かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

川崎市わーくす高津(2回目受審)

対象事業所名 川崎市わーくす高津(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 育桜福祉会
対象サービス 障害分野 就労継続支援
事業所住所等 〒 213 - 0001
高津区溝口1-18-16
tel:044-844-2602
設立年月日 2008(平成20)年04月01日
公表年月 2018(平成30)年10月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 当施設は、JR南武線武蔵溝の口駅から徒歩で5分程度の大変交通の便の良い場所にあります。平成20年4月1日に、社会福祉法人育桜福祉会が指定管理者として運営を開始した定員30人の就労継続支援B型施設です。現在利用者数は32人で、平均年齢は43.6歳で、全員療育手帳を所持しています。就労を目ざしている利用者は全体の1/3程度で、若い年齢層を主体に、職場実習や就労体験等の経験を積むように支援しています。多くの中・高年利用者は施設内の福祉就労の継続を希望しています。職員は、安定した作業の継続を通して工賃収入を得る喜びを感じてもらえるように支援しています。
  育桜福祉会は、川崎市全域に10の障害者通所施設、13の障害者グループホームを運営し、ほかに相談支援センターなど36か所の障害者向け福祉サービス施設を展開しています。利用者の数は全体で550名に及び川崎市を代表する社会福祉法人の一つです。法人の基本方針に、「利用者が喜怒哀楽を思う存分、自由に、表現できる心豊かな生活を目指し、支援します」を掲げています。利用者一人ひとりが主役となり、尊厳を持った生き方ができるように支援しています。


《特に優れている点・力を入れている点》
○日中作業を通して利用者は日々の達成感を感じています
 利用者一人ひとりの希望に沿って、作業の種類を決定しています。作業は企業からの受注を主体に、新聞を玉にして袋につめクッション材をつくる作業、電球の袋詰め作業、水道メーター解体作業、企業の領収書仕分け作業等があります。作業工程を分けて、利用者に得意な工程を担当してもらいます。工賃は基本給と評価給及び残業代です。評価給は社会人としてのマナーや時間、仕事の取り組み方等で決まります。職員は、一人ひとりの利用者の特性に配慮し、日々の作業の達成感と工賃を得る喜びを利用者に感じてもらえるように支援しています。


○職員は利用者に寄り添い、意思を尊重し利用者の自己決定を支援しています
 職員は、利用者に絵や言葉を書いて示しながら全体を理解できるように工夫し、日課等の見通しが持てるようにしています。できると思われる動作は可能な限り本人の意思で実行できるように支援します。職員は、利用者への情報提供は意思決定支援と捉え、自己選択、自己決定ができるように支援し、利用者が具体的にイメージが持てるように情報提供の方法を工夫しています。また、職員の見立てではなく、利用者の気持ちや背景などを聞き取り、行動や悩みなどの理由を話し合うようにしています。


○利用者の人権擁護に努め、苦情解決の仕組みを整えています
 事業計画の重点目標に、「利用者の快適な暮らしや健康で幸福な暮らしを確保するため、人権尊重と権利擁護を促進すること」を明記し、職員に周知しています。苦情対応マニュアルを整備し、苦情解決第三者委員会や高津区の地域相談支援センター等と連携し、利用者の苦情や不満等問題発生時の迅速な対応の仕組みを整備しています。定期的に第三者委員会の訪問があり、利用者の苦情の把握に努めています。職員は、利用者が安心して施設に通えるよう努めています。


《事業者が課題としている点》
 利用者が作業活動に参加することで、より多くの工賃を得ることができるように、作業の種類を検討し、工程の工夫を行っていくこと。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重  職員は、利用者の安定した心身の状態を整える支援に努めています。利用者アンケートの結果では、ほぼ全員が職員と気軽に話せる、自分に合った支援を受けていると感じています。職員は利用者の意思を尊重し職員の見立てではなく、気持ちや背景などを聞き取り、行動や悩みなどの理由を話し合うようにしています。職員は利用者の思いに寄り添い、利用者が安心して作業に取り組めるように支援しています。本人が予定のプログラムを拒否することがあります。職員は視点を変えた取り組みを工夫し、本人の同意のもとでプログラムを変更します。
  「職員行動計画」を毎週火曜日の職員打ち合わせで読み合わせ、人権擁護についての日々の支援の取り組みを振り返り、注意を喚起しています。虐待防止について職員それぞれが自己チェックし、利用者を尊重した支援ができていることを確認しています。本人の表情の変化や本人からの訴え等で虐待の懸念があれば迅速に状況を確認し、必要に応じケースワーカー等に連絡し、虐待防止・早期発見に努めています。
 プライバシーポリシー、個人情報保護規定を定めホームページに開示しています。また、職員行動指針を作成し、プライバシーの保護について明記し職員の行動規範としています。個人情報使用・外来者訪問・広報紙掲載などについては、契約時に利用者と保護者に同意書の記載事項を説明し、同意のサインをもらっています。そのほか行事等の写真の掲載などその都度本人の了解を得るようにしています。毎年養護学校の卒業生が入所するにあたり、実習を含めてプライバシーや個人情報の保護に関する注意を徹底しています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供  行事後はどんなことをしたか振り返りの場を設けて、利用者が行事に参加して満足したかを把握するようにしています。外出行事で楽しかったが人が多くて嫌だったという感想があったときは、次回は実施時間や場所を変更するなど利用者の感想を行事に生かすようにしています。個別支援計画見直し時の利用者面談時にもサービス支援への利用者の満足度や希望、感想などを聞き取っています。事業所主体で1年に1回程度満足度調査を実施し、サービス改善の課題の整備と対策の実施が期待されます。
 利用者の苦情や要望は随時受け付けています。利用者の作業への関心は高く、やってみたい作業のことや、いっしょに作業をする利用者間の人間関係に関する苦情もあります。職員は利用者が何でも相談してくれる雰囲気作りを心がけています。毎日の職員打ち合わせで情報を共有し、利用者の苦情には職員全体で解決に取り組んでいます。定期的に第三者委員会の訪問があり、利用者の本音や職員が把握していなかった面を捉えることもあります。
  「利用契約ガイド」を作成し、個別支援計画に基づいてサービス支援を行うことを明記し、利用者に絵や言葉に書いて示しながら全体を理解できるように工夫し、日課などの見通しが持てるようにしています。相談に応じる際も口頭だけでなく、個々の利用者の理解しやすい方法で訴えを聞き取ったり、整理して聞き返すなどコミュニケーションを工夫しています。個別支援計画は本人のこだわりに配慮し、できることやできると思われる動作は可能な限り本人の意思で実行できるように見守っています。
3 サービスマネジメントシステムの確立   「川崎市わーくす高津ってどんなところ?」を作成し、イラストや写真を用いて働きたいと思っている希望者にとてもわかりやすく就労支援について説明しています。パンフレットに作業内容や一日のプログラムの流れ等を明記し、利用者のサービス選択に必要な情報を提供しています。サービス開始にあたり、「福祉サービス利用契約ガイド」を整備し、利用契約の目的や期間、個別支援計画や提供するサービスに関する利用者と事業所の約束事を明確にしています。
 アセスメント表に利用者の障害特性、社会参加の状況、日中活動・作業、日常生活の状況、健康面、家庭状況等を明記し、支援ニーズを明確にしています。また、利用者の状況の変化に応じ随時アセスメント表の見直しを行い、利用者支援ニーズの変化を職員間で共有しています。6か月ごとに個別支援計画の見直しを行っています。アセスメント表、モニタリングの記録及びケース記録をもとに個別支援会議で検討し、個別支援計画の目標を設定しています。個別支援計画の内容を利用者、保護者に説明し同意のサインをもらっています。
 危機対応マニュアルを整備し危機とは何かをマニュアルに明記し、リスク対策の目標を明記しています。職員は、毎日利用者の発熱や風邪の症状等がないことを確認し「感染症状況把握表」に記録しています。「防災組織表」を整備し、火災・地震を想定し毎月、防災訓練を実施しています。「大規模地震発生時の対応マニュアル」を整備し、東海地震等大規模災害に備えています。緊急時の連絡や避難場所、災害用備品等について明記し職員に周知しています。利用者全員が「緊急時連絡カード」を所持し、緊急時の連絡先がわかるようにしています。
4 地域との交流・連携  当施設は川崎市北部身体障害者福祉会館と同じ建物内にあり、福祉会館と連携して年2回広報紙を発行し、行政や社会福祉協議会、学校、取引業者等に配布しています。地域とのかかわりは福祉会館が担っており、当事業所としては毎年11月に開催する「北身館フェスティバル」に参加することで、地域と交流する機会にしています。キャップアートを作成しフェスティバルのシンボルとして入り口を飾り、毎年好評です。今後は、障害者支援の専門性を生かし、地域住民の障害者理解に向けた講習会開催等の活動が期待されます。
 養護学校やしごとセンター、受注業者等と連絡を取り合っています。施設長が兼任している北部身体障害者福祉会館は関係機関や「利用者の会」、ボランティア等とは定期的につながりを持ち、事業所として会館運営委員会に参加します。朝・夕の職員打ち合わせで施設長から職員への情報提供がありますが直接的つながりが少なく、職員自己評価では地域との関係や地域福祉への取り組みに不十分さを感じているとの意見があります。地域との接点を増やし、地域性に配慮し商店との協働等の積極的な対応が期待されます。
 利用者は全員自力通所です。「緊急連絡カード」を持ち、通勤時の体調変化等に備えています。障害手帳や事業所、家族連絡先等を明記しています。利用者及び保護者の多くが加齢に伴い将来の生活スタイルに不安を感じています。事業所として作業活動の維持や充実への取り組み、将来の利用継続や生活等の相談支援に取り組んでいます。休憩時間や体育館での運動プログラム、受診支援等身体機能維持の課題が増えています。日常生活や仕事の社会性も視野に入れ、幅広い関係機関との連携が期待されます。
5 運営上の透明性の確保と継続性  法人の基本方針をホームページに掲載し事業所運営の考え方を明示しています。「障害のある人一人ひとりを大切にし、思いや願いに対し、その実現を図るべく個々に合致した支援・援助を展開します」など8項目の基本方針を掲げています。基本方針の実践に向けた「職員行動計画」を定め、毎週火曜日に全職員で読み合わせを行い、基本方針の実践に向けての注意を喚起しています。また、法人の基本方針及び事業計画に則り事業を展開することを事業計画に明記し、全職員に配付し事業所の年度ごとの重点運営項目を明記し周知を図っています。
 法人の中期計画の内容を受けて、事業計画を作成しています。平成30年度事業計画の「本年度の重点運営項目」に、作業活動を日課の中心として、利用者が充実感を持って活動に参加できるように、個々の目標に沿った作業環境を整備すること等を明記しています。また、事業所の重点項目を策定し、半期・年度末に事業計画の実践の状況を評価し、職員会議の意見を踏まえ次年度の事業計画に反映しています。施設長は、事業計画を職員に配付し、職員会議で重点項目について詳しく説明し周知しています。
 事業所の重点課題を事業計画に明記し、その対策を推進しています。利用者の工賃向上、職員が長期的に勤務できる労務環境作り、利用者の個人情報保護等を目標として取り組んでいます。建物設備、備品等の老朽化がすすんでいるため、川崎市と協議しながら修繕等含め効率的な運用に努めています。また、職員は節電に努め、消耗品の使用にもコスト意識を持って取り組んでいます。日中作業の製品の品質向上を図ることが職員の労務の効率化や経営改善、工賃の向上につながるため、良品を作ることに力をいれ利用者を指導しています。
6 職員の資質向上の促進  職員は、少ない人数構成ですが個別対応での支援に経験豊かで、就労支援への理解がありチームワークがとれています。利用者に対しては、社会人として接する姿勢を大切にするように支援しています。さらに、高品質の製品を維持する意識が大切であることを伝え、利用者が目的をもって作業に取り組めるようにしています。職員の評価や賃金等の連動した人材マネジメントは行っていませんが、今後の取り組みが期待されます。
 法人主催の階層別年次研修が整備され対象者に実施しています。入職時、1・2・3・5年次、中堅時は各段階の役割を踏まえ研修体系を整備しています。加えて契約職員向けの研修を実施しています。職員ごとの研修計画は立てていませんが、年度初めに研修受講の職員の希望を把握し、希望の外部研修に参加できるように調整しています。強度行動障害や就労支援に関する受講の希望が多く、昨年もそれぞれが受講しています。
 施設長と職員の面談は年2回予定していますが、職員からの希望にも随時応じています。年に1度職員の意向調査を行っています。職員は、有給休暇は調整しながら取得できており、業務を計画的に効率よく行うよう時間管理に努めています。休憩・休息は交代でとり、業務を集中して遂行できるようにしています。介護休暇や育児休暇、看護休暇などについても状況に合わせて取得しています。残業はほとんどなく、神奈川県福利協会に加入し、法人での職員交流会も実施しています。職員の福利厚生面の充実を図っています。

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