かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

川崎市 くさぶえの家

対象事業所名 川崎市 くさぶえの家
経営主体(法人等) 社会福祉法人 川崎市社会福祉事業団
対象サービス 障害分野 生活介護他
事業所住所等 〒 231 - 0013
高津区末長3-25-8
tel:044-888-6692
設立年月日 1989(平成元)年07月01日
公表年月 2018(平成30)年11月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社 R−CORPORATION
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の概要・特徴】
●川崎市くさぶえの家は、社会福祉法人川崎市社会福祉事業団(以下、法人という)の経営です。法人は、障害者関係施設20施設、高齢者関係施設6施設、児童関係施設9施設を川崎市全区に展開し、地域の福祉ニーズに貢献しています。川崎市くさぶえの家の運営方針は、「様々な行動障害のある自閉症者に作業支援・生活支援を行うことにより、利用者一人ひとりが地域で自立した生活ができるように支援します。」とし、自閉症の障害者に特化した支援に取り組み、市内唯一のパイオニア的な施設として行動障害等を伴う重度の利用者を積極的に受け入れています。また、相談支援員がケアマネージメントの技法を活用して支援を行う「くさぶえ地域相談支援センター」を併設し、川崎市の委託事業として在宅の自閉症者を支援する短期支援事業、障害の普及啓発を目的に講座の開催、専門書籍の貸し出し等の幅広い活動を行っています。

●川崎市くさぶえの家はJR南武線武蔵新城駅から徒歩13分位、高津区の中央に当たり、中原区の新城、宮前区の野川に挟まれた地域にあり、地理的には第三京浜の京浜川崎インターの近くの静かな住宅地に位置しています。施設建物は2階建てで1階部分を川崎市くさぶえの家としています。利用定員は生活介護24名、自立訓練6名ですが、契約者30名は生活介護を利用しています。地域サービス事業での短期支援事業では利用者が大幅に増加し、独自の施設利用満足度調査でもほぼ100%の満足度を得ている事業所です。

【特に良いと思う点】
【1.自閉症利用者の生活介護】
川崎市くさぶえの家では、朝と帰りに体操プログラムを提供し、健康増進・維持の他、コミュニケーションの向上も目的として継続して実施しています。併せて、集団行動の練習や周囲の行動を見て対応できるスキルも育んでいます。体操は機器を使わずマンパワーで行い、リーダー役の支援員が見本を示し、種目ごとに数を数える等、わかりやすさを第一にして進めています。また、体操を通じて話を聞く・理解するスキルが身に付けられるよう努めています。利用者一人ひとりが身体の動かし方を理解する機会であり、支援員との取り組みがコミュニケーションにもなることから、外部に体操の効果を伝えています。

【2.自閉症専門機関としての地域支援】
川崎市くさぶえの家は、生活介護と自立訓練の2種のサービスを提供していますが、現状、自閉症の生活介護での利用者が100%の状態です。隣接区に留まらず、川崎市全域における自閉症の専門施設として指導的な立場にあり、短期支援事業、社会自立促進事業、くさぶえ文庫開放事業、自閉症実践療育講座の開催等、自閉症の理解促進の中心として活躍しています。特に、自閉症の行動特性(「同一の課題に集中できる」)をストレングスと捉えたサポートとして、体操・作業プログラムを提供して推進しています。

【3.職員教育の推進】
川崎市くさぶえの家では、療育指導相談員(スーパーバイザー)の助言を受け、職員の支援技術、特に、自閉症に特化した支援技術の向上に力を入れています。職員は、自閉症者の特性の理解を深め、個性をストレングスとして発揮できる為の生活支援、個別ニーズに対応した個別支援計画の作成、利用者の発する言葉や行動に向き合い、あいまい・変更・変化が苦手な特性への配慮等を含む、支援技術向上の研鑽を図っています。また、利用者の多くは意思伝達が苦手であることを理解し、伝えようとする姿勢(快・不快、喜怒哀楽)を見逃さないよう日々の様子、観察に努め、利用者一人ひとりの気持ちを推し量って支援しています。

【更なる改善が望まれる点】
【1.利用者の更なる受け入れと支援について】
利用者が落ち着いた生活を獲得し、他施設への移行や就労により川崎市くさぶえの家に利用の空きができることでしょうが、現状難しいことも調査訪問により理解ができました。併設している「くさぶえ地域相談支援センター」の活動の中で、ケアマネージメントの技法を活用した支援の拡大及び専門的な支援を必要とする自閉症者に対し、より一層の短期支援事業等を通した情報・理解を促す啓蒙活動を期待しています。

【2.更なる情報の共有について】
利用者個々の情報をミーティング等で共有するシステムは構築されていますが、状況の変化が目まぐるしいケースの場合等、全体で情報の共通理解を図る過程で事態が進展してしまうケースが稀に生じることを懸念し、状況に応じた情報共有を図る工夫が必要に思われます。全職員が当事者意識で聞く体制はできていますが、特に、業務繁多で優先の時期には、回覧板、毎朝・夕の引き継ぎ、日誌の確認等の活用以外にも互いにタイムリーな情報を確認し合う体制の整備を期待いたします。

【3.自閉症利用者の地域受け入れ支援について】
自閉症利用者は外見では、どのような障害かがわからないこともあり、近隣等に誤解を生じさせる場合もあります。施設として独立していることもあり、近隣との交流が限られている点においても理解につながらないケースとして考えられます。地域に開かれた施設を目指す一環として、職員が講師として講義等を更なる機会を開拓し、ボランティアの受け入れも積極的に行う等、徐々に理解を広げ、障害を正しく理解してもらえるよう更なる活動に取り組んでいかれることを期待いたしております。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ●日常生活の支援では、利用者の多くは意思表示が苦手であることを理解し、意思を伝えようとする姿勢(快・不快、喜怒哀楽)を見逃さない等、日々の様子観察に努め、気持ちを推し量るよう心がけています。通常のコミュニケーションの他、「イエス・ノー」形式のクローズドクエスチョン、写真・絵・文字など非言語コミュニケーションを活用し、真意の把握に努めています。行事や食事などは「利用者の会」に提案し、希望を聞き、終了後には感想を聞く等、利用者を尊重したサービス提供に努めています。
●利用者を尊重したサービスについては、毎月、SV(スーパーバイザー)を交えた「ケース検討会」を実施し、職員間で共通の配慮と適切な支援を行っています。虐待防止に関しては、虐待防止のスローガンを事務所に掲示して啓蒙し、「権利擁護委員」を中心に職員会議、 SV 会議でマスメディア等での事例を検証し、原因・対応について検討する等、研鑽を図っています。くさぶえの家では、利用者の障害特性に配慮した支援技術の向上に主眼を置き、支援員の指導に力を入れています。
●個人情報の取り扱い、プライバシー保護については、「個人情報保護に対する基本方針」を定め、遵守しています。情報提供が必要な場合には、「個人情報提供同意書」を備え、本人・家族・後見人の了承を得、利用契約書にも「個人情報提供の機会」がある旨を記載しています。また、実践報告資料等で写真等を使用する場合は、写真利用の同意を得るよう個人情報に配慮しています。利用者に対しては、利用者一人ひとりの気持ちを理解し、生活場面等で適切な配慮と支援を行い、利用者自身の行為に主眼を置くのではなく、行為に至る経緯を前後関係から探り、寄り添う気持ちで支援しています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

●毎年、利用者満足の把握に向けて法人で利用者・家族に対して「施設利用満足度調査」を実施しています。「施設利用満足度調査」は、障害特性に配慮した独自の調査書を作成し、各設問に意見欄を設けることで多くの意見を収集して支援・運営に生かす等、利用者の満足度につながっています。新たに「利用者の会」を発足し、会の会長・副会長は利用者間で選挙にて決定を行い、プログラムや環境について職員と意見交換の場を設け、意見箱も併せて利用者の声を大切にし、利用者満足に向けて取り組んでいます。利用者満足の向上については、「施設利用満足度調査」の結果を反映させて職員会議で実施計画(改善策)を立案し、年度末に計画の実施状況の確認を行い、年度初めに利用者・家族に報告をしています。満足度は年々上昇が見られ、概ね100%の満足を得ています。

●利用者からの意見や要望は、意見箱、「利用者の会」での意見交換や、利用者個々のコミュニケーションの場等で意見を集約し、サービス改善に努めています。実現困難な事柄については理由を説明し、代替案を提案しています。やり取りは言語コミュニケーションを主とし、非言語コミュニケーションを駆使して真意を深め、要望は提案と選択性を心がけるようにしています。利用者が相談しやすい環境については、サービス管理責任者、担当職員が要望を聞く機会を設け、併設するくさぶえ相談支援センターの職員が利用者に意見を聞く等、複数の相談相手や相談方法の環境を整えています。

●障害特性や個別ニーズに応じた支援プログラムを提供し、全てのプログラムに日課を明確にして、「始めと終わりがわかりやすい」、「数的提示」、「模倣」等、様々な課題のある自閉症者に配慮したプログラムを提供しています。さらに、集中力、持続力、達成感、コミュニケーション能力等の獲得につながるよう、本人の自信にもつながる流れを大切にして支援に取り組んでいます。余暇活動では、課題の理解度、体操では体の使い方等を観察し、個々の課題の検討材料にしています。また、理解のしやすさは、口頭で伝える際の声のトーンの工夫や言葉にも配慮し、コミュニケーションの幅を広げられるようにしています。


3 サービスマネジメントシステムの確立 ●川崎市ホームページ、法人ホームページ、パンフレットに掲載して情報を提供し、体験実習ではパンフレットを用いて施設概要について個別に説明しています。契約時には個別支援計画を提示し、利用者の希望を優先する旨を説明しています。また、スケジュールの変更、環境の変化が苦手な自閉症の障害特性を理解し、事前の説明に写真等を活用して視覚的にイメージいただく等、不安・ストレスの軽減を図っています。入所直後の更生相談所によるCARS(自閉症尺度)検査、家族からの聞き取り、行政機関など関係機関と連携を行っています。
●個別支援計画は、相談支援センターの作成する計画相談を基にサービス管理責任者が作成しています。サービス管理責任者は、日々のミーティングや連絡帳から進捗について確認し、遂行の指示を促し、統一された進行の取り組みを行なっています。職員会議では新たなサービス提案を励行し、利用者からの聞き取り、実施の様子観察等を集約した情報の他、相談支援センター主催のサービス担当者会議の内容も踏まえ、個別支援計画の作成につなげています。また、「1行日誌」を支援員に課し、利用者の毎日の様子、特記事項をまとめ、モニタリングに活用し、共有しています。
●個別支援計画は、相談支援センターの作成する計画相談を基にサービス管理責任者が作成しています。サービス管理責任者は、日々のミーティングや連絡帳から進捗について確認し、遂行の指示を促し、統一された進行の取り組みを行なっています。職員会議では新たなサービス提案を励行し、利用者からの聞き取り、実施の様子観察等を集約した情報の他、相談支援センター主催のサービス担当者会議の内容も踏まえ、個別支援計画の作成につなげています。また、「1行日誌」を支援員に課し、利用者の毎日の様子、特記事項をまとめ、モニタリングに活用し、共有しています。

4 地域との交流・連携

●地域に対しては、川崎市ホームページ、法人のホームページ、掲示板の活用、パンフレットの作成、「くさぶえの家通信」の発行、「利用者の会」の活動紹介を行い、地域行事への参加を通して情報を発信し、地域サービス事業での「短期支援事業」の紹介を行政の冊子「ふれあい」に掲載して情報を提供しています。町内会に向けては、同施設2階の「末長こども文化センター」と合同で事業報告会を毎年開催しています。また、川崎市内の特別支援学校(6校)に対して、事業所概要の案内と実習の受け入れを行い、高津区自立支援協議会で施設の紹介を行う等、理解を促しています。
●地域サービス事業は「短期支援事業」、「社会自立促進事業」(卒園者のアフターケア)を実施し、短期支援事業では利用者が大幅に増えています。また、「くさぶえ文庫開放事業」、「自閉症実践療育講座」の開催等を展開し、関係者や地域に障害者特性の知識と理解を周知しています。「くさぶえ地域相談支援センター」では地域の障害者の自立生活支援を行い、相談を受けています。毎年、「末長こども文化センター」と「施設合同祭」を開催し、一般・学生・法人職員のボランティアを受け入れ、施設、自閉症の理解を促進し、福祉従事者としての就労の意識を促すことも目的として取り組んでいます。
●定期的な連絡会等では、神奈川県知的障害施設団体連合会日中活動支援部会(四県市)、世界自閉症啓発デー日本大会実行委員(4月)、川崎市社会福祉協議会、川崎市障害福祉施設事業協会等に参画し、行政情報、他法人との情報交換を行っています。また、末長こども文化センター運営協議会に参加し、近隣児童の育成にも協力しています。地域サービス事業の「短期支援事業」により自閉症療育のニーズに対応し、「くさぶえ地域相談支援センター」では、障害者の地域生活向上の福祉ニーズに応えています。



5 運営上の透明性の確保と継続性

●理念について、正規職員は法人の主催する階層別研修で学び、契約職員には管理者から理念・基本方針について説明を行い、管理職会議の議題についても説明する等、帰属意識を高めています。また、目標管理システムを導入し、職員個々の自己目標を基に年2回、管理者と面接を実施し、法人の基本理念に則った業務を遂行しているか成果を確認しています。事業計画は、管理者が事業計画案を作成し、職員会議で報告及び職員の意見を集約し、事業計画策定後、法人事務局に提出し、局長以下のヒアリングで確認を行っています。
●法人及び川崎市くさぶえの家の使命を職員は心得、くさぶえの家の方針・目標を徹底して支援に当たるよう指導しています。管理者は、事業計画案・事業報告書、業務分掌を作成し、職員が果たすべき役割を明確にして職責の自覚と共にチーム力を高め、円滑な業務につながるようリーダーシップを発揮しています。業務の効率化・改善については、取り組みの順位に「必要性・効果・予算」等を精査して決定し、職員からの意見・アイデアを募り、職員一人ひとりが「考えて動く」集団を形成して効率的な業務を継続して進めています。

●個別支援計画は、モニタリング、職員会議、運営マニュアル等により利用者個々のサービス提供の検証・検討を行っています。また、施設利用満足度調査等の評価結果を基に組織として取り組むべき課題を明確にし、職員会議で改善策及び改善の実施計画を立案して実施し、設問20項目と自由記述によるサービスに対する取り組み報告書を作成してサービスの質の向上に努めています。改善の実施計画は利用者、家族に報告しています。



6 職員の資質向上の促進

●人員体制は、定められた配置基準に基づき、必要な人材・人員の確保に努力し、サービス提供に支障がないよう工夫し、丁寧なケアに努めています。正規職員は法人主催の階層別研修に参加してコンプライアンス、ガバナンスについて学び、権利擁護、障害者虐待防止法の遵守についても事業所として強化して取り組み、関連する外部研修に参加して契約職員共々意識を高めていています。職員の育成については、各種研修への参加、新人職員配属時にチューター制度を採用し、専門書籍、スーパーバイザーを活用する等、人材育成に力を入れています。また、法人で目標管理システムを導入し、管理者は全職員と年2回面談を行い、個別業務の確認と振り返りを行っています。

●職員の研修に関しては、研修担当職員が年間研修計画を作成し、勤務体制を配慮して全職員に参加を促しています。研修受講者は、研修報告書を作成し、職員会議で研修内容の発表を行い、全職員で報告書にコメントを寄せるようにし、共有及び研鑽を図っています。くさぶえの家では、職員同士の意見交換やチーム単位で研鑽が図れるよう職員の質の向上に取り組んでいます。

●管理者は、職場を風通しの良い環境に努め、日頃から職員との対話を大事にしてコミュニケーションを図っています。就業システムにより時間外労働の増減、休暇取得日数、出退勤状況を管理し、変化があった際は聞き取りを行い、改善に努めています。職員との面談では個別業務振り返りの他、意見を抽出し、施設運営に生かしています。

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