かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

千年たちばな保育園

対象事業所名 千年たちばな保育園
経営主体(法人等) 社会福祉法人 妙常会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 213 - 0022
高津区千年107
tel:044-741-5510
設立年月日 2017(平成29)年04月01日
公表年月 2019(平成31)年01月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

<施設の概要・特徴>

 千年たちばな保育園は、平成29年4月に市立保育園から民営認可保育園に移管した保育園です。運営法人は、海老名市、川崎市で複数の保育園運営を行っている、社会福祉法人妙常会です。
 園には、1歳児から5歳児の60名が在籍し、日常の保育活動は1・2歳児の乳児クラス、3・4・5歳児の幼児クラスの縦割り保育を行っています。
 園舎は、南武線武蔵中原駅からバス15分の住宅街にあり、鉄骨造り2階建てで1階を幼児室、2階を乳児室にし、乳児室前には、夏の幼児用のプール、乳児の水遊びや多目的に利用できる広いテラスがあります。園庭には、滑り台、鉄棒、トランポリン、雲梯などの遊具を取り揃えています。
 保育方針として、仏教保育とモンテッソーリ教育を導入しています。仏教の慈しみの心を育む保育環境の中でモンテッソーリ教育による入園から卒園までの一人一人のプログラムを作成し、子どもが自己肯定感を得ながら成長出来る保育環境にしています。給食やおやつは、管理栄養士と調理師の新鮮で旬の食材を使用した手作り食です。香り・食感・味の体験をし、食べることを通して命あるものをいただくことの意味も伝えています。


<特によいと思う点>

1.入園から卒園まで、一人一人の成長に沿った支援を行っています

 1歳児から5歳児までの乳児期、幼児期に必要な成長環境を整え、子どもの中にある命の力、自ら成長しようとする力を大切に育むモンテッソーリ教育を取り入れ、一人一人のプログラムを作成しています。
 自らが興味、創意工夫につながる発達過程に日常生活・感覚・言語・数教育・文化の項目を基に一人一人を観察し、支援するところ、引き伸ばすところなど確認しています。モンテッソーリ教育の資格保有者が、園長、主任、保育士ら5名在籍しており、各クラスのリーダーとして日常の保育活動を進めています。


2.職員に求める人材像を明確にして資質向上に取り組んでいます

 基本方針や中・長期計画の中に求める人材像を明示して、職員に福祉における倫理観や高い専門技術の向上を目指しています。職員のキャリアアップとして、保育の質の向上に向けた年間の研修計画を作成しています。モンテッソーリ教育をはじめ、経験や職務に必要な内部・外部研修の参加を組み込んだ人材育成を行っています。


3.日本の伝統食作りも取り入れ、充実した食育を実施しています

 5歳児を中心にしたクッキング活動があり、年下の子どもも手伝える作業や見学するなど全園児が関われる食育活動にしています。伝統食作りでは、豆を煮て、つぶし、麹に混ぜる味噌造りにも挑戦し、仕込んだ味噌は、給食で皆でいただきます。水羊羹、ぼた餅、イチゴジャム、バターどら焼きなども作っています。園庭の前に農園があり、この農園を使い子どもたちが野菜栽培をしています。野菜の成長の様子を真近で観察することが出来、野菜の栽培から食への興味・関心、食べることの大切さにつながる食育活動となっています。


<さらなる改善が望まれる点>

1.子どもたちの世界が広がる活動の実施

 園では年間の散歩計画により、年齢別、目標、ねらい、歩き方、春の花見、夏の虫観察、秋のドングリ、冬の桃の花見など四季に応じた行き先を細目に分けて計画しています。
 しかし、交通事情や安全性を考えて、現在は散歩の回数は少なく、園庭での遊びが中心になっています。1歳児〜5歳児はルールや知識などを吸収する時期でもあり、散歩により社会性を培う機会ともなっています。今後は、安全対策を万全に行い、職員も子どもと一緒に楽しさを共感できる散歩などの活動により地域社会に接する機会の増えることが期待されます。


2.園の理念等の表現を整合して周知する取り組み

 園の理念・基本方針・保育目標を「園のしおり」「重要事項説明書」に明記しています。また、園だより、保健だよりなど園から発信する情報紙や掲示、インターネットでも数多く紹介しています。
 しかし、掲載する資料によって理念などの表現に統一を欠いています。モンテッソ−リ教育や仏教の教えについても保護者や職員に理解されていない面もあります。理念等の表現方法の検討などにより、関係者に周知し理解を深める取り組みが期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

@ モンテッソーリ教育を取り入れて人権尊重の保育を実施しています。子どもを主体として「一人でできるように手伝うね」と子どもの気持ちを大切に取り組んでいます。子どもの個人の意思を尊重する取り組みになっています。「子どもが自由に選択したものに取り組める」ような環境設定に心がけています。園は民営化2年目になり、環境面においても体制を整えています。


A 保護者からは個人情報使用同意書に署名をもらい、園便り・ホームページ内の写真館・園紹介などに情報を掲載する同意を得ています。特に、写真館はIDパスワードを入力しなければ内容を見ることができないよう保護されています。職員も個人情報の扱いに対しての誓約書を提出、毎日のショート会議を通してもプライバシーの保護に関して徹底した対応を実施しています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

@ 利用者満足の把握に向けて「意見を言いやすい環境づくり」として、行事終了後には必ずアンケートを配布しています。アンケート等は、回収結果を分析して職員で話し合い、記録を残して次年度の運営に活かせるようにしています。アンケートの回収率が十分とはいえないため、アンケート配布時には丁寧に保護者に協力を呼び掛けています。 


A 子ども一人一人の発達に応じた援助をするため、指導計画に沿った個人記録や家庭と園との連絡ノートを活用して支援しています。クラスを乳児と幼児の2クラスに分けてモンテソーリの教育プログラムを中心にした縦割り保育を大幅に導入しています。子ども同士刺激を受ける機会を多くし、互いを思いやる気持ちを育てています。モンテッソーリの教具を使っての遊びを通じて、子どもとしてのやりがいや奉仕する気持ちを体験させています。


B 保護者と年2回の個人面談の他、保育参観や毎月開催される誕生会に家族の参加を呼び掛けています。誕生会では、昼食も一緒にし、忌憚のない意見交換の場としています。毎週発行する園のだより(タッチ)、月のおしらせ、保健便り、給食便り、月2回のクラス便りなど、月に9〜10回の発行を行い、保護者との連携を深めるお知らせ重視をしています。保護者に多くの発信していますが、まだ理解が不十分なため、今後は保護者に知らせる情報発信の工夫が望まれます。


C 毎朝の子どもの受け入れ時の視診と子どもと保護者との会話を大切にしています。乳児は連絡ノート、幼児は出席カードの中の検温欄とノート欄の記入に注意して確認しています。職員は職員連絡ノートに記入して内容確認を徹底して、お迎えの時にその日の様子を伝えています。さらに、その日のクラス全体の様子は、ホワイトボードに記載して掲示しています。保護者の考え方・提案などの把握は、送迎時の他、個人面談、誕生会、懇談会などの対話を大切に活用しています。


D モンテッソーリ教育プログラムを導入して、縦割り保育を基本にしています。天候・気温などにもよります、午後は全園児による園庭遊びを行います。年齢、発達に応じたコーナー設定も行っています。年上の子は年下の子の面倒を見る雰囲気ができており、子どもたちの間で情緒面でも受け入れやすいように配慮しています。保育時間が長い子どもたちにとっても、落ち着いて過ごせる環境となっています。


E 幼児(3〜5歳児)はビュッフェスタイルで、食べたい量を自分でお皿に盛りつけを行って自席に運び、おかわりも用意されています。乳児(1〜2歳児)には、食事の際に箸や皿を置くスペースを刺繍で示したランチョンマットを置いてアドバイスに工夫しています。食育活動の様子を写真入りの説明やクラス便りを掲示して示しています。園の畑で収穫した野菜や季節の野、果物等を玄関や保育室に置いて説明しています。毎月の誕生会では、園児の保護者に試食もしてもらい、意見交換をしています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

@ 保育課程・年間/月間指導計画・週日案計画、すこやか手帳(園医健診・身体測定の記録)など、それぞれ決められたシートにねらい、自己評価、改善策も記録しています。園の保育方針として取り入れているモンテッソーリ教育を基本として、1歳児〜5歳児までの「日常生活の練習」「感覚教育」「言語教育」「数教育」「文化」の5分野のプログラムに沿って保育を行っています。子ども一人一人の発達経過を観察し、入園から卒園までの成長を適切に記録しています。


A 年齢別の事故防止安全配慮チェックリストを作成しています。ヒヤリハットの記録、怪我や発熱、嘔吐の発生状況は書面に残し、保護者や医師にその経緯が分かるようにしています。その後の経過も追記し、職員共有に配慮した保育をしています。 事故防止、感染症、緊急時連絡体制などのマニュアルは、各部屋に設置しています。看護師は保育の現場に入り、子どもたちの日常の健康を把握しています。感染症流行時には予防や対策について、子どもにはわかりやすく説明をして、保護者や職員には適切な対応方法を伝え注意喚起をしています。


B 苦情解決の仕組みについては、苦情処理マニュアルに手順が明示され、主任を窓口担当者・園長を解決責任者、第三者委員の連絡先などが取り決めてあります。園としての対応は苦情受付時には、直ちに園長・理事長への報告と、保護者への迅速な対応を行えるように、その方法が指示されています。

4 地域との交流・連携

@ 園庭開放、人形劇、運動会、盆踊りなど園行事を行い、地域の子育て親子の参加を呼び掛けています。また、高津区主催の未就園の子どもたちと遊ぶ「橘キッズ」に職員が絵本の読み聞かせなどお話会に参加しています。 地域の公園で行われる「公園体操」や高齢者施設に年2回子どもたちと訪問し、高齢者と一緒に遊んだり、歌ったり楽しいひと時を過ごしています。子どもたちは、太鼓を披露し、高齢者の皆さんから大変喜ばれています。


A 川崎市主催の健康管理研修会や栄養士研修会などに参加し、共通の課題や新しい情報を持ち帰り、園に反映しています。高津区主催の作品展には、5歳児と4歳児の作品を出しています。また、高津区の保育祭りや地域の未就園児対象に行われる「橘1キッズ」に職員が絵本の読み聞かせなどに参加し、地域の福祉ニーズを把握しています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

@ 法人独自が開発したシフト票により、一日の受け入れ園児数を10分単位で把握し、この時間に合わせて必要な保育士を算出して職員管理をしています。シフト制の職員は、出勤するとまず業務日誌を確認し、その日の園情報は全職員が把握して共有しています。シフトの変更は柔軟に対応し、無理のない効率的な保育活動ができるような仕組みになっています。


A 園の自己評価、職員の自己評価、保護者からのアンケートなどから課題を明確にしています。園や個人ごとに合った改善策や改善実施計画を立てたて取り組んでいます。計画の作成は、職員で話し合い、最終的な確認・承認は園長や主任が行っています。


B 理念・基本方針の理解のために入園説明会では「園のしおり」「重要事項説明書」を基に説明しています。また、保護者会、懇談会で説明を行い、園だより、給食だより、保健だよりなどの園から発信する情報紙で基本方針などを伝えています。しかし、理念・保育方針・保育目標の表現が発信媒体によって表現に統一を欠いています。園内情報や外部への情報提供も含む情報媒体に統一した表現を期待します。

6 職員の資質向上の促進

@ 基本方針や中・長期計画の中に職員に求める人材として倫理観や高い専門技術の向上を明示しています。保育の質の向上に必要な職員のキャリアアップとしてな年間の研修計画を作成しています。モンテッソーリ教育をはじめ、職員の経験や職務に必要な内部・外部研修の参加を促して人材育成に取り組んでいます。


A 定期的に職員の個人面談を行っています。園内の人間関係や保育状況などに問題があれば園長や理事長によって就業環境を調整しています。子育て中の職員においては、子どもの生活を優先にし、人員体制の変更をしています。

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