かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

アゼリアうみ風

対象事業所名 アゼリアうみ風
経営主体(法人等) 社会福祉法人 県央福祉会
対象サービス 障害分野 多機能型事業所
事業所住所等 〒 253 - 0017
茅ヶ崎市松林1-17-17
tel:0467-53-8122
設立年月日 2016(平成28)年04月01日
公表年月 2018(平成30)年12月 〜
使用評価項目 東京都版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)
<事業所の特色>
「アゼリアうみ風」は茅ヶ崎市松林にある、利用定員が23名の就労継続支援B型の施設です。障がい者への「自立支援」を目的に、一人ひとりの利用者の意向を尊重するきめ細やかな支援を行っています。事業所は多機能型事業所として運営していましたが、就労継続B型事業所に一本化するように推進しています。
運営は社会福祉法人県央福祉会が行い、理念を「1)人権の尊重とサービスの向上を図る。2)インフォームドコンセント及びエンパワーメントを大切にした利用者主体の支援を行う 。3)地域との共生 。」としています。事業所は「誠実さと積極性、明るさ。」「コミュニケーション能力」「失敗をもとにして、次の方法を考えるというような謙虚と粘り強さ。」の職員には、「人権尊重、利用者主体のサービス。」「上記を達成するための日々の勉強。」を期待しています

<特に良いと思う点>
1.職員間の情報共有に力を注ぎ、チームでの活動がスムーズに効果的に進むよう取り組んでいます

利用者への支援や作業について気づきや工夫の共有化を図り、チーム力を発揮できるよう情報伝達に留意しています。毎朝の朝礼と職員会議を月2回実施し利用者の状況や作業内容、売り上げ状況を確認しています。非常勤職員が多く、勤務時間が異なるため、情報共有には注意し情報共有ノートを使い報告・連絡・相談を補強しています。職員一人ひとりが自分の意見を言える、他人の意見を否定しない雰囲気があり、互いに尊重し合い、十分コミュニケーションが取れています。職員が同じ方向性を持ち、チームワークで意欲的に作業の推進を図っています。

2.利用者の意向を汲んだ個別支援計画に基づいてきめ細やか支援を行っています


職員は利用者一人ひとりの支援計画に基づいて支援をしていますが、日々のミーティングの中でも、利用者意向への対応や処遇について話し合い、行動しています。例えば、時間外の作業を希望する利用者については、その間必要な休息をとるために、休憩室の畳やベッドで体を休めることが出来る様にしたケースがありました。この例に限らず、一人ひとりの利用者の意向を尊重するきめ細やかな支援が行われています。

3.利用者一人ひとりが働きやすい環境整備に努めています

様々な刺激に弱い利用者のために、新たにパーテーションで仕切った作業室を2階に設置しました。作業室自体が他の人の声などを遮断しています。さらに室内の作業台は、一人ひとりの席に仕切りを設置し、利用者が隣を気にせずに作業に集中できるように工夫をしています。利用者一人ひとりに寄り添い、働くうえで利用者が十分に力を発揮できるように支援しています。職員は、その日の利用者の心身の状況や希望、その他の事情を踏まえて、利用者が仕事をしやすい支援に取り組んでいます。


<さらなる改善が望まれる点>

1.人材育成計画の策定及びキャリアパス制度の構築が期待されます

職員と上司が面談する中で目標を定め、その達成度合いを自己評価し、上司も評価を行うチャレンジシートを活用しています。チャレンジシートは法人が管理し人事制度の一環を担っていますが、明確な形でキャリアパス制度及び人材育成計画の設定はされていません。職員の目標とすべき人材像を定め、職種や職層別に整理し、昇進・昇格、賃金水準、必要となる技術水準について具体的に定めるキャリアパス制度や人材育成計画の策定を行い、職員に周知されることが期待されます。


2.組織的・計画的なマニュアル作成への取り組みが期待されます

現在用意されている業務に必要なマニュアル類は、法人レベルで作成されたものをそのまま参照する形になっています。組織として必要な内容が網羅されていますが、事業所独自の面が反映できていない懸念が感じられました。マニュアルは現場での活用の視点で記述されることが大事です。所長もその必要性に言及されており、速やかな修正活動が望まれます。事業所内のマニュアル修正の取り組みを通し職員のレべルアップにも結びつけることができます。事業所独自のマニュアルの整備が期待されます。


3.緊急事態に遭遇した場合に備える事業継続計画の策定が期待されます

リスクへのマニュアルや手順書を整備し、交通事故や怪我、服薬ミスや感染症の予防対策を行い、防災訓練を実施するなど個々への危機管理対策を取っています。しかしながら、自然災害や大火災、深刻な事故など業務を停止させるほど緊急事態に遭遇した場合に備える事業を継続するための事業継続計画は未整備となっています。今後は策定作業を行い、緊急事態に備えて周知や訓練を図っていくことが期待されます。


<事業所が特に力を入れている取り組み>

1.多機能型事業を一本化し、就労継続支援に力を入れ工賃アップに取り組んでいます

開所以来2年間、多機能型事業所として就労移行支援と就労継続支援B型の事業を運営してきました。就労継続支援B型としての実績は上がりましたが、就労移行支援としては利用者のミスマッチの入所であったり、プログラムの運営が困難であり、就労へ結びつけられませんでした。所長は周辺事情を勘案し、就労移行支援の現状について利用者・家族に説明し、職員と検討して就労継続支援B型事業所として一本化する方針を決定しました。法人理事会の承認を得て、県の認可を受け、2018年10月に就労継続支援B型の事業所として支援を行うようになりました。利用者支援に力を入れ、出勤率を上げ、工賃アップに取り組んでいます。


2.運営に必要な書類の整備や掲示を行い、整理・整頓を徹底し活用を図っています

基準書や手順書、各種会議録、個別ファイル、収支試算表など業務運営に必要な書類を整備しています。個人情報の同意書では、利用者からの収集が不十分でしたが、取得を徹底しています。個別支援計画は運用上不十分な面がありましたが、内容を整え支援に活かしています。作業マニュアルは写真や分かりやすい文字で説明し、利用者が活用しやすく袋で整理しています。これらの書類は鍵付き書庫に保管され、机に置いても利用しやすくしています。事業所内の掲示物も有効に分かりやすく掲示しています。


3.職員会議等で販路拡大について検討を行っています

職員会議で販路拡大などについて検討を重ねています。今年度、新たに2件の受注先を確保しています。新たに利用者の選択できる作業種が増えました。受注先の開拓については所長を中心に企業を訪問するなど、積極的に取り組み、安定した作業の機会が確保できるように努めています。製菓商品については、地域のお祭りや学校、企業などに利用者も同行して、販売に参加しています。また、製菓商品の説明用の綺麗な色彩のチラシを作成しPRに努めています。



評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

@ 契約時に個人情報の取扱について説明し、「個人情報同意書」により了解を得ています。個人情報を外部とやり取りする場合は、「個人情報使用同意書」に基づき行っています。ボランティアや実習生等には守秘義務の条項を含んだ契約書を交わしています。

A 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動や虐待が行われることのないよう、組織的に日常の支援方法の見直し、警告等を実施しています。虐待防止や接遇などをテーマにする研修に職員が参加しています。虐待被害にあった利用者がいる場合は事故対応マニュアルに則って対応をし、内部での処理が難しい時には法人の苦情等解決規定に沿って対応しています。

B 日常の支援方法については利用者との話し合いの上で決めています。事業所運営上やむを得ない場合を除き、利用者一人ひとりの価値観や自由を最大限に尊重しています。法人で苦情等解決規定や第三者評価制度などを活用しています。これらを継続的に実施する中で相互の連携や利用者、職員の意識改革などが着実に進んできています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

@ サービスの開始にあたって利用者側に伝える必要のある基本的なルールや重要事項等は契約書や重要事項説明書などの書類を使って説明をしています。利用者の状況に応じた分かりやすい言葉で丁寧に説明するよう努めています。重要事項説明書には事業所のサービス提供の内容が詳細に示され、利用者の納得を得ています。聞き取った利用者や家族の意向は、記録し職員間で共有しています。

A 個人の理由で他の事業所に移った利用者がいます。必要に応じて移動先の事業所と連絡をとるなど柔軟な対応をしています。当事業所から就労を希望する利用者がいる場合には、見学等に付き添い、希望に沿えるように支援しています。サービス終了後には必要に応じて移動先の事業所と連絡をとるなどで利用者の負担を軽減する方針をとっています。

B 精神障害や発達障害の特性に応じた、声掛けや相談などを行っています。作業中の声の掛け方については、特に気を付けています。作業の一区切りがついたところで、話しかけるなど配慮しています。相談については、利用者が職員に気軽に話しかけ、相談しやすい環境を大切にしています。利用者が自ら相談の思いを発信できる方は少ないです。自身の思いの発信が少ない利用者を含め、各利用者の思いを汲み取ることを大切にしています。

C 一人ひとりの健康状態について把握しています。また利用者の特性について、身体的側面及び精神的側面を職員は、十分に理解し、日常の支援を行っています。利用者の体調変化に速やかに対応できる体制を整えています。家族が用意してくれた対処方法についても備えています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

@ 新所長の着任により、単年度事業計画の一部事業の見直しを図り、就労継続支援B型に一本化した事業運営を行っています。「@利用者への支援をより丁寧に行うこと、A利用者が望む工賃アップに向けた取り組み、B書類の整理・管理を徹底すること、C利用者と職員が誇りを持ち働ける魅力ある事業所づくり」を目指しています。計画推進にあたり、年間計画予定表、会議議事録、利用者伝達事項、個別支援計画、収支試算表等を整備しています。

A 法人作成の各種マニュアルがあり、それを基に事業所でリスク対策を行っています。事業所のリスクの優先順位は地震・津波・火災に対する防災関係が1番で、防災計画を立てています。災害発生時マニュアルや自動火災報知設備、ヘルメット等の災害備品を用意しています。事故については作業製品の納品に車を利用するため交通安全対策を重視しています。怪我や服薬ミスなどの事故報告書やヒヤリハットを記録し事故原因を明らかにし、今後の予防対策に努めています。

B 必要な情報の適切な収集、管理や保護についての文書管理規定があります。収集した情報や書類は整理し、事務室の鍵付き書庫に保管し、職員は日常的に使用しています。「個人情報の保護の関する方針」を定め、個人情報の適切な収集、利用、提供の実施 、安全性確保の措置等についてルールを定めています。契約時には「個人情報の提供に関する同意書」についての説明をし、利用者の署名・捺印を得ています。

4 地域との交流・連携

@ 利用者・職員が参加する利用者会議では給食の当番制やレクリエーションへの要望などの意見や提案が出ています。町内会長や近隣福祉施設との会合で地域の現状や福祉ニーズを捉えています。行政や福祉業界の動きは県・区行政、法人等から来るメールサービス、研修会や講習会に於いて情報を収集しています。各種情報や福祉ニーズを分析し事業所の課題を抽出しています。

A 見学者や訪問先、関係機関などにパンフレットを配布し、地域に事業所の活動情報を伝えています。実習生を受け入れるためのマニュアルを整備し、本年度は3名の養護学校からの実習生を迎えました。

B 事業所の大家さんを通して町内会とつながり、地元の祭りへの参加や神社に自主製品を奉納するなど地域との関係に努めています。地区精神障害者就労推進連絡会に所属し、一般人向け勉強会などのイベント提供や情報交換、意見集約をしています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

@ 事業所では法人理念や方針、ミッション、行動指針を職員会議などで唱和・確認し、入所時には利用者及び保護者に説明しています。所内に掲示し、日常的に目に触れ意識づけや振り返りをしています。就労移行支援と就労継続支援B型という2つの事業を運営していましたが、実績制度利用の選択が困難な面もあり、周辺事情を勘案して就労移行を廃止して一本化に取り組みました。職員の賛同を得、利用者・家族への説明を行い、法人本部の承認のもと2018年10月に県への申請が受理され、B型の新たな取り組みを開始しました。

A 制度改正など重要な案件は月1回開催される法人の経営企画会議で議案として検討され、理事会の承認を受けて毎月開催の所長会議で報告されます。所長会議で出された重要な決定事項はその経緯を含めて職員会議で伝達し、参加できなかった職員は議事録で周知しています。利用者には利用者会議、保護者には家族懇談会で説明し、プリント配布や掲示をしています。事業所の課題であった就労移行の廃止については利用者・家族の意向を面談で把握し、職員間で議論し方針を決定しています。

B 入社時には法人の研修委員会による新人職員研修会を実施し、「職員ハンドブック」を配布しています。職員ハンドブックにはコンプライアンス、職員倫理行動綱領や倫理行動マニュアル、就業規則等があり、職員はハンドブックを教本として学んでいます。福祉サービスに関わる業種であり、法人により毎年数多くの人権研修が実施され、利用者の人権を重視した取り組みを行い、全職員が研修に参加しています。また、職員会議で、倫理行動マニュアルの読み合わせを行い、利用者に対する支援の在り方、信頼関係を築くことを確認しています。

6 職員の資質向上の促進

@ 常勤及び非常勤職員の採用は法人の人事部が行っています。法人人事部から依頼を受け、事業所での見学、実習、面接を5日間行っています。採用に関しては誠実な人材を基本にしています。特技や特性に合わせた配置を基本にしていますが、現状は近年の人手不足の状況です。また、人事の決定は法人にありますが、事業所からの意見具申を行って反映しています。

A 職員と上司が面談し目標を定め、業務に取り組み、その達成度合いを自己評価し、上司も評価を行うチャレンジシートを活用しています。チャレンジシートは法人が管理し人事制度の一環を担っています。職種や職層別に体系的に整理し、必要となる技術水準、昇進・昇格、賃金水準について具体的に定め、職員に周知されることが課題となっています。法人が実施する研修には参加していますが、職員各人に対する研修計画を作り、育成する取り組みが必要です。

B 就労継続支援B型に一本化し工賃アップに向けた工賃目標を掲示し、その達成に向けて取り組んでいます。職員一人ひとりの気づきや工夫の共有を図り、チーム力を発揮できるよう、毎朝の朝礼と職員会議を月2回実施し製菓作業や受注作業の売り上げ状況を確認しています。非常勤職員が多く、勤務時間が異なるため、情報共有には注意し「利用者伝達ノート」(情報共有ノート)を使い報告・連絡・相談を補強しています。所長は職員間の良好な人間関係を築くために定期的な飲み会を行い、親睦を深め、チームワークでの取り組みが効果的に進むようリードしています。

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