かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

川崎市 中原保育園(3回目受審)

対象事業所名 川崎市 中原保育園(3回目受審)
経営主体(法人等) 川崎市
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 211 - 0062
中原区小杉陣屋 2−3−1
tel:044-733-3835
設立年月日 1971(昭和46)年04月01日
公表年月 2019(令和元)年03月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 公益社団法人 けいしん神奈川
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

<施設の概要・特徴>
川崎市立中原保育園は、東急東横線新丸子駅から徒歩10分、近年タワーマンションが多く建設されている武蔵小杉駅からも徒歩13分に位置し、周囲は若い世代の転入人口が多い環境にあります。周囲は多摩川や等々力緑地に近く、江戸時代から御殿や陣屋が並んでいた中原街道が間近の住宅街の中にあり、自然や散歩コースに恵まれた静かな環境です。定員120名の園舎は鉄筋コンクリート2階建てのうち1階を使用し、園庭は922uの広さがあります。2階はわーくす中原(障害者福祉サービス事業所)ですが、出入り口は分かれています。
経年による園舎の老朽化と地域の保育ニーズの変化に対応するための建て替えにより、7月から仮園舎に引っ越すことが決まっています。昭和46年4月1日開設の歴史ある大型保育園として、通う子どもたちの健やかな育ちを支援するだけでなく、地域の子育て支援に取り組んでいます。

<特によいと思う点>
■公立の地域センター園として地域に開かれた保育園を目指しています。
地域子育て支援、民間保育園の支援、保育士人材の育成を通して地域に根差した保育園を目指しています。中原区は若い世代が多いので、園庭開放、各種講座、親子でランチ、保育体験等の拠点として、地域に向けて多くの行事を実施しています。人材育成では公開保育をいつでも受入れ、他園との繋がりを深めると共に、自園の学びの場としています。特に次世代の育成には力を入れており、学生にとってのより良い受け入れについて話し合いを進め、共通認識しています。また、実習後の反省会はトークショー形式にして実習生が話しやすい雰囲気をつくることで、保育士を目指す動機づけと中原保育園らしさを伝え、未来への種まきをしています。

■異年齢保育を通して非認知能力を高めていけるよう援助をしています。
園の年間行事については異年齢で交流しています。年長は年下の子どもを思いやり、年下の子どもは年長に憧れを感じることで非認知能力の醸成につなげています。毎週金曜日を異年齢交流日「ウキウキタイム」とし、子どもが主体となって「トリオ」を編成し交流しています。子どもが担任以外の職員と関わりを持ち、職員も担当の枠にとらわれず連携しながら子どもを見ていく体制が整備されています。また「がっちりなかはら」ではトリオで働いてごっこ遊びに繋げ、遊びを通してチームワークの大切さを学ぶ機会にしています。

■三者連携集会を通し、子どもの健康を多面的に捉え援助しています。
看護師、栄養士、保育士の三者が連携し年間計画に沿って子どもたちに健康な体作りの大切さを教育しています。四季折々のテーマを設けテーマごとに看護師、栄養士、保育士それぞれが子どもたちの視覚に訴え、問いかけ考えさせることで意識するよう工夫した健康集会を開催しています。三者連携で食育活動の充実にもつなげています。栽培し収穫し調理し食するだけでなく食育にも力を入れています。今年度は、子ども自身が自分の身を守る健康教育に力を入れています。

<さらなる改善が望まれる点>
■大きな環境変化に対応した挑戦の過程にありますが、現在の視点も大切です。
間もなく始まる園舎の建替えだけでなく、地域の保育支援の拠点として区の担当課や研修の場と一体となった「保育・子育て総合支援センター」に位置付けられ、未来に向けた新たな課題が多くありますが、その前に卒園する園児や保護者も多数います。職員はそのことを充分自覚して仮設園舎への引っ越し後を想定した保育の在り方を検討しています。未来を見ながら目の前の子どもの利益を優先することを両立させる中長期計画づくりにも挑戦して欲しいと思います。

■防犯対策としてのソフト・ハード面の強化が必要です。
園児や保護者に向けた防犯訓練や他機関との合同の訓練を行ってみることで、園には何が足りないのかを探る手掛かりになります。例えば、門の鍵の破損や玄関の施錠、出入りの多い送迎時のセキュリティーについて不安に思っている保護者はいます。
当然、大きな予算をかけて最新のシステムを導入することはできませんので、この園には「隙(すき)」がないと誰にも感じてもらえるアイディアと工夫を期待します。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

■川崎市「子どもの権利条例」に基づき地域での取組みに広げています。
運営方針の中に子どもの最善の利益、子どもの意見や要望の尊重等を明記しています。11月にはかわさき子ども権利の日があり、職員が全ての子どもを大切にするためにどのような関わりをしたらよいのかを話し合う機会を持っています。センター園として話合いには近隣の民営保育園の方々も招き、一緒に話し合い、取り組むことで、自園の子どもだけではなく、全ての子どものことを考えるようにしています。

■発達相談支援コーディネーター等が気軽に相談に応じる体制が整備されています。
こどもの権利を守るためには、保護者の権利も大切にする必要があります。5人の発達相談支援コーディネーターを中心に、保護者の相談に個別に応じる機会を持っています。まず、保護者が何を求めているかを把握することを課題として認識し、悩みを共有できるように、保護者同士の繋がりを通した子育て支援に従来以上に取り組んでいます。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

■子どもの自己肯定感の醸成に努めています。
日頃の保育や行事のなかで、子どもが自由に選択し遊べる環境の中で保育が行われています。子どもは遊びや生活の中で豊かな経験を通して感じたり、気づいたり、考えたり、学ぶことを職員間で改めて確認し、アクティブラーニングを大切にしています。そのために、保育者は子どもの思いを受け止めたり、言葉に変えたり、勇気づけてあげたりし、受容的な関わりを大切にしています。自分の存在を認めてもらうことが自己肯定感を高めることに繋がると捉え、子どもが自信をもって就学できるように努めています。

■異年齢保育を大切にしています。
毎週金曜日を異年齢保育としてクラスの枠を外して「ウキウキタイム」にしています。子ども達が思いやりや憧れの気持ちを持つことができるような豊かな環境を整えています。子どもたちが主体的に選んだメンバーである異年齢の「トリオ」が「ウキウキタイム」を通して担任以外の職員と関わりを持っています。職員も担当の枠にとらわれず連携しながら子どもを見ていく体制の中で、当園独自の活動として、「がっちりなかはら」では仕事(働くこと)の要素を取り入れた異年齢交流の遊びがあります。

■利用者の意向を把握して利用満足の向上に努めています。
定期的に開催する父母の会では園運営に気軽に意見が言えるように、職員の考えと調整をしています。保育参加では、保護者に実際にクラスの保育を体験してもらい、日常の保育に関する感想や意見を収集し同日に個人面談も行っています。保育参加の参加率は高く、比較的父親の参加が高いのが特徴です。保育士を体験した保護者は、その子どもにとってはヒーローとなり大喜びです。園全体に関する利用者満足については、今年度第三者評価を受審し保護者のアンケート結果や評価を得て利用満足の向上に努めています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

■避難訓練では、色々な場面を想定し、地域性を踏まえた訓練も取り入れています。
毎月行われている避難訓練は、状況設定や日時を職員に知らせずに行われ、緊張感をもって行動ができるようにしています。保育園は一階にあるため、ハザードマップに基づいた水害時の訓練では、2階のわーくす中原の協力を得て、2階への避難訓練を行っています。また、防災教育も進めており、子どもたちが身を守ることを日常の保育で取り入れていて、ダンゴムシのポーズが自然にできるようになっています。

■就学に向けて円滑な引継ぎができるよう努めています。
就学に向けて幼保小連絡会議に出席し、様々な情報や意見交換を行っています。また、小学校の授業参観に参加し、小学校の様子と共に、卒園児の様子も把握する機会を持っています。小学校の生活科の授業での交流も行い、学校生活への期待も持たせています。また、保護者に対しては、就学前に懇談会を行い、幼保小の連絡会で得た情報を提供し、就学に向けての支援を行っています。保育指針改定に伴い、担任による新様式の保育要録は他の職員、園長、そして小学校との情報共有が図られています。

■仮設園舎移転後も質の高い保育を維持していく取組みが望まれます。
平成31年7月には仮設園舎に引越しをするため、現在行っている施設での災害時の取り組みを変更する必要があります。また、今のうちから広域避難場所への避難ルート確認、2階建て園舎の避難の方法を考えて行く必要があります。仮設園舎は園庭がないため、地域の公園や散歩コースの活用が不可欠となりますが「中原保育園散歩マップ」が玄関に置かれ、仮設そして新園舎となっても有効な保育への取組みが試行されています。大きな環境変化があっても子どもの最善の利益を考慮した、これまで通りの質の高い保育が望まれます。

4 地域との交流・連携

■地域社会に開かれた園として情報を開示しています。
園独自の地域に向けた情報は掲示版と園の入り口に設置しています。また、ホームページやアプリにも掲載し利用者が情報を得やすくしています。新しいタワーマンションが多く、転入人口が多い地域にあり、子育て情報誌にも川崎市や中原区の子育てに関する情報を掲載し発信しています。園で行うハイハイ広場(おおむね1歳まで)ニコニコ広場(1歳以上)の開催、ベビーミミケロ(0歳児)、毎日の園庭開放、絵本貸出なども積極的に行い、来園のきっかけづくりをしています。

■中原区のセンター園としての機能を積極的に果たしています。
地域子育て支援・民間連携・人材育成の中枢的な役割を果たしています。地域の親子に向けた各種講座を行い専門職が地域の育児を支えています。また、保護者同士の交流も促進し、転入で知り合いが少ない家族が多い小杉地区の地域性に合った取り組みをしています。増加する民営保育園との連携では、顔の見える関係づくりに努め、公開保育や保育園実習を進め、園内研修オープン講座では民営保育園同士の繋がりをサポートしています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

■理念・基本方針の実現に向けた中・長期計画が策定されています。
「川崎市総合計画」や、「川崎市地域包括ケアシステム推進ビジョン」「川崎市子ども・子育て支援事業計画(子どもの未来応援プラン)」に基づき園では中・長期な観点で運営を行っています。同時に単年度ごとの園独自の運営方針を策定しています。園独自の中・長期的な計画は、保育・子育て総合支援センターの開設に向けての計画を日常的業務に反映させたものです。センター園の機能を果たすために、仮設園舎、新園舎建設向けて保育内容を検討し作成しています。

■管理者層は職員の質の向上に意欲を持ち指導力を発揮しています。
園長は、園長補佐と共に園運営及び職員の健康を管理し、職員会議等を通じて職場のチーム力を高め指導力を発揮しています。園長は職員と話をすることを重視し、個々の職員の意向を反映させた研修計画を策定し、成果に対して助言をしています。川崎市人事評価の年間3回の職員の面談の中で一人一人の役割を明確に伝え、役割を遂行する過程で的確な助言を行っています。外部の研修を受けた職員は報告を職員会議で行い、全体で共有を図り質の向上に役立てています。

■管理者層は職員に常に問題意識を持つよう指導しています。
保育内容や大切にすべき点等は保育指針をもとにそれぞれの職員、担任間、乳児グループ、幼児グループ、全体の中で検討を重ね、必ず課題を抽出するよう励行しています。会議では報告だけに流されないよう保育、教育について園の方針、方向性を踏まえ、職員がどうしたら質の高い保育ができるかという意識をもって常に自己研鑚するよう指導しています。

6 職員の資質向上の促進

■次世代の育成に力を入れています
公開保育をいつでも受け入れることで、研修、学びの場にしています。特に次世代の育成に力を入れ、独自の工夫として「次世代育成ストーリー」のマンガを作成し、それをツールにし、職員が共通認識しています。また、実習生の反省会をトークショー形式に変えることで実習生の本音をうまく引き出しています。センター園としてのスキルを高めるために川崎市こども未来局の他部署の仕事を学ぶ等視野を広げる試みを行い、未来の保育園作りをはじめています。

■管理者層は人材育成に力を注いでいます。
人事評価に関するマニュアルがあり、人事評価の目的が明記され職員も周知しています。職員との話し合いを重視する園長は、職員との年3回人事評価面談を、個人目標の設定、同時に職員の職務への振り返りの場として活用しています。園長とじっくり話し合うことで、職員が自分を見つめ直す場となっています。評価だけでなく職員の質をあげるために園内・園外の研修にも力を入れています。キャリアシートを用いて本人の希望を聞き、研修に参加できるようにしています。

■働き方改革に向けて職場環境を整備しています。
管理者層は、休暇の取得や、出勤退勤管理、時間外労働の把握、シフトの管理など行っています。休暇取得状況の把握を行い、休暇取得向上に向けて対応しています。
「働き方改革」をすすめ、職員が生き生きと働けるためにその日の様子を観察し常に声掛け等を励行しています。管理者層のリーダーシップの下、職員はコミュニケーションも良好で自由闊達な風通しの良い職場となっています。

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