かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

善部保育園(2回目受審)

対象事業所名 善部保育園(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 相愛会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 241 - 0823
旭区善部町44-7
tel:045-364-5111
設立年月日 2011(平成23)年04月01日
公表年月 2018(平成30)年10月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 沿革は昭和51年6月1日、横浜市立保育園として開園し、平成23年4月1日からは社会福祉法人相愛会が運営しています。相鉄線希望ヶ丘駅から相鉄バス「善部第三」下車徒歩10分、または希望ヶ丘駅から徒歩20分の住宅街にあります。定員は69名、平成30年7月1日現在73名在籍で、延長保育、障がい児保育、一時保育を実施しています。建物は現在採光の良い軽量鉄骨平屋建てですが、開園以来40年を経過し、本年9月から来年度初めの完成予定で新しい建物を建築する予定です。近隣の環境は、歴史ある建物のある公園など多くの公園があり、四季の自然と触れ合いながら子どもたちは伸び伸びと過ごしています。

《特に優れている点・力を入れている点》
○体幹を重んじたリズム体操や自然との触れ合いを通じて体を作っていく特徴ある保育を行っています
 園では「斎藤公子のリズムあそび」を参考にした保育活動をしています。週1回全クラスの子どもが集まって、発達段階にあった体作りをしていくリズム体操、できる限り外へ出て自然と触れ合う泥んこ遊び、園内では全員が裸足です。一人一人の子どもの体の発達に合わせた遊びへの積極的な取り組みを行って、園の理念である「年齢ごとの発達を保証した保育」や「子どもの今に合わせ、今を拓くことができる保育の追求」を実践しています。ロールマットの上で職員が子どもの体をマッサージしたり、滑り台を使ったりして、子どもたちの発育に応じた体作りを促すようにしています。子どもの身体状況や家庭環境を把握するために入園前に十分なヒアリングを行い、子どもの特性や取り組むべき課題を把握し、一人一人に向き合っていく保育を行っています。

○子ども主体の園独自のトイレットトレーニングを職員のこまやかな保育によって実践しています
 0歳児から園生活に慣れたころには、綿パンツでの生活を送っています。理由の一部としておむつで股関節の可動幅が小さくなり運動がしずらいことから子どもの足の指、体幹の発達などに影響があること、綿パンツが濡れる不快感、濡れない気持ち良さなど、子どもの五感を大切にすることで子どもの自発的な表現の発達が促されることがあります。もちろん、体調に合わせておむつを使うこともありますが、職員が、個々の排泄のリズムをとらえ、まだ言葉の話せない子どもの表情、様子などをこまやかに見て「おしっこ出るかな」と言葉をかけ、トイレに誘導し、排泄が成功すると褒めるなどしています。このことから、子どもも自発的にトイレに行きたいと伝えるようになり、一般にトイレットトレーニングを始める時期にはおむつが取れている子どもが多い状況です。


○地域との温かい交流が根付き、子どもたちは豊かな園生活を送っています
 法人理念に地域社会の重視をうたい、園は民営化前の市立保育園の良き伝統を引き継ぎ、地域支援にも力を入れています。「善部保育園に遊びに来ませんか」というカラーのチラシを園の門の掲示板に貼り、持ち帰り自由な箱に入れて置いたり、旭区役所や地域の地区センターにも貼らせてもらったりして、お話し会や人形劇、マリンバコンサートなど交流保育や、園の子どもたちと遊びランチもともにするランチ交流、園庭開放、育児相談、絵本貸し出しなどの参加、利用を募っています。また、地域の公園愛護会の方々と年2回、2つの公園の花壇で一緒に花を植えたり、地域の「保育園応援隊」というボランティアの方々からは、園の田植えやゴーヤなど草花の植栽、夕涼み会、運動会、伝統の正月遊びなどへの参加や手伝いを得たり、地域の高齢者施設の方々とみかん狩りや芋掘りなどをしています。子どもたちは地域の方々に温かく見守られ、豊かな園生活を送っています。

《事業者が課題としている点》
 保育室の使い方を課題の一つととらえています。各クラス必ずしも一部屋あるわけではないので、部屋の使い方を考えないといけないときがあります。職員間で1日の予定など保育内容を共有しながら、子どもが混乱しないようにうまく使うようにしています。また、職員は保育方針や保育理念を理解し保育の質の向上を目ざしていますが、少し自己流になってしまうことがあり、課題ととらえています。職員会議で常に振り返り、話し合い、改善に向けて取り組んでいます。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

 園は平成23年より社会福祉法人相愛会として、保育サービスの提供を行っています。法人理念は「子どもが幸せな社会の中でいきいきと成長していけるように、子どもの最善の利益を追求し地域福祉の中心的役割を果たす」、保育理念は「自分も友だちも大切に認め合い、未来を切り開く生きる力を育てる」となっています。理念および方針は明文化してホームページ、重要事項説明書に記載し、園の目標をクラス内と事務室に掲示しています。全職員は、職員会議の中で全体的な計画を読み合わせると同時に、職員ハンドブックに記載されている「保育の姿」や基本方針に沿って、日々の保育の中で理念をどのように実践していくかを話し合っています。
 職員が子どもを呼ぶときは女の子には「ちゃん」、男の子には「くん」をつけて呼んでいます。「職員ハンドブック」の中にある「子どもへの援助の仕方」の項目で、子どもの思いを受け止め、信頼関係作りをしていく方法について、実例を使って言葉づかいの指導をしています。職員会議では全職員がハンドブックを使って子どもの人権や、児童憲章を読み合わせています。子どもを人格を持つ存在として受け止め、一人一人に向き合い、受け止めていくことを確認し合っています。園長は保護者に対して、子ども同士のトラブルにはまず双方の話を聞き、子どもの間に入って相手の気持ちを理解できるように話す、ということを入園時の際に説明しています。
 「保育マニュアル」に「個人情報に関するチェックリスト・持ち出し・保管・廃棄」の規定があるほか、「職員ハンドブック」でも守秘義務や個人情報の取り扱いについてガイドラインを作り、ボランティアや実習生を含む全職員に周知しています。保護者には「重要事項説明書」の中で個人情報の取り扱い方を説明して、了承と協力を求めています。個人情報はファイルにとじ、所定の施錠できるキャビネットに保管しています。処理と廃棄方法については規定の中で保管期間を定め、期限の過ぎたものはシュレッダー処理しています。ケース会議や乳児会議などで必要だと感じた場合には、個人名をイニシャルにするなどの配慮をしています。


2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 各クラスの担任と職員が、年齢ごとに指導計画を作成しています。日常の保育では子どもの態度や表情、言葉から意思をくみ取り、子どもが主体的に活動できるように柔軟な指導計画を立てることを心がけています。子どもの目線に立ち、ゆっくり子どもの話を聞くとともに、子どもの姿、遊び、食事、生活場面を見て、一人一人の子どもに向き合うようにしています。直接言葉で表現できない子どもからは、表現やしぐさを見て話しかけ、意思をくみ取るようにしています。園長は子どもの心身の発達に応じた「子どもごころ」を大切にするとともに、職員が子どもの全人格を受け入れ、子どもの自主性や主体性を育てていけるようにしたいと考えています。
 0、1歳児クラスの中に沐浴設備があります。夏季はプール遊びを主体としていますが、そのほかの季節は外遊びで汚れたり、汗をかくことも多いので、多いときには1日に2度、皮膚を清潔に保つために沐浴設備を使用しています。温水シャワーは沐浴設備を含めて3か所ありますが、清掃や消毒の方法については「保育園における消毒の適用例」「職員ハンドブック」に記載したうえで、衛生チェック表をつけて管理しています。沐浴設備は1日2回、シャワー漕は使用するたびに清掃と消毒をしています。園では1歳児からおむつや紙パンツを使用せず、布パンツで一人一人の子どもの発育状況に合わせて、トイレットトレーニングを行っています。
 0〜2歳児の個別指導計画があり、健康面や発達の様子、家庭との連携を記録しています。0歳児クラスは月案とは別に週ごとの個別計画を作成しています。また、子どもの発達検査法の一つである「遠城寺式乳幼児分析的発達検査法」を使って、子どもの発達状態をとらえています。3歳児以上の子どもに関しても、特別な配慮を必要とする場合には期ごとに個別計画を作成し、職員会議の際に、担当職員を含めた全員で情報共有を行い、適切な対応を取れるようにしています。個別指導計画は子どもの発達状況に合わせて、職員とクラス担任が週ごとに見直しを行います。見直しをしたときは送迎時の際や連絡ノート、保護者が希望する場合は面談を行って、重要部分を説明し同意を得ています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

 入園前の面接で、保護者から入所時の短縮保育の期間や希望についてヒアリングを行い、「慣らし保育表」にまとめます。短縮保育期間はおおむね3日から1週間を見ていますが、子どもの様子や保護者の就労状況に合わせて、柔軟な対応をしています。保護者によっては4月からの入園を前に一時保育を申し込み、入園前に短縮保育を済ませてしまうこともあります。0、1歳児の担当は決まっていて、子どもが安心して保育環境に慣れることができます。連絡ノートには日々の生活の様子を細かく書いて、家庭と保育園での生活が無理なく引き継がれるようにしています。進級時には担任を一人は残し、在園児が落ち着いて進級後の生活を送ることができるようにしています。
 園舎は構造上、バリアフリーにはなっていませんが段差は少なく、歩行が困難な場合には職員が介添えするなど、入園した子どもの状況に即した対応をしています。園は障がいのある子どもとほかの子どもが生活の中で助け合えるように、保育や生活の組み立てを行っています。「重要事項説明書」のなかで、「障がい児教育について」という項目を設け、取り組みについて記載しています。保護者の同意を得たうえで保健師など、専門機関の巡回指導を受けています。こども家庭支援課、保健師、ケースワーカー、民生委員、西部児童相談所からも助言や情報を得ています。「共に育ち合うことの大切さ」を実感できる保育を目指して、全職員が統合保育に取り組んでいます。
 かかりつけ医からの「生活管理指導表」をもとに、アレルギー疾患のある子どもに除去食、必要に応じて代替食を提供しています。担当職員はアレルギーに関する外部研修を受けたのち、研修記録を作成します。資料と研修記録を基に職員会議で必要な知識や情報を共有します。毎朝のミーティングでは除去食の確認をするとともに、ミーティングノートに記載します。ミーティング時不在の職員は、出勤した際にノートを見ます。全職員が当日のメニューと除去等の対応を把握しています。保護者とは担当調理師のほか担任も加わって前月の最終週までに話し合いを行っています。除去食を提供する場合には専用テーブル、椅子、トレー、専用食器を使用しています。


4 地域との交流・連携

 全体的な計画に「地域関係」の項目があり、地域の子育てニーズについて、年間や月間の指導計画を振り返る職員会議などで話し合っています。地域の子育て支援サービスとして、一時保育や育児相談、園庭開放、夏期のプール開放、絵本貸し出しなどを提供しています。ランチ交流では、午前中園の子どもたちと一緒に遊び、給食も親子も一緒に食べます。交流保育では、園の子どもと一緒にお話し会や人形劇、マリンバコンサートなどを見聞きして交流します。また園独自ではありませんが、地域住民に向けて、旭区主催の「赤ちゃん教室」の講習や地域の子育て交流ネットの会(通称k.k.ネットの会)主催の催しへ出張保育を行っています。
 園のしおり(入園案内)やリーフレットを旭区役所こども家庭支援課や地区センターに置かせてもらっています。育児相談は平日9時30分から11時30分に受け入れ、リーフレットや園の入り口の育児相談案内板に記載して対応しています。園の行事や園庭開放など地域の子育て支援の案内ポスターを園の入り口横の掲示板に掲げています。また、門扉に案内チラシの専用ボックスを用意して、地域の親子が自由にチラシの持ち帰りができるよう工夫しています。地域住民に向けて、入園案内や子どもの園生活の様子など、園のホームページで情報提供しています。
 将来の利用者のために、園のリーフレットやチラシを旭区こども家庭支援課や地区センターに置かせてもらっています。また、ホームページを通じて園の情報を提供しています。リーフレットには沿革、施設規模などの園の概要、クラス構成、保育目標、特色、職員、保育時間、園の一日、年間行事、平面図、案内図などを記載しています。またホームページには前記の内容のほか、基本方針、育児・地域支援の内容、年齢別に目ざすことなどを載せています。また、一時保育の案内リーフレットを用意して、利用方法や料金などを記しています。園の情報は旭区や横浜市こども青少年局のホームページ「ヨコハマはぴねすぽっと」などに進んで提供しています。


5 運営上の透明性の確保と継続性  利用希望者の問い合わせには、園のリーフレットや園のしおり(入園案内)などに基づいて案内や説明をしています。法人理念や保育理念、保育目標、施設概要、サービス内容などの問い合わせには園長が対応にあたり、園長不在時には主任が対応しています。また、利用希望者には園の見学ができることも案内して、子どもの保育の様子がわかる時間帯の来園を勧めますが、都合がつかない場合には、日常の保育に支障を来たさない範囲で、見学希望者の要望する日時に応じています。見学者には園のリーフレットを渡し、園長から理念や保育目標、沿革、園の一日などを説明し、園内を案内しています。
 クラスごとの指導計画の見直しの際に、指導計画の自己評価の結果について、乳幼児会議、主担会議(主任とクラス担任)、職員会議などで報告し、話し合い、次の指導計画の作成に生かしています。職員会議などでの討議内容や職員の自己評価の結果から、「会議の進め方」や「保育中の言葉かけの仕方」など園の課題が明らかになり、改善を進めています。職員の自己評価や年度末の保護者アンケートの結果を踏まえて、園の自己評価を行っています。横浜市の「保育士の自己評価」は最初に保育理念の項目があり、園の自己評価も園の理念や保育方針に沿って行っています。園の自己評価はファイルにして、園の玄関の事務室前の棚に置き、保護者に向け公表しています。
 園の運営や子どもの保育に直接影響を与えることが予想される重要な意思決定を要する案件は、法人の理事会の承認が前提です。園では現在の園舎が建築後40年以上経過し、建て替えの必要があり、法人理事会の決定後、今年の4月に横浜市の建築承認通知が下りました。早速、各クラスから1名ずつの保護者代表と園長、実行委員の職員から成る保護者会役員会で経過を十分説明し、了承を得ました。8月の保護者会で再度計画内容を含めて説明し、異論がなければ工事に入る予定です。運動会などの園の大きな行事には、実行委員となった職員のもと、全職員が協力して取り組んでおり、園舎建て替えも園をあげて取り組んでいく予定です。

6 職員の資質向上の促進

研修担当の主任は、極力全員が研修を受講できるよう配慮して、横浜市や旭区などが主催する研修の中から、職員が希望する研修やキャリアアップも含め園が必要とする指名研修を加えて外部研修計画を作成しています。内部研修は日常の保育終了後に行っていますが、必要な研修は非常勤職員も参加しています。また、園のリズム遊びのもとの「斎藤公子のリズムあそび」を、園長が講師となって伝えています。系列園同士で互いの保育を見直す研修を行っています。長崎県の法人本部の研修や「斎藤公子の保育研究会」の研修に職員が参加しています。外部研修参加者は研修報告書を提出し、内部研修で発表したり、報告書を回覧して研修内容の共有を図っています。園長と主任は研修内容の活用状況などから研修を評価し、見直しています。
 職員一人一人の自己評価表や横浜市の保育士の自己評価は定型化された書式で、これに振り返りを記入しています。自己評価は年度初めに設定した目標と関連付けて行い、園長の評価、指導を受けています。保育の自己評価は、全体的な計画やクラス別アプローチプログラムに基づき、クラス別の年間指導計画、月別指導計画、保育日誌の省察や総合評価欄に自己評価を記入しています。5歳児の自己評価に「ぞうきん縫いや鯉のぼり制作などを集中して行い、諦めずにやればできるという気持ちを感じることができた」とあるように、その結果だけでなく、子どもの意欲やその過程を重視しています。保育士は自己評価を通じ、自らの保育実践の改善や次の計画作成に役立てています。
 初心者、中堅、主任・ベテラン、指導職員・管理職の4つの階層と、職員全体のそれぞれの階層に必要な経験や能力、習熟度を期待水準として明文化したキャリアパス(キャリアアップのモデル)があります。日常の業務はできるだけ職員の自主的判断に任せています。しかし、事故や経営に関すること、保護者の苦情などで職員が判断できない場合は、直ちに園長や主任に報告、連絡、相談することを徹底しています。園長は11月ころに意向調査の職員アンケートを実施し、面談を行い、業務改善の提案や意見を募り、職務の満足度や要望などを聞いて把握しています。


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