かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

横浜市上大岡東保育園(2回目受審)

対象事業所名 横浜市上大岡東保育園(2回目受審)
経営主体(法人等) 横浜市
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 233 - 0001
港南区上大岡1‐18‐18
tel:045-846-3938
設立年月日 1970(昭和45)年08月01日
公表年月 2019(平成31)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 ナルク 神奈川第三者評価事業部
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の立地・特徴】
【施設の特色】
・立地および施設の概要
横浜市上大岡東保育園は、昭和45年8月1日に港南区の横浜市立保育園として開園し、昭和61年に現在の場所に移転しています。園舎は平屋(一部2階構造)の鉄筋コンクリート造りになっています。2階部分は地域の集会室として自治会が運営・使用をしています。園の定員は82名で、現在82名が在籍しています。園へのアクセスは横浜市営地下鉄ブルーラインと京浜急行線の上大岡駅から徒歩8分程で、高台に位置しています。周辺はマンションや民家が立ち並ぶ静かな住宅地の環境にあり、天気の良い日は見晴らしの良い坂の途中から、富士山を臨むことができます。
・園の特徴
3〜5歳児クラスを海と山の2グループに分け、「ひがしっこの日」とした異年齢活動を毎週行っています。5歳児が3歳児の午睡の布団敷きや乳児の着替えの手伝いをしたりする活動もあり、異年齢での育ちを大切にしています。また、1歳児クラスは高月齢と低月齢で分け、高月齢は2歳児クラス、低月齢は0歳児クラスで日々保育活動をしています。

【特に優れていると思われる点】
1. 積極的な園内研修
「幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿」について年間を通し園内研修のテーマにあげて学んでいます。子どもの活動場面を写真に撮り、育って欲しい子どものどの項目につながるかをそれぞれ話し合っています。この時期の子どもの姿を共有し、育ちへの理解を深め、0歳児からの遊び、体験が積み重なって小学校以降の「学び」へとつながることの理解をさらに深めています。
また、昨年度からの継続の「保育環境」についての研修では、保育日誌ファイルの見直し・改善につなげています。月・週案、環境チェック、安全点検などの書式をファイルに綴じることで記録のし易さ、職員間の情報共有、業務のスリム化などにも役立てています。
さらに、保育室の環境については、今年度は実践編として、遊びから学びへとつながるような職員の働きかけはもちろんのこと、子どもの過ごしやすさや動線も考慮し、レイアウトを変更しています。それらの取り組みは、園の保育方針の一つ「園内(外)の研修に積極的に取り組み、向上心をもって保育にあたる」の実践となっています。


2.保護者への情報提供や共有の工夫
園は「食育(栽培)活動計画」(乳児用と幼児用あり)に基づいた、「食育活動」にも力を入れていますが、取り組みをさらに保護者に知ってもらえるよう、今年度は給食室そばの給食サンプル展示場所を利用し、「保育所といっしょに食育してみませんか?」と銘打ち、各クラスの食育活動の様子や保護者に配付(年6回)してる「食育だより」を拡大して掲示、給食室の取り組みを伝える「給食室からこんにちは」、人気メニューレシピなどコーナーとして設けています。その他、「運動会」の保護者の感想・コメントを各クラスで出してもらい、クラス掲示をした後、玄関に全クラス分をまとめて掲示しています。他の保護者が感想に「いいね」シールを貼って共感を示したり、ひと言カードを置いて新たな感想を追加することができるようにしています。保護者への情報提供の見える化や保護者同士の情報共有のツールとしても工夫をしています。

3.地域ニーズに応えられる子育て支援事業の取り組み
地域の子育て世代の人々への、園の専門性を活かした具体的なサービスとして、園庭開放(月〜土9時30分〜12時)、保育園プチ体験、交流保育(毎月)、絵本貸し出し(月〜土9時半〜12時)、地域ケアプラザ主催の「ママのしゃべり場」への出前保育、夏の期間のプール開放、絵本の読み聞かせと誕生会、ジャガイモ掘り体験を提供しています。育児講座はベビーマッサージや食事についてなど年5回開催しています。おむつをしている子どもも利用できるプール開放は特に人気の高いサービスとなっています。今年度は、「園児との交流で子どもが喜ぶ」との利用者からの感想を反映し、運動会ごっこで楽しんだり、園舎2階の地域の集会室で行われる町内会子育てサロンに園児たちも参加するなど、交流の機会を増やしています。

【特に改善や工夫などを期待したい点】
1.3歳未満児の個別指導計画に個別の振り返りの記録ができる書式の定型化
3歳未満児の個別の指導計画はクラスの月間指導計画内で作成をしています。「現在の子どもの様子」から「保育士の配慮」「家庭との連携」を検討し、職員間での振り返り、話し合いを経て次月の計画につなげています。現在の書式であるクラスの「取り組み状況と保育士の振り返り」欄「自己評価」欄のほか、発達や成長の個人差が著しい3歳未満児の個別指導計画に対しての評価、振り返り欄の設定について、今後の検討が期待されます。

2.園外活動の機会を増やす工夫
雨が降らなければ、園庭遊びは毎日行っています。夕方も子どもたちは園庭をかけ回っています。しかし、年度の前半に、園外に出る機会が少なかったことを踏まえ、自然に触れたり、子どもたちが地域や社会に関わる体験をしたりするために、散歩や園外活動の機会がさらに増えることが期待されます。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・保育理念は、「一人ひとりの子どもの最善の利益を第一に考え、保育を通して福祉を積極的に増進するように努める」とし、4項目からなる保育方針と保育姿勢に加え、園目標を「元気に楽しく遊ぶ子ども」「好奇心いっぱいな子ども」「心と体で感じる子ども」「自分もみんなも好きな子ども」を掲げています。それらはすべて子ども本人を尊重したものとなっています。

・子どもの人格を尊重した言葉遣いや態度を一人一人の職員が対応できるように毎年園内研修で人権研修を行っています。子どもを一人の人間として尊重するという基本的な考えのもとに保育をし、職員は子どもに対してせかしたり強制することなく、目線を合わせて穏やかに分かりやすく話しています。子どもの要求や質問に対して無視や拒否することなく、優しく耳を傾け、その主張を受け止めるように努めています。

・個人情報の定義や守秘義務の意義や目的について研修や会議で周知しており、ボランティアや実習生にもオリエンテーションで説明し、誓約書を提出してもらっています。

・個人情報の取り扱いについては「保育園のご案内」に記載されています。子どもの写真の掲載について、保護者の承諾を得ています。保護者が行事で撮影した写真の取り扱いについても、注意を促しています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

・全体的な計画は、保育所保育指針の改定を踏まえながら、子どもの発達や生活の連続性を十分に考慮し、子どもの健全な育ちを中心に作成しています。毎年の見直しの時には「つないできたもの」として再確認をし、意識を高めています。今年度は、園内研修の項目に「新保育所保育指針について、指針改定のポイントについて学ぶ」をあげています。

・全体的な計画に基づき、子どもの発達や状況に応じて各学年で年間指導計画、月間指導計画、月・週案を作成しています。年間指導計画は期ごと(4期)、月間指導計画は毎月評価、振り返りを行っています。カリキュラム会議で、発達の状況を把握し、見直しをしています。

・各保育室に絵本のコーナーを設置し、布おもちゃ、絵本などを豊富に揃え、子どもの目線の高さの棚に置いて、子どもたちは自分が遊びたいおもちゃを自由に取り出して遊ぶことができます。自由遊びでは、職員は一緒に遊びに入りながら、子どもの表情や様子に気を配り、一人一人が興味関心を持って遊べるように声かけをしています。

・食べることが喜びとなるように、職員は残さず食べることを強制せず、一人一人の食べる量や体調を把握して、少食や好き嫌いのある子に対しては盛り付けの時に量を減らし完食できるように配慮しています。

・食育(栽培)活動計画に基づき、ジャガイモやゴーヤなどを栽培しています。収穫したゴーヤをチップスにしたり、園庭の植栽の実ったビワをゼリーにしたりして保育活動にフィードバックしています。また、かぶと虫を幼虫から飼育し、エサやりなどを通していろいろなことに気づき、保育室に図鑑なども備えて興味関心を深めています。

・異年齢保育は年間指導計画が作成され、3歳以上のクラスを海と山の2グループに分けた縦割り活動が行われ、週に1回「ひがしっこの日」として活動し、子ども同士の関係が育つように配慮しています。

・午睡については、眠れない子どもには、午睡を強制せず、休息が大切であることを大事に考え、横になって静かに休息するように促しています。早く起きた子どもには布団の上で静かに過ごすように伝えています。

・排泄は個人差があることを配慮し、職員は、一人一人の排泄リズムを把握し、無理に誘うのではなく自らトイレに行きたいという気持ちを大切にして、排泄のリズムを自然に作れるように配慮しています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

・短縮保育期間は0〜2歳児は1週間、幼児は2、3日間を目安としていますが、保護者の都合を考慮し、期間短縮、延長は柔軟に対応しています。0〜2歳児クラスは、個別の連絡帳を用いてのやりとりのほか、入園時の保護者の不安に寄り添い、口頭でも丁寧に伝えるようにしています。在園児に対しては、3月後半から進級クラスの保育室に移動し、環境に慣れて新年度を迎えられるようにしています。

・入園時に把握した生育歴(児童票、健康台帳など)を始め、子どもの成長発達記録は、0歳児は個人日誌に毎日記録し、1〜5歳児は半年ごとに経過記録に記録しています。子どもの進級時には担任が、児童票や経過記録を基にして引き継ぎメモを作り、子どもの特徴など、配慮すべき事項を次の担任に伝えています。

・障がいのある子ども、アレルギーのある子ども、家庭支援の必要な子どもなど、特に配慮を要する子どもを積極的に受け入れる姿勢があり、受け入れています。虐待やアレルギー、発達支援に関する横浜市や港南区の研修で得た最新の情報を基に職員会議、園内研修報告などで話し合い、日々の保育に生かしています。また、カリキュラム会議の中で配慮が必要な子ども一人一人のケース検討を行い、現時点での様子、配慮や関わり方が適切かどうか話し合って、会議録に残しています。

・虐待を疑われる子どもの早期発見に努めています。職員は、子どもの表情や言動、衛生状態などを良く見ています。保育日誌のファイルの中に別紙を用意し、普段と違う、気になることがある場合には記録をしています。必要に応じて全職員で見守る体制を作っています。虐待が疑わしい場合や見守りが必要な時には港南区こども家庭支援課、横浜市南部児童相談所など適切な関係機関と連携を図ることとしています。

・苦情解決関係書類ファイルがあり、要望や苦情を受けた際の苦情受付担当者および解決責任者は園長であり、2名の第三者委員を交えて対応する仕組みがあり、実際に対応した事例があります。園のみで解決できない場合は港南区こども家庭支援課と連携して対応することとしています。外部の苦情解決窓口として、横浜市福祉調整委員会事務局の連絡先を「保育園のしおり兼重要事項説明書」に明記しています。

・健康管理、衛生管理、安全管理に関する各マニュアルを整備し、マニュアルに基づいた対応や訓練を行っています。

4 地域との交流・連携

・地域の子育て世代の人々への、園の専門性を生かした具体的なサービスとして、園庭開放(月〜土9時30分〜12時)、保育園プチ体験、交流保育(毎月)、絵本貸し出し(月〜土9時半〜12時)、地域ケアプラザ主催の「ママのしゃべり場」への出前保育、夏の期間のプール開放、絵本の読み聞かせと誕生会、ジャガイモ掘り体験を提供しています。育児講座はベビーマッサージや食事についてなど年5回開催しています。

・利用希望者の園への問い合わせに対しては園長・主任が園のしおりを常に準備して対応し、問い合わせがあった際は、見学できることを伝えています。区の広報にも園の見学会の案内を出しています。

・園の情報は「保育園のご案内」を港南区役所に置き、子ども青少年局はぴねすぽっとで情報提供をしています。園のホームページを作成し、定期的に更新しています。地域の子育て支援NPO発行の「保育園特集」の冊子に園の情報を提供しています。

・地域との良好な関係を築くために、園2階の集会室で行われる子育てサロンに園児や職員が定期的に参加し、園児と地域の親子がリズム遊びを楽しんでいます。

・ボランティアについての受け入れマニュアルがあり、受け入れに当たっては、マニュアルに従って事前に職員に伝えています。お正月遊び集会に地域の方に尺八の演奏をお願いしたり、商店街のお祭りで披露する和踊りの講習のために地域の方のボランティアを受け入れています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

・「横浜市職員行動服務規程」を配付し、不正・不適切な行為を行わないよう入職時の研修で周知しています。横浜市の職員として、保育園の職員としての意識、その両方を念頭に置き、業務にあたることを再確認しながら職員のモラルアップを図っています。

・年度末の全体的な計画の見直し時に、理念、方針、目標について振り返りを行い理解を深める機会としています。新年度には、職員会議などで改めて理念や方針に基づく園運営について皆で考える機会を作っています。理念・基本方針と実際の保育との関係については、職員会議などで機会あるごとに園長が説明し、職員の理解を確認しています。

・事業運営に関する情報は、横浜市、港南区の会議、研修などを通じて提供しています。関係機関との連携の中でも地域の情報や専門機関の情報収集ができており、区内公立保育園間で共有しながら取り組んでいます。

6 職員の資質向上の促進

・横浜市の「保育士人材育成ビジョン」「保育士キャリアラダー」に基づき各職員の持つ知識や経験に照らし、目標を明確にした計画を策定し、人材育成を推進しています。

・人事考課制度により、職員は年度初めに目標共有シートを作成しています。職員自ら立てた目標に合った研修を受講するなど、その年の目標達成に向けて取り組むなど資質の向上に努めています。

・職員のスキルの段階に合わせて、市や区などの研修受講、OJTや園内研修による職員の資質向上、サービス向上を図っています。他園からの実地研修、他園への実地研修でも、保育の質の向上に取り組んでいます。さらに障がいのある子どもの保育について横浜市南部地域療育センターの巡回相談があります。体育協会の講師による体育指導、看護師や栄養士の訪問で専門的な評価や指導を受けています。

・実習生についての受け入れマニュアルがあり、受け入れ時はオリエンテーションを実施して、保育方針、守秘義務や個人情報の取り扱いなどを説明しています。クラスノートで実習生の受け入れを保護者に伝えています。今年度は保育士養成学校や看護学校の実習生を20件受け入れています。

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