かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

特別養護老人ホーム ひらまの里(3回目受審)

対象事業所名 特別養護老人ホーム ひらまの里(3回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 川崎市社会福祉事業団
対象サービス 高齢分野 特別養護老人ホーム
事業所住所等 〒 211 - 0013
中原区上平間611-1
tel:045-544-3994
設立年月日 1999(平成11)年04月01日
公表年月 2019(平成31)年04月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

[施設の概要]
特別養護老人ホーム「ひらまの里」は、社会福祉法人川崎市社会福祉事業団が平成11年4月1日から運営している入所定員84人、ショートステイ16人の施設です。入所利用者の平均年齢は86.1歳、平均要介護度は3.62です。
施設は南武線平間駅・鹿島田駅から徒歩15分、川崎駅や武蔵小杉駅より市バス「上平間」下車3分程のところにあります。施設の周囲は公園や商店があります。特別養護老人ホームの建物内には高齢者の相談窓口である地域包括支援センターや居宅介護支援センター、通所介護サービスがあります。
施設の理念は、1)利用者の尊厳を支え、一人一人のニーズに合った支援をする。2)職員の資質の向上を図り、専門性の高いサービスを提供する。3)地域に開かれた施設として、相談・サービス情報の提供・人的交流等を通して、高齢者福祉を中心とした地域福祉のネットワーク作りを行う。4)この基本方針を基とし、困難な状況におかれている高齢者やその家族に寄り添い支えとなる施設づくりを行う。の4項目です。
また、施設では特養のスローガンとして「笑顔多く心豊かに、ゆったりと過ごしてもらえるよう、思いやりを持ってお手伝いします。」を掲げています。特に職員のペースではなく利用者の状況や希望に合わせて職員が動けるよう、業務を組み立てています。


≪優れている点≫

1.本人や家族の思いに寄り添って介護の取り組みを行っています

施設の理念「利用者の尊厳を支え、一人一人のニーズに合った支援をする」をもとに利用者一人一人の思いや希望を引き出せるよう支援しています。認知症で自分の思いを表現できない方にはしぐさや表情から把握し、より良い生活が送れるよう支援しています。
利用者や家族がどのような最期を迎えたいのかも把握し、その思いに沿って支援しています。慣れ親しんだ場所としての役割を担うという考えから利用者・家族の希望に沿い、看取り介護を実施しています。「看取りに関する指針」を定め、看取りに対する体制の整備とマニュアルを作成し、看取り加算を取得しています。医師や協力医療機関と連携し安心して最期を迎えられるように体制を整備しています。看取り介護実施のフローチャートを整え手順を明確にしています。医師を交えた看取り研修を行い、利用者の介護に関わる職員が参加しています。
看取りケアとしてひらまの里医務室が作成した「ひらまの里での看取りをご希望される方へ〜穏やかな最期を迎えていただくために〜」などを整備して実施しています。延命措置を希望しないなど医療行為の選択肢も確認しています。 看取り介護の介護計画を立てて介護を実施し、終了時にはカンファレンスを行い、振り返りをしています。看取りの際には家族が宿泊できる場所の用意もしています。

2.他部門と連携して支援し、地域に開かれた施設を目指しています

特別養護老人ホーム「ひらまの里」は、事業所の運営理念である「地域に開かれた施設として、相談・サービス情報の提供・人的交流等を通して、高齢者福祉を中心とした地域福祉のネットワーク作りを行う。」を受け、地域との連携に取り組んでいます。同じ建物にある地域包括支援センターや居宅介護支援センター、通所介護サービスと連携して地域を支援しています。
近隣の町内会と施設家族会とでボランティア団体を設立し、毎週シーツ交換に来てもらっています。また夏祭りでは地域の趣味の会の一つが、盆踊りを披露してくださり入所者や家族も一緒に楽しみました。中学生の職業体験も受け入れています。年間を通して地域のボランティア(演芸等)を受け入れる等、地域と交流を図っています。
また、災害時には地域の拠点として役割を担い、ホームの消防訓練には地域の方に協力を得る等、良好な関係作りを構築しています。

3. 職員は業務の目標を掲げ、チームワーク強化を図っています

職員の人材確保が難しい中で、職員のチームワークづくりに取り組んでいます。職員がフロア会議に出席できるように会議の時間帯やシフトへの配慮を行い、会議では職員が意見を出し合える雰囲気づくりを心がけています。また、業務担当ごとに目標を作り、業務を担当する職員同士がチームとして協力し合い、目標達成に向けてチャレンジしています。
職員個人の目標管理と連携して目標を達成していくプロセスを通じて、自らの介護技術の向上につなげています。

≪課題や改善することが期待される事項≫

1.一人一人が活き活きとした毎日がおくれるような生活の活性化

現在、施設では、定期的にアセスメントを実施し、一人一人に合ったサービスに視点を置いて施設サービス計画書を作成し支援に努めています。
しかし利用者ヒアリングではもっと生活を楽しみたいという意見もあります。以前には施設内に季節感のある掲示や展示、装飾がありましたが、異食などへの配慮から現在は少なくなっています。
施設内で過ごす利用者の生活の活性化を目指す工夫が望まれます。ボランティアの活用も含めて環境整備では四季を取り入れた壁面装飾を利用者と一緒に行うことなども考えられます。利用者の食べる楽しみとしてバイキングや選択食の実施、買い物や屋上・近隣へのさらなる散歩等、複数の趣味の講座の実施等を検討されることが期待されます。

2. 対象を広げるなどによる人手不足の対策検討

全国的に介護人材が不足している状況の中で、施設でも慢性的な人材不足が続いています。そのため職員にも多くの負担がかかり、外部の研修参加も十分にできない状態にあります。また職員に負担がかかっている状況は利用者にも伝わり、利用者が遠慮する気配もうかがえます。
人材不足は全体の課題でもあり難しい中で、新しい施策の検討が望まれます。福祉用具の活用も含めて支援体制を整えることが望まれます。現在行われている障害者による業務援助や外国人採用による体制強化などの幅広い対策検討が期待されます。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 @ 施設の基本理念として、「利用者の尊厳を支え、一人一人のニーズに合った支援をする。」を掲げています。理念の実践に向けた支援方針として、利用者への敬意と主体性の尊重、家庭的で楽しみのある生活の提供、地域社会への参加と連携を明示し、施設全体で利用者一人一人の個別性を尊重した支援に取り組んでいます。
A 「個人情報保護に対する基本方針指針」「個人情報保護要綱」を定めています。職員や実習生には誓約書を取り、守秘義務を再確認する機会も設けています。外部に出す報告書等には個人名を出さないように配慮しています。広報誌に使用する写真等には利用者の顔が映らないように配慮して、必要な場合には家族に確認を取っています。
B 「高齢者虐待防止及び身体的拘束適正化のための指針」「身体拘束についての取り扱い要綱」を明示しています。月に一度、身体拘束廃止委員会を開催して、身体拘束をしないケアの方法について検討しています。不適切な行為について職員からの指摘もあり、従来は年1回だった高齢者虐待についての研修を今年は3回実施しています。虐待に関するセルフチェックを全職員で実施して振り返るとともに、上長との面談時に日頃の対応が適切かどうかを確認し合う制度を取っています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 @ 利用者一人一人が自立した自分らしい生活がおくれるようにその人らしさを尊重し、起床や就寝時間を柔軟にするなど、個々の生活リズムに合わせた介護支援を実施しています。医師や家族の了解に基づき、希望があれば飲酒も健康維持に支障のない範囲で認めています。サービスの提供にあたっては、利用者・家族から直接意見を伺ったりするほか、介護状況表を用いて今までの生活歴を含め、趣味嗜好等を情報収集し、職員間で共有しています。
A 継続した利用者支援にあたっては、PDCA サイクルに沿って支援内容と利用者の状況を比較しながら適切に支援しています。また、利用者の意向や要望を積極的に取り入れ個々の生活の活性化を図るとともに、信頼関係を構築できるように努めています。
B 排泄支援にあたっては、利用者一人一人に対し詳細なアセスメントを実施して状況の把握を行うほか、排泄チェック表や介護記録を基に排泄リズムを確認し、ミニカンファレンスやサービス担当者会議を開催して情報共有と検討を実施し、施設サービス計画を策定して支援を実施しています。
C 施設が主催して家族懇談会を開いています。その際に家族を対象にした研修会を開催しており、昨年は看取りを取り上げ22名の参加を得ています。利用者満足度調査を毎年実施して、家族の意見を施設運営の参考にしています。面会に来ることができなくなった家族には単発的に家族の送迎を行い、面会に来てもらっています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 @ 入所にあたっての利用者のアセスメントは、法人で統一のアセスメント表(介護状況表)を用い、入所時に利用者の健康状態や身体機能の状況を確認しています。
A 看護や介護、リハビリ、栄養士、相談員等の専門職が参加して各々の視点から現状の評価と課題の抽出を行っています。可能な限り利用者本人・家族と面談を実施して要望等伺っています。また家族から生活歴を記載していただいたり話を伺ったりして情報収集し、詳細な状況把握に努めています。
B 健康管理は「医務室業務マニュアル」により、利用者の日常の健康状態の確認は毎週体温、脈拍、血圧測定を行い「バイタルチェック表」に記載することで利用者の日常の健康状態を確認しています。各利用者の日々の記録や健康管理データは、介護ソフトに入力して、職員がその情報を共有しています。介護ソフトにより健康管理に加え、日々の生活状況も確認できるようになっています。職員は利用者の状況についてタブレットを使い効率的に入力できるようになっています。詳しい状況はパソコン入力して一元的に管理できています。
4 地域との交流・連携 @ 地域の福祉ニーズ把握は同一建物内で行っているデイサービスや地域包括支援センターと連携して行っています。特養の施設長が他事業の責任者も兼務して、連携の中での情報共有や地域との交流でニーズを把握しています。また施設は指定管理でもあり行政との連携を行っており、地区ワークショップに参加して地域の把握に努めています。
A 地域の人にはデイサービスやショートステイの在宅サービスを提供しています。また、川崎市の求めに応じて「緊急一時ベッド確保事業」の協力を行っています。近隣の小学校で社会福祉資源を知る授業を担当し、PTAに対する研修も実施して、介護の専門知識を提供しています。
B 地域の方に施設を理解してもらうために、施設の催しに地域の人達を招待して交流しています。地域の方に週一回のシーツ交換のボランティアの協力を得ていて、感謝の意味を込め年一回慰労会を行っています。小学生の「まちたんけん」、こども文化センターからの見学、中学校の職業体験を受け入れて施設理解を促進しています。建物内に「地域交流室」を設けて、夜9:00まで貸し出しを行い、浪曲の会、保育園家族の懇談会、民謡の練習等で使用されています。施設備品の綿菓子機を貸し出し、地域に利用してもらっています。
5 運営上の透明性の確保と継続性 @ 事業目標を数値化して、毎月の進捗を運営会議で確認して職員で共有しています。法人で「情報公開要綱」を定め、事業報告や財務報告を公表しています。施設運営データを法人本部に定期的に報告しています。
A 理念・基本方針を事業計画に示し、年度初めに職員に周知して確認しています。今年度より施設長の提案により職員の利用者支援に対する思いをスローガンにして掲示して関係者に示しています。所属長は職員に定期の面談を行っています。施設では異なる職種・部門による委員会や担当者会議を組織しています。毎年一回利用者満足度調査を行い、現状と傾向を把握しています。
B 事業運営に関する情報は法人から提供を受け、また行政や業界からも情報を得ています。重要な情報は運営会議や係会議等において職員間で議論し、重点改善課題として部門に伝達・実行しています。法人で中長期計画を策定し、施設では「持ち上げない介護」や福祉設備の整備を中長期的に取り上げています。また、川崎市より指定を受ける際に具体的な5年間の経過・目標を立て、その単年度計画を策定して実施しています。
6 職員の資質向上の促進 @ 「新人職員教育システム」のもとに主・副の担当を付けて育成に努めています。新人研修記録も用紙を定めて、担当者ごとに記録しています。施設での内部研修、法人による階層別研修及び新たな技術習得などの外部研修の年間計画を策定しています。年3回の研修委員会で達成度などの評価を行っています。
A 施設内の援助・支援の一貫性を確保するために「ひらまマニュアル」を作成して、その中から必要部分をわかりやすい資料にして職員に渡しています。新人職員の指導や援助技術の向上に向けて、「ひらまマニュアル」をフロア会議や係会議で必要時と3月に見直しています。特に緊急時対応については必要時毎に改定してフロアごとに配備しています。
B 職員の経験・能力や習熟度に応じた役割や期待水準は、法人の「人事考課ガイドブック」で職務基準・業務分掌として明示しています。職員からの提案を会議の中で検討し、業務や行事のアンケートでも意見を収集して改善につなげています。
C 目標管理制度を採用して、職員の適性や能力に応じた役割を与えています。毎年5月に目標を立て、6月頃に上司と面談しています。面談結果と業務を12月に自己評価して1月頃の面談に繋げています。個別の自己評価や面談で職員の満足度や要望を把握するとともに人事考課に反映しています。

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