かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

相模原市立麻溝保育園(2回目受審)

対象事業所名 相模原市立麻溝保育園(2回目受審)
経営主体(法人等) 相模原市
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 252 - 0336
南区当麻1357-1
tel:042-778-3752
設立年月日 1979(昭和54)年04月01日
公表年月 2019(令和元)年02月 〜
使用評価項目 神奈川県社協版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

<園の概要>
麻溝保育園は、昭和54年4月に開所以来39年が経過し、建物の老朽化が進んでいますが、補修しながらも清掃等が行き届き、清潔に保たれています。平成11年以降、地域子育て支援、産休明け保育、一時保育、延長保育等保育の対象拡大を行い、地域の保育ニーズに対応してきました。
園はJR相模線の原当麻駅から徒歩数分の所に位置し、周囲は緑の多い住宅街で、車の交通量の多い道路に囲まれていますが、近くには公園があり、田畑も多く豊かな自然に恵まれています。
 園での保育は、子ども達が様々な人との交流を通じ、豊かな心を育てることを目標として、異年齢児との交流や自然との触れ合いを大切にするとともに、必要とされる支援を適切に提供していくために、職員の資質向上に取り組んでいます。

<優れている点>

1.一人一人の子どもの個性と保育ニーズを大切にする保育を提供しています

  職員全体で、子どもたちの情報を共有し、一人一人の子どもの個性や発達、その日の状態に合わせた保育を提供するよう心がけています。保育士はメモ帳を持ち歩き、必要な情報は確実に伝達できるよう配慮しています。
  一人一人の子どもの発達状態や配慮すべき事項については、個別指導計画を基に、職員会議で全職員が把握し共有しています。日々の変化は、連絡帳やクラスノート、保護者からの情報を収集し、午睡の時間を活用して話し合い、きめ細かく対応をしています。その他、乳児クラス、幼児クラス別に話し合いを定期的に開催し、子どもの発達状況に応じた週案、月案など指導計画の見直しを行い、最適な保育実践のための努力をしています。全園児に対し、全職員が対応できるようにという園の方針が、保護者にとって、担任以外の保育士も自分の子どものことを知っていてくれるという安心感とサポートにつながっています。

2.業務の振り返りをして職員育成と保育の質の向上に努めています

  職員は、三種類のチェック表を用いて、様々な場面や視点での業務の振り返りを行っています。
  まず、年度途中と年度末の年二回、「保育所と保育士の自己評価」として業務を振り返ります。記載した内容は皆でしっかり話し合い、次の改善につなげています。その結果は、園内に掲示し、保護者に伝えています。
次に、各職員が職種別に自由記載で保育の振り返りとして業務を振り返ります。クラスごとの振り返り項目に、様々な保育場面の状況を記載し、改善点、評価反省点を記入しています。保育環境の工夫などできることから具体的な改善につなげています。
又、市で作成した職位ごとの「自己チェック表」での振り返りを行っています。日常的に業務を振り返る作業を継続することで、職員の資質向上につなげています。

3.情報共有を大切にして日々の保育を行っています

  保育園での子どもの毎日の様子を、乳児は連絡帳で個別に、幼児はその日の活動内容を紹介した「今日の保育」を掲示して、又、給食の献立やサンプルの展示、活動をしている写真や子どもの作品を掲示するなどして、保護者に対しこまめに伝えています。定期的には、行事の案内や報告、園全体、クラス全体の様子を園だよりやクラスだよりで保護者に伝えています。保護者の希望や意見は、年度末や行事ごとに行うアンケートや懇談会等を通して職員全員が共有し、必要と判断したものは、改善結果も含めて個別又は全保護者に知らせています。又、感染症の発生等大切な情報は、玄関のそばの健康ボードにタイムリーに掲示しています。
  職員は、子どもに関する情報を確実に共有するためメモ帳を活用し、お昼の連絡タイムには全職員が情報を把握するなど、必要のことを知らせる努力、知る努力をしています。その結果、子どもの担当保育士だけではなく、色々な保育士が子どもたちのことを見ていてくれているという、保護者の安心感にもつながっています。

4.地域への子育て支援が充実しています

  園に配置されている地域担当保育士を中心に、様々な場面を設定して地域の子育て支援を展開しています。園では、休園日を除いて常時園庭開放と相談事業、図書の貸し出しをしている他、年に一度相模原市全体で保育ウィーク、園独自で毎月一回「誕生会にきてね」「いっしょにあそぼう」の日を設け、地域の親子を受け入れています。
又、保健師と連携して「ふれあい親子サロン」、地域担当が地域に出向き「ぽかぽか広場」、他の保育園と合同で「ほのぼのひろば」を開催しています。遊びの紹介や育児相談、育児講座、子育てに関する情報提供を行うとともに、地域コミュニティーグループへの相談・支援を行っています。

<独自に工夫している点>

1.地域の人たちや異年齢児での交流

園の重点目標として、「様々な人との関わりの中で豊かな心を育てる」ことを掲げています。保育の中の異年齢交流は年齢の違うクラスが交流するようにしていて、人との関わりの中で豊かな心を育むようにしています。手をつないで散歩して一緒に遊ぶことで、年上の子どもは年下の子どもを労り、お世話をしています。年下の子どもは年上の子どものやり方を観て学び、自分がしてもらったことを、成長してまた自分も行うという姿につながっています。異年齢の関わりの中で、楽しさや、人の役に立つ喜びを味わい、他者への思いやりの心を育て、子ども同士が力を発揮して共に成長しています。
日ごろの遊びの中でも、年齢の枠を超えて好きな遊びを選び、協力しながら製作をしたり、ごく自然に年長の児童を鬼になった年少の子どもが集団で追いかけて遊ぶなど、年長児の優しさや伸び伸びと一緒に過ごす子どもたちの様子が見られます。又、地域の人達との交流も積極的に進めており、近くの小学校訪問による児童との交流、小学校教諭の園訪問による子ども達との交流、音楽や演劇鑑賞、小中学生の職場体験、ボランティアの受け入れ等、子どもたちの様子を地域の人に理解してもらうとともに、子どもたちにとっても貴重な体験となっています。

2.怪我の分析と改善に向けた取り組み 

毎月、怪我の発生状況をまとめ、クラスごとに怪我の考察を行っています。まとめた怪我の内容を分析し、原因を探る中で怪我の要因と考えられる課題を見つけて、その課題を解決するための保育をどうするか検討して実践を積み重ねています。結果は年度末にまとめて保護者に報告をすると同時に、保育士にとっても、課題解決のために保育の内容を工夫・改善していく一連の作業が、貴重な資質向上を図る機会となっています。

3.子どもの自主性や言葉による表現を大切にする保育

  乳児には、発達に応じた言葉かけをして発語を促し、語り掛けてくる言葉はしっかり丁寧に聞くことで、伝えることの喜びや自信につながる対応を心がけています。幼児クラスでは、毎日午睡前に集会を持ち、午前中に製作した作品を他の子に見せながら、作品の説明や思い、頑張ったことなどを発表しています。皆から拍手を受け、話が伝わったことの実感や自信を持てるようにしています。この他、手遊び当番、ごあいさつ当番を決めて人前で話す、発表会で台詞を言う等の機会を多く作り、友達同士が頑張ってできたことを喜び合うとともに、人の話を真剣に聞く姿勢も育てています。

<改善すべき事項>

1 防犯対策への更なる対応

玄関は常時施錠しており、開錠は来園者の確認の後に行っています。事務室以外でも、リモートコントロールで同様の作業が可能になるシステムを取っています。保護者の利便性を考えて駐車場も備えています。
しかし、建物の囲いで旧来のフェンスが一部残存しており、保護者も不安を感じています。保護者からも駐車場への要望や建物の耐震性への不安もあります。園では限られた条件の中で対策に取り組み、保護者への十分な説明が望まれます。さらにアンケートなどによる定期的な保護者意見の把握を行い、取り組みへの理解と不安解消に努めることが期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

@ 相模原市では、市職員全体の接遇マニュアルを策定し、麻溝保育園マニュアルでも「保育士のこころがまえ」として、子どもや保護者への接し方の基本や自己点検項目を明記しています。職員会議でマニュアルを読み合せ、全員で確認しています。又、各事業所に接遇担当職員を配置して、参加した研修内容を全員に周知するとともに、年度及び毎月の接遇目標を立て、職員は自己評価チェック表で自己の言動を振り返る作業をしています。

A 園マニュアルの「保育士の自己点検」の項目に、差別について、「出生や国籍などによる差別」の禁止を明記しています。性差への配慮、保護者には平等に接することなどを明記し、人権チェックリストで自己点検をするなど、全職員の意識を高める努力をしています。日常業務の中でも、子ども、保護者それぞれに、特に家族支援の必要な家庭については関係機関との情報共有をしながら、きめ細かく適切に個別対応をするよう心がけています。

B 個人情報の保護・管理は、相模原市の個人情報保護条例に基づき、園マニュアルでも「個人情報マニュアル」として明記しています。研修に参加した職員に、職員会議等で内容を報告し全員が周知するとともに、園内で別途研修を行っています。非常勤職員や実習生には、個別に個人情報保護について印刷物を配布し口頭で説明して、注意を喚起しています。又、個人情報のある文書等の管理は、施錠できるキャビネットに保管し、事務室以外への持ち出しを禁止するほか、子どもの顔写真は、保護者の承諾を得て撮影・公開すること、保護者との面談についても、個人情報が他に漏れないための配慮などをしています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

@ 保育園での毎日の子どもたちの様子を、「今日の保育」(掲示)、連絡ノート、写真、給食のサンプル等で保護者に伝えています。毎月発行の園だより、クラスだより、年間行事予定、感染症情報等で必要な情報をタイムリーに提供しています。保護者の意見は、懇談会、行事後や年度末アンケート、個人面談、常設の「保護者の声」ボックスの投書等で出されますが、登降園時の保護者と職員の情報交換も貴重な情報共有の場になっています。懇談会での意見等は、後日、園だより等で保護者全員に知らせています。

A 保護者から個別の要望や意見は、保護者の声ボックスを利用するよりは、直接職員に伝えられることが多くなっています。市で策定している苦情処理の手順に準じて記録等の処理をしています。改善等対応の結果については、内容によって個人又全体に伝えています。

B 日常の保育では、個々の子どもの発達や心身の状況等に合わせた対応を一貫して、丁寧に行っています。職員は、子ども達の話をきちんと聞き、言葉の表現が不十分な子どものサポートをして言語表現の発達を促しています。自然や地域の人達、異年齢の子ども達と触れ合う機会を多く作り、人と協働すること、人を思いやること、助け合うことなどの大切さを習得できるようにするとともに、自分を表現しそれが周りに受け入れられるという経験を積むことで、子ども達に自信や充実感、自主性を育てています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

@ 苦情への対応は、相模原市の方針に基づき麻溝保育園マニュアルに対応の手順を明記し、保護者との信頼関係を築くことの大切さも記述しています。保護者に対しては、苦情受付窓口を入園のしおりで案内するとともに、園内3か所に掲示して知らせています。苦情には至らない要望や意見も、苦情と同様に受け止め、改善等を検討し対応結果を保護者に報告しています。

A 環境整備には、園舎が老朽化していることもあり、特に気を配っています。相模原市立保育園園児健康マニュアルや園の安全衛生チェックリストに基づき行っています。清掃等による清潔の保持、温度・湿度等室内環境の整備、消毒薬や洗剤の施錠管理、子どもが触れる玩具や砂場の毎日又は定期的な消毒・洗浄、遊具の安全点検等を実施しています。実施結果は一覧表に記録して、簿冊で管理しています。

B 感染症への対応について、嘔吐・下痢発生の情報は、その日の午前中に園長等に集中し、昼には全職員に伝達されます。保護者には、玄関にある健康ボードに、感染症情報として張り出して注意喚起するとともに、対処方法についても知らせます。

C 危機管理について、火災や震災の発生に備えて、市立保育園保育所防災の手引きや麻溝保育園マニュアル等で、避難方法や緊急連絡網等を整備し、様々な場面設定で毎月避難訓練を実施しています。併せて、不審者の侵入等に備えた防犯訓練を行い、訓練実施後は職員会議で反省会を行い、次につなげています。防災・防犯体制では、麻溝地区防災協議会が組織され、自治会を始めとして、学校や福祉施設、他の保育所等、様々な団体と協力体制を取ることになっています。また、麻溝保育園を含む相模原市内の公私立保育園が協働して、災害時乳幼児支援ステーションを設置することになっており、緊急の場合、在園児以外の乳幼児の一時保護や相談を受けることになっています。

4 地域との交流・連携

@ 保育園に配置している地域担当職員(保育士)を中心に、地域に出かけて子育て支援を行うひろば事業と、保育園に地域の親子を招いての子育て支援事業を展開し、保育園ならではの機能を地域に提供しています。「ふれあい親子サロン」では保健師や民生委員・児童委員等地域の方とも連携しながら親子が楽しく過ごせるように働きかけています。「ほのぼのひろば」では他園の地域担当者と協力して、事業を進めています。「ぽかぽか広場」ではこどもセンターにて毎月一回地域担当が「ふれあいあそび」や製作などを提供しています。保育園での園庭開放は月曜から土曜まで、その他、「誕生会にきてね」や「いっしょにあそぼう」の日が各月一回あり、地域の親子が保育園に来て在園児と一緒に過ごすなど、保育園を身近に感じられる機会となっています。子育て相談や図書の貸し出しも毎日行っています。

A 子ども達は、近隣にある老人ホームや小学校、幼稚園、障害児の通園施設等を訪問する機会を持つとともに、ボランティアで来てくれる中学校の演劇部や元教員による実験教室など、様々な地域の人たちとの交流を多く体験しています。これは、人々との交流を通じ、豊かな心を育てる園の保育方針の一環でもあります。

5 運営上の透明性の確保と継続性

@ 職員は、三種類のチェック表を用いて、様々な場面や視点での業務の振り返りを行っています。まず、年度途中と年度末の年二回、「保育所と保育士の自己評価」として業務を振り返ります。その結果は、園内に掲示し、保護者に伝えています。次に、各職員が職種別に自由記載で保育の振り返りとして業務を振り返ります。クラスごとの振り返り項目に、様々な保育場面の状況を記載し、改善点、評価反省点を記入しています。又、市で作成した職位ごとの「自己チェック表」での振り返りを行っています。日常的に業務を振り返る作業を継続することで、職員の資質向上に繋げています。

A 保護者をサポートし、保護者と一緒に、子どもを育てるための情報提供を、積極的に行っています。園内には、運営規定のほか、感染症情報、苦情解決事業の案内、情報公開や児童虐待関連のパンフレット、地域の子育て支援情報などを掲示するとともに、子どもたちの保育園での様子がよくわかるような写真や「今日の保育」によるその日の保育内容、給食サンプル、製作作品などが掲示されています。保育参観も積極的に受け入れています。

6 職員の資質向上の促進

@ 相模原市立保育園全体で策定された保育理念と目標、併せて麻溝保育園として策定した保育目標と重点目標については、職員会議での麻溝保育園マニュアルの読み合わせや、グループ研修で全員が周知しています。又、各クラスでもクラスごとの保育目標を作成し、保護者にも園だよりやクラスだよりで伝え共有することで、保育目標に対する意識の強化を図っています。

A 職員資質向上のための研修は、市職員全体で行われる階層別の研修と合わせ、保育所等職員研修計画に基づき、計画的に行われています。保育士の研修体系と実施計画により、基礎的研修と専門研修が組み合わさって、職員は研修計画により必要な研修に可能な限り参加しています。研修内容は、職員会議で報告するとともに、資料等と合わせて全職員に回覧しています。特に専門研修は分かり易くするために写真を多く使うなど工夫され、回覧後も自由に閲覧ができるよう保管されています。又、内部研修は、自主研修として年間数回計画され実施されています。

B 資質向上を図るための方法として、自己点検に力を入れています。絶えず業務を振り返ることによって、課題を見つけ、それを話し合いによって職員同士が共有し、皆で解決のための工夫をしていく作業を繰り返すことで、より良い保育の提供に結びつけています。クラスごとに異なる子どもたちの怪我の傾向を、発達の過程と関連させて分析し、怪我を減らすための保育の取組みを工夫するなど、保育の質の向上にもつなげてきました。

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