かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

井田日中活動センター

対象事業所名 井田日中活動センター
経営主体(法人等) 社会福祉法人 県央福祉会
対象サービス 障害分野 生活介護他
事業所住所等 〒 211 - 0035
中原区井田3-16-1
tel:044-863-9337
設立年月日 2016(平成28)年04月01日
公表年月 2018(平成30)年10月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

<施設の概要・特徴>
 井田日中活動センターは、平成28年4月に社会福祉法人県央福祉会が川崎市の指定管理者として開設した多機能型事業所で、東急日吉駅からバスでの閑静な住宅街にあります。
 生活介護定員15名、自立訓練定員6名、就労継続支援B型定員10名、就労移行支援定員6名の事業所を運営し、共同事業体として開設された川崎市中部リハビリテーションセンターを構成する事業所の一つです。
 平成30年8月現在の利用者は、生活介護18名(平均年齢38.8歳)就労継続支援B型12名(平均年齢54.5歳)、自立訓練(生活訓練)4名(平均年齢33.1歳)、就労移行支援0名となっています。共同事業体として官民一体の事業運営を図り、多機能型の特徴を生かし利用者の障害特性に応じたサービス支援に努めています。
 県央福祉会は、神奈川県内に各種障害者施設、高齢者施設、相談事業所、グループホーム、医療施設等100以上の事業所を運営する県を代表する社会福祉法人の一つです。理念に、障害児・者、高齢者のノーマライゼーションの実現からソーシャルインクルージョン(共生社会)を目指すことを掲げ、障害者の地域生活を支援しています。


<特によいと思う点>

1.多機能型事業所の特性と事業共同体の運営を活かして地域支援に努めています

 川崎市中部リハビリテーションセンターとしての共同事業の一翼を担っています。誰もが住み慣れた地域で継続した生活が送れるように、リハビリテーションセンターとして利用者一人ひとりの障害特性に合った生活機能を選択し、また、本人の希望する生活を実現するための訓練を実施しています。利用者は施設の生産活動に従事し、働くことによる満足感と工賃をもらう喜びを得ます。また、社会体験を経験することで、社会を構成する一員としての生きる喜びを感じることができます。多機能事業所の特性を活かした利用者支援を推進しています。


.利用者に意向を述べてもらい、主体的に活動を選択できるようにしています

 事業ごとに毎朝の打ち合わせで、一日の流れを丁寧に説明し、運動するか作業するかなど、プログラム内容を利用者が主体的に選択できるようにしています。リクエストしたい昼食のメニューや外出活動の候補地など、各事業の意向を持ち寄ることが必要な事柄もあるので、コミュニケーション障害が重い生活介護事業では月に一回「スマイルミーティング」という利用者が意見を出し合う場を設けています。このミーティングは、職員も立ち会いますが、利用者が司会も記録も務め、時間をかけて一人ひとりの意向を引き出しています。


3.利用者に仕事への意欲を持ってもらい、仕事の質や工賃の向上につなげています

 就労継続支援B型事業12名の利用者の作業は防塵キャップチェック作業、プラスティック組み立て作業等です。利用者がそれぞれ自身の希望に応じた作業種と作業量を担当しています。利用者は毎日作業結果を作業報告書に記録しています。職員は、個々の利用者の作業能力に応じた仕事を提供し、利用者が意欲的に作業に取り組めるように配慮しています。作業の実績に応じて工賃を支給しています。平成28年度の平均工賃は20,216円で最も工賃の高い利用者は月額52,810円でした。


<さらなる改善が望まれる点>

1.利用者の満足度を定期的に把握する取り組みが望まれます

 利用者に対しての意向調査、満足度調査の定期的な実施は現状では行われていません。利用者の意向や満足度を定期的確認し、数値化して把握することも事業を運営するうえで大切です。そしてサービス支援の課題や利用者の意向との関連を分析し、サービス改善に活かす取り組みが期待されます。


2.サービス状況の内部評価の実施が望まれます
 
サービス状況については把握や共有が難しい業務環境にあります。利用者の増加や障害特性への対応等で利用者サービスのニーズは変化します。年に一回程度、施設独自に評価項目を設定し、職員による内部評価を行いサービス改善に活かす取り組みが望まれます。


3.個々の職員の研修計画の策定が望まれます

 事業所では職員の経験や能力に応じて個別に研修参加を勧めています。しかし非常勤職員も含めた研修体制の検討も必要です。本人の目標や関心分野も反映した個々の職員の研修計画につなげることが望まれます。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

@ 「職員ハンドブック」を使って入職前研修を法人で行っています。職員ハンドブックには「職員倫理行動綱領」「倫理行動マニュアル」「利用者支援マニュアル」などが載っています。利用者支援マニュアルには、個々の支援において利用者の意思をどう尊重するかも記しています。また法人の人権委員会の行う研修に常勤職員全員で参加しています。所長は昨年虐待防止マネージャーの資格を取得しました。取得後、障害のある人たちの権利について各職員と個別に面談を行い、さらに全職員で利用者への対応のしかたに関するDVDを視聴しました。

A 法人で個人情報保護規定を定めています。支援での具体的な配慮方法については「利用者支援マニュアル」の「プライバシーの尊重」の項で、対応する職員倫理行動綱領の箇所も併記して記しています。利用契約時に個人情報の提供に関する同意書を利用者に提出してもらっています。毎月発行している「そよかぜ通信」は、配布先が限定されていますが、個々に口頭で承諾を得たうえで新しく入った利用者名や活動の写真を掲載しています。現行の同意書では具体的な掲載方法がわかりづらいため、同意書の文面変更案もあり、現在検討中です。

B 毎朝の打ち合わせで、ホワイトボードを使って一日の流れを丁寧に説明し、運動するか作業するかなど、イラストなども活用してプログラム内容を利用者が主体的に選択できるようにしています。理解した上で利用者が選択しない場合は、無理強いはしていません。また、本人にわかりやすく示しながらも、他の利用者に見られたくないことは見られずに済むよう配慮しています。例えば、糖尿病でご飯の量を少なくしている利用者のトレイの札を配膳と同時に取ってしまい、食事中はほかの人との違いがわからないようにしています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

@ 利用者への個別面談を半年に1回行い、意向の把握を行っています。また休み時間などに、できるだけ意向を聞き取っています。意向の集約が難しい生活介護事業では「スマイルミーティング」という利用者が意見を出し合う場を月に一回設けています。このミーティングでは、利用者が司会も記録も務め、一人ひとりの話をゆっくり聞きながら、リクエストしたい昼食のメニューや外出活動の候補地を決めています。利用者満足度アンケートは実施していないので、意向の集約や分析は行っていません。今後計画していきたいと考えています。

A 利用者の個別性に配慮した部屋の利用やレイアウトを行っています。4部屋ある相談室は、集団での作業が難しい利用者がいるときに個別の作業場として活用しています。現在使われていない就労移行事業の作業スペースを、利用者が休憩場所として使うこともあります。食事は時間には食堂へ行くことが決まっているだけで、一斉に食べ始めたり食べ終えたりはしていません。また、食堂の席は、利用者同士の相性などを考え、テーブルを壁際に配置してカウンターのようにしたり、隣のテーブルとの間をパーティションで仕切ったりしています。

B 生活介護の利用者は現在18人です。利用者一人ひとりの希望を尊重し利用者の作業種目や創作活動を決定しています。日中作業は、受注作業を基本にボールペン組み立てやタオルたたみが主体です。また、創作活動として調理体験やクラフト作業の毎月のカレンダー作りや季節の展示物を作ります。自分でできることは利用者自身でやってもらうように心がけ、利用者の思いを尊重し、必ずyes・noを利用者に選択してもらいます。二度昼食をしないと気が済まない高次脳機能障害の利用者に、量を分けて2度食べてもらうことにしました。

C 自立訓練(生活訓練)の利用者数は現在4人です。自立訓練プログラムに基づいた活動が中心です。自立訓練プログラムは、受注作業に加え洗顔や歯磨き、洗濯、洋服の収納等生活の基本的習慣を習得するプログラム、料理の基本を学ぶプログラム、体育館で好きなスポーツを行う個別プログラムなど多彩です。利用者個々の障害特性に配慮し、個別支援計画の支援目標に沿って、期間内の目標達成を支援しています。3か月ごとに個別支援計画の達成状況を評価し、本人の意思を確認し利用者に合った計画になるように見直しをしています。

D 就労継続支援B型事業の利用者は現在12人です。日中作業は防塵キャップチェック作業、紙・プラスティック組み立て作業、カードを束ねて袋に詰める作業等です。身体障害者、知的障害者及び精神障害者の利用者がそれぞれ自身の希望に応じた作業種と作業量を担当しています。利用者は毎日自身の作業結果を作業報告書に記録しています。職員は個々の利用者の作業能力に配慮し、安定した気持ちで作業に取り組めるようにしています。また、身だしなみや作業を行う上でのルールを説明し、仕事に取り組む者としての心構えを指導しています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

@ 個別支援計画見直しに合わせてアセスメントを実施し、利用者の生活能力、コミュニケーション能力、移動や日常生活、作業能力を確認し支援ニーズの把握に努め、アセスメントニーズ表を作成しています。生活介護及び就労継続支援B型事業は半年ごとに、自立訓練は3か月ごとに個別支援計画の見直しを行っています。計画の見直しに合わせてモニタリングを実施し、アセスメントの結果及びケース記録の内容を事業別会議で検討し個別支援計画を策定しています。

A 年に4回災害を想定した訓練を実施しています。内2回は中部リハビリテーションセンターと合同で避難訓練を実施しています。「井田日中活動センター非常災害時計画マニュアル」を作成し、対応体制と任務及び必要備品について明記し非常時に備えています。施設は地域の二次避難場所に指定されています。「災害発生時マニュアル」「防災マニュアル(火災・地震・ガスもれ)」を作成し、災害発生時の職員の留意事項、具体的行動について明記しています。

B 利用者へのサービス支援の状況は、作業報告書と日誌に記録しています。事業形態別にそれぞれのサービス特性に応じた内容のケース記録です。個別支援計画の支援課題に職員が日々どのように取り組んでいるかはケース記録に記述されていません。個別支援計画の課題に沿った支援内容の日々の職員の取り組みや、工夫の積み重ねがわかるような支援記録が望まれます。

C 重要事項説明書に苦情の受付に関する項目があり、第三者委員の氏名と連絡先、苦情解決責任者、苦情受付担当者の氏名を記しています。以前、利用者からこの事業所及び関係機関の職員の言葉遣いについてクレームが数回にわたり寄せられたことがありました。この件では該当する職員等にクレーム内容を伝え、本人には所長が謝罪しました。また終礼で全職員に周知しました。非常勤職員が障害特性についての理解が十分でないことがクレームの要因の一つであるため、ガイドラインの周知など理解を深めるための取り組みを行っているところです。

4 地域との交流・連携

@ 毎年中部リハビリテーションセンターの事業説明会に、川崎市北部の福祉施設関係者などが50名近く出席しています。また、毎年10月に同じく中部リハビリテーションセンター主催の「いだ地域交流会」があり、200名近い地域住民が参加しますが、去年井田日中活動センターは食堂を開放して参加しました。地域貢献の取り組みとしては、生活介護事業の利用者が毎週月曜日に地域清掃を行い、近隣の公園や道路を清掃しています。ボランティアは今後広く募集したいと考えており、事業所のパンフレットに記しています。

A 川崎市中部リハビリテーションセンター内の他の事業所と窓口会議などにより連携しています。防災関係では中原区と協定を結び、川崎市中部リハビリテーションセンター及び中原養護学校と協力して避難所の運営ができるよう訓練を毎年行っています。年に2回井田地域福祉関係施設等防災会議・所長会議に参画し、月に1回中原区地域自立支援協議会に出席しています。

B 法人は100を超える事業所を有しているため、毎月エリア会議、所長会議、生活介護部会、精神保健部会が開かれ、年に2回人権委員会が開催されています。これらの法人主催の会議や委員会への参加が地域の福祉ニーズの把握に役立っています。また事業所の広報と交流のため、川崎市中央療育センターの「は〜ぁとまつり」に参加しています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

@ 法人の理念に「障がい児・者、高齢者のノーマライゼーションの実現から「ソーシャル・インクルージョン」(共生社会)を目指します」を掲げています。地域生活を目指す障害者を支援し、地域の相談部門やグループホーム、居宅介護、医療ケアと連携し、障害者支援に努めることを明示しています。また、「インフォームドコンセント、エンパワーメントを大切にした利用者主体の支援を行います」など理念を実践するための11項目の基本方針及び職員活動指針を明文化し、ホームページに掲載し、施設運営の考え方を示しています。

A 管理者自ら、人権研修を受講し虐待防止マネージャーの資格を有しています。外部研修を受講した職員の伝達研修を実施し、勤務時間の都合で研修に参加できない非常勤職員の知識の向上を図っています。月に一回、職員会議の時間を研修時間に割り振り、車いす介助などの現場での実践研修を行い全職員のスキルアップを図る等の対策を講じています。また、所長が毎日の終礼で職員の支援の現場での疑問点に応えてスーパーバイザーとしての役割を果たすなど、職員のスキルアップに取り組んでいます。

B サービス状況の内部評価の実施が期待されます。利用者の増加や障害特性への対応等で利用者サービスのニーズは変化します。年に一回程度、施設独自に評価項目を設定し、内部評価を行いサービス改善に活かす取り組みが望まれます。

6 職員の資質向上の促進

@ 採用については、常勤は法人本部で行っており、事業所で増員が必要な場合は法人のエリアマネージャーを通して依頼しています。事業ごとにリーダーを置くため、職員の配置は多めになっています。非常勤職員は事業所で採用しており、非常勤職員が常勤職員になる道も開かれています。また、法人で入職者に「職員ハンドブック」を使って入職前研修を行っています。職員ハンドブックには、職員倫理行動綱領、倫理行動マニュアル、コンプライアンスなどが載っており、職員としてどう行動すべきか具体的に説明しています。

A 法人の研修委員会が中心になって、常勤職員全員が出席する全体研修をはじめ、多種多様な研修を企画・実施しています。新入職員研修も実施しています。職員は研修参加後、研修報告書に記録を残しています。非常勤職員の研修機会を確保するため、事業所では毎月職員会議の冒頭30分間で実務的な研修を行っています。また、法人ではフォローアップ研修などの階層別研修を義務付けており、対象職員は出席しています。ただ、本人の目標や関心分野も反映した個別の研修計画は現在作成しておらず、事業所で今後の課題ととらえています。

B 残業を減らす取り組みを行っています。有給取得率も上がっています。昼休み休憩を確保するため、輪番制で昼食後の見守り担当、昼食準備担当を設け、それ以外の非常勤職員は昼に休めるようにしています。また、法人には「メンタルサッチー」というメンタル面の不調を定期的にチェックする仕組みがあり、職員のストレスの度合いが高いとエリアマネージャーが面談を行っています。また、法人には「心のサポート相談室」があり、カウンセリングを受けることができるようになっています。

詳細評価(PDF672KB)へリンク