は利用者全員参加の外出レクリエーションを企画し実施しています。日常の余暇活動ではテレビをみたり、買物や散歩にでかけたりと本人や家族の意向を踏まえて自由に過ごしています。
訪問販売を実施しており、その支払いは家族が行い施設での預かり金管理は実施していません。限られた期間での入所が原則のため、現金や通帳管理は家族、後見人等の管理を前提にしています。しかし、利用者に現金を使ってもらい、生活の充実につなげることもありますので、預り金管理についても利用者や家族に十分に説明して理解してもらうことが期待されます。
また、生活リハビリは、リハビリテーション科と連携し毎日の生活場面で日常生活行為を通し積極的に行っています。日常生活でのリハビリについては、更に精神面も含めて幅広く日常生活の中でも取り組める活動の検討が期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 @ 新任研修及びその後の内部研修において、利用者の権利擁護、個人情報・プライバシー保護、虐待防止に等に関する研修を実施し全職員、実習生は誓約書を提出し、個々の自覚と意識付けを図っています。利用者の個人情報に関する重要書類や各種記録は、施錠可能な場所に保管をし、電子データはパスワード設定を行い管理しています。
A 高齢者虐待防止委員会、安全管理委員会、介護の質向上委員会、苦情・事故対応委員会等複数の委員会を設置し、毎月定例開催し利用者の権利擁護と行動制限・身体拘束の廃止等に向けた検討・協議を行っています。高齢者虐待防止委員会のメンバーは各部門のチーフで構成され、検討内容はフロア会議を通じて全職員に周知を図っています。
B 身体拘束廃止マニュアルを整備し、緊急やむを得ない場合を除き、身体拘束は行わない旨を重要事項説明書に明記し、入所時に説明し同意を得ています。身体拘束廃止をテーマにした内部研修を実施し、身体拘束に伴うリスクや高齢者虐待等について学んでいます。年1回、全職員が高齢者虐待自己点検チェックシートによる振り返りを行い、結果についてフロア会議で話し合い意思統一の確認を行うなど「身体拘束を行わない介護・支援」の実践に取り組んでいます。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 @ 職員は、日々の利用者支援の状況をケース記録に記述しています。個別支援計画の目標設定に優先度をつけ、日々の支援が優先度を意識したものであることをケース記録に明記するようにしています。1ヶ月ごとにフロア内チームカンファレンスを実施し、個別支援計画の目標に沿った支援の実践の状況を振り返り、サービス支援の意識の強化を図っています。
A 七夕や敬老会等の行事食や握り寿司やバイキング食など利用者は毎月季節の行事食を楽しんでいます。年2回、食事満足度アンケート調査を実施し、利用者の希望を献立に活かし、おいしい食事を提供するために温冷配膳車を導入しています。利用者の身体状況に配慮し、キザミ食、ミキサー食など6種類の食事形態で食事を提供しています。職員はサービス担当者会議で利用者の個性と摂食の状況について話し合い、利用者が楽しく食事ができるように支援しています。
B 認知症介護専門棟に於いて、ユマニチュードを取り入れたケアの実践に努めています。職員は、利用者一人一人との関係作りに努め、見る・話す・触れるというコミュニケーション手法を取り入れることで、利用者が置き去り感を感じることなく社会性を取り戻すことを目的にしています。ユマニチュードを取り入れ実践することで、認知症のBPSD(行動・心理症状)がみられる利用者はほぼみられなくなりました。ユマニチュードの取り組みの成果を横浜市介護老人保健施設研究発表大会に発表し、優秀賞を獲得しています。
C リハビリ専門職員は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の3職種の専門職を配置し、全利用者に対し個別のリハビリテーション実施計画書を作成し、個々の機能回復に向けたリハビリテーションを実施しています。リハビリテーション実施計画書には個別に目標及び改善課題、その人に合わせた具体的な支援内容を明記し、入所から3か月間は毎日、3ヶ月目以降は週3回〜4回以上のペースでリハビリを実施しています。生活リハビリは、リハビリテーション科と連携し毎日の生活場面で、着替えや立ち上り動作、廊下の手すりを使用した歩行など日常生活行為を通し積極的に行っています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 @ 施設長を苦情解決責任者に選任し、施設内に苦情解決体制を掲示しています。意見箱や用紙を設置し、いつでも利用者・家族等から苦情・要望を受け付ける体制があります。苦情対応マニュアルを定め、施設の方針と具体的な対応手順を明確化にしています。トラブルや苦情発生の際は苦情事故対応委員会を迅速に開催し、寄せられた苦情内容や要望について、原因究明や調査を行い、調査結果や対応についてすべて報告書を作成し改善策の検討を行っています。
A 感染症予防マニュアル、食中毒予防・まん延防止マニュアルを整備するとともに、感染症予防委員会を設置し、毎月開催して施設内の感染防止に取組んでいます。感染症予防委員会は複数職種が参加して開催し、施設内外の感染症について話し合い、全職員が情報の共有と対応の統一化を図っています。感染症対策に関する内部研修を「感染症予防委員会・管理栄養士」等が講師となり年2回開催し全職員が周知しています。
B 事故対応マニュアルを整備し、安全管理委員会を毎月開催し施設内外で発生した事故やヒヤリハットについて再発防止策の検討協議を行っています。事故・ヒヤリハットの事例を収集し事故原因の分析や、発生要因、対応結果等の記録を基に検討協議を行い、対策を話し合い、以後の対応に活かし業務改善に繋げています。日常生活においてヒヤリハットの気付きを重要視し、昨年度は月平均133件と多くの気づきと報告が有り原因の分析と対応策の検討を行うことにより、発生の場所や時間帯、状況の把握に繋げ再発防止と利用者の安全な環境作りに繋げています。
C 防災マニュアルを整備し災害発生時の対応手順を明確化しています。夜間想定を含め防災訓練を年2回実施し、定期的に施設内設備や機器類の使用方法、備蓄品等の点検を実施しています。横浜市西区の指定福祉避難場所として「災害時における在宅要援護者特別協力に関する協定」を締結し、地域の要援護者用の災害時用物資を備蓄しています。自治会も「災害時における応急処置等協力に関する協定」を結び地域との連携体制を構築しています。横浜市主催の、消火栓操作法技術訓練会に参加し、3年連続で最優秀賞を獲得するなど災害発生時の対応に力を入れています。
4 地域との交流・連携 @ 施設内に居宅介護事業所を設置し、地域住民の相談に応じ、地域の福祉ニーズの把握に努めています。施設では、デイサービス(通所リハビリ)、ショートステイ(短期入所療養介護)、訪問リハビリテーションを併設し、広く地域住民の相談や受け入れを行っています。緊急時の短期入所療養介護についても地域福祉の重要拠点としての役割を担い、一体的な運営を展開しています。地域ケアプラザ、自治会、区役所、社会福祉協議会などと協力して地域住民を対象にした健康体操・体力測定・健康作り教室などを行っています。地域に向けて施設の設備の開放に努めています。車椅子用のトイレやAEDの貸出案内を施設の外の掲示用に掲載し地域に開放し、要望に応じ近隣の企業研修に福祉用具の貸出を行っています。
A 地域住民との交流に積極的に対応しています。近隣小学校とのふれあい活動に参加し、3年生の児童が昔の様子を聞く機会を持ち交流を図っています。また、散歩には車椅子の利用者も良く出かけます。地域の人たちに気軽に挨拶を交わし顔馴染みになっています。外出レクリエーションで近隣のアンパンマンミュージアム、ランドマークタワー、クイーンズスクエア、野毛山動物園等を利用し、利用者が地域のことをよく知り理解できるように支援しています。
B 介護の質向上委員会が中心となり「ボランティア活動要綱」を作成し、ボランティアを積極的に受け入れています。朗読ボランティア、歌謡ショー、手品、ドッグセラピー、書道ボランティア、美容ボランティア等があり、平成29年度は延べ268人がボランティアとして施設で活動しました。また、実習生を積極的に受け入れています。平成29年度は、延べ59名の実習生を受け入れました。リハビリ養成校や福祉専門学校、看護学校の実習生を多く受け入れています。受け入れに際しては、「実習生マニュアル」を整備し、利用者の個人情報やプライバシーの侵害行為がないように周知しています。
5 運営上の透明性の確保と継続性 @ 理念をホームページに掲載し、施設運営の基本的な考え方を明示しています。倫理規定、就業規定を整備し毎年一回実施の倫理研修で全職員に周知し、また、理念と理念実践のための施設目標を名刺サイズのカードに印刷し全職員が携帯し理念の実践に向けて注意を喚起しています。就業規定に職務分掌を明記し職員それぞれの責任を明確にしています。倫理規定、就業規定を明文化したものを各フロアの所定位置に保管し、職員がいつでも確認することができます。
A 経営改善会議を月ごとに開催し、多職種各セクションのチーフクラス以上の職員が出席し、施設の経営状況や運営状況を確認し、フロア会議に持ち帰り職員に周知しています。施設長は組織運営に関する情報共有を図り、職員の意見・要望の把握に努めています。また、職員定期面談を年2回、また、要望があれば随時実施し、職員の目標管理の進捗の確認と相談に応じています。定期面接の他に人事考課制度の一環として年3回の職員面接を行っています。
B 施設運営の重点事項に超強化型在宅支援機能の推進を掲げています。平成29年度は、延べ206人の退所者の内在宅復帰した利用者は63人でした。退所に際しては、事前に利用者・家族の参加のもとに、看護師、栄養士、介護職、リハビリ専門職、ケアマネジャー等が参加しカンファレンスを開催し、利用者に最適な退所後の方向性を定めています。他の施設に入所したりする場合は退所時指導報告書を作成し、移動先の施設に情報を提供し支援の継続性を図り利用者が不安を感じないようにしています。在宅復帰の利用者に対し退所後1ヶ月以内に職員が利用者の居宅を訪問し、復帰後の訪問リハビリ、ショートステイの活用等、利用者の相談に応じています。
6 職員の資質向上の促進 @ 人材育成マニュアルを整備し、人材育成委員会・教育研修委員会を設置し、人材育成計画が立てられています。新人育成制度としてプリセプター制度を導入し、1年間は1対1で指導員が着き1人立ちするまで計画的に指導を行っています。職員は誰もが意欲的に研修を通じてレベルを高める取り組みがあり、職員の資質向上を目的にキャリアラダー制度を導入しています。階層別や個々の目標レベルごとの研修を毎月実施し、キャリアラダーレベル認定会議にて個々の職員の評価を行い、職員の意欲とスキルアップを図っています。
A 業務マニュアルは、技術的に誰でも同じようにサービス提供をするために業務内容ごとに整備し、サービスの一貫性や職員間の援助技術の水準の確保に努めています。介護や看護、研修や行事、安全管理、事故防止、食生活など組織的に多数の委員会を立ち上げ、各部門から様々な職種が参画して毎月開催しています。マニュアルの見直しは職員の話し合いで行われ、介護の質向上委員会が一括してマニュアル改訂について管理しています。現状業務に即した見直しを行い見直した結果は会議録に記載され職員間で情報の共有を図ると共に、マニュアルはフロアのサービスステーションに設置し、誰でもすぐに閲覧確認出来るようにしています。
B 就業規則の中に職務規定・職員昇格基準、職員ごとの職責や役割権限が明文化され、組織内の権限移譲がうたわれています。また、職員のキャリア形成と適正な能力評価・報酬反映の仕組みとして「キャリア段位制度」を導入しています。年1回、職員満足度調査を行い、アンケート結果を基に検討し改善を行っています。年3回目標管理面接を実施しています。個々の職員から職場満足度や業務に対する意見・要望、意向の把握に努めています。職員の主体性を尊重し、内部研修のグループワークを通じて職員間で相互に介護技術の検討・評価を行う機会を設定し、職員の業務改善に関する提案・意見をフロア会議等で積極的に取り上げ、職員間で協議し実務に反映する仕組みを構築しています。

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