かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

特別養護老人ホーム しらゆり園(3回目受審)

対象事業所名 特別養護老人ホーム しらゆり園(3回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 横浜博萌会
対象サービス 高齢分野 特別養護老人ホーム
事業所住所等 〒 245 - 0062
戸塚区汲沢町986番地
tel:045-861-1112
設立年月日 1997(平成9)年05月01日
公表年月 2018(平成30)年12月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

[施設の概要]
特別養護老人ホーム「しらゆり園」は、JR戸塚駅・西口からバスで15分程の、緑豊かで閑静な場所に立地しています。施設は平成9年に特別養護老人ホームとデイサービスを組み合わせた「高齢者福祉センター」として事業を開始し、「訪問介護ほほえみステーション」「汲沢地域ケアプラザ」を併設したほか、地域福祉を担う重要拠点としての充実化を図り地域に根差した事業運営を展開しています。
施設の入所定員は短期入所8名を含めた140名で、3階建ての施設は2・3階部分が居住棟となっており、フロアごとにそれぞれ第一・第二ホームに分かれています。また、各々のホームを2〜3のグループに分け、より小規模化したグループケアを実施しています。
施設の母体である「横浜博萌会」は、医療・福祉が融合する未来像を構想し、昭和62年に社会福祉法人と医療法人を設立しています。
高齢者福祉センターの3つの基本理念「人権の尊重」「ノーマライゼーションの樹立」「共生の実現」に基づき、施設全体で「利用者一人ひとりの主体性を尊重した支援」と「地域社会とのつながりを大切にしたその人らしい暮らしの実現」に向けた取り組みを行っています。


≪優れている点≫

1. 食事の経口摂取に関する様々な取り組みを通じ、利用者の自立度向上と活性化を図っています

利用者の栄養状態の改善による活性化と自立度向上に鑑み、食事の経口摂取に力を入れ、平成19年度から利用者の口腔ケアを継続して実施しています。また、現在は訪問歯科の歯科医・歯科衛生士による専門的な指導の下、月2回定例で各利用者の「経口維持評価」を実施しています。
「経口維持評価」では、全ての利用者を対象に歯と口腔状態に関するアセスメントを実施しています。口腔疾患や口腔内の衛生状況、義歯、食事形態、摂食時の姿勢などの視点から個々の利用者の状態把握に基づいてケアの対象者を選定しています。管理栄養士や看護師、理学療法士、介護職等の複数職種でチームを編成し、姿勢保持のための備品・環境の整備や氷を用いたアイスマッサージ、咀嚼嚥下の機能訓練などの課題に応じて相互に連携し、役割を分担して支援を行っています。昼・夕食前には口腔体操を実施するなど、生活日課にも位置付けています。
「内服アセスメント」を実施して、利用者の嚥下状態に合わせた服薬介助の方法や薬の剤形(粉薬や錠剤、水薬など)選択などを検討して、安全で確実な服薬が行えるようにしています。「食生活委員会」を開催して個々の状況に即した食事形態や介助方法を検討し、実際の支援に導入・反映を行っています。嚥下機能の評価・改善と経口摂取の促進を通じて、施設全体で介護・支援技術を検討する機会を複数設定し、利用者の活性化を図る取り組みを推進しています。


2. 職員の主体的な自己啓発を尊重し、サポートする体制を構築しています

施設では、職員の主体性に基づく知識習得・援助技術向上を奨励し、サポートするための体制整備を行っています。毎年定期的に実施する目標管理面接では、資格取得や研修受講など、職員自ら年度目標を設定すると共に、その習得に向け、独学や研修受講、通信、通学などの手段・方法を必ず確認し、研修に関する情報提供や勤務シフトへの配慮を行うなど、職員の資質向上をバックアップするための様々な対応を実施しています。
また、実務に活用可能な研修や、専門資格の取得にあたっては、「自主研修参加助成要綱」を定め、取得費用の助成を施設としてサポートすることを規定し、広く職員に活用を呼び掛けています。新たな介護・支援技術の獲得や、ケアの質を高めるための調査研究等の取り組みも推奨し、「調査研究グループ活動支援要綱」を規定して、概ね3名以上の調査研究グループに対する費用助成を実施しています。
施設内の調査研究の結果は施設全体で共有し、適宜実務に取り入れるとともに、外部の研究発表大会等の機会を通じて情報発信を行っています。職員の調査研究の実際事例をもとに「触れるケアによるやさしさと癒しの交流」について発表を実施するなど、取り組みの成果も確認され、職員の主体的なスキルアップとともに、施設が個々の取り組みを支援する組織体制が構築されています。


3. 複数の第三者委員を導入し、事業運営の公平性・透明性確保と利用者の権利擁護推進に努めています

施設では、利用者からの苦情・要望を積極的に聴取しています。事業運営の公平性・透明性の確保に向け、様々な場面で第三者委員を設置し、積極的に外部の視点を取り入れる工夫を行っています。第三者委員は、センターに寄せられた苦情に関する助言指導と解決策の提示を行う「福祉サービスに関する苦情解決」をはじめ、苦情等の通報者の保護を図っています。適切な苦情処理に必要な措置を行う「公益通報者保護」、利用者と直接話し合い意見・要望の提起を行う「福祉モニター」、施設の入退所判定に参画し入所選考の透明性を図る「サービス調整委員」も配置しています。
各々の第三者委員については設置要綱を規定して、各委員の目的と関わりの内容・手順等の明確化も行っています。また、横浜市介護相談員派遣事業に基づく戸塚区派遣介護相談員の受け入れを実施しています。センターで実施する苦情解決とは別の視点から利用者・家族の意見・要望を聴取し、改善に活かすなど、積極的に外部の視点を取り入れ改善を図る機会を複数設定しています。
これら複数の第三者委員との関わりを通じて、利用者一人一人の尊重と権利擁護を推進するとともに、職員の自覚と意識向上につなげています。また、第三者との連携を通じて適切な利用者支援のあり方を模索する取り組みが、施設及びセンター全体のサービスの質向上にも活かされています。


≪課題や改善することが期待される事項≫

1.利用者一人一人の安心感を高めるための、少人数ケアの推進

施設では現在、利用者の個別空間の確保に向け、仕切りの設置による準個室化に向けた取り組みを推進しています。第一ホーム・第二ホームをそれぞれ2〜3のグループに分けて調理プログラムを実施したり、利用者一人一人の個別性に配慮し、入浴や排泄介助を実施するなど、より家庭的な環境作りと個別ケアの実践に努めています。
食事前に実施する口腔体操の際、レクチャーする職員がフロアの全利用者に対して発声練習や咀嚼のトレーニングを呼びかけ、他の職員が補助的にサポートする画一的な対応となっています。自分から意欲的・主体的に参加を行う利用者がいる一方で、場所によっては職員の声掛けや関わりが十分に行き届かない状況もあります。沈黙のまま過ごされる利用者がいるなど関わり方の差異が見られます。
利用者の当日の気分や体調など、利用者の状況によってはプログラムの参加が難しい場合もあると思われますが、興味や関心・意欲に乏しい場合の検討が望まれます。周囲の変化に気づきにくい利用者に対しても、少人数を対象とした関わりを通じて孤立感を防止し、安心感と自尊心を高める関わりの工夫に期待します。


2.利用者の潜在的な要望・意見を聴取するためのさらなる取り組みが期待されます

施設では利用者・家族からの苦情・要望を聴取するための取り組みとして、意見箱の設置や利用者懇話会、家族懇談会を実施しています。苦情解決のための第三者委員や福祉モニターの設置、派遣介護相談員による定期訪問など、外部の様々な第三者委員を招いて積極的な意向・要望把握に努めています。
しかし、利用者等の状況から施設に対する潜在的な要望意見が複数確認されます。積極的な苦情には至らないものの、施設や職員への気兼ねなどから「意見を伝えづらい」「要望はあまり言えない」といった意見もあります。
第三者委員の来訪日時を事前に周知し活用を促す仕組みづくりや、利用者・家族アンケートの内容検討など、潜在化しやすい要望や意見を積極的に聴取・把握するための新たな取り組みが期待されます。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

@ 施設の基本理念として、1.人権の尊重 2.ノーマライゼーションの樹立 3.共生の実現 を掲げています。また、理念の実践に向けた支援方針として、利用者への敬意と主体性の尊重、家庭的で楽しみのある生活の提供、地域社会への参加と連携を明示し、施設全体で利用者一人ひとりの個別性を尊重した支援に取り組んでいます。

A 就業規則・服務規律において不適切行為の禁止を明文化するとともに、新任研修や内部研修を通じて高齢者福祉に関する法規範・倫理等に関する職員教育を行っています。また、年1回センター長講話を通じて利用者尊重・法令遵守等について説明し、職員の理解と実践を促しています。他施設で発生した不適切事例は、報道記事を回覧して朝礼で周知して注意喚起を行うほか、内部研修で取り上げるなどして、職員への認識強化を図っています。

B 新規採用時の新任研修のほか、センター全体及び施設独自に内部研修を定期開催して、利用者の権利擁護と個人情報・プライバシー保護、虐待防止に関する教育研修を実施しています。また、「センター長講話」を通じて基本理念や職業倫理、人権擁護等について説明し、職員の自覚と認識の向上に努めるほか、守秘義務・個人情報保護に関する誓約書を全職員から取得し、個々の意識付けを図っています。

C 緊急やむを得ない場合を除き、身体拘束を実施しない旨を重要事項説明書に明示しています。身体拘束廃止、介護事故防止、リスクマネジメント等の検討委員会を複数発足し、毎月定例開催して利用者の権利擁護と行動制限・身体拘束の廃止等に向けた検討・協議を実施しています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

@ 利用者一人一人が「その人らしく、家庭生活の延長線上にある暮らし」となることを尊重し、起床や就寝時間を柔軟にするなど、個々の生活リズムに合わせた介護支援を実施しています。サービスの提供にあたっては、利用者・家族から直接意見を聴取するほか、生活歴シートを用いて生活背景や信条、趣味嗜好等を情報収集し、職員間で共有しています。

A トイレや浴室は引き戸を採用し、内側にカーテンを設置して外部からの視界を遮断するほか、居室はカーテンを用いてプライバシー確保に努めています。居室にはスペースの許す範囲で家具や物品の持ち込みが可能となっています。施設の重点目標に「安心・安全で快適な生活環境の整備」を掲げ、平成30年度からパーテーションを活用して準個室化を推進する予定となっています。

B 専任の理学療法士を配置し、利用者ごとに個別の機能訓練計画書を作成し、機能回復に向けた支援を実施しています。機能訓練計画書に個々の達成目標と改善課題、具体的な支援方法を明示して、職員間で情報共有し一貫した対応に努めています。機能訓練は日常生活の動作を通じて改善を図る「生活リハビリ」を中心に、更衣や立ち上がり動作、立位保持に加え入浴時の関節の曲げ伸ばしを行うほか、ラジオ体操や食事前の口腔体操なども取り入れています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

@ 利用者のアセスメントは独自様式のアセスメント表を用い、入所時に利用者の健康状態や身体機能の状況を確認するほか、看護や介護、リハビリ、栄養士、相談員等の専門職が参加して各々の視点から現状の評価と課題の抽出を行い、課題を明確化しています。また、利用者本人・家族と面談を実施して意見を聴取するほか、家族から専用書式に生活歴を記載してもらうなど、書面と聴き取りの両面で情報収集し、詳細かつ正確な状況把握に努めています。

A 事故対応マニュアルを整備し、事故防止に向けた職員研修を定期的に開催しています。事故・ヒヤリハット事例は専用の報告書に記録し、発生要因や対応結果、対策立案なども併記して以後の対策に活かしています。センター全体で「介護事故防止検討委員会」を毎月開催し、部門毎の統計と要因分析を実施するほか、統計結果を事故・ヒヤリハット分析簿に記録し、発生場所や曜日・時間帯等をグラフ化して全職員に周知しています。

B 施設長を苦情解決責任者に選任し、説明とともに施設内に苦情解決体制を掲示して周知しています。正面玄関や各フロア入口などの随所に意見箱を設置し、随時利用者・家族から苦情・要望の把握に努めています。横浜市介護相談員派遣事業に基づき、戸塚区派遣介護相談員を導入するなど、利用者・家族から意見・要望の聴取を行う機会を複数設定しています。家族懇談会や家族懇談会も定期的に開催し、意向の把握とともにサービス内容の改善と反映に活かしています。

4 地域との交流・連携

@ 必要な関係機関や地域の団体等をリスト化し、緊急時に適切な対応が取れる体制を整備しています。福祉保健センターや各行政機関をはじめ、地域の様々な医療・福祉関係機関と随時連携を図っています。地域の高齢者福祉施設34か所が合同で開催する「西横YW談話会」に参加し医療介護の連携のほか、地域の高齢化や利用者の重度化、介護離職など様々なテーマで情報交換や勉強会を開催するなど、地域の関係機関同士で相互に課題共有しながら、地域連携の推進・強化を図っています。

A 施設の所属する高齢者福祉センターと地元自治会・町内会、同敷地内に立地する法人関連の「横浜いずみ学園(児童心理治療施設)」、「子どもの虹研修センター(日本虐待・思春期問題情報研修センター)」が共催して毎年恒例の納涼祭を開催し、利用者家族をはじめ、地元の老人会や保育所等にも広く参加を呼びかけ、多世代の交流と福祉の普及啓発に努めています。盆踊りや七夕祭りなど地域行事への参加を行うほか、地域行事への備品貸し出し等も随時実施しています。

B 「汲沢地域ケアプラザ」を併設し、施設建物の1Fに図書館や会議室、多目的室等を設置して、随時地域住民に開放しています。地元自治会や地域の民生・児童委員の定例会の会場として施設の会議室を貸し出し、施設長も定例会への参加を行っています。地元小学校から施設見学や慰問を受け入れるほか、中高生の職業体験学習の受け入れを実施するなど、積極的な地域交流の推進に努めています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

@ 就業規則・服務規律において不適切行為の禁止を明文化するとともに、新人研修や内部研修を通じて高齢者福祉に関する法規範・倫理等に関する職員教育を行っています。また、年1回センター長講話を通じて利用者尊重・法令遵守等について説明し、職員の理解と実践を促しています。他施設で発生した不適切事例は、報道記事を回覧したり朝礼で周知して注意喚起を行うほか、内部研修で取り上げるなどして、職員への認識強化を図っています。

A 施設の運営状況は、法人・施設のホームページや行政のポータルサイト等に財務諸表を掲示して公表しています。また、年度の事業計画を広報誌に掲載して広く配布しているほか、家族懇談会でも公表して内容説明を実施し、周知に努めています。

B 2017〜2022年の5か年でセンター全体の中長期計画を策定し、重点課題の具体的な内容と実施時期、活用すべき資源等を明示して計画的に推進しています。課題抽出にあたっては全職員がSWOT分析に参加し、利用者の医療対応と認知症ケアの充実化、プライバシーに配慮した居住空間の確保、共生社会の実現に向けた地域連携の推進・強化など、次世代に向けた具体的な課題を明示し、年度ごとの事業計画に盛り込むとともに、定期的な達成度評価も実施しています。

6 職員の資質向上の促進

@ 「介護職員キャリアパス要綱」を定め、職種や経験年数等に応じた役割・責務の期待水準を明示しています。また、全職員を対象に目標管理面接を実施し、随時に職員ごとの目標設定と達成状況の確認・評価を行っています。専門資格の取得や知識・技能の習得に向けては、通信や通学・自己学習など、学習方法についても聴取し、研修の受講勧奨や勤務調整、費用の助成など様々なサポートを行っています。

A 経験年数に応じた業務の期待水準と後輩・部下の育成指導、管理等の役割を明確化して中間管理層の段階的な育成を図っています。また、「キャリア段位制度」の導入に向けた試行事業を推進し、主任・副主任を育成指導の評価者として外部のアセッサー(職員をアセスメント)養成研修に派遣するなど、次期のスーパーバイザー育成に向けた計画的な取り組みを行っています。

B 目標管理面接を通じて、個々の職員から職場満足度や業務に対する意見・要望を聴取し、意向把握に努めています。また、職員の主体性を尊重し、内部研修のグループワークを通じて職員間で相互に介護技術の検討・評価を行う機会を設定しています。また、職員の業務改善に関する提案・意見をホーム会議等で積極的に取り上げ、職員間で協議し実務に反映する仕組みを構築しています。

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