かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

新杉田のびのび保育園(2回目受審)

対象事業所名 新杉田のびのび保育園(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 あらぐさ会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 235 - 0033
磯子区杉田1-1-1 らびすた新杉田4・5階
tel:045-770-5512
設立年月日 2005(平成17)年04月01日
公表年月 2019(令和元)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

[施設の概要]
 新杉田のびのび保育園は、平成17年4月開設の、0〜5歳児を対象とした定員120名(現在籍133名)の保育園です。設置法人は社会福祉法人あらぐさ会で、新杉田のびのび保育園のほかに、横浜市内に2か所の保育園を運営しています。
園はJR新杉田駅より徒歩3分の駅に隣接する商業施設ビルの4、5階にあります。5階のテラスを園庭として利用し、園庭には砂場、鉄棒、滑り台などを設け、夏にはプール遊びを行っています。プランターで、樹木、草花の他に多くの虫を呼び寄せる雑草などを栽培しています。
 保育理念は、「子どもたちが健やかに育つ権利を守り、保護者と力を合わせてより良い保育を進める」「子どもたちがのびのびと生活し、登園が待ち遠しくなるような魅力ある保育園づくりをめざす」「おとうさん・おかあさんが安心して働けるよう支援し、地域の子育てに貢献する」としています。
 保育方針は「大人は子どもの内側にある『心もち』に触れ、瞬時に何か言いたそうにしている子どもの視線や動かないけれど心の中が見える子どもの姿を捉えることを大事にする」「子どもの行動は常に『逸脱』であり規範や規則からかけ離れているところに面白さを見つける」「大人はそれを面白がったり共感しながら見守ることを大切に保育を進めていく」としています。


≪優れている点≫

1.遊びや活動が子ども主体で行われるよう取り組んでいます

 職員は子ども一人一人を受け止め、子どもが意欲的に物事に取り組めるように努力しています。子どもの成長や興味に応じた遊びのコーナー設定や、子どもがより主体的に活動できるための環境構成を工夫しています。
 乳児クラスでは、安心した環境の中で、ゆったりと過ごせるようにしています。職員が先取りしてやってあげるのではなく、子ども個々の意思を把握しています。グループに分かれての少人数での活動により、保育士との信頼関係を築いています。
 幼児クラスでは個々のペースを大切にして、育まれた自己肯定感から、自信をもって自主的に行動し、自由な発想を遊びや活動に展開できるようにしています。基本の生活習慣を主体的に身につけ、1日の流れは見通しをもって生活できるようになっています。また、自発的に、拭き掃除や、片づけを行い、自分の周りに気を配り、他の人への配慮ができるようにもなっています。


2.全職員のチームワークで子どもの育ちを支えています

 園長のリーダーシップ、主任のスーパーバイザーとしての役割の下で職員は内部研修で学び合っています。職員はお互いにコミュニケーションを図り、情報共有しています。クラス担任、看護師、常勤、非常勤職員がそれぞれの役割を果たし、他の職員と協力しながら子どもやクラスの様子を把握しています。
 看護師は、保健衛生・健康面で、専門的な立場で保育に関わり、0歳児クラス担当もしています。栄養士は日々の食事提供のほか食育計画に関わっており、年齢ごとの保育のねらいを踏まえ、クラス担当職員と連携し、食育活動を行っています。また献立表の、コラム欄には、栄養士から見た、子どもの姿や、エピソードが紹介されています。
 クラスごとの保育日誌に、子どものその日のエピソードを書くスペースを設けて、丁寧に保育の状況を記入しています。園全体の保育日誌もあり、各クラスの子どもの様子が記載されています。園だよりやクラスだよりでも、子どもの生き生きした様子やエピソードを多く載せています。自由保育の時間を多く設定しているため、クラスを越えた、他のクラスの子ども達とのつながりがあります。子ども達に全職員で丁寧に接し、全員で子どもの育ちを見守っています。


3.保護者との交流・連携に工夫して積極的に取り組んでいます

 保護者会が組織されており、各クラス2名ずつで構成される役員会が毎月開催され、活発な活動が行われています。「保護者会だより」を年3回発行し、イベントなどの報告をしています。イベントでは、サプライズで職員を対象にした「サンクスくじ引き」を実施して、職員に感謝の気持ちを込めて景品を渡しています。保護者は、ヨガのインストラクターやバンド演奏をしたりするなど積極的に園の活動に参加しています。
 「お父さんの会」は、父親が園庭に日除けのタープを設営するなど園庭整備のお手伝いや室内の清掃などで協力しています。一仕事終えた後では、職員との懇談会を開き、子どもの保育の話題で盛り上がるなど、交流の機会を持っています。
 役員が定期的に園内の安全チェックをして、卒園児に記念品を贈る活動もしています。クラス懇談会は、夜間に開催するなど、多くの保護者が参加しやすい工夫をしています。保護者に園や子どもの様子を直接見てもらうことを中心に保育参加を勧めています。保育士のサポートでクラスの子どもたちと触れ合う中で、保育の不安が解消したりします。


4.職員の資質向上への取り組みが進んでいます

 求められる職員の姿を明確にした「職員の職務における目標」に基づき、資質の向上に向けて人材育成を進めています。年間の内部研修及び外部研修の計画を策定し、必要な職員が受講できる仕組みにしています。
 外部研修では、横浜市、磯子区、横浜市社会福祉協議会、私立保育園園長会等が主催する研修会に参加しています。キャリアアップのための外部研修に参加し、主任クラスの職員育成にも取り組んでいます。日本保育学会に参加して、屋上園庭に自然環境を創造する「雑草プロジェクト」について、実践発表するなど優れた取り組みが見られます。職員の創意工夫により、屋上園庭に子どもの感性を育む上でかけがえのない自然に触れられる環境ができたことは、各方面で注目されています。
 職員は、「雑草プロジェクト」の他、「行事検討チーム」、「給食委員会」、「年間保育計画プロジェクトチーム」などに参加し、園の運営にやりがいを持って関わり成長しています。毎年、実施している保育所の自己評価は、一人一人の職員が作成に関わり、職員会議で意見交換して全体で共有しています。保育実践の振り返りは、「目標達成度の評価表」に基づき、園長と面談で確認しており、次年度の年間保育計画策定につなげています。


≪課題や改善することが期待される事項≫

1.地域の保護者や子ども等への情報提供や育児相談の充実

 一時保育の問い合わせに対しては丁寧に対応していますが、定期的な相談日の設定や地域への案内の掲示、回覧などでの情報提供がなされていません。交通量の多い幹線道路に囲まれたビルの一画に立地しているという制約があるため、地域への情報提供が不十分となっています。園と同一ビルのテナント会では、定例会に出席して情報交換して、七夕やクリスマスの飾り付け、暑い時期の打ち水などに協力しています。
 隣接の磯子区民文化センターで開催される「ロビーパフォーマンス」の演奏会や歌や踊りに、園児も毎回参加しています。地域の保護者や子どもの参加があり、園児との交流の機会ともなっています。しかし、園からの地域への専門知識などの提供はありません。保育所には、地域の社会資源として、専門性を生かした地域への子育て支援が求められています。磯子区民文化センターと連携して、地域の保護者と子どもに向けて子育て支援につなげることが望まれます。子育てに関する情報提供や育児相談の充実に向けて検討されることが期待されます。


2.環境に配慮した取り組みについての明文化

 環境への配慮については、布オムツ使用によるごみの減量化や牛乳パックの活用、ペットボトルの遊び道具としての再利用、屋上園庭の緑化、節電、節水など積極的に取り組んでいます。さらに、「雑草プロジェクト」により、積極的に屋上園庭に自然環境を創造して大きな成果を出しています。しかし、環境への配慮について明文化されたものがありません。
 保育所は地域の公的施設でもあり、率先して環境への配慮をスローガンとして明文化し、保護者、地域に発信することが求められます。職員の環境への意識を高め、保育の中で子ども達とともに取り組まれることが期待されます。


3.中長期計画の策定が期待されます

 社会環境や時代の変化に即した保育園の役割と責任を果たすべく、各会議での話し合いや、法人研修・園内研修・外部研修等で保育力向上を図るなど努力をしています。
 しかし、中長期計画として文書化し明示していません。園の理念に基づき、園の進むべき方向性や計画的な人材育成などを明確にした中長期計画の策定が期待されます。中期的展望を職員と共有して持続的に施設運営を行うことが期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

@ 保育理念は、「子どもたちが健やかに育つ権利を守り、保護者と力を合わせてより良い保育を進める」「子どもたちがのびのびと生活し、登園が待ち遠しくなるような魅力ある保育園づくりをめざす」「おとうさん・おかあさんが安心して働けるよう支援し、地域の子育てに貢献する」としています。保育理念に基づいた保育方針、保育目標を設定しています。いずれも利用者本人を尊重したものとなっており、エントランスにも掲示しています。


A 子どもとの接し方、話し方、言葉遣い、子どもの人権を尊重することなどは、職員会議や内部研修で、確認し合い、学びを深めています。


B 就業規則や、マニュアルで、全職員に個人情報の定義、守秘義務の意義や目的について周知し、行動しています。保護者には、個人情報の取り扱いについて、説明しています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

@ 保育理念、保育方針に沿って保育を実践するために、年齢ごとの保育目標を設定しています。全体的な計画は、園の特色、地域性、保護者の状況を考慮し作成しています。全体的な計画に基づき、年齢ごとに年間指導計画、月間指導計画、週日案を作成しています。一人一人の個性、成長・発達、生活リズム、活動の様子をきめ細かく観察しながら、指導計画を柔軟に見直しています。


A 子ども一人一人を大切にし、自主性を尊重しながら、保育方針に沿ったサービスを提供しています。3歳未満児は個別指導計画を作成しています。低年齢児クラスでは、グループに分けて、ゆったり生活できるように工夫しています。保育日誌にはエピソード欄があり、子どもの様子や状況を丁寧に記録しています。


B 遊びは、一斉活動以外は、自由遊びの時間としており、子どもがおもちゃ・教材・素材などを自分で取り出して、自由な発想から、ごっこ遊び、集団遊びに繋がるよう、安全面に配慮しながら、コーナーを設定し環境を整えています。園庭でも、子どもが好きな遊びや自分が遊びたいことを見つけられるように環境を整えています。日常的に異年齢での交流があり、生活の中でのルールを守ったり、友達と協力しあったり、お互いの気持ちを理解できるよう職員が援助しています。


C 食事、排泄、睡眠について、一人一人の発達状況、生活パターン、健康状態を把握、考慮しながら、対応しています。保護者と連携を取り、家庭との連続性を心がけています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

@ ならし保育は、入園説明会、入園前個人面談で保護者に説明し、保護者の希望や事情に考慮し実施しています。入園時に把握した生育歴、面談記録、入園後の子どもの成長や健康の記録は個別の「児童票」のファイルにとじ込み、必要時に職員が確認しています。


A 食物アレルギー、障がいなどの配慮が必要な場合は、外部研修や内部研修で学び、保育に活かしています。職員会議、乳児・幼児会議、リーダー会議などで話し合いと検討が行われケース記録を残しています。


B 意見箱、年度末保護者アンケート、個人面談、日常会話から、保護者の意見・要望を聞く機会を作り、保育活動に反映させています。苦情受付の仕組みについて、園内に掲示してあるほか、入園説明会で、「重要事項説明書」「入園・進級のしおり」をもとに説明しています。


C 健康管理・衛生管理・安全管理に関する各マニュアルを整備し、マニュアルに基づいた対応や訓練を行っています。行政、医療機関、学校、関連機関などリスト化し、事務室に用意し全職員で共有しています。

4 地域との交流・連携

@ 一時保育、交流保育を実施し、地域の子育て支援に取り組んでいます。杉田地区保育園在園の5歳児が相互に訪問して、公園で交流をしています。駅至近で利便性が高い反面、幹線道路に囲まれている高層ビルの一画にあるという立地上の制約もあり、地域の保護者や子どもとの交流は少ないようです。しかし、ビル内の各テナントとは、「テナント会」の定例会議で情報交換を行ったり、共同で七夕やクリスマスの飾り付けを行ったり、暑い時期には歩道に打ち水を行うなど連携、協力関係にあります。ビル内のスーパーマーケットが実施している「絵画コンクール」に参加し、子どもの作品が店内に飾られています。


A 隣接の磯子区民文化センター「杉田劇場」とは、それぞれ行事がある際には、テーブル、椅子、絵本、おもちゃの貸し借りをするなど、協力関係を築いています。中学生、高校生の「職業体験」を受け入れており、園児たちは大はしゃぎで一緒に遊んでいます。「杉田劇場」が毎月開催している「ロビーパフォーマンス」に参加し、地域の未就学児と交流しています。年長児は、杉田地区の保育所を相互に訪問し合い、合同のレクリエーションを実施して交流をしています。


B  ボランティアの受け入れに当たっては、あらかじめ園の掲示板、園だよりで職員や利用者に伝えています。園で受け入れている「布おもちゃ」のボランティアは、定期的に年2回、8人から12人の近隣の方が来訪しています。子どもは布の素材の触り心地や温かさ、優しさに触れています。夏休みには卒園した小学生が来訪して子どもたちと遊んでいます。

5 運営上の透明性の確保と継続性

@ 不正、不適切な行為を防止するための規定が就業規則に明文化されており、毎年の新年度研修で職員に周知しています。ホームページで財務諸表、事業報告、事業計画等の情報が公開されています。他施設での不適切な事案については、新聞記事等を丁寧に拾って、職員で情報共有しています。事務、経理等については、「経理規程」に基づき適切に行われています。職務分掌と権限・責任については、「任務分掌」により明文化されています。専門資格を持った法人の監事2名による内部監査が年2回実施されています。保育所の自己評価は、園内の掲示板で公表しています。


A 園では、布おむつを使用してゴミを減量化しており、ペットボトルを子どもの遊びに再利用しています。夏の冷房は、摂氏26度を目安にしており、冬の暖房は、24度から26度に設定しています。床暖房の設備がありますので、子どもたちは素足で元気に過ごしています。屋上の園庭では、「雑草プロジェクト」に取り組むなど自然環境を創造しています。


B 新聞や「保育通信」、「ちいさいなかま」などの専門誌を購読し、保育に関する情報を収集しています。収集した情報は、毎月開催の職員会議やリーダー会議で議題にして話し合っています。運営面での改善課題については、園内に設置された「行事検討チーム」、「給食委員会」、「年間保育計画プロジェクトチーム」、「雑草プロジェクト」などの検討チームで、全職員が参加して解決に向けて取り組んでいます。経費節減のため、節電、節水、教材の再利用などを保育所全体の問題として検討し、実行しています。

6 職員の資質向上の促進

@ 職員研修については、年間の内部研修、外部研修の計画が策定されており、横浜市、磯子区、横浜市社会福祉協議会、私立保育園園長会主催の各研修会にも参加しています。目標達成度の評価については、「目標達成度の評価表」に基づき自己評価をし、園長面談で確認をして資質の向上に努めています。日本保育学会に参加して、園の屋上園庭で自然に触れられる環境を作ることを目指した「雑草プロジェクト」についての実践発表をしています。職員の創意工夫と熱意で取り組んだ「雑草プロジェクト」は、子どもの感性を育むために大切な自然環境を屋上園庭に創造するという成果に結びついています。大学の教員の指導、協力も得ながら取り組み、保育学会で発表したり、専門誌で取り上げられています。


A 職員の自己評価は、書式が定められた「職員の職務における目標と振り返り」に基づき、保育の計画やねらいに対応した振り返りをするようになっています。保育日誌に「主な活動、ねらい」、「エピソード欄」、「振り返り欄」などを設け、日々の子どもの様子や保育の振り返りを記載しています。記録された実践や振り返りは職員会議で取り上げて意見交換を行い、保育の改善につなげています。保育所の自己評価は、全職員が取り組み、園長が取りまとめたものを職員会議で意見交換をして実施しています。自己評価の結果等に基づき、「子どもの発信を見逃さない」、「日々の遊ぶ姿を掘り下げる」、「子どもの内面を大人が知る努力をする」等の視点で、次の計画に反映しています。


B 法人が定める「職員の職務における目標」に、職員に求められる姿が示されていますが、配置や昇進・昇格等に関する人事基準は明確化されていません。副主任、リーダーの選任や職員配置は、園長と主任が、職員の経験年数、業務への取り組み姿勢等に基づき行っています。昇給は給与規程に基づき実施されています。調理士の意見を入れて、保育士も衛生管理に留意する内容を「保育の手引き」に明文化しています。

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