かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

救護施設 横浜市浦舟園(3回目受審)

対象事業所名 救護施設 横浜市浦舟園(3回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 神奈川県匡済会
対象サービス 保護 救護施設
事業所住所等 〒 232 - 0024
南区浦舟町3-46
tel:045-232-9808
設立年月日 2006(平成18)年04月01日
公表年月 2019(令和元)年02月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

[施設の概要]
救護施設 横浜市浦舟園は、横浜市営地下鉄「阪東橋駅」から徒歩5分程にある12階建の浦舟複合福祉施設の6、7階にあります。平成18年4月に横浜市が定員100人の救護施設として開設しました。同時に社会福祉法人神奈川県匡済会が指定管理者として運営を行い現在に至っています。
横浜市浦舟園は、身体、精神に様々な障害を持ち地域で生活することが困難な人たちに、生活保護法に基づき生活基盤を提供する救護施設です。利用者は全員福祉保健センターからの措置委託による受け入れです。平成30年10月現在の入所者は97人です。平均年齢62.7歳、平均入所期間は6年8ヶ月です。
 平成30年10月に社会福祉法人神奈川県匡済会は、設立後100周年を迎えました。職員は、法人の一貫した理念、「あらゆる人の尊厳を守り、常に人が人として文化的生活を営めるよう、その自立に向けた支援に努める」に常に立ち返り、人間関係にストレスを感じやすい人との「関係づくり」を大切にした支援に努めています。

≪優れている点≫

1.人権擁護の取り組みに力を入れています

平成30年度の法人の事業計画に、法人内コンプライアンス推進チームが中心となり、「人権研修」を実施し、法人の基本理念「あらゆる人の尊厳を守る」という福祉の心を育成することを全職員に周知しています。福祉関連の不祥事等の報道を申し送りやPCで職員に周知し注意を喚起しています。
 今年度は外部講師によるパワーハラスメントやセクシャルハラスメント研修を実施しています。職員は常に人権擁護に努め、利用者の人格を尊重した支援を心がけています。毎年、新人研修や全職員に向けてのDVDや障害者虐待防止チェックリストを用いた「人権研修」を実施しています。今年は「接遇研修」を施設内で行いました。「職員行動規範」には禁句を含む厳守事項が明確に記されています。
 入浴や病院への同行については同姓介助が基本です。日常対応について事例検討会を実施し、言動の振り返りや話し合いを行っています。

2.人材育成制度にて職員のキャリアアップに努め、働きやすい職場環境につなげています

「人事評価マニュアル」にて階級別に達成目標を明記し、「評価段階及び評価基準」を設けて人材育成を体系化しています。施設独自の人材育成プログラムを作成し、新人・中堅・指導的職員、管理者と職層ごとに、日常・計画的指導(OJT)、職場内・職場外(OFF-JT)、資格取得の形態による研修体系図を作成し、職員に明示しています。
平成30年度の階層別研修目標を具体的に定め、その実施体制として、施設外の各月ごとの研修名や開催場所・日時、対象職員を決めています。施設内研修はOJT委員会を設け、新人や一般職員の育成をきめ細かく行っています。個人別の「研修自己評価及び目標管理シート」を基に、現場の責任者や施設長と面談を行い、研修の成果や目標の達成度を検証しています。
施設長は職員の意識の強化を図り、職員のサービス改善の取り組みや意見等の把握に努めています。倫理・行動規範、各種管理、業務マニュアル等の60種ほどのマニュアルを整備して、定期的にマニュアルの見直しを行い、サービス支援の標準化に努めています。現場の職員が判断に迷いや疑問が生じた時は、上司に相談する仕組みを整備し、担当職員以外でも職員間で何でも相談できる雰囲気作りを醸成しています。日常の業務や支援の内容はPCに記録して、全職員が必要な情報をいつでも確認できます。職員のメンタルヘルスにも配慮し、有給休暇の取得に配慮するなどしています。
人材育成制度と管理者のリーダーシップ、アドバイスにより、職員の働きやすい環境整備につなげています。

3.事故防止対策、災害時対策に力を入れています

事故対策・対応マニュアルを整備し、毎月リスクマネジメント委員会を開催し、毎月のヒヤリハット報告書、事故報告書の原因を分析し対策を講じています。また、年に2回リスク棚卸を実施し、設備利用の適切性や転倒危険性のチェック等を行っています。転倒防止ポスターを階段等に掲示し、廊下の出会い頭の衝突防止のミラーを設置したり、床に注意喚起の色テープを貼る等対策を行っています。
年に2回、防火・防災避難訓練を実施しています。訓練は複合福祉施設消防計画、及び横浜市浦舟園消防計画に基づき実施しています。事務所に地震津波警報機を設置し、非常時の情報をいち早くキャッチする体制を整えています。横浜市より災害時優先携帯電話を受領し、平成30年9月に、法人全施設を対象に情報受伝達訓練を実施しました。職員は緊急時対応に備え、救命講習等の研修を受講し、全職員が心肺蘇生法及びAED取り扱いを習得しています。毎年南区自衛消防隊消防操作法技術訓練会に参加し、本年度は最優秀賞の受賞につなげています。

≪努力・工夫している点≫
1.地域生活への移行、地域ニーズに応じた支援に努めています

利用者の意向や日常生活の状況を踏まえ地域生活への移行計画を策定しています。施設の「社会復帰訓練室」を利用して居宅体験を行います。食事の準備や清掃、洗濯、金銭管理等の訓練を1〜2ヶ月行います。次に地域でのアパート生活を1〜2年体験してもらう居宅生活訓練事業に入り生活訓練と社会訓練を行います。生活訓練では金銭管理、服薬管理、調理、洗濯、掃除等があり、社会訓練では通院、交通機関の使用、金融機関利用、ゴミの分別等があります。終了するとアパートやグループホーム、施設入所等地域生活への移行に取り組みます。行政のケースワーカーや主治医、地域作業所、不動産業者と連携しながら、利用者への地域移行を実現しています。
退所者や地域の生活保護者に対して30年7月より「保護施設通所事業」を開設しています。通所訓練と訪問指導があり、通所日数・時間、作業、食事、入浴など利用者に合わせてプログラムを組み生活指導・訓練を行っています。訪問指導では月に1回職員が住まいを訪問し、生活のアドバイス、家計や悩みの相談を行っています。地域からの利用者は現在2名、施設の退所後利用者が4名利用しています。平成29年7月より、自主事業として生活困窮者就労訓練事業(中間的就労)を開始しています。地域の就労訓練者が園での仕事の体験を通してステップアップする支援を行っています。


≪課題や改善することが期待される事項≫

1.自治会による利用者の自立意識の強化の取り組み

利用者の活動ができる場としておやつ会やフロア会などがあり、利用者が意見を述べる機会を設けていますが、利用者が自ら運用する設定にはなっていません。障害を抱えるなど難しい側面はあると思われますが、利用者の自立意識を育てていくことは支援の一つとして重要と思われます。利用者のエンパワーメントを引き出し、利用者が主体的に運用できるよう自治会等の活動を持てるよう支援することが期待されます。

2.利用者の高齢化に伴うQOLにつながる健康管理

健康管理の指針やマニュアルを整備して、看護師、かかりつけの病院、主治医、嘱託医と連携して利用者の健康に留意しています。リハビリやストレッチなどの利用者ごとにプログラムを組み立てています。食事では、利用者の糖尿病や高血圧などの病状によりカロリーや塩分制限のメニューも用意しています。
現在は歯科医師等の指導による口腔ケアについての取り組みはありませが、計画では職員向けの口腔衛生研修会を予定しています。施設では口腔ケアにも取り組み、利用者の高齢化に伴うQOL改善に工夫することが期待されます。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

@ 「法人コンプライアンスルール」「横浜市浦舟園職員行動規範」「職員・非常勤・アルバイトマニュアル」の中で、職員の倫理、法規範の遵守を明文化し、職員の意識の徹底を図っています。平成30年度の法人の事業計画に、法人内コンプライアンス推進チームが中心となり、「人権研修」を実施し、法人の基本理念「あらゆる人の尊厳を守る」という福祉の心を育成することを全職員に周知しています。福祉関連の不祥事等の報道を申し送りやPCで職員に周知し注意を喚起しています。今年度は外部講師によるパワーハラスメントやセクシャルハラスメント研修を実施しました。

A 個人情報保護については「横浜市浦舟園管理規程」に、本会が定めた「個人情報保護規程」に基づいて適切に行うとしています。「横浜市浦舟園職員行動規範」「職員マニュアル」には個人情報及び守秘義務について記載しています。実習生、ボランティアには「実習指導要領」「ボランティア留意事項」にある個人情報や守秘義務についてオリエンテーション等で説明し、「個人情報に関する誓約書」に署名を貰っています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

@ 年1回、個別支援計画の見直しを実施しています。見直しに際しアセスメントを実施し支援ニーズを把握し、また、利用者の思いや要望を尊重し計画に反映しています。個別支援計画の短期・長期目標に沿って年1回達成度評価を実施し、病状等による支援方法の変更や地域移行等による支援のステップアップを図っています。理学療法士等の専門職、医師、ケースワーカー、日中作業所職員等の関係機関と連携しカンファレンスを実施し個別支援計画を策定しています。状況の変化に応じ随時個別支援計画の見直しを行い、利用者や家族の同意を得ています。

A 日常生活の利用者支援は、利用者自身でできることは本人にやってもらいます。職員は日常生活の様子を見守り、利用者自身の手が届かない所を支援します。サービス提供の実施状況や手順に関する評価と見直しを、個別支援計画の目標に沿って実施します。特に利用者の金銭管理については見直しの頻度は高く、利用者の意思を尊重した支援に努めています。支援内容はPCのケース記録に詳細に記録します。職員は、随時利用者支援に必要な情報を確認し支援の統一性を心がけています。

B 利用者の嚥下状態に配慮し主食は4種類(米飯、全粥、ゼリー粥、ミキサー粥)、副食は3種類(常食、一口大、軟菜)に食事形態を分類し提供しています。栄養士、看護師、支援員が連携し毎日の利用者の摂食状況を確認し、食事形態の変更があれば迅速に対応しています。また、アレルギーの禁食や糖尿病の塩分制限などに応じた食事を提供しています。食事介助については、施設利用者サービスマニュアルに図や写真を用いて分かりやすく示しています。利用者の身体状況に合ったスプーン、フォークや皿など自助具を活用しています。

C 施設内行事に力を入れています。春季は雛祭り、お花見ツアー、将棋交流会等、夏季の七夕祭り、高校野球観戦、横浜市浦舟園納涼祭等、秋季のクルージング、日帰り昼食会等、冬季のクリスマスツリー飾り、初詣、節分、鍋会、奉仕活動感謝会など盛りだくさんです。日帰り昼食会は、今年はホテルのバイキングでした。また、毎月定例のレクリエーション活動として、誕生会、おやつ会、コーヒーサロン、カラオケ、映画会、書道クラブ、ドライブなどがあります。ドライブは企画作りに利用者も参加し、先般羽田空港まで2回に分けてドライブしました。

3 サービスマネジメントシステムの確立

@ 人の「福祉サービスに関する苦情解決取扱規則」に基づき施設では「横浜市浦舟園苦情解決体制要項」を作成し、苦情解決の手順を定めています。苦情解決窓口、苦情解決責任者、第三者委員氏名を記載し事務所前やフロアに掲示しています。週1回ご意見箱の投書内容を確認し、会議で全部署が内容を把握し検討結果を本人に伝えています。要望によってはフロア別に利用者が集まり、話し合いの場を設けています。苦情内容や解決経過は記録し、会議での報告やパソコン上で職員への周知を図っています。

A 感染症対策マニュアルを作成し、感染症流行の季節はポスターを掲示し職員・利用者に感染症予防の注意を喚起しています。インフルエンザ流行時期の1〜3月は全職員に出退勤時の検温やマスクの着用を義務付け、また、玄関や食堂入り口等に消毒剤を置いて注意を喚起しています。施設内3箇所に嘔吐時対応備品を置いて緊急時の対応に備えています。感染症予防研修を毎年実施し、受講を義務付け職員の意識強化を図っています。また、食品衛生コンサルタントが隔月厨房の衛生点検を実施し、清潔に保つための清掃指導等を行っています。

4 地域との交流・連携

@ 一般就労と福祉的就労との間に位置する中間的就労「生活困窮者就労訓練事業」を施設の自主事業として実施しています。勤務時間は本人が決め、清掃や作業等を行い、一般就労に向けた訓練をしています。横浜市就労訓練事業支援センターや南区生活支援課からの依頼により引きこもりや働きたくても働くことが出来ない方を受け入れ、就労訓練や生活相談を行っています。災害時における福祉避難所として地域の障害者の受け入れる協定を市と結んでいます。地域住民からの施設入所や生活困窮の相談には専門職の生活相談員が対応しています。

A 12階建てビル全体の法人内多数の福祉施設が協働し、毎年8月に浦舟複合福祉施設納涼祭を実施しています。納涼祭では、地域のボランティアが協力し多数の模擬店が出店します。利用者が模擬店の手伝いや利用を通して地域の人たちと交流しています。敬老会では20人ほどの園児が施設を訪問し、自分たちの作品をプレゼントしてくれます。ベルマーク運動やエコキャップ運動を通して小学校との交流が深まっています。また、心肺蘇生法用人体模型レサシアンをケアプラザ等に貸出し、また、AEDの緊急時の貸出利用に応じています。

B ボランティア受け入れマニュアルを作成し、ボランティアを積極的に活用しています。ボランティア受け入れに際しては、利用者の個人情報保護に関する注意等を周知しボランティアに同意のサインをもらっています。平成29年度は、将棋ボランティアと洗濯たたみボランティアで延べ72人のボランティアが活動しています。将棋、軽音楽、傾聴、掃除、訪問理容ボランティア等を受け入れています。ボランティアの活動記録を作成し継続を図っています。

5 運営上の透明性の確保と継続性 @ 施設長は、入職時理念や基本方針を説明し、理念の実践にむけて職員の意識の強化を図っています。横浜市浦舟園行動規範を整備し行動基準を記載した「神奈川県匡済会職員ハンドブック」及び「職員マニュアル」を全職員に配付し周知しています。施設長は、毎月開催の職員会議、支援員会議、フロア会議に必要に応じ出席し、施設運営の方針等を説明しています。また、職員のサービス改善の取り組みや意見等の把握に努め、必要事項は朝・夕の申し送りの時やPC上で留意事項等を伝えています。
A 平成30年度法人の事業計画に、中期的視点での経営改善課題が明記されています。将来を見据えた法人の経営基盤の強化を基本姿勢とし「働きやすい職場つくりと、人材確保と育成による安定した事業運営への対応」「リスク管理とガバナンスの強化」「実施してきた「しくみ」の定着と、必要な見直しの検討」を掲げています。また、平成28年4月から平成33年3月までの5年間の横浜市の指定管理者としての中・長期計画を策定しています。中期計画をもとに年度ごとの作業計画を作成しています。居宅生活訓練事業、生活困窮者就労訓練事業に取り組み、平成30年7月から保護施設通所事業を開始しています。
B 救護施設の利用者は可能な限り地域への移行、自立支援の推進が求められています。「退所後相談マニュアル」を作成し、退所後の利用者相談窓口を置いて利用者がいつでも相談できる体制を整備しています。平成29年度退所者14人のうち、6人は自立しアパート住まいを開始しました。退所者が地域で安定した生活が継続できるように退所者に「保護施設通所事業」の利用を勧めています。通所事業は利用者ニーズに配慮し平成30年7月から開始しました。
6 職員の資質向上の促進 @ 法人の人材育成プロジェクトにより新人・中堅・管理職に対する各階層別研修が組まれています。また、施設独自の人材育成プログラムを作成し、新人・中堅・スーパーバイザー担当職員と職位ごとに体系化しています。施設の人材育成方針に合わせた「横浜市浦舟園職員研修計画」を立て、長期・中期・当年度の育成目標を明確にしています。施設内・外の「研修計画」及び「研修実施状況表」を作成し、職員が必要な研修に参加しています。「法人ケーススタディ発表会」や「施設総括研修会」には非常勤・常勤も参加します。施設内研修を月1回午前・午後と開催し参加できるように配慮しています。
A 支援技術の向上に向けて職員は毎年個人別の「研修自己評価及び目標管理シート」を作成します。目標管理シートを基に、研修の成果や目標の達成度を検証しています。上司と面談し短期・中期・長期目標に沿ってスキル向上の達成度を確認しています。新人・新任職員には、1・3・6ヶ月及び1年後の振り返り面談があり、職員の業務の理解や支援技術を見極めながら評価を行っています。新人OJT委員会及び一般職員OJT委員会を月1回開催し、新人、中堅職員への指導方法が適切であることを確認しています。「食中毒予防」「心肺蘇生法・AED取り扱い方法」「感染症対策」「人権研修」等の必須研修のほか、介護技術研修・事例検討など施設内研修による職員の知識向上を図っています。
B 法人に「人事評価マニュアル」「評価段階及び評価基準」があり、各階層に求められる役割表が作成されています。毎年度職員一人ひとりの「スキルアップシート」に施設側からの「短期・中期・長期の期待・目標」を記しています。事務室の壁面に各職員の名入りポケットを貼り、「グッドジョブカード」を投入することにより、職員同士で称賛や感謝の気持ちを伝えています。人事評価面談2回、研修評価及び目標管理面談1回と施設長面談を年3回実施し、施設からの期待や要望、職員からは研修の満足度や今後の目標等について話し合い、職員の育成やモチベーションの維持に役立てています。毎年法人の全職員が「ストレスチェック」を受検し、心身状況を各自が把握しています。

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