かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

川崎市北部身体障害者福祉会館作業室(2回目受審)

対象事業所名 川崎市北部身体障害者福祉会館作業室(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人育桜福祉会
対象サービス 障害分野 生活介護
事業所住所等 〒 213 - 0001
高津区溝口1-18-16
tel:044-811-6639
設立年月日 2006(平成18)年10月01日
公表年月 2018(平成30)年10月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 川崎市北部身体障害者福祉会館作業室はJR武蔵溝の口駅から徒歩5分の大変交通の便の良いところにあります。社会福祉法人育桜福祉会が、昭和57年に川崎市からの受託運営を開始し、平成18年に障害者自立支援法による指定管理者として、定員20人の生活介護事業所として運営を開始しました。平成30年6月現在の利用者数は23人で、平均年齢は52.6歳です。身体障害者手帳の所持者は19人で、療育手帳の所持者は13人です。利用者の高齢化が進んでいる状況があり、職員は、加齢に配慮し身体機能の維持を心がけ、また、絵画、書道、パソコンを使った創作活動などに力をいれて支援しています。
  育桜福祉会は、川崎市全域に10の障害者通所施設、13の障害者グループホームを運営し、他に相談支援センターなど36か所の障害向け福祉サービス事業所を展開しています。利用者の数は全体で550名に及び川崎市を代表する社会福祉法人の一つです。法人の基本方針に、「利用者が喜怒哀楽を思う存分、自由に、表現できる心豊かな生活を目ざし、支援します」を掲げています。利用者一人ひとりが主役となり、尊厳を持った生き方ができるように支援しています。


《特に優れている点・力を入れている点》
○創作活動に利用者の表現力が生きています
 個々の利用者の表現力を生かし、日中作業で施設独自の特徴ある製品を創作しています。牛乳パックリサイクルの葉書、トートバックや巾着袋の藍染製品、ティッシュケース、ドリームフレグランス(デコレーション石鹸)作りなど多彩です。デコレーション石鹸はペーパーナプキンで飾りつけをしたもので、地域のデパートで販売するほど好評です。法人内の喫茶店やふれあいショップでも販売します。また、毎月第一木曜日に会館前で「ショップあゆみ」を開店し利用者の作品を販売し、利用者と地域の人たちとの触れ合いの機会になっています。


○職員は人権意識を高め合い、利用者の思いを尊重した支援に努めています
 職員は、毎週月曜日の朝の職員打ち合わせで「職員行動計画」の読み合わせを行い、人権意識について振り返り、注意を喚起しています。利用者自身がどう感じているかを受け止め、職員の思い込みや決めつけがないようにしています。また、利用者にも人権意識をきちんと持ってもらえるように声をかけ、時として行き過ぎがないか、いやな思いをしている人はいないか気を配るよう心がけています。利用者の声の強弱や表情の変化に注意し、筆談、文字盤などを用いて利用者の障害特性に応じてコミュニケーションを図っています。


○利用者と職員の笑顔のやり取りを大切にしています
 創作活動で素晴らしい作品ができたとき、その日の作業が予定通りであったときなど、いつも職員は笑顔を心がけ、利用者が気軽に話しかけ、また、なんでも相談してくれる雰囲気作りを大切にしています。利用者と職員の信頼関係と笑顔のやり取りが施設を明るくしています。施設長は、新年の「北身館だより」で「人は幸せだから笑うのではなく、笑うから幸せなのだ」と笑いの大切さをみんなに伝えています。施設長の笑顔が施設の明るい雰囲気につながっているようです。利用者一人ひとりの笑顔が印象的です。


《事業者が課題としている点》
 職員だけでなく、利用者もともに人権意識を高められるよう取り組むことを課題としています。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重  地域社会における共生の実現と、安心して充実した地域生活を送ることができるよう必要な援助や助言を行うことを、今年度の重点目標に掲げています。職員は、支援場面に限らず日常生活で利用者が困っている時、話したい時にいつでも対応し、利用者の不安感が大きくならないように心がけています。都合がつかない場合も必ず時間を設定し利用者の同意を得るようにしています。日中作業は利用者の希望を尊重し、それぞれに目標を設定し意欲的に取り組めるように配慮しています。
 ホームページに法人としてのプライバシーポリシーを開示しています。利用契約時に個人情報に関する取り扱いについて説明し、「(個人情報使用、外来訪問、広報紙掲載)同意書」に同意のサインをもらっています。写真等の掲載はその都度同意を得ています。日常生活全般を通して相談支援センター、グループホーム等関係機関と確認し、利用者のプライバシーの漏洩が無いように配慮しています。本人の納得を第一に考え、時間をかけ丁寧に対応し一方的にならないよう声のかけ方に注意し、解決策を導いたり提案できるまで話し合っています。
 職員は、毎週月曜日の朝の職員打ち合わせで「職員行動計画」の読み合わせを行い、人権意識について振り返り、注意を喚起しています。施設では、職員と利用者がともに「人権侵害」や「虐待」について、認識をきちんと持ってもらいたいと考えています。時として行き過ぎがないか、いやな思いをしている人はいないかなど、気を配るよう心がけています。アザなどを発見した際には、なぜできたのか等を関係者それぞれに確認し、迅速対応を心がけ虐待の防止・早期発見に努めています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

 利用者が日常の支援や作業内容について満足しているかは、日常の様子を観察することで把握しています。また、個別支援計画作成時の利用者面談で、サービス支援の結果に利用者が満足しているかを確認しています。個別対応のサービス提供時等は利用者の意向を十分にくみ取った対応かを本人と確認しながら行い、日中活動以外の生活にかかわる部分については家族や関係機関との連携をとるようにしています。全体の要望等利用者の自治会の決定を尊重し、行事等は自治会での活発な意見を反映し利用者の満足につながる支援に努めています。
  「苦情解決対応マニュアル」を整備し、苦情解決責任者、苦情対応体制等を明記し、苦情対応する際の心得を示しています。利用者が日常的に苦情や意見を伝えられるように、職員全員が苦情受付の窓口です。また、苦情対応手順を明記し、苦情の内容に応じた報告先を明記し迅速対応を図っています。苦情解決のポスターを掲示し、利用者に苦情受付の方法等を周知しています。職員は、利用者の障害特性に配慮し、いつもと変わりないと思える場合でも要因を観察し、不快な思いで過ごすことがないように見守っています。
 職員は、声の強弱に配慮し筆談、文字盤などを用いて利用者の障害特性に応じてコミュニケーションを図っています。最近はスマートフォンなど本人が使っているツールも活用しています。気分が悪くなると足を組むくせがでたり、表情にでたり、あくびなどの行動等で自分の思いを示す利用者がいます。杖、車椅子を使用し、難聴や弱視などの条件でも利用者が施設内で自由に動けるように職員が見守っています。職員は利用者との信頼関係作りに力を入れ、笑顔で接し、利用者が笑顔で過ごせるように心がけています。

3 サービスマネジメントシステムの確立  利用希望者に、施設の一日の流れや作業プログラム、創作活動など、施設選択に必要な情報をパンフレットを使い写真で示しながらわかりやすく説明しています。体験利用の希望者には、3日程度の体験利用で、安心して利用を決定してもらいます。サービス開始後アセスメントを実施し、職員の複数の視点で1か月程をかけて利用者支援ニーズの把握に努め、個別支援計画を策定します。職員は朝・夕の職員打ち合わせで利用者の思いや生活の状況に関する情報を共有し、利用者が不安を感ずることなく安心して施設に馴染めるように支援しています。
 日々の利用者支援情報はケース記録に記述しています。個々の利用者の個別支援計画の課題を「個別支援計画一覧表」にまとめて職員に配付し、職員は個別支援計画の課題を日々意識しながら利用者支援に努めています。朝夕の職員打ち合わせの話し合いの内容を「施設運営日誌」に記録しています。利用者支援の現場での職員同士の気づきや利用者の変化の状況が毎日記録され、それを受けて施設長が毎日コメントし、職員間の情報共有を図っています
 月に1回、火災や地震を想定した川崎市北部身体障害者福祉会館全体の防災訓練を実施しています。防災訓練計画書を作成し、訓練実施責任者、職員の役割及び訓練の時間を追った内容を明記し、利用者・職員に周知しています。「大規模地震発生時の対応マニュアル」を整備しています。夜間や通勤途中の災害発生を想定し職員の対応について明記しています。年に1回は水害発生を想定した避難訓練を実施しています。訓練の実施ごとに「危機対応訓練評価報告書」を作成し、改善事項を明確にし次の訓練に活かしています。
4 地域との交流・連携   「北身館フェスティバル」や川崎市障害者施設しごとセンター主催の「KAWASAKI産SUNフェスティバル」、高津区の「橘ふるさとまつり」等に参加した際、自主製品の販売を行っています。事業所のある会館の玄関前に「ショップあゆみ」を設置しリサイクル品を販売しています。毎日バザー品を販売し利用者は日常的に地域の方と交流しています。利用者が提供品募集のチラシを作成して地域に配付しています。北身館だよりを年2回会館と共同で作成しています。会館前の掲示板を利用し施設の各種の行事等を紹介しています。
 地域の方に障害者を理解してもらうことを願っていますが、会館の所在地が商店街ということで、施設として障害者が活動できる環境面で困難を感じることがあります。例えば、店舗の顧客の都合を優先して身体に障害のある方の外出が不自由になったり、車椅子では店舗内に入れなかったり、動きにくかったりといった課題が増えています。月一回の地域清掃活動や日ごろから挨拶を交わすなど地域との接点を増やし、障害への理解を深めてもらうとともに、施設として活動しやすい環境作りに地域の方々を巻き込めるよう努力を続けています。
 会館前の花壇を整備し、花を育てる楽しみと育てた花を創作活動の材料として活用し、会館利用者や近隣の方の癒やしの場となるようにしています。会館周辺の清掃や用水路沿いの植え込み清掃も行っています。日中活動では商店街に位置しているので、買い物や飲食などの機会に出かけ、挨拶を交わしています。毎週、施設の活動に参加するボランティアが2名おり、さらにボランティアが継続的に活動できる環境作りに努めています。利用者が多くの方とかかわり、街で出会った時にも安心できるようにと期待しています。
5 運営上の透明性の確保と継続性  法人の基本方針をホームページに掲載し、施設運営の前提となる法人の考え方を明示しています。「障害のある人一人ひとりを大切にし、思いや願いに対し、その実現を図るべく個々に合致した支援・援助を展開します」など8項目の基本方針を掲げています。基本方針の実践に向けて「職員行動計画」を定め、職員打ち合わせで全職員で週に1度読み合わせを行い意識の強化を図っています。また、「職員行動指針」を作成し、人権擁護、プライバシーの尊重及び利用者のリスクマネジメントの徹底等を明記し、職員の注意を喚起しています。
 施設長は事業所の重点課題を事業計画に明記し、対策を講じています。地域住民とのふれあいを深め、自主製品、リサイクル製品の利用者主体の販売活動の推進や高齢化による利用者の身体活動の低下への配慮などを重点課題として明記しています。また、日々の福祉サービスの質の向上のため職員の指導に努めています。毎日朝・夕に実施する打ち合わせでの職員の言動や考え方、及び利用者支援の現場の状況等を運営日誌に記録しています。毎日施設長が利用者サービスの状況を確認し、日誌にコメントを記載し、全職員に周知しています。
 定期的に福祉サービス第三者評価を受審していますが、サービス内容の内部評価は実施していません。利用者特性に配慮し事業所としての評価項目を設定し、年に1回程度定期的に自己評価を実施し、サービス改善に向けた課題整理と対策の取り組みを期待します。
6 職員の資質向上の促進  3年から10年以上の経験を有する職員主体でバランスの良い職員構成になっています。法人の人員配置では川崎市北部身体障害者福祉会館の中の施設として位置づけられており、会館の運営上、職員が土日や夜間の応援に入るため、ローテーションや役割分担で工夫し日中の稼働人員を調整しています。トイレ介助等の同性介助やリフティングへの2人体制等の人員配置も必要としています。人的余裕がないため新しい試みに取り組めないのが現状です。
 法人の研修計画に基づき、年次研修が組み立てられています。個人の研鑽について、各種研修案内を回覧し、職員の希望を尊重し必要と思われるものの受講を勧めています。受講後は研修の報告を共有し、支援の現場で場面に活かして伝えたり、個別支援計画を作成する際に考え方を示したりサポートしながら研修成果を伝えています。今後の課題としては、職員一人ひとりの研修計画や計画の評価・見直しで、職員のスキルアップに関する目標管理と自己統制のマネジメントの仕組みの整備が期待されます。
 職員は、計画的な業務管理と時間管理を行うよう心がけています。残業も少なく、有給休暇や子どもの看護休暇等も取得しやすい雰囲気があります。個別事情にも職員が相互に譲り合って対応する関係性が築かれています。職位により開館時間に合わせて休日出勤や時差勤務の負担があります。定期健康診断(内科、胸部レントゲン)、検便(毎月)、インフルエンザ予防接種(希望者)を実施しています。メンタルヘルスにも配慮し、ストレスチェックを実施、衛生委員会の巡回があり、相談や助言を受ける専門窓口も設定されています。

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