かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

すみれ園(2回目受審)

対象事業所名 すみれ園(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 光風会
対象サービス 障害分野 障害児入所支援
事業所住所等 〒 240 - 0025
保土ヶ谷区狩場町200-6
tel:045-742-1252
設立年月日 1995(平成7)年05月01日
公表年月 2019(平成31)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 よこはま地域福祉研究センター
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)
【施設の概要】
 福祉型障害児入所施設「すみれ園」は、JR横須賀線「保土ヶ谷」駅東口よりバスに乗り、「権太坂」停留所下車、徒歩約3分の住宅地にあります。平成7年(1995年)5月、社会福祉法人光風会により開設されました。同法人は、当施設のほか、18歳以上の障害者を対象とした施設入所支援・生活介護・生活訓練・共同生活援助・相談支援など、さまざまな事業をおこなっています。
 施設の建物は、鉄筋コンクリート造3階建てで、1階が会議室・医務室・地域支援室・職員控室、2階が居室(10室)・浴室・支援員室、3階が居室(5室)・デイルーム・学習室・浴室・支援員室などとなっています。居室は、どの室も洋室・二人部屋です。また、食堂・調理室は、隣接する障害者入所施設「のばら園」との間に建てられた共用棟の1階にあります。共用棟2階の多目的ホールやデイルームは、すみれ園の利用者も使えるようになっています。
 定員は30名で、調査時は、6〜12歳児5名、13〜18歳児20名、19歳以上3名が入所しています。年齢を考慮した3つの生活グループ「ひかり(小学部)」「かぜ(中学部)」「そら(高等部・過齢児)」の中で、日常生活の支援をおこなっています。
 基本理念は、”あたたかくやさしい光 ふれあうさわやかな風 豊かで共に生きる社会”です。運営の基本方針として、次の3つを掲げています。
・「施設の主人公は利用者である」を基本にして、健康かつ安全で快適な生活を確保するとともに、利用者一人ひとりの人格を尊重し、人間性あふれる豊かな心を育みます。
・年齢及び心身の状況に応じた適切な援助を行い、各人の能力や個性をのばし、社会生活の営みに必要な自立支援を実施します。
・地域や関係機関団体との緊密な連携を進め、施設における事業の充実および地域福祉の進展に寄与します。
1.高く評価できる点  
●利用者は、一人ひとりの個性や好みを尊重され、日々を元気に過ごしています。 
 利用者は、自分でできることは自分でおこなうことで自信をつけています。さらに、友達や職員の手助けを受けながらも、できることを広げつつ、日々を過ごしています。
 例えば、食事のとき、小学生でも、自分でご飯や汁物を取り分け、食べたあとの食器の片づけをしています。体調がすぐれない場合には、特別食として、おかゆを用意したり、のどごしが良いようにアイスクリームやゼリーをとり入れたりしてもらえます。食事の量に制限があるときには、少ない量のおかずを、職員が二つのお皿にとりわけて盛ってくれ、「たくさん食べた」と利用者は満足しています。自分の好みで、食堂でなく、居室で食事を摂ることもできます。
 衣服については、洗濯・整理・保管など、すべてを自分でできる利用者が増えています。気候・活動の場や時間帯などに適した衣服の選択・着替えができるよう支援を受け、自分の好みの服を選んでいます。
 金銭管理ができる利用者は、買い物で外出できる機会があり、小遣い帳をつけるなどの支援をしてもらっています。また、自分で、居室の整理整頓、掃除をおこなっている利用者もいます。
 さまざまな取り組みにより、自分の好みや意見などを他人に伝えることができる利用者が増えています。例えば、年3回の園内行事の内容や進め方などや、学習室やデイルームを使うときのルールについて、子ども会(自治会)で話し合っています。「みんなで決めたことは、みんながきちんと守る」など、社会生活に必要なことも身につけています。 
●「施設の主人公は利用者」をモットーに、利用者一人ひとりに対し適切な支援をおこなっています。
 運営の基本方針「施設の主人公は利用者である」をもとに、日常的な支援の手引書として「支援ガイドライン」を作成し、全職員に配布しています。支援の目標の一つとして、「才能の発見&才能の拡大」を掲げ、自立した生活ができるよう、きめ細かい支援をしています。
 利用者一人ひとりに個別支援計画を作成し、毎月、全職員が集まる支援会議で、実施状況などが報告され、課題などを話し合っています。さらに、それぞれの生活グループ内で、頻繁に打ち合わせをおこなっています。
 利用者一人ひとりに関するさまざま情報を、全職員が共有できるようにパソコンを利用した支援管理ソフトが導入されています。個別支援計画や実施状況評価、支援会議やグループ会議の記録、利用者一人ひとりについての毎日の支援記録など、ほとんど全ての情報がインプットされています。引継ぎの際には、支援管理ソフトで確認するほか、ホワイトボードを活用したり、口頭でも伝達するようにしています。全職員が情報を共有し、利用者一人ひとりに対する適切な支援をおこなっています。
2.工夫・改善が期待される点 
●マニュアル類の整備が望まれます。 
 「支援ガイドライン」は、職員が利用者を支援するにあたっての「心構え」などの記述が多く、職員一人ひとりが、自分で判断して行動する際の指針となっています。内容の一部は、具体的な基準や手順としてまとめられていますが、さらに、どの職員がおこなっても利用者に対して常に同じ水準のサービスを提供できるよう、共通して実施すべきことを職員間で検討し、マニュアルやチェックリストなどとして整備することが望まれます。また、マニュアルを検討・整備することで、現在おこなっている業務の中で、不十分な部分などが分かり、より良い支援となることが期待されます。 
評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ・法人の基本方針として、下記の通り掲げており、子ども本人を尊重したものになっています。
・入職時及び毎年度はじめに施設長より、全職員に理念や基本方針についての説明があり、職員は趣旨を理解しています。
・支援の実施において、施設設の理念や基本方針に則し、子ども本人を尊重した支援内容となっています。
・二人部屋の居室は、仕切りを設置し、できるだけ、子どものプライバシーが守られる様に配慮しています。また、個人の所有物を保管する場所を用意しています。居室の他に、学習室を用意し、一人で過ごしたり、少人数での落ち着いて過ごせるように工夫しています。
・排泄時には、ドアやカーテン等によりプライバシーに配慮しています。子どもの年齢や発達段階、障害特性に応じて、適切な排泄支援を行っています。
・施設の倫理規定で子どもの権利擁護を定めています。さらに人権問題に関する「職員行動計画」とした、子どもへの関わり方の規範についても、施設の姿勢を示しています。
・日々の支援に関する具体的な「行動規範自己評価表」で職員は、言葉遣いや態度が子どもの人格を尊重するものであることを自身で振り返ることができるように工夫しています。
・子どもに対する体罰やセクシャルハラスメントの禁止については、施設の倫理規定及び全職員に配付している「支援ガイドライン」に明文化しています。職員配置を複数制にすることにより、お互いがチェックし合える体制になっています。
・個人情報の取り扱いや守秘義務については運営法人の規定で定め、全職員に周知しています。実習生やボランティアに対しては、実習や活動の前にオリエンテーションで説明しています。
・子ども本人の出生や家族状況に関する告知は、家族と子どもの双方の状況を個別カンファレンスやリーダー会議等で検討し、適切な時期が見極められた場合には充分な配慮を持っておこなっています。
・外部の専門講師による障害児の性に関する勉強会を、定期的に実施しています。生理や精通現象、セックス等の性に関する悩みについては同性の職員が話し聞かせる他、児童相談所の職員との面談の機会も設けています。グループ会議やリーダー会議においても、個別の配慮について話し合いがおこなわれています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ・個別支援計画は、子どもの状況に応じて説明を行い、納得できるように支援しています。児童相談所や学校と連携して、作成・見直しを行っています。
・施設の老朽化は否めませんが、非常勤職員も含め職員が、毎日決まった時間に清掃をおこない、必要に応じて、清潔を保つように努めています。
・自立生活の実現に向けて、一般相談支援事業者(地域移行・定着支援担当)の指定を受け、計画相談を実施し、退所計画策定に取り組んでいます。
・子ども一人ひとりの状況を把握し、最終的な目標を共有しています。施設内適応にならないように、子ども会や自治会の行事に参加する機会や、洗濯やお弁当箱の処理などの生活ルールを身につけるなど配慮しています。
・家族等が施設運営の基本方針等を理解できるよう、電話相談等を受けるほか、毎月、施設から直接または、児童相談所のワーカーを通して連絡を取っています。「施設だより」を送付するほか、写真を張り出して行事等の様子を紹介するなど、子どもの施設生活に関する情報を家族に提供しています。
・帰宅や家族との外出等の実施にあたっては、子どもや家族の意向だけでなく、児童相談所とも相談し、帰宅中落ち着いた生活が営めるように支援しています。帰宅中の生活については、「帰省ノート」に記入してもらい、スムーズに施設生活に戻れるように配慮しています。
・円滑なコミュニケーションを図るために、サインや絵カードなどを活用するなど、子どもにわかるように伝える方法を工夫しています。
・嗜好調査結果を「誕生食」として反映したり、春と秋にはお弁当を作って、外で花見をしたりして季節を感じる催しを開催するなど、食事を楽しめるような工夫しています。子どもの特性に応じて、必要な食習慣を習得できるように、調理・配膳・片付けなどに関わる機会を設けています。
・子どもの特性に応じて、気候・活動の場や時間帯などに適した衣服の選択・着替えが自分からできるよう支援しています。職員と一緒に衣類を買いにでかけたり、子どもの好みを配慮して職員が購入するなど、子どもの個性を尊重し、所有感が持てるように配慮しています。衣服の洗濯、整理、保管等について、自分でできることは自分でおこなうよう職員は見守り、できることが増えるように支援しています。
・金銭の管理ができる子どもには、個別支援計画の中に買い物を取り入れ、小遣い帳をつけるなど、金銭の管理や使い方など、経済観念が身につくように支援しています。子どもの状況に応じて、居室等の整理整頓、掃除等を自分で行なうことができるよう支援しています。
・子ども会(自治会)を月に一度開催し、生活面でのルールも含め、生活全般の内容で話し合うなど、社会的ルールが身につくように工夫しています。園での年中行事は、子ども会で内容や進め方について話し合って、映画会では、ディズニーの映画を選んだり、ポップコーンやチケットを用意するなど、子どもの意見を取り入れて実施しています。
・NPO法人の協力を得て、2005年より、夏に海でサーフィンを行っており、普段は体験できないプログラムとなっています。今年は全員が参加しました。区の自立支援協議会で実施する太鼓セッションや養護施設駅伝に参加するなど、子どもが充実して過ごせるように多様な余暇の機会を提供しています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 ・子どもや家族の状況については、パソコンで情報管理し、職員は支援記録を確認できるようになっており、全ての職員が同一の対応を行うことができるように努めています。
・横浜オンブズパーソンネットワークに加入し、年間10回の訪問では、個別面談だけでなく、生活場面の中でも子どもたちの話しを聞いてもらっています。定期的に話し合いを行い、苦情やトラブル、要望の解決に活かしています。
・退所後の進路については、担当の職員が決まっており、本人や家族の意向を確認し、福祉保健センターや成人施設等と調整しています。
・18歳以上の障害児施設給付費制度に関する利用契約書や重用事項説明書が準備されています。制度の内容については、管理者から説明をしています。
・園は「支援ガイドライン」を入職時に全職員に配付しています。職員はこの手引きに基づいて子どもたちの健康状態を把握しています。日々の伝達事項については、支援管理ソフト上に記録し職員間の周知をしています。
・感染症等への対応については、嘔吐処理用のセットを常備し、処理手順の掲示をしています。施設内のケガや事故については、事故報告書又はヒヤリハット事例報告書に詳細に記録し、事故等取り扱い要領に基づき適切に関係関への報告をしています。
・「防災マニュアル」があり、夜間想定訓練や地震想定訓練を含む避難訓練を、毎月実施しています。また、地域の町内会との合同防災訓練もおこない、起震車体験等も実施しています。大災害の発生に備え、3日間30人分の食料・飲料水・毛布等の備蓄をしています。
・アレルギー疾患のある子どもに関する「アレルギー対応マニュアル」を作成し、入所時の保護者面談では、対応を双方で確認しています。食物アレルギーのある子どもには、医師からの指示書による除去食を提供しています。
・問題行動や逸脱行動のある子どもについては、児童相談所と協議し、その子どもの特性を把握した対応をおこなっています。施設の姿勢は、子ども自身の安全とともに、周囲の子どもや支援をする職員、全員にケガをさせることなく安全に生活することを第一義としています。
・外国籍又は両親のどちらかが外国籍の子どもについては、文化や生活習慣の違いを保護者から聞き取り、可能な限り希望に沿った対応を心がけています。コミュニケーションが困難な場合には、児童相談所から通訳を派遣してもらうなどの対応もしています。
・強度行動障害等不適応行動のある子どもの受け入れをしています。専門機関から発達支援マネージャーを派遣してもらい、連携して子どもの支援をおこなっています。他児と分離した生活も考慮しなくてはならないような症状の子どもについても、自傷・他害に十分配慮した上で分離することなく、みんなで一緒の生活が出来るように職員が根気よく支援を続けています。
4 地域との交流・連携 ・児童相談所、社会福祉協議会、自立支援協議会などに参加し、地域のニーズを把握しています。
・短期入所・日中一時支援利用者や保護者などからの相談を受けています。また、法人本部でも相談センターを設け、一般相談を受け付けています。
・秋祭りのときなど、地域住民を招待しています。地域の中学校生徒グループが吹奏楽を演奏してくれています。
・地域の行事の際に、要請に応じてバーベキュー用鉄板を貸し出すなど、施設に対する地域住民の理解が得られるよう努めています。また、地域のお祭りがあるとき、希望者が参加できるように個別外出計画を配慮しています。
・上郷森の家や、はまぎんこども宇宙科学館に行ったり、ボランティアグループが行うサーフィンスクールに参加したり、子どもたちの生活を充実させるとともに、地域の理解が理解が深まるようにしています。
・問い合わせや見学にあたっては、施設の基本方針や利用条件・支援内容などについて、パンフレットに基づいて説明することとし、いつでも対応できるようにしています。
・利用者衣類の繕いや、散髪・整容などを行ってくれるボランティアが定期的に来園しています。さらに、利用者の外出や余暇活動などを支援するボランティアを積極的に募集し、利用者の生活を充実させることが期待されます。
5 運営上の透明性の確保と継続性 ・倫理規定を定め、子どもの権利擁護や、職員として、守るべき規範・倫理などを明文化しています。
・運営法人光風会のホームページで、法人全体の事業計画書・事業報告書、資金収支計算書(予算・決算)、貸借対照表などを公開しています。
・事業計画中に、「資源を可能な限り節約して行きましょう」と掲げています。無駄な電灯を消すなど、省エネルギーに努めているほか、ゴミの分別をおこない、ペットボトルキャップの回収運動にも協力しています。
・施設長は、日々現場に出て子どもに話しかけ、子どもの声などを聞いています。また、家族会懇談会に出席し、保護者などからの意見・要望を聞き取っています。年度事業計画の作成にあたって、施設長は、子どもや保護者、職員の意見・要望などを考慮しています。
・主任は、日々現場に出て子どもに接するとともに、個々の職員の業務状況を把握しています。一人ひとりの職員に対し、能力や経験にあわせ的確な助言や指導をおこなっています。
・2021年4月以降は、児童入所施設本来の基準として、18歳までを入所期限とするよう厚生労働省からの通達があるので、現在入所している過齢児および今後18歳に達する子どもの移行先確保を重点課題として取り組んでいますが、成人施設やグループホームなどへの入所は困難な状況にあります。
6 職員の資質向上の促進 ・実習生を受け入れる際は、マニュアルに基づき、施設の方針、子どもへの配慮などについて説明しています。早番・遅番など、実際の現場体験もできるようプログラムを工夫しています。
・子ども一人一人の支援に必要な情報は、支援管理ソフトにインプットされていて、全職員が見ることができるようになっています。生育歴や個別支援計画・アセスメントシート、会議などだけでなく、毎日の行動記録などもインプットされています。交代制の職場であっても、一貫した支援がおこなわれるようにしています。
・施設長・主任は日常の子どもたちへの支援など、その時の状況に応じて職員が自主的に判断し、責任を持って対応するように指導しています。また、会議の場だけでなく、いつでも上司に業務改善の提案をしたり、意見を述べたりすることができる職場となっています。
・情意考課基準表に基づき、支援技術の着眼点および具体的内容の実施結果について、職員一人ひとりが、自己評価をおこなっています。

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