かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

市が尾こどものいえ保育園

対象事業所名 市が尾こどものいえ保育園
経営主体(法人等) 社会福祉法人 たかね福祉会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 225 - 0024
青葉区市ヶ尾町498-8
tel:045-978-0217
設立年月日 2005(平成17)年04月01日
公表年月 2019(令和元)年02月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 ナルク 神奈川第三者評価事業部
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の立地・特徴】
・立地および施設の概要
市が尾こどものいえ保育園は平成17年4月1日に社会福祉法人たかね福祉会が開園し、14年目を迎える園です。生後57日目以降から就学前児童を対象とし、定員は60名で、現在60名が在籍しています。園は、東急田園都市線市が尾駅よりバスで10分の閑静な住宅地にあります。園舎1階を0〜2歳児クラス、2階は3〜5歳児クラスが使用しています。園庭や屋上広場で遊ぶほか、隣には広い公園があり、戸外活動に利用しています。
・園の特徴
 保育理念に「ひとりでできるように手伝って下さい」を掲げ、さまざまな教具、教材を取り入れたモンテッソーリ教育を行っています。自発性や好奇心、集中力などを育むことを大切にし、戸外活動では十分体を動かし、自然現象を楽しみながら、潜在能力を引き出し、「豊かな自立」ができるように援助しています。異年齢児との交流の中でそれぞれの発達が高められるように、3〜5歳児については縦割り保育を基本とし、また各年齢の発達に合わせた年齢別活動も取り入れています。

【特に優れていると思われる点】
1.子どもが主体的に遊び込める環境づくり
0歳児の保育室の壁には鏡、手の触感を刺激する素材(ザラザラ、プチプチ、ツルツルの板)や、畳のスペース、牛乳パックで段を作るなど、職員の手作りおもちゃや掲示物を子どもの目線に合わせて配置し、子どもが自ら移動し、興味のあるものを見つけることができるような環境になっています。また、1、2歳児クラスでは、保育室の変形部分や段差を活用し、ついたてや家具の配置も工夫して、子ども一人一人が落ち着いて作業や遊びに集中できる空間を確保しています。幼児クラスではその日に興味を持った作業がすぐに始められるように教具、おもちゃ、道具が子どもの手が届く場所に作業ごとに整えられ、子どもが繰り返し満足するまで遊べるようにしています。子どもが興味を持った作業を主体的に繰り返し行うことで達成感を感じ、自信を深めています。利用者家族アンケート結果では「園のおもちゃや教材については」について、肯定的な回答は97%と高い評価となっています。

2.子ども一人一人の興味・発達状況の丁寧な観察
職員は睡眠、食事、活動の際は事前に立ち位置を確認するなど、場面に応じて常に子どもから目を離さずに見守りに努め、全体に目が届くようにしています。職員はきれいな言葉でゆっくりはっきりと、子どもと目を合わせながら話し、子どもの思いや今何がしたいのかを理解するために、子ども一人一人の興味・発達状況の丁寧な観察を行い、子どもの育ちを支援しています。

【特に改善や工夫などを期待したい点】
1.保護者に、園での子どもの様子を伝えるさらなる工夫
職員はお迎え時にその日の子どもの様子を保護者に口頭で伝え、0〜2歳児には個人ごとの連絡帳で情報交換をしています。親子のコミュニケーションに役立てるとともに、園に対する保護者の理解を深めるために、日中のクラスの様子がより一層保護者に伝わるよう、掲示やお知らせなどの工夫をすることが期待されます。

2.保護者からの意見や要望のファイル化
 保護者からの意見や要望は、個別ファイルや職員会議録などに記録していますが、意見・要望のファイルがありません。日常寄せられる苦情や些細な要望・意見なども記録に残し、蓄積、整理して園運営に生かすことが望まれます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・設置法人の保育理念は『子どものかけがえのない命の尊厳を深く理解し、子どもたちの円満な相互関係を築き上げられるように、ひとりひとりの子どもたちに十分な配慮をして健全な人格を形成する』『「ひとりでできるように手伝って下さい」とマリア・モンテッソーリが提唱していたように子どもの自発性を尊重して、豊かな自立ができるように援助をする』を掲げています。一人一人の子どもに配慮して、健全な人格を形成するというモンテッソーリ教育に沿った保育を実践しています。

・保育目標は「自分の存在を大切に感じ、やさしさや思いやりのある心の豊かな子どもを育む」「個別やグループでの活動、又遊びを積極的に楽しみ自主性・協調性・自立心を育む」「自然や社会の事象に興味・関心をふくらませ、感性豊かな好奇心あふれる子どもを育む」「様々な経験を通して、達成感・充実感を味わうなかで生きる力を育んでいく」を掲げ、子ども本人を尊重したものとなっています。

・職員は、どんな小さな子どもでも人格を持っていることを勉強会で確認しています。禁止や否定の言葉は使わずに話すようにしています。子どもの思いや今何がしたいのかを理解するために、職員は一人一人の観察を大切にしています。

・個人情報保護・守秘義務マニュアルがあり、全職員に周知しています。個人情報に関するファイルは鍵のかかる棚に保管しています。

・コーナーなど友だちの視線を意識せず過ごせる場所が多くあります。また、職員と子どもが落ち着いて一対一で話し合える場所、子どものプライバシーを守れる場所として、保健室や職員の休憩室、談話室があります。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

・机やついたてなどを利用して空間を仕切り、子どもの遊びや生活のリズムに合わせて、小人数で落ち着いて遊べるようにしています。

・3〜5歳児は一日の中で縦割り保育と年齢ごとの保育を取り入れ、日常的に交流が行われています。1階のワークスペースには多くの絵本を備え、異年齢間での交流が可能です。

・職員は子どもの発達や興味を見逃さないように注意深く観察しています。また、年齢や発達にふさわしい環境構成について勉強会で話し合っています。

・毎日の個別活動の中で失敗や成功を経験し、観察力や思考力をつけています。年長児クラスは発表会の出し物のハンドベルを使ってどう表現したらよいかをみんなで相談して決めたり、運動会では子どもの意見を取り入れ、組体操に挑戦したりしています。

・雨天や熱中症予報が出たとき以外は屋外活動をとりいれ、雨の日はホールで体を動かしています。鉄棒やマットがあり0歳児から利用しています。指先を使う運動から全身を大きく動かす運動までバランスよく行っています。

・子どもが主体的に活動できる工夫が多くみられます。その日に興味を持った作業がすぐに始められるように教具、おもちゃ、道具が子どもの手が届く場所に作業ごとに整えられています。また、壁に向かって作業机を置くなど一人一人が集中して過ごせる工夫があります。

・本物の洗濯道具、ほうきに塵取り、水差し、花瓶などが用意してあります。子どもたちは花の水やり、洗濯、パン粉づくりなど生活に密着した作業を生き生きと行っています。興味を持った作業を繰り返し行うことで達成感を感じ、自信を深めています。

・栄養士が幼児クラスで毎日献立の発表を行い、その日使った食材の話や関連する絵本を読んでいます。栄養士が一緒に給食を食べ、子どもたちの反応を見る機会もあります。

・食材はなるべく国産を使用し、旬の食材を取り入れています。味だけでなく色や形の組み合わせ、調理方法や盛り付けも工夫しています。添加物は使わず、薄味で素材のうまみを生かした献立になっています。陶器の食器を使用しています。

・0歳児は布おむつを使用して快、不快の感覚がわかるようにしています。1歳児から運動量も増えるため紙おむつに移行しながら、時々トイレにも座り、少しずつトイレに慣れるようにしています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

・全体的な計画は個別の支援、一人一人の人格の尊重、地域貢献などを考慮して、非常勤職員を含めたクラス会議で、子どもの発達・成長に合わせたものになるように年齢ごとに話し合い、常勤職員が作成しています。保護者には入園説明会や年度末の進級説明会、クラス懇談会で、園長が園としての思いや全体的な計画の大枠を説明しています。

・入園前に園長、主任、現在の担任保育士、看護師、栄養士が親子面談を行い、子どもの生育歴や健康状態、食事、排泄などの生活の様子を細かく聞いています。入園説明会及び面談には子どもも一緒に来てもらい、子どもの様子や親子の関わり方などを観察しています。

・入園説明会でならし保育の必要性について説明をし、家庭環境や子どもの育ち、保護者の就労状況などに配慮して、可能な保護者にはゆとりを持って1週間から長くて1か月を目途に園生活に慣れていけるようにしています。

・0、1歳児クラスは在園児が不安なく過ごせるように、前の担任の1人が新しいクラスでしばらく一緒に過ごしています。2歳児は進級すると1階から2階の合同クラスに移行するため、2、3月頃から2階の合同保育室で「ならし保育」を行い、環境の変化に順応できるよう準備しています。

・全体的な計画に基づいて、クラスごとに一人一人の子どもの発達や状況を話し合い、年間保育計画(4半期ごと)、月間保育計画案、保育計画案を作成し、各保育計画の「反省」欄に記入して次期計画に反映しています。保護者の意向は日々の会話のほか、連絡帳、クラス懇談会、個人面談、行事後のアンケートなどで把握し、指導計画に反映しています。

・進級時には児童票、個別面談記録、保育経過記録を基に、新旧の担任で申し送りを行っています。5歳児の保育所児童保育要録は担任が作成し、入学する小学校に郵送しています。必要に応じて小学校から養護教員が来園し、綿密な話し合いの時間を作っています。

・虐待防止マニュアルがあり、年度初めに会議において全職員に虐待の定義を周知しています。日々、登園時や衣類着脱時に子どもを観察し、虐待が明白になった場合や疑わしい場合は直ちに報告し、相談できる体制を整えています。

・玄関に意見箱を設置し、年2回の行事後のアンケート、個人面談、クラス懇談会などで保護者の意見や要望の把握に努めています。職員は子どもが何を思っているのか絶えず観察しながら、表情や態度で気持ちを汲み取り、声をかけて確認しています。保護者に対しては送迎時や時間のある時に積極的に声をかけるようにしています。

・0歳児から食事の最後にお茶を飲むことを習慣にしています。2歳児クラスから歯磨きを始め、仕上げ磨きをしています。年1回の歯科健診の後には、歯科衛生士が紙芝居を使って歯磨き指導をしています。

・職員は常に子どもから目を離さずに見守っています。睡眠中は同室で見守り、食事中は誤飲に気を配り、プール活動の際は事前に立ち位置を確認するなど、場面に応じて常に全体に目が届くようにしています。

・毎月避難訓練を行っています。地震や火事など毎月設定を変え、あらゆる状況に対応できるようにしています。消防署に直接つながる通報ボタンが設置してあり、年1回通報訓練を行っています。年1回警察官による不審者訓練を行っています。

・園内で事故が起きた場所とその状況を大きな園内マップに記録し、事務室に掲示しています。さらに、事故後の対応チェックリストを整備しています。保護者への連絡と説明、ケガをさせた子どもの保護者への対応、事故の確認について定めてあります。

・入園式、卒園式、運動会の際の園長あいさつでは毎回保育の基本方針を織りこみながら話しています。クラスの懇談会ではおもちゃや教具、保育中の写真を見せながら保育方針やねらいを分かりやすく伝えています。

・個別面談は年2回行っています。保護者の希望があればいつでも個別の面談に応じています。個別相談はプライバシーが守られる場所で、担任、主任、園長が対応しています。相談内容は記録し継続的な支援をしています。

4 地域との交流・連携

・園のホームページや、見学者に園のパンフレットを配付して情報提供しています。園の外壁に運動会のお知らせを掲示しています。その他、毎月園だよりを自治会長、近隣住民、民生委員に配付し、園の情報提供に努めています。

・青葉区福祉保健センターの保健士、地域療育センターあおばの臨床心理士、青葉区こども家庭支援課、園医などと日常的に連携しています。

・運動会や卒園式には自治会長兼第三者委員、小学校校長、民生委員、主任児童委員、地域の方を招待しています。隣接する公園の清掃活動や夏まつりに親子で参加しています。小学校や自治体と連携した広域避難訓練にも参加しています。

・見学者には保育所の基本方針や利用条件、保育内容などについてパンフレットなどに基づいて説明しています。見学は個別に1時間程度、園の方針などを丁寧に説明し、育児相談にも時間をかけて対応しています。見学日時はできるだけ希望者の都合にあわせています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

・職員が守るべき法・規範・倫理などは、就業規則や規程集に明文化されており、入職時に園長が職員に説明しています。

・園の事務・経理・取引の責任者は園長です。定款、設置法人内部運営規定、経理規程、管理規程など職務分掌に関する書類はファイルし、全職員は必要に応じて確認できるようになっています。

・人材育成計画の中で主任クラスを育成するプログラムがあり、主任クラスの人材育成が計画的に行われています。主任はクラス会議のアドバイザー、クラスだより作成時の助言、シフト表の作成、園内研修の助言を行っています。「時間を有効に使う良い働き方」を提案し、職員の能力や経験に合わせ、主体性を持って職務を遂行できるよう助言や指導を行っています。

・園の中長期的な方向性として、平成18〜20年度までの中長期計画を策定し、「園児健康管理」「職員構成」「保育指針」「設備・備品」「災害」を掲げています。

6 職員の資質向上の促進

・毎年実習生の受け入れがあります。実習開始前のオリエンテーションで学生の意向を聞き、学生の資質も見てプログラムを決めています。実習中は振り返りの時間を設け、毎日レポートを提出しています。

・保育業務にあたっては、家庭の状況、保育経験などから常勤職員と非常勤職員の組み合わせに配慮して、クラス担当を決めています。園内研修には非常勤職員も参加し、情報を共有できるようにしています。外部研修についても必要に応じて参加できるよう配慮しています。

・設置法人の理念・運営方針に基づいた人材育成計画があり、就業規則に配置や昇進・昇格などに関する人事基準が示されており、入職時に園長が説明し、職員は研修を受けるなど自らの目指す方向性を見出しモチベーションの向上につなげています。職員の専門性や職務遂行能力、職務に関する成果や貢献度などの評価は園長が職員にフィードバックしています。

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