かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

あいせん保育園

対象事業所名 あいせん保育園
経営主体(法人等) 社会福祉法人 神奈川県社会福祉事業団
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 210 - 0851
川崎区浜町2-22-16
tel:044344-5365
設立年月日 1965年12月01日
公表年月 2018(平成30)年11月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社 R−CORPORATION
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【概要・立地面の特色】
あいせん保育園は、社会福祉法人神奈川県社会福祉事業団(以下、法人)の経営です。法人は、平成21年4月、神奈川県の第三セクターから自立し、法人として自主自立経営を行っています。法人は神奈川県内に、保育所・児童養護施設・高齢者福祉施設等、多数の福祉サービス拠点事業所を運営し、地域社会に貢献しています。園は法人のルーツとして昭和40年保育事業を始めた「神奈川第二愛泉保育園」として開園し、園を母体として改築した「総合児童福祉施設あいせん」として、平成26年9月から「児童養護施設・児童家庭支援センター」の複合施設となり川崎南部の新しい福祉施設となっています。園の新園舎は5階建ての1・2階部分にあり、名称を「あいせん保育園」とし、定員を60名から70名に変更しました。あいせん保育園では、3つの保育方針の基、保育目標として「意欲のある子ども」、「自分らしさを発揮できる子ども」、「自分も友だちも大切にできる子ども」を掲げ、更に、法人系列6園で未来を創る子どもたちの為に『私たちの目指す保育』として6つの共通の具体的目標を掲げ、保育を進めています。
園は、JR川崎駅からバスで20分、「浜町3丁目バス停」から徒歩3分程度の古き良き住宅地の中に位置しています。明るい新園舎は各保育室の天井も高く、開放感と清潔感が溢れる環境の中、笑顔いっぱいの子どもたちが伸び伸びと遊んでいます。周辺は、工業地帯の面影を残していますが、小学校、公園等が点在した緑豊かな環境で、外国人居住者も多く、外国人兄弟の入園もあります。

<特に良いと思う点>
【1.『私たちの目指す保育』に沿った保育内容】
あいせん保育園では、保育方針に「豊かな実体験を通して心を育む保育」を掲げ、子どもたちの明日への期待を膨らませ、生きる力を身に付ける保育を実践しています。法人系列6園の保育長・主任保育士で『私たちの目指す保育』を作成し、全職員が同じ方向で保育を目指し、「情緒の安定と心身の健康」「自己肯定感」、「主体性」、「好奇心・探求心」、「感性」、「人間関係」を育む保育に取り組み、法人内で保育の標準化を図っています。また、保育指針に則した内容となるよう、作成後も見直しを行いより良い保育に取り組んでいます。

【2.安全・安心・衛生・環境、心地良さを感じられる保育運営】
日常生活を送る上で想定されるリスクに対して、組織として十分な対応を整備し、各種マニュアルを整
え、定期的に見直しを図り、子どもが安心して活動できる保育環境を整えています。また、毎月の避難
訓練実施、看護師による専門的観点からの保健指導、感染症防止用のパンデミックファン(感染症予防
噴霧器)の活用等を行い、子どもの発達を通して「自分自身で身を守る」力を培えるようにしています。
「清掃」・「環境」・「防犯」等のチェックリストを活用した業務の確認により、衛生管理・安全管理も確
実に行っています。

【3.多文化共生保育の取り組み】
「各国の文化を知り、親しみを持つ」ことを目標に、「多文化共生保育年間計画」を立案し、給食や日常保育・園の行事を通して、各クラスの保育に計画的に取り入れています。外国籍の多い地域性も考慮し、外国籍に係る園児の在園があり、保育担当者や栄養士も保護者からの情報を基に毎月のおやつや行事食等に多文化メニューを取り入れて工夫しています。6月の「子どもまつり」では、模擬店で各国の軽食の販売を行い、秋の「移動動物園」では動物の名前を各国の言葉で紹介する等、園行事でも他国の言葉や文化に親しむ機会を設け、多文化共生を推進しています。

<さらなる期待がされる点>
【1.マニュアルの更なる充実と職員への周知徹底】
法人は、職員の行動指針として「人権擁護」、「法令遵守」、「個人情報の保護」等、17項目を策定しています。あいせん保育園でも川崎市健康管理マニュアルを含め、12項目の事業活動マニュアルを整備しています。しかし、子どもの日常生活上で想定されるリスクも増えてきており、定期的なマニュアルの見直しが必要になってきています。特に、非常勤職員が園の保育サービスに関わる比率が高くなってきているのを加味し、今後は非常勤職員も含めた情報共有を図り、守秘義務等の重要項目等の研修を実施し、周知徹底する仕組みを構築されることを期待しています。

【2.地域との交流について】
園では、園庭開放・移動動物園・プール開放等、地域の子育て親子が安心して遊べる環境を整え、親子がコミュニケーションを図れる機会を提供しています。また、保護者や子どもが保育士や看護師、栄養士に相談できる環境や関係を築き、地域に開かれた保育園として尽力し、併設の児童家庭支援センターの子育てカフェにも協力して地域の子育て親子と交流を図っています。今後、子育て家庭だけでなく、現在行っている有料老人ホームへの訪問等、高齢者を始め地域の方々との交流を企画し、更なる実施を期待いたします。

【3.新入職員の教育に向けて】
今年度、新入職員は4名の入職があり、正規職員の平均在職年数は8年と、若い職員が中心の人員構成になっています。保育は一人ひとりの保育士の質と職員間の連携が重要であり、特に、「報告・連絡・相談」による手法、コミュニケーションを図ることは大事な事柄とし、スムーズに日々の業務を遂行することを可能にします。「知識・技術」=「質」と考えてしまいがちですが、報連相がきちんとできているかを見直すことも大事な要因だと思います。個別に見れば、園長や保育長の統率力、主任保育士や経験豊かな保育士の指導に負うところが大きいと思いますが、しかし、全保育士一人ひとりの底上げが「園の力」になると思われます。更なる職員間で互いの状況をはかり、互いをカバーリングできるよう、組織力を高めていかれることを期待いたしております。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

●園では、子ども一人ひとりに人権があることをしっかりと理解し、園児の名前を正しく呼ぶようにし、一人ひとりの思いを大切にする保育を進めています。職員は、子どもの意見を尊重して聴き、「否定しない保育」を活動や行事の取り組みにつなげています。日頃の遊びも子ども自身で選択できるよう促し、やりたくない意思を示した場合は無理強いせずに受け止め、一人ひとりの思いを尊重するようにしています。保育方針・保育目標は保護者に配付し、園内にも掲示して理解を促しています。また、職員に対して、指導計画の中で子どもの意思を尊重した保育における保育士の配慮事項を示しています。

●虐待の防止・早期発見については、保護者とコミュニケーションを密に図り、登降園時の親子の様子・子どもの様子・着替え時の身体観察等に注視し、子どもの心身の状態を常に把握し、早期発見に努めています。少しでも異変を感じた場合は、保育長・園長に報告し、職員会議で全職員に周知徹底を図り、必要に応じて関係機関と連携を図っています。職員会議では他施設の実例、児童情報等を共有し研鑽を図っています。

●個人情報保護については重要事項説明書に明示し、保護者に説明して同意を得、就学や地域の関係機関への情報提供に関しても個人情報使用同意書で同意を得ています。外部とのやり取りが生じた場合は、個々に連絡を取り同意を得るようにしています。通院等、医療機関への情報提供は了解を得てから対応しています。個人情報は、鍵のかかる棚で保管し、「個人情報取扱いマニュアル」を園内研修で周知しています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

●利用者満足の把握に向けて、保護者参加の行事(こどもまつり、運動会、お楽しみ会など)開催時や年1回のサービス全般に対してのアンケート実施により意向を把握するようにしています。年2回のクラス懇談会や年1回の個人面談の実施により、保護者の要望や満足度の把握に努め、保育参観・保育参加時にも意見等を聞いています。担任との面談に関しては、保護者の要望に応じて受け付けています。保護者からの意見・要望等は記録に残し、課題への対応は職員会議で検討して利用者満足の向上に役立て、次期の行事に生かしています。

●意見、苦情などについて、日頃から子どもや保護者とのコミュニケーションを大切にし、意見等が言いやすい雰囲気作りに努め、保育説明会で苦情解決の体制、随時相談を受け付けていることを周知しています。受けた意見等は記録に残し、職員会議で周知を図り、対応や改善について検討し、迅速な対応に努めています。保護者からの相談は面談室を活用し、プライバシーに配慮しています。年度末には法人経営の各施設における保護者からの意見・苦情等を収集し、法人全体で同じような苦情につながらないよう努めています。

●園では、子ども一人ひとりの発達や生活環境を把握し、個々にねらいを設定して個人の「ケース記録」を作成しています。一人ひとりの理解を深め、ありのままの姿を受容して援助しています。配慮の必要な子どもについては、集団の中で過ごすことを通して、適切な環境の下で友達と共に成長できるよう支援に努め、職員間で情報を共有します。また、保護者の了解を取り、療育センターやLD発達センター等の専門機関に相談・助言を得る体制を整え、連携を図っています。


3 サービスマネジメントシステムの確立

●園の必要な情報は、園のホームページや、川崎市のホームページ、パンフレット、園のしおり等に掲載して情報を提供しています。園見学希望者には園長が対応し、施設案内や保育の様子を見学してもらっています。新入児へのサービス利用開始後は、1週間程度の慣れ保育を実施し、家庭の事情等を考慮して臨機応変に対応しています。子どもが園に慣れるまでは可能な限り、子どもが安心できる大人、場所、時間を保障し、職員体制・保育内容に配慮して支援しています。

●法人の理念・経営方針を基に、あいせん保育園の保育方針・保育目標を策定し、それらに基づいて保育課程を策定しています。年間指導計画は、全体的な計画(保育課程)に基づき、養護2領域と教育5領域に配慮して年齢ごとに策定し、月案、週案・日案を作成しています。年間指導計画に沿ってサービスを実施し、日案の「活動」と「ねらい」に対してクラス担任が考察及び記録を行い、園長、保育長、主任が確認しています。

●提供するサービスの実施方法については計画において、ねらい・配慮・その他の留意点等を記載し、職員に周知しています。また、保育マニュアル、職員事務分担表、各種マニュアルを整備し、マニュアルに沿って標準的な実施方法により保育を実践しています。園のしおりに保育内容・保護者へのお願い事項・個人情報保護に関する基本方針等を明示し、園と保護者とで共通認識を図っています。



4 地域との交流・連携

●園の情報は園のホームページに写真入りで紹介しています。また、行事紹介等の情報を掲載した『あいせん通信』約300部を近隣の4つの町内会・自治会に配布して、地域社会に対して開かれた組織になるよう活動しています。地域子育て支援として、園庭開放・プール開放等を実施しています。育児相談では園長・栄養士・看護師等が専門性を生かして丁寧に対応しています。

●ボランティアの受入れについては、マニュアルを整備し、園の方針や基本姿勢を明確にし、職場体験や保育体験を受け入れる体制を整えています。現在、短大生の実習体験を受け入れています。

●関係機関との交流や団体との連携では、幼保小園長校長連絡会・川崎区子育て連絡会・川崎区田島地区連携会議・あいせん推進会議等に参加し、情報交換や保育ニーズの把握に努めています。また、年長児担任保育士は川崎区の幼保小連携事業の「幼保小実務者会議」や「年長交流会議」に参加しています。近隣地域は高齢者も多く、地域の町内会・自治会が主催する活動にも参加し、園児が高齢者施設やデイサービス等を訪問して歌や音楽を披露する等、地域の福祉ニーズの把握の為の活動に参加しています

5 運営上の透明性の確保と継続性

●理念・方針は、ホームページ・パンフレット・園のしおり・保育説明会資料・園内掲示板等に示しています。職員に対しては、入職時に法人の経営理念を基に、「理念」、「経営方針」、「職員行動指針」等の説明を行い、園のしおり・全体的な計画(保育課程)を配付して園長から保育方針・保育目標の説明を受け、理解を深めています。また、会議等で理念・方針に即して実践できているかを確認しています。法人で第4次総合経営計画(平成30〜35年度)を策定し、法人の計画に沿って園でも福祉サービスの内容・組織・設備等の体質改善計画を中心に中・長期計画を作成しています。

●園長は、職員の分掌事項を職員事務分担表に明記し、園長の運営の考えや自らの役割と責任について表明し、サービスの質の向上に努めています。園長は、日頃から職員の声に耳を傾け、定期的に職員面談を実施することで、意見・意向を把握し、働きやすい職場環境作り等、改善に向けた運営に尽力しています。業務の効率化では、法人系列6園が事務書類の同一書式への変更を行い、職員の書類作成等の事務軽減に取り組んでいます。

●年1回の保育士の自己評価の実施や、年3回園長面談を実施し、自己評価の結果を基に保育に臨む姿勢等について振り返りを行っています。組織として取り組む課題を明確にして共有し、目標や改善策を立てています。今年度、第三者評価を受審し、サービス内容の質の向上につなげていきます。


6 職員の資質向上の促進

●人材の採用は、法人で統括した就職説明会を実施しています。実習生への働きかけ、園見学やボランティアを受け入れる体制を整え、人材の確保に取り組んでいます。人員体制については、正規職員中心の運営方針を踏まえ、クラス担任は正規職員を必ず配置し、フリー保育士を加配して職員一人ひとりの能力を発揮できる環境作りと、子どもの発達を保障する為の人的環境を整備しています。

●法人の経営理念に「活力ある経営」を掲げ、職員行動指針に自己研鑽・効果的な業務遂行・企画参加等を示しています。法人主催の「階層別研修」と「実践演習研修」参加の機会を多く設け、職員の資質向上と園全体のサービスの質の向上につなげています。外部研修の受講後は、作成した研修記録を「リアクションシート(復命書)」に記載して園長に提出しています。職員会議等で研修報告や研修内容のポイントを発表する機会を設け、研修記録はファイリングして閲覧可能として共有化しています。

●園長は、職員の日々の様子を確認し、声かけを行うなど配慮に努め、有休消化率や時間外労働の状況を毎月末に集計及び確認し、改善の必要性が生じた場合は改善に努めています。また、定期的に職員面談を実施し、業務の振り返りや要望・希望を把握し、より良い職場環境作りに努めています。また、職員福利厚生や健康の維持に積極的に取り組み、職員の心身のメンタルヘルスに配慮し、委託している専門医にも相談できるよう健康管理に努めています。

詳細評価(PDF963KB)へリンク