かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

YMCA山手台保育園アルク(2回目受審)

対象事業所名 YMCA山手台保育園アルク(2回目受審)
経営主体(法人等) 公益財団法人 横浜YMCA
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 245 - 0004
泉区領家2-11-1YMCA山手台センター内
tel:045-813-1022
設立年月日 1991(平成3)年04月01日
公表年月 2019(令和元)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 YMCA山手台保育園アルクは平成3年4月に公益財団法人横浜YMCAの系列園として設立され、28年目を迎えました。園はJR戸塚駅前からバスで15分、領家3丁目下車徒歩1分、YMCAの建物の1、2階です。定員は48名、平成30年12月現在59名です。産休明け保育、延長保育、障がい児保育を行っています。キリスト教保育を基礎として、保育目標は「信じることのできる子ども」「考えることのできる子ども」「すこやかな子ども」としています。園の立地は、かつて計画的な住宅、商業地域として開発されたところで、スーパーマーケットや飲食店などが並ぶ道路に面しています。地域には大きな遊具や樹木、花壇、広い原っぱなど特色ある公園が多くあり、散歩に利用しています。富士山麓や三浦半島の法人の施設で、夏や冬に4、5歳児はキャンプに参加しています。こうした環境の中、子どもたちは伸び伸びと生活しています。


《特に優れている点・力を入れている点》
○法人の持つ充実したサポート機能や組織的に構成された教育制度を生かした保育を行っています
 法人の組織力を生かし、保育の基本方針に基づいて全体的な計画を作成する際には、法人の13園すべてが集まり、タスクチームを作って取り組みました。全体的な計画に沿って地域の状況に合わせ、園ごとに特色や交流、連携について取り組み内容を決めました。職員の教育にも力を入れており、法人と連携して職員が受講している研修は、新人・フォローアップ、1〜6級、管理職、合同、キャンプ、人事交流、園内と多彩で豊富な内容となっています。在園児は「健康教育」「語学教育」「学習支援プログラム」などさまざまな活動に優待制度を使って参加することができます。「横浜YMCA教育相談センター」では、18歳未満の子ども、保護者、指導員、学校教員を対象とした発達相談を受け付けていて、保育園の職員もサポートしています。


○子どもの主体性を大切にはぐくみ、一人一人が愛されていると感じる保育に取り組んでいます
 園の雰囲気は家庭的で保護者との距離が近く、職員たちは子どもたち一人一人を大切にし、愛されていると感じる保育を目ざしています。教育・保育目標を「Spirit(精神・こころ)」「Mind(知性・ちえ)」「Body(身体・からだ)」として、保育の中で子どもの主体性を育て、自然に触れ、子どもの気持ちをくみ取り、仲間を大切にすることを教えています。毎日ミーティングの中で話し合うことによって情報共有し、園が一つの家族のように思えるような保育を目ざしています。職員は子どもの気持ちに寄り添い、子どもたちの笑顔と命を大切に守ることが一番大事だと考えています。子どもたちは十分に体を動かし、豊富なイベントやスポーツ活動の中で協調性を育て、健康的な生活習慣を身につけ、毎日を楽しく過ごしています。


○YMCA保育園としての伝統を生かして、子どもたちはさまざまな経験を積んでいます
 YMCA保育園の子どもとして、3歳児以上はイースターやクリスマスの時に教会で礼拝をしています。体操や英語の講師が月2回来園し、子どもたちは遊びながら学んでいます。園と同じ建物内にある法人のプールを使用して、専任講師による週1回のプール活動があります。7月には4歳児が三浦半島の法人の施設で、お泊まり会と翌日の磯遊びを行い、6月には5歳児が、また1月には4、5歳児が、富士山麓の法人の施設でお泊まりキャンプを体験し、大自然を満喫しています(キャンプ参加は有料)。また10月のチャリティーランや運動会、12月の老人福祉施設の訪問、泉区と園のクリスマス会、近隣保育園との交流など、子どもたちはさまざまなことを体験し、豊かな園生活を送っています。


《事業者が課題としている点》
 施設の老朽化に伴い、修繕や備品の交換など順番に修繕計画を実行し、「安全・安心」の保育環境を常に整えることを課題としています。保育室を有効活用するために一部工事をしたり、園庭側門扉とフェンスの交換を計画しています。また、事務室内の書類や倉庫を整理したり、保育室内のおもちゃや備品の整理や交換にも取り組んでいます。ほかに、保育士不足や、会議などの内容について職員の共通理解を速やかに図ることも、課題としています。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重  園の理念は、「イエス・キリストの愛と奉仕の精神に基づき一人ひとりの命が輝く平和な社会の実現を目指します」です。理念や基本方針は年度当初に全職員で確認し合うほか、読み合わせを行って周知しています。保護者に渡す「園のしおり」に、YMCA教育・保育事業の理念・使命を記載しています。保育理念は毎月発行している園だより「アルクだより」に掲載するとともに、園内にも掲示しています。理念に基づいて作られた全体的な計画の基本方針に沿って担当職員が保育の計画を作成しています。毎年1月に行われる系列13園の合同研修会では保育の実施内容を各園が発表し、情報共有するとともに自園で取り組む際の参考にしています。
 法人で取り組んでいる、子どもを呼び捨てにしないようにする「くん・ちゃん運動」に従って、子どもの名前に、くん、ちゃんを付けて呼んでいます。ほかに本人や家族が愛着を持っている呼び名があれば、それを職員がそのまま使用していいかどうかを検討してから、採用することもあります。職員同士は保育の中で気になる言葉使いを聞いたときは互いに注意し合っています。子どもの年齢や発達に合わせて、意思の疎通が難しい場合には顔を見て目を合わせ声をかけることを心がけるとともに、子どもの気持ちを尊重し受け止めます。職員は人権についての外部研修を受けたり、行動規範を読み合わせたり、法人の定期合同研修を受けたりして、全職員で学んでいます。
 パンフレット「保育実習・ボランティア・オリエンテーション」の中で守秘義務について記載して実習生やボランティアに周知するほか、YMCA行動規範でも個人情報に関するガイドラインを記載して、全職員に周知しています。保護者には、園のしおりや「YMCAブログ利用ガイドラインで」を使って、入園説明会の際に、写真などの個人情報の取り扱いについて説明し、同意書署名により了解を得ています。個人情報に関する記録は事務室内の鍵のかかるキャビネットに保管し、日常職員が閲覧する際はコピーしたものを使います。廃棄は専門の業者に頼んでいます。また、事務室不在時はセキュリティ会社に管理を任せています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供  年齢ごとの年間指導計画があり、ねらい、行事、養護、教育、環境及び配慮について記載しています。内容は期ごとにまとめられ、計画に対する自己評価を行ったうえで、別紙にテーマごとの振り返りを記入しています。職員は子どもの意思や意見を尊重し、子ども一人一人と向かい合い、話をよく聞くようにしています。子どもが具体的に内容を理解できるように、保育活動の導入部分で絵や写真などを使います。子どもの言葉は毎日ミーティングの中で共有し合い、担当職員の情報を基に話し合います。職員は子どもの自主性や主体性は子どもの成長とともに変化していくことを踏まえて、子どもの思いを理解して受け入れ、一緒に行動していこうと考えています。
 0〜2歳児クラスは、音の出るおもちゃや感触が楽しめるように布製のおもちゃなどを、3〜5歳児クラスは、想像しながら遊べるように、積み木やブロックなどのおもちゃや絵本などを準備しています。おもちゃや絵本は、各クラスに設置してある背の低い棚に収納し、子どもの目線で選んで、取り出せるようになっています。職員は、半年ごとに開催している振り返りミーティングで、環境構成について話し合い、年齢や子どもの発達に応じて、おもちゃや絵本の入れ替えを行っています。畳のマットやついたてを用いて、ままごとコーナーなどを作り、ごっこ遊びがじっくりとできるようにするなど、子どもたちが落ち着いて遊べる環境作りを工夫しています。職員は、日々の活動の様子を振り返りながら、子どもたちが主体的に活動できるよう、計画を作成し、より良い環境構成を目ざして取り組んでいます。
 地域には大きな遊具や多くの樹木、多くの花壇、広い原っぱなど特色ある公園が多くあり、散歩に利用しています。近くの自治会館を利用したり、電車や法人のバスを利用して泉区公会堂や踊場地区センターに行き、会合や園のクリスマスに利用しています。散歩や、クッキングの食材を買いに近くのスーパーマーケットに行く時などに出会う地域の方々とは、子どもたちは元気に挨拶を交わしています。近隣の保育園とは園庭や公園で一緒に遊び交流しています。子どもたちは12月に老人福祉施設を訪問し、劇や歌を披露し、交流しています。6月の園の「花の日」には、礼拝後、子どもたちが日ごろ世話になっている消防署や小学校、プール指導の方などに花を届けています。地域の祭りや小学校の運動会などに子どもたちが参加できるよう日程を調整しています。
3 サービスマネジメントシステムの確立  年間指導計画、月間指導計画、週案があり、それぞれのクラスの指導計画の作成、評価、見直しをしたものを年齢ごとに1つのファイルにまとめています。計画の振り返りを行うために、乳児会議と幼児会議を定期的に開いて、出席できる職員が全員集まります。月案ミーティングの中では情報共有や職員の複数参画を意図して、作成をローテーション制としています。各クラスのノートは全職員で回覧します。見直しは毎月と期ごとに行いますが、園で行うイベントが多いので、子どもの発達や状況に応じて柔軟に対応できるようにしています。保護者からは、年齢ごとにある連絡ノートや、送迎の際の声かけなどで要望や意向を聞いて、可能な限り要望に沿えるようにしています。
 苦情受付窓口は主任、苦情解決責任者は園長です。また、横浜YMCA福祉サービス利用者相談センターに、苦情受付担当が設置されています。園のしおりに、「園へのご要望の受付について」として、苦情受付の園内体制や第三者委員の連絡先、対応手順、注意すべき点、解決策の周知方法などの必要事項を記載し、保護者には入園説明会でも説明しています。保護者に行事後アンケートを実施し、要望や苦情を聞いていますが、保護者との距離が近いので、口頭での相談が多数を占めます。全年齢の子どもに連絡ノートがあり、記載されている保護者からの相談や要望にこまやかに対応しています。
 法人の安全マニュアルに事故防止・対応や災害対応について明記されており、職員に周知しています。園庭での水遊びを行う際は、「かんしがかり」と記入されたA4判のプレートを付けた監視役に徹する職員を必ず1名配置しています。睡眠中や食事中の留意事項について、職員会議などで話し合い、確認しています。地震や火災などの場面を想定して、通報訓練や引き取り訓練も含めた避難訓練を月に1回実施しています。実施後は、訓練記録に実施内容と反省点などを記録しています。また、訓練日には、安全チェック確認表をもとに、保育室や園庭の安全確認を行っています。緊急時の連絡方法手順のフローチャートを事務室と1階保育室の電話近くに常備しており、保護者向けの緊急時一斉メール配信システムを導入しています。職員は、法人が開催する研修で、救急救命法について学んでいます。
4 地域との交流・連携  園のしおり(入園案内)には法人の理念・使命として、「子ども」「家庭」の次に「地域」を挙げ、「地域の人々と、ともに生きる社会の形成を担います」と述べています。園は在園児の保育のみでなく、地域の子育て支援活動も重要な使命ととらえています。子どもたちが散歩に出かけた公園などで親しくなった地域の親子連れや、「音楽遊び」など園の地域子育て支援活動の参加者、園の見学者などとの会話を通じて、園への要望を聞いています。また、育児相談の相談者の話から園への要望を把握しています。園長や職員は泉区の園長会の分科会や泉区の社会福祉協議会などが参加する地域の子育て支援ネットワーク連絡会、幼保小の連絡会議などに参加して、子育て支援ニーズについて情報交換しています。
 園が収集した地域の子育て支援ニーズは毎月の職員会議などで話し合い、年度末の、次年度の事業計画や全体的な計画などの作成に生かしています。事業計画などを基に子育て支援活動の年間予定を作成しています。園は地域の家庭の子どもたちも一緒に育ち合うよう「子育てランドぐるんぱ」として子育て支援活動を展開しています。主に0〜3歳くらいの親子を対象に、毎月2回ほどを目途に年間予定表を作成し、園の前の掲示板やホームページに掲げています。園の子どもと一緒に園庭や保育室で水や泥んこを含むさまざまな遊びをしたり、製作や音楽、歌、親子体操、人形劇やクリスマスコンサートの観賞、芋掘り、運動会などへの参加を募っています。こうした活動の合間に保護者からの育児や離乳食などの相談に応じ、説明しています。
 利用希望者からの問い合わせには、園とYMCA保育園の2つのパンフレットと、園のしおりなどに基づいて、園長や主任、事務職員が常時対応できるようにして、法人についてや、理念・使命、保育目標、保育の特色などを説明しています。利用希望者には園の見学希望を聞き、保育に支障を来たさない範囲で、できるだけ希望に沿う日時で対応しています。見学者には2つのパンフレットと「子育てランドぐるんぱ」の案内チラシを渡し、園長か主任が、理念・使命や保育目標、保育内容、特色などをていねいに説明して、園を案内し、質問に応じています。
5 運営上の透明性の確保と継続性  職員はクラスごとの振り返りを基に職員会議などで結果を報告し、話し合って、次の計画作成につなげています。振り返りの話し合いの中から、午後など子どもたちに疲れが見られることがあるので今まで扱ってこなかったぬり絵を採用することにして、キャラクターのものではなく色彩感覚を養う幾何学模様などのぬり絵を取り入れました。YMCA保育園の「保育所の自己評価」は、全体的な計画に沿って、保育理念以下、職員の自己評価と同様の項目があります。園長と主任は、職員の自己評価と保護者に行ったアンケート結果を基に、保育所の自己評価を作成し、職員に開示しています。保育所の自己評価はファイルに入れ、園の掲示物がある廊下の棚にそろえて公表しています。
 法人の理念・使命や保育目標を保育園の入り口に掲示して、いつでも保護者や職員の目に触れるようにしています。この理念・使命や目標は全職員に配付される「横浜YMCA保育園」や園のしおりなどに明示しています。また、文献より抜粋した「キリスト教保育」も全職員に配付しています。年度初め全体職員会議で、園長から理念・使命や保育目標の説明があり、全職員に周知しています。理念・使命や保育目標、キリスト教保育は以後会議などで随時読み合わせをしています。園長と主任は年度末の自己評価の個人面談などを通して、職員が法人の理念・使命や目標に沿って保育を実践してきたか確認しています。
 法人の系列園として、園は「VISION2020」「2016−2020中期5か年計画」として2016年から5か年の中期計画を策定しています。内容は「T次世代を担う子どもたち、青少年のために」「Uすべての人々の健康的な生活を育むために」「V人と人、人と地球がつながるために」の3つの大分類に、おのおの3つの中分類、さらに3つの具体的な計画を記述しています。また、この中期計画を踏まえて今年度の事業計画を策定しています。園長は次の組織運営に備え、系列園との人事交流研修をより積極的にしたり、MBO(目標管理制度)の活用で主任候補者の育成を図ったりしています。園の運営に関し、法人本部が委託している公認会計士や社会保険労務士などから本部経由で指導、助言を受けています。
6 職員の資質向上の促進  毎年9月から10月にかけて、職員の能力開発と異動希望を確認するため、「自己申告書」に来年度以後の勤務継続希望の有無や系列他園への異動希望などを職員が記入し、園長や当館の館長と面談する制度があります。申告書の内容から、来期以後の人材不足が予想されるときは、法人本部に連絡して、常勤職員は本部が、非常勤職員は園が募集し、補充を図っています。法人の系列13園合同の研修会を年2回行い、法人の理念・使命と保育目標などを確認し、学んでいます。人材育成のために、MBOという目標管理制度があり、年度初めに各自の目標を設定し、期中と期末に園長の評価や指導を受けています。また、経験年数により、組織の資格認定試験を受験できるシステムがあります。職員のキャリアパスを考慮した体系的な研修計画表を作成しています。
 職員の自己評価は「YMCA保育園職員のための自己評価表」で行っています。YMCAキリスト教理解や保育理念、保育方針、子どもの発達援助、保護者支援、地域子育て支援、保育の組織的基盤の大項目ごとの評価基準に自己評価をしています。職員の自己評価などを基に、園長と主任で保育所の自己評価を作成しています。園は小規模な保育園のため、子どもの興味や関心が広がるように、年齢別の保育から、複数のグループに分けた異年齢の縦割り保育を積極的に取り入れようとしています。また、保育の質の向上のため、系列園との人事交流保育を行っています。月に1回法人からの臨床心理士の巡回訪問や、年に1、2回横浜市戸塚地域療育センターからの巡回訪問があり、配慮を必要とする子どもなどの保育の指導や助言を得ています。
 「職務分担表」で、園長や主任などの職務権限と役割を示し、「横浜YMCA職員研修の目標と内容」には、職務等級1〜3級向け研修や、4級管理職以上向け研修T、5級管理職以上向け研修Uについて記載し、各等級の職員が身につけるべき内容を明らかにしています。日常の業務は、状況に応じ自主的に判断できるよう、現場の職員に任されています。しかし、事故や苦情などが発生した時には、直ちに主任や園長に報告、連絡、相談することを徹底しています。日常や行事後のミーティング、職員会議などで、職員の意見や改善提案を出してもらっています。園長は年度末に職員の自己評価表を基に個人面談を行い、職員の業務の満足度や意見、要望を把握しています。

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