かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

横浜市清水ヶ丘保育園(3回目受審)

対象事業所名 横浜市清水ヶ丘保育園(3回目受審)
経営主体(法人等) 横浜市
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 232 - 0007
南区清水ヶ丘25
tel:045-242-1834
設立年月日 1953年04月05日
公表年月 2019(平成31)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 ナルク 神奈川第三者評価事業部
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の立地・特徴】
 「清水ケ丘保育園」は、昭和28年に開園、昭和49年に建て替え、昭和63年に改築、平成21年には耐震工事を施し、横浜市の市立保育園として保育運営を行っています。0歳児から5歳児までの子どもたち107名(定員100名)が在籍し、一時保育も受け入れています。2020年には民間移管を予定しています。
 京浜急行線南太田場駅から徒歩で8分、閑静な住宅地にあり、住宅やマンションに囲まれた斜面の中腹に立地しています。園舎は、船をイメージして設計され、園舎内や屋上、窓などの各所に工夫を凝らしています。                          
 歴史のある保育園で、地域から認知されており交流が盛んに行われています。外国籍の子どもも多く、障がいのある子どもや配慮が必要な子ども、見守り家庭も受け入れ、理念である「子ども一人ひとりのよりよい育ちを願い、保護者や地域とともに歩む保育園を目指す。」に沿った保育を行っています。


【特に優れていると思われる点】
1.地域とのつながりを大切にし、地域とともに歩み続ける保育園 
 地域の特性として地域に根ざした商店街や団体があり、長年この地に住んでいる方も多く、園の存在が地域に周知されています。園では、「おじいちゃん、おばあちゃんと遊ぶ会」「お正月遊びの会」などの行事に地域の高齢者や町内会などの団体の方を積極的に招待しています。また、子育て支援事業として地域交流や交流保育を盛んに行っています。地域の町内会や商店街、団体からはイベントに声をかけてもらい、「更生保護女性会」からは手作りのおもちゃ、手提げ袋などの保育園に必要なものを常に提供してもらえる関係を築いています。また、近隣の高校とは一緒に避難訓練をし、地域の保育園や小、中学校とも交流しています。職員は毎月19日をピンクデーとして地域公園の清掃を行い、地域との関係性を壊すことなく、継続できるように努めています。


2.職員の資質向上と保育の質の向上のための園内研修プロジェクト
 園内研修として職員4、5人がチームを組み、プロジェクトとして年間のテーマに取り組んでいます。2018年度は「園の移管問題」「健康、食育、畑」「危機管理」「全体的な計画(保育課程の見直し)」「環境」「第三者評価」の6つを掲げています。職員がプロジェクトで取り組むことで担当テーマを意識し、チームで話し合うことで職員全体の資質の向上につなげています。さらに、改善提案をしたり新しい取り組みを始めることで保育の質の向上につなげています。2017年度のプロジェクトで取り組んだ「健康について」はよこはま保育フォーラムで研究発表を行い、継続的な取り組みを行っています。園内には食育活動の一年間の流れを掲示し、写真やコメントをつけています。子どもたちが食に関心をもてるように廊下に三色栄養素表を掲示しており、5歳児が毎日の献立の栄養素を分類しています。調理員も食事の際に食材を紹介しに保育室を回ったり、菜園で子どもたちが収穫した野菜の調理にも対応し、子どもたちと活動しています。


3.子どもや保護者が安心できる保育継続のための職員の取り組み
 職員は日常保育に必要な個人情報に関する書類の持ち運びは、一つの手提げ袋にまとめて行っています。保育中は子どもの安全を優先できるように、業務上必要な電話機などは肩かけ袋に入れて両手を空けています。また、0、1歳児の子どもが発熱した際に対応できるように、保冷剤を入れる子ども用の背負い袋も用意しています。急な子どもの受診の際には、担当した職員が戸惑わず対応できるように、受診時に必要な書類を一つの袋にまとめて事務室に置いています。袋類はすべて布製で手作りとなっています。職員それぞれが研修などで得た情報を共有し、良いものは取り入れて保育の質の向上につながるようにしています。


4.子ども一人一人のよりよい育ちにつながる年齢に応じた環境設定や援助
 目標は年度末に全職員で検討し決めています。各指導計画やクラステーマ、クラス目標を決めるにあたり、園長から職員に「5歳児が到達点ではない」ことを伝えています。指針にある「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を念頭にクラステーマを決め、保育の実践をしています。
 3歳児クラスでは職員が「不思議な種」として、子どもには何の種かを伝えずに種を観察し、種をまいて育てました。子どもたちは何になるのかを楽しみにしながら育て、蕾がふくらみ「ひまわり」が咲きました。育てる途中では絵を描いたり、感じたことや気づいたことを言葉にしながらひまわりの取りまでの活動をしました。
 5歳児クラスでは、遊びも活動もできるだけ子どもの自主性を大切にしています。子どもからの「先生 ○○したいから △△して」の言葉を待ち、子ども同士で話し合い協働して一つのことをやり遂げ、達成感を味わえる体験を大切にしています。夏祭りのおみせやさんごっこは、子どもたちが相談して年下の子どもたちも楽しめるように「くじ引き屋」をやることを決めています。クラスごとに興味のある虫を育てたり、観察をして命の大切さを学んでいます。5歳児になると蚕を育て繭から糸を操る経験をして、卒園式のコサージュを作っています。

 
【特に改善や工夫などを期待したい点】
1.園運営につながる苦情、要望、意見のデータ蓄積
 保護者からの苦情、要望、意見などは記録しています。さらに些細なことも記録し、データを蓄積することにより保護者の気持ちを把握し、一層子どもの生活、遊びや保育の大切なことを発信して、保護者がより園生活を理解できるように工夫するなどが望まれます。


2.0〜2歳児の個別指導計画に個別の振り返りの記録ができる書式の定型化
 0〜2歳児の月間指導計画では、毎月、クラス全体の取り組み状況と保育士の振り返りを行い、自己評価を実施して所定の欄に記載しています。また、個別指導計画については、「現在の子どもの様子」から「保育士の配慮事項」「家庭との連携」を検討して記載し、職員同士で振り返り、話し合って次月の計画につなげていますが、現在の横浜市の0〜2歳児の個別指導計画の書式には、個別の子どもの支援についての職員の評価・振り返り欄がありません。個別指導計画の自己評価が記載できるよう、横浜市の書式の改善が期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・子どもの呼び方を含む言葉遣いや対応について、職員会議などで事例を挙げて振り返り、子どもの人権を尊重することを確認し合っています。職員は横浜市の人権研修や園内研修で子どもの人権について意識化を図り、子どもを尊重した保育の実践に努めています。


・園には個人情報漏洩防止マニュアルがあり職員に周知しています。実習生、職業体験、ボランティアにはオリエンテーションの際に説明し、誓約書を交わしています。保護者には入園時の保護者説明会で個人情報の取り扱いについて説明し、承諾を得ています。写真などの使用に関しては、同意書を提出してもらっています。


・遊びや行事の役割、持ち物などは性別による区別をしていません。出席簿は生年月日順に、グループ分け、並ぶ順番や席順などはなるべく子どもたちが自分たちで決めるように促しています。


・職員は外部の虐待予防研修や子どもの人権の研修などに参加し、虐待に関する知識、認識を深め、虐待の早期発見のため、子どもの着替え時などの観察には注意を払っています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

・各保育室は、子どもの年齢や発達に応じたおもちゃや絵本を自分で選んで取り出したり、片付けができるように、子どもの目の高さの棚に配置して、棚やかごには写真や絵を貼って並べています。


・0歳児では、職員は子どもの表情や喃語から気持ちを汲み取れるように配慮しています。室内の広いスペースに手作りの滑り台や机、椅子、マット、柵などを設置し、這い這いからつかまり立ち伝え歩きなどが十分できる環境を備え、子どもが全身を使って充分に遊び込めるようにしています。1、2歳児では職員は子どもが自分でしようとする気持ちを大切に見守り、援助しています。室内遊びではコーナーを作り、子どもたちが好きな遊びを楽しめるように見守っています。3〜5歳児では、子どもの発想を基にごっこ遊びや子どもたちが好きな絵本から劇遊びに発展させています。


・職員は子どもたちと一緒に遊び、興味や関心のあるものを見つけてさまざまな遊びに広がるよう援助し、必要な遊具や材料を用意しています。自分で遊びに興味が持てない子どもには、保育士が一緒に遊んだり、一緒に子どもたちの中に入って関心を持てるようにしています。


・子どもの食べるペースや好き嫌いを把握し、完食を目指すのではなく、食べられる量を調節して一人一人が楽しく食べることを大切にしています。幼児クラスから当番活動を行い、年齢に応じて配膳や片付けをしています。4、5歳児はバイキング形式で食事を行う日を設けており、自分で食べられる量を考えながら盛り付ける経験をしています。


・食育計画や畑・作物・花・栽培計画があります。子どもたちは園で育てた野菜の皮むきやさや取りなどを行い、自分たちで調理する経験も保育に取り入れています。また、調理員と子どもたちが一緒にクッキングする機会があります。


・午睡や休息は家庭での状況などを聞き取り、毎日の子どもの状況に応じて対応しています。乳幼児突然死症候群に対する対策として0歳児は5分ごと、1歳児は10分ごと、呼吸チェックをしています。保護者には4月の懇談会でうつぶせ寝は危険であることを伝えています。5歳児は年明け頃から活動によって午睡の時間を短くしています。


・1歳児はオムツ交換を通して、子どもの排泄のリズムを把握しています。トイレットトレーニングは一人一人の発達状況を重視して、家庭と連携をとりながら進めています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

・全体的な計画は、子どもの発達過程に沿ってねらいを明確にしています。子どもの最善の利益を第一義にして、保育の基本方針や地域環境などの特性も考慮して作成しています。全体的な計画に基づき、各年齢の年間指導計画、月間指導計画、週案、0〜2歳児は個別指導計画、特に配慮を要する子どもには個別支援計画を作成し、評価、見直しを行っています。


・食物アレルギーについては、医師からの「生活管理指導表」や「除去解除届」を受けて対応しています。職員は、外部研修でエピペン(アナフィラキシー補助治療剤)の使い方などの講習を受け、職員会議などで情報共有しています。毎月、調理、担任、園長が保護者と除去食面談を行い、除去食の確認をしています。専用の机や台布巾、専用食器、トレイを使用し、名前などを記載した専用のカードをつけて提供し、誤食防止に努めています。


・入園前に既往症など子どもの健康状態を聞き取り、クラスごとのファイルに記入し、必要に応じて職員会議などで職員に周知しています。「健康に関するマニュアル」に沿って、子ども一人一人の健康状態を把握しています。児童健康台帳に、感染症の記録や予防接種の記録などを管理しています。


・年2回の内科健診、歯科健診、毎月の身長・体重測定の記録を児童健康台帳に個別に記録しファイルしています。保護者には「健康の記録」に記載して情報を共有しています。子どもの成長曲線を入力し、肥満傾向や痩せ傾向などの把握をしています。健診結果は健診当日に所定の書式で全員の保護者に伝えています。


・保育所における感染症ガイドラインを参考に感染症マニュアルを作成し、保護者には入園説明会で、感染症発生時の園の対応や登園禁止基準を説明しています。保育中に発症した場合は速やかに保護者に連絡し、早めの迎えが難しい場合には事務所などで安静が保てるようにしています。


・衛生管理マニュアルがあり、年度初めの 職員会議で確認、共有しています。感染症の流行時期には、職員間で対応の方法を確認しています。「掃除チェック表」を使用し、担任で当番を決めて掃除を行っています。


・安全管理マニュアルがあり、事故発生時などの対応について職員に周知しています。保育室内のラックやロッカー、ピアノなど大型の家具は床に固定しています。移動可能な棚には天井に突っ張り棒、床と棚の間には転倒防止ストッパーを使用しています。毎月、火災・地震・土砂を想定した避難訓練、通報訓練、消火訓練、事故訓練を行い、不審者対策の訓練を年4回行っています。職員は救命救急法の研修を受け、AED(自動体外式除細動器)の研修は消防署と連携して年1回行っています。


・入園説明会で園の苦情受付窓口及び第三者委員について説明し、「重要事項説明書」には第三者委員制度について、「園のしおり」には第三者委員の名前と連絡先を明記しています。また、玄関に掲示して保護者に周知しています。第三者委員には入園説明会や行事に来園してもらい、保護者に紹介しています。

4 地域との交流・連携

・地域の親子が参加する交流保育、園庭開放、育児講座や招待行事を行い、地域の親子への絵本の貸し出しを行い、地域住民と交流する中で、育児情報の提供や育児相談などをしています。また、地域の高齢者や団体の方を招待し、ボランティアには、お話し会や植栽、手作りおもちゃや保育に必要な手作りのものを提供してもらっています。定期的に高齢者の団体に、ハーモニカ演奏などを行ってもらっています。町内会の「公園愛護会」と、公園の花壇の植栽活動を行っています。


・小学校訪問で、年長児は小学校の1年生とのふれあい遊びや学校見学をしています。近隣中学校の職業体験や近隣高校のインターンシップを受け入れています。近隣高校とは防災訓練を一緒に行い、災害時の協力体制もできています。


・毎月19日をピンクデーとして担当職員を決め、子どもたちも一緒に地域の清掃を行っています。地域のケアプラザには4、5歳児が訪問し、歌を披露して交流をしています。また、幼児クラスの子どもたちは、地元の商店街に買い物などに出かけています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

・保育園の運営やサービス内容などは、横浜市のホームページや南区のホームページなどに掲載して提供しています。園のパンフレットを園見学者に配布しています。南区の子育て支援拠点に、園のパンフレットや育児支援事業のチラシを置いています。


・園のゴミ推進委員が横浜市担当職員向け研修を受けて啓発し、全職員で環境や緑化の推進に努めています。横浜市の「ヨコハマ3R夢プラン」に沿って、ごみの分別、リサイクルやリユースを行っています。子どもたちは、横浜市環境事業局の出前環境教育を受け、保護者には写真掲示や園だよりで報告し、取り組みを伝えています。


・横浜市職員服務規程があり、守るべき法、規範、倫理などが明文化されています。職員には「職員行動基準ハンドブック」を配付し、職員は携帯しています。不祥事防止ハンドブックを事務所に置いています。経営、運営状況は横浜市こども青少年局で管理しています。個人情報の取り扱いのガイドラインがあり、内部研修や横浜市の個人情報取り扱いの自主点検をしています。

6 職員の資質向上の促進

・「横浜市人材育成ビジョン」があり、保育所の理念・方針を踏まえた保育を実施するよう努めています。新人職員には経験豊富な職員が関わりを持つトレーナー制度があり、トレーナー職員や園長が継続的に育成しています。


・研修計画は「横浜市保育士育成ビジョン」に沿って、体系的に作成しています。また、職員は、保育士として持つべき能力や研修計画が記載された「キャリアラダー」を個人別に持っています。職員は人事考課制度により、その年度の目標を掲げ、達成できるように努めています。また、年度途中と年度末に園長と面談して、達成度の評価を行っています。


・保育日誌、保育計画などの書式は自己評価欄を設けた書式が定型化しています。職員が記載した自己評価については、園長、主任などが確認しています。保育士は自己の実践を評価して、次期計画に反映させています。


・保育士の自己評価は各会議で報告し、話し合っています。保育士の自己評価から明らかになった課題は、会議で検討し改善に取り組んでいます。保育所の自己評価は、保育士の自己評価も踏まえて行い、保育所の自己評価の結果は、各保育室に掲示し公表しています。


・園内研修は定期的に行い、必要な職員が参加できるようにシフトを組んでいます。消防署員が来園してのAED研修や嘔吐研修などは全職員が研修を受けています。また、午睡時間を利用して、主任が非常勤職員に人権研修も行っています。


・平成30年度は第三者評価受審にあたり、園内研修として全職員が自己評価を行った上、保育園としての自己評価に取り組み、書式の確認や見直しなどに取り組んできました。毎年、自園の課題について職員が4、5名のグループに分かれて複数のプロジェクトを進め、資質の向上に努めています。


・外部研修や南区主催の研修などには、希望した職員ができるだけ参加できるようにしています。横浜市中部地域療育センターの巡回指導をうけています。

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