かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

小向このはな園

対象事業所名 小向このはな園
経営主体(法人等) 社会福祉法人育桜福祉会
対象サービス 障害分野 生活介護
事業所住所等 〒 212 - 0002
幸区小向仲野町3−1
tel:044-555-8430
設立年月日 2015(平成27)年04月01日
公表年月 2018(平成30)年10月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 「小向このはな園」は川崎駅からバスで12分程度の、近くを多摩川が流れている大変閑静な住宅街にあります。平成27年4月1日に社会福祉法人育桜福祉会が開設した障害福祉サービス(生活介護)事業所です。平成30年5月現在37名の利用者が利用し、平均年齢は33.6歳です。開設時より地域の特別支援学校の卒業生を段階的に受け入れています。障害支援区分4以上が全体の90%で全員療育手帳を所持し、身体障害者手帳の所持者が6名です。
 育桜福祉会は、川崎市全域に10の障害者通所施設、13の障害者グループホームを運営し、他に相談支援センターなど36ケ所の障害向け福祉サービス事業所を展開しています。利用者の数は全体で550名に及び川崎市を代表する社会福祉法人の一つです。法人の基本方針に、「利用者が喜怒哀楽を思う存分、自由に、表現できる心豊かな生活を目指し、支援します」を掲げています。利用者一人ひとりが主役となり、尊厳を持った生き方ができるように支援しています。


《特に優れている点・力を入れている点》
〇利用者の意思決定を尊重する支援に努めています
「意思決定支援委員会」を設置し利用者の意思の尊重に重点を置いています。職員は、利用者同士の話し合う機会となっている「考える会」を支援し、その決定を尊重しています。また、個別支援計画に意思決定支援の項目を設け、個別支援会議で本人の意思を確認しています。職員は呼称や言葉使いに留意し、社会人としての利用者への対応に努め、介助中も動作や意思を確認し誘導にならないようにしています。日中活動や外出行事への参加は本人の希望を大切にし、本人にアンケートをとり「何をしたいか、どこに行きたいか」の意思決定を尊重しています。


〇利用者の得意なことを活かす支援に力を入れています
 利用者の得意なことを生かした支援に努めています。個人別に課題を設定し個別支援計画に支援目標を明記しています。布アート作品展に応募し展示会に利用者たちと一緒に見学に行ったり、調理が得意な利用者の家族へのプレゼント企画に、他の利用者も参加し一緒に調理し、皆で楽しい時間を過ごしたりします。また、日中作業の作業工程を分けて利用者は得意とする部分を担当しチームの一員としての役割意識をもって作業を行います。職員は、利用者の得意なことの活動の広がりを支援しています。


〇地域の関係機関と連携し、地域福祉の向上に努めています
 市や区の地域作りに参画し区内の相談支援事業所や通所施設等との連携を図り、地域福祉の向上に取り組んでいます。地元町内会とは開設当時より協力関係を構築しています。「このはな感謝祭」への地域住民の来場も多く、また、アルミ缶リサイクル作業への地域住民の協力が大きな力になっています。幸区災害対策協議会に参加し障害・高齢者施設の災害対策に取り組んでいます。多摩川河口に近い立地ということもあり、毎年8月は水害に備えた避難訓練を実施しています。隣接の高等学校が津波発生時の避難場所になっています。


《事業者が課題としている点》
 遠距離の外出活動や行事など、現状より回数を増やしていきたい。企画や引率を積み重ね、職員がそれらの経験を重ねることで、自信をつけていくことに繋げたい。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重  職員は呼称や言葉使いに留意し、社会人としての利用者に対応するよう努めています。介助中にも動作や意思を確認し、誘導にならないようにしています。外出ではグループ活動を生かし個人に合った人数や構成を工夫しています。日中活動や外出行事への参加は本人の希望を尊重しています。写真や雑誌などを用いて説明します。家族からの情報を参考にし、また、本人にアンケートをとり「何をしたいか、どこに行きたいか」の意思決定を支援しています。
 法人のプライバシーポリシーを明文化しホームページに掲載しています。契約時には個人情報の取り扱いについて利用者や保護者の同意を得ており、広報誌等への掲載は都度了解を得ています。養護学校卒業生の受け入れでは学校と連携し、実習を体験することで本人が納得し安心できる状況作りに配慮しています。言語による表現や意思表出が難しい利用者の意向の取り組みに力を入れ、目の表情、まばたきなどからも利用者の気持ちをくみ取っています。
 新たな取り組みとして、「意思決定支援委員会」を設置し利用者の意思を尊重することに重点を置いています。施設が「考える会」を発足させ、利用者が運営していく中で職員が自治会への発展を視野に入れ支援しています。個別支援計画に意思決定支援の項目を設定し、本人参加の個別支援会議を開催し本人の意思を確認しています。また、人権委員会を設置し虐待防止に取り組んでいます。日々のミーティングでヒヤリハットの情報を職員間で共有し注意を喚起し、また、複数の職員で支援方法を検証するなど連携して虐待防止に努めています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供  外出や「このはな感謝祭」等の施設行事では口頭で満足度等を聞き取っています。毎日の連絡帳や活動場面からも利用者が満足して日々の生活を送っている事をくみ取っています。個別面談の際は個別支援計画に沿ったサービス支援の利用者が満足しているかを確認しています。法人共通の満足度調査様式も作成し順次実施し、第三者評価との組み合わせで満足度を把握していく予定です。さらに、法人共通の満足度調査とは別に、施設独自の項目を設定した満足度調査を実施し、サービス向上に生かす取り組みが期待されます。
 苦情解決の窓口や仕組みを契約書で説明し、掲示して利用者や保護者に周知しています。連絡帳や口頭で連絡があり、日常の忘れ物など些細な連絡も職員で共有し、毎月法人と障害者施設協会第三者委員会へも報告しています。苦情解決対応マニュアルを整備しています。法人としての苦情対応の考え方や職員の心得、苦情の内容と報告の対象等を明記し職員に周知し迅速対応を図っています。
 施設利用に向けて実習の結果や学校からの情報をもとに利用者とのコミュニケーションの取り方の工夫を図っています。個別状況に応じてイラストや写真を利用するなど「利用者説明用ガイド」を個々に作成しています。利用者との会話はシンプルで具体的にし、肯定的促しの言葉にしています。利用者が得意なことに着目し、日々の活動に生かしています。日中活動は一人ひとりのやり方を尊重しています。作業工程を分解し個々に作業の目的を設定し、利用者は得意とする部分を担当しチームの一員としての役割意識をもって作業を行っています。
3 サービスマネジメントシステムの確立   ホームページに8項目の基本方針を掲載し、法人の施設運営の基本的な考え方を明示し、また、「1分で分かる育桜」を掲載し法人全体の福祉サービスへの取り組みをわかりやすく説明しています。パンフレットに施設利用の一日の流れや、活動プログラムの内容等を明記し、写真やイラストを用いて利用者のサービス選択のための情報を提供しています。また、「福祉サービス利用契約ガイド」を作成し、施設利用の約束事などをわかりやすく説明し利用者が納得して施設利用を開始できるように配慮しています。
  「個別支援計画書作成に関するガイドライン」を整備し、アセスメントから個別支援計画の作成、モニタリング等の支援システムの標準化を図っています。半期ごとに個別支援計画課題ごとに実績を評価し、チーム別に個別支援会議で検討し、利用者支援ニーズの見直しを行い次の個別支援計画に反映しています。また。「個別支援計画書(ご本人様用)」を作成し、大きな文字にルビをふり、利用者にわかりやすくサービス支援の内容を説明しています。
  「ヒヤリハット・事故発生と事後対応マニュアル」を作成し、利用者の安全確保と事故の早期発見及び緊急時の対応に備えています。朝・夕の職員打ち合わせでヒヤリハットの情報を職員間で共有し、事故防止のため、注意を喚起しています。火災や地震を想定し避難訓練を毎月実施しています。「このはな園災害時職員行動表」を作成し、災害発生時の職員の危機対応に備えています。多摩川河口に近い立地ということもあり、毎年8月は水害に備えた避難訓練を実施しています。隣接の高等学校と連携し、津波発生時の避難場所を確保しています。
4 地域との交流・連携  屋外掲示板を活用して施設の情報を開示しています。掲示板には地域福祉の講演会やイベントのチラシ、アルミ缶リサイクル作業の状況などを掲示し、11月のこのはな感謝祭は地域への感謝を込め、隣の高校の吹奏楽やダンス、ゲーム・模擬店などのイベントを実施し、地域に知ってもらう機会としています。町内会に加盟し町内清掃に参加しアルミ缶回収への協力を得たり、根ざした関係作りに努めています。利用者の大声に見学中の小学生が怖がったことなどもありましたが、関わりの積み重ねを通して地域住民の施設への理解が深まっています。
 市社会福祉協議会、区自立支援協議会に所属し、障害者高齢化対策やボランティア活用等市や区の地域作りに参画しています。区内の相談支援、通所施設との連携を図り互いに情報を共有し地域福祉の向上に取り組んでいます。区災害対策協議会への参加では高齢者や行政も含めて施設の災害対策に取り組んでいます。地元町内会への加盟は施設開設当時より協力関係を構築しています。このはな感謝祭への来場も多く、アルミ缶リサイクル作業への地域住民の資源提供も100キロをこえる月もあり、地域住民の協力が大きな力になっています。
 地域的にグループホームが少なく、利用者や家族が高齢化している現状に伴い、障害者の地域での生活や暮らし方に課題があることが指摘されます。自立支援協議会では調査をしていこうという動きもあり、地域の福祉ニーズの把握や対策に地域連携で取り組んでいます。
5 運営上の透明性の確保と継続性  基本方針の実践に向けた「職員行動規範」を定め、人権尊重や危機管理、利用者のプライバシーの尊重等職員の注意を喚起しています。また、事業計画に法人の基本方針に則り利用者の利益の保護及び地域における社会福祉の推進を図ること等を明記しています。事業計画を全職員に配付し事業所の重点運営項目及び年度ごとの事業重点運営項目を明記し周知を図っています。事業計画を保護者全員に配付しています。保護者会を毎月開催し、年度ごとの重点運営項目に関する説明を実施しています。
 法人全体で導入している支援システムの活用を推進し、施設運営の標準化を積極的に推進しています。障害特性に応じた利用者に対するサービスレベルの強化と職員間の情報共有の仕組み、ケアマネジメント手法による個別ケアの標準化推進等、施設長の指導力のもとに推進しています。毎年特別支援学校の卒業生を一定数受け入れる施設運営の方針があり、現在も定員に満たない利用者数での施設運営と体制づくりの見直しの難しさを抱えています。
 第三者評価の定期的受審に加え、定められたサービス評価基準により年に1回は自己評価を行い、サービス課題を把握し改善につなぐことが求められます。内部評価の担当者を設置し、評価結果を分析し、サービス改善の気づきを得る仕組みの整備が期待されます。
6 職員の資質向上の促進  社会福祉従事者としての人間性を高めるため、ふさわしい資質を追求し、成長を期すことを目的として積極的な姿勢で取り組んでいます。法人で計画的に年次別・職種別に研修を行っています。入職時、1・2・3・5年次、中堅時は各段階の役割を踏まえ研修体系を整備しています。加えて契約職員向けの研修を実施しています。現状では行動障害に関する専門知識を有する職員の配置や、専門研修受講で職員の基盤強化を図っています。
 事業計画に職員の心構えを明記し、職員行動指針や福祉サービス提供者としてとしてのコンプライアンスに努める事等を明記し、全職員に周知しています。職員の目標管理制度は今年度から実施していますが、職員の育成と職務の実績、人材評価、報酬等の連動する人事考課システムは実施していません。目標管理と連動した人材マネジメントシステムの実施が期待されます。
 就業管理システムを導入し、出張、有給休暇の取得等の就業状況を把握しています。有給休暇は取りやすい状況が保たれています。休暇取得を職員間で互いにカバーできる雰囲気ができてきました。育児休業・介護休業・私傷病による職員の休職や復職に関する規定を整備しています。育児休業(時間短縮)の取得などにより、退職せずに継続する職員が増えています。施設長は異動等の意向調査や職員の定期面談を通して、職員の要望・希望の把握に努めています。

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