かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

日枝幼児園(2回目受審)

対象事業所名 日枝幼児園(2回目受審)
経営主体(法人等) 宗教法人 日枝大神
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 235 - 0016
磯子区磯子4-3-11
tel:045-751-3893
設立年月日 1949年06月15日
公表年月 2018(平成30)年09月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 日枝幼児園は、JR磯子駅からバスで5分、バス停「間坂」より5分ほどの位置にある、昭和24年6月開所の認可保育園です。自然豊かな神社の境内にあり、裏山にはアスレチックや畑があります。保育目標に「自分のことは自分でできる子ども」「友達と仲良く遊べる子ども」「健康で元気な子ども」を掲げ、保育士、栄養士が協力して保育を進めています。定員は1〜5歳児で70名、開園時間は、平日、土曜日とも7時30分から18時30分です。保育の中で、リトミックや音楽遊びを行うほか、異年齢で季節ごとの行事を行うなど、感性豊かで健康な子どもを育てる保育を実施しています。

《特に優れている点・力を入れている点》
○豊かな自然環境のなか、異年齢でのかかわりも多く、子どもたちは健康的にのびのびと過ごしています
 園は高台の自然豊かな神社の敷地内にあります。季節を感じさせる大きな桜やいちょうの木、あじさいのほか、どんぐり、梅、花梨など実のなる木々も多く、鳥やかたつむり、さまざまな昆虫、時には野生のリスを見かけることもあります。園庭から階段や坂をさらに上がって行くと遊具のあるアスレチックスペースや畑もあります。子どもたちは園内にいながら元気に活動したり遊んだり、畑でさつま芋やかぼちゃの収穫に向けて水やりや草むしりを行ったり、のびのびと過ごしています。また異年齢合同で月1回「仲良し保育」、年3回「仲良し給食」、全園児参加の「誕生会」「七夕の会」「クリスマス会」などを実施するほか、園庭の木陰で大きな子どもが小さな子どもにダンゴ虫の採り方を教えてあげるなど日常的に異年齢の子どもがかかわっています。

○全職員が全園児を把握して保育を行っており、温かい家庭のような雰囲気の中で保育が行われています
 年度初めの職員会議において、園長は「保育士の心得」を中心に、子どもの人権を尊重することや自己啓発に努めることなどを職員に話し、毎月の職員会議やミーティングでも子どもを公平に見ることなどを伝えています。また、年に1回面談を行って要望を聞くほか、人間関係などでストレスをためないよういつでも相談に応じるように心がけています。毎日ミーティングを行い、クラスごとに話し合う機会も多く持ち、コミュニケーションを大切にしています。行事の分担を行い、それを全職員で協力して行う体勢もできています。職員アンケートからは職員同士が仲が良いことがうかがわれます。全職員が全園児を把握し、温かい家庭のような雰囲気の中で保育が行われています。

○キャリアパスを設定し、階層別に資質向上の目標を示し、計画的に人材育成に取り組んでいます
 園では、キャリアパスを設定し、職員に対して研修参加や自己研鑽に努めることを求めています。キャリアパスには、「一人ひとりの子どもの最善の利益を第一に考え、人権に配慮した保育をおこなう」など、3つの資質向上の全体目標を設定し、この実現に向けて、「保育実践」「乳児や要配慮児への対応」など、7分野の資質向上の目標を定めています。目標は、経験年数(階層)別に初任者、中堅、ベテラン向けに明文化し、目標達成に向けた取り組み内容を具体的に示しています。さらに、キャリアパスを踏まえて研修計画を作成するとともに、園内でのスーパーバイザーの養成にも役立てるなど、キャリアパスが将来を見越した人材育成の基本となっています。

《事業者が課題としている点》
 進級時の引き継ぎを充実させることを課題と捉えています。年度末には担当以外のクラスでの保育を実施していますが、新旧の担任間で引き継ぐための話し合いの時間をしっかり取るようにしたいと考えています。また、土曜当番の職員配置について課題と捉えています。土曜当番が9時間勤務となるようにヘルプの職員を募っていますが、偏りがあったり、だれもいなかったりするのが現状です。
 アレルギーの子どもの誤食事故について、現年度は卵と乳を除去した献立で誤食事故を防止していますが、今後は、発症すると重篤になりやすい小麦の場合はどのような対応がよいのか検討していきます。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

 保育理念は「鎮守の森に親しみ自然と触れ合う中で明るくのびのびと行動し、豊かな人間性のある健全な心身をもった子どもに育てます。一人ひとりの子どもが快適に安心して園生活を楽しみ、豊かな感性や表現力を養い創造性を豊かにします。他の人と親しみ支え合って生活するために自立心を育て、社会生活における望ましい習慣や態度を身につけます」、保育方針は「健全な心身をもった明るく正しい素直な子どもを育てます。恵まれた自然環境のもとで豊かな愛情や自主・協調の態度を育てます。様々な体験をとおして豊かな感性を育て創造性の芽生えを援助します」とし、子ども本人を尊重したものとなっています。理念、方針は園内に掲示され、年度初めや職員会議で確認し合って保育を行っています。
 園の「保育従事者の心得」には「子どもの人権を尊重し、名前の呼び捨てや差別用語、プライドを傷つけることがないよう気を付ける」と記されています。子どもを尊重する保育や、子どもの年齢、個人の成長発達に合わせた声かけを行うことなど、職員会議やミーティングで園長が話をしたり職員間で確認し合ったりして、子どもたちがのびのびと過ごせるようなゆったりとした穏やかな保育を心がけています。子どもがおもらしをした場合は、ほかの子どもに知られないよう配慮しながら優しく対応し、子ども同士のトラブルの際は個々の特性を考慮しながら双方の話を聞き、状況を把握したうえで子どもたちが納得できるよう対応しています。
 子どもが一人になりたかったり周りから声をかけてほしくないときなどは、保育室内に可動式の仕切りやパーテーションを使用してスペースを作るなど工夫しています。また、職員室や玄関スペースなども活用することができ、職員は必要に応じて声をかけながら子どもの様子を見守ります。子どもと1対1で話し合う必要が生じたときには、保育士は子どもの自尊心やプライバシーに配慮して保育室の隅や職員室のスペースなど、ほかの子どもの視線を気にせずすむような場所で、子どもが理解し納得できるように穏やかにかかわるよう心がけています。


2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

 全体的な計画は、保育理念や保育方針に基づき、子どもの最善の利益を第一義に作成しています。家庭や地域の状況などを考慮して土曜日の保育も7時30分から18時30分で始めました。きょうだいのいない子どもも多く、異年齢の子どもが一緒に活動できる保育を多く取り入れています。全体的な計画は、職員の意向をくみ取り、年度末に園長が中心となって見直しを行い、年度ごとの子どもの様子やクラスの状況を考慮しながら作成しています。全体的な計画は保護者に対して入園説明会や新年度の懇談会で説明しています。また、改定などがあれば随時保護者へ説明を行います。
 全体的な計画をもとに担任がクラスごとの「年間指導計画」「月間指導計画」「週案」を作成しています。また、年齢ごとの年間「食育計画」も作成しています。各計画をもとに子ども一人一人の発達に応じた保育を行っています。日々の活動については、翌日の活動予定を前の日に子どもたちにわかりやすく伝えています。事前に予定を知ることで、例えば製作であれば子どもが作りたい内容を考えてきたり、親子で話題にしたりして、子どもたちが翌日の活動をより楽しみに登園できています。指導計画は子どもたちの様子や状況、意向などにより、子どもの自主性や主体性を尊重して柔軟に変更しています。
 入園説明会の後、保護者と個別に面談を行っています。面談では入園までの家庭の状況や子どもの様子などを聞くとともに、できるだけ子どもと一緒に来園してもらい、子どもの遊び方、親子のかかわり方なども観察しています。入園時に保護者に記入してもらったり面談で把握したりする家庭の状況、子どもの様子などの情報は「入園申込書」「入園面接の記録」「児童票」に記録としてまとめられ、職員会議などで情報共有して日々の保育に生かされています。また子どもの情報を記した記録類は、職員がいつでも確認できるように事務室、職員室の鍵のかかる書棚で保管しています。


3 サービスマネジメントシステムの確立  入園時には短縮保育(慣れ保育)を2週間を目安にお願いしていて、子どもの様子や保護者の事情を考慮しながら進めています。新入園の1歳児については、気持ちが安定するよう相性なども考慮しながら担当保育士を決めています。また心のよりどころとなるタオルなどの持ち込みも認めています。保護者との日々の情報交換は送迎時の会話のほか、1、2歳児については睡眠、排便、喫食の状況などの基本事項について連絡帳を使用して内容確認を行っています。また、園の入り口にある屋外掲示板にてクラスごとに毎日の活動の様子を知らせています。春の新入園児受け入れにあたっては、在園児の不安を軽減できるよう事前に進級の話や入園してくる子どもたちの話をしたり、フリーの職員がサポートに入るなどの配慮をしています。
 子どもの成長、発達に沿ったクラスごとの「年間指導計画」「月間指導計画」「週案」は子どもたちの様子、状況に応じてクラス担任が作成し、園長が内容をチェックしています。週案が含まれている月間指導計画には自己評価欄が設けられていて、複数の担任保育士が子どもたちの様子をよく見ながら反省、評価、見直しを行い、必要に応じて職員会議やミーティングなどでほかの職員の意見なども聞きながら次の計画へつなげています。保護者の意向は、日々の送迎時の会話や年度初めの懇談会、年度末に実施する保護者アンケートなどでくみ取る努力をしていて、指導計画にも反映するよう努めています。
 入園時に把握した家庭の状況や子どもの生育歴、食事の状況や特性などについては「入園申込書」「入所面接の記録」「児童票」に記録しています。入園後の身体測定、健康診断などの記録は「園児健康台帳」に記しています。子ども一人一人の記録はクラスごとにファイリングし、事務室、職員室の書棚で管理し、全職員が情報共有して保育にあたるほか、進級時の担任の申し送りにも使用しています。また、子どもの様子や家庭の状況などについて担任間でわかりやすく引き継ぐための「引継ぎ、申し送りの記録」も作成しています。子どもが就学する小学校には保育所児童保育要録を送付し、子どもの状況を伝えています。

4 地域との交流・連携

 園の運営法人は神社(宗教法人)であるため、氏子を中心に地域の関係者との連携関係が築かれています。夏の祭礼は、社務所や園がある敷地内で行われ、会場に園の子どもたちの作品を展示するなど、子どもや園の活動の周知に努めています。親子で祭礼に参加してもらい、地域住民との交流を深めています。また、施設見学を随時受け付けており、その際、子育てに関する保護者の悩みや相談に応じています。地域の関係者との交流や育児相談を通じて、地域の保育ニーズの把握に努めています。さらに、磯子区の子育て支援連絡会や幼保小交流会、園長会に参加し、多様な視点から捉えた子育て支援ニーズの把握に努めるとともに、関係者と協働して、子育て支援活動に取り組んでいます。
 園見学や育児相談に応じたときに把握した保育ニーズの情報は、月1回行われる職員会議で共有し、必要な保育サービスの検討に役立てています。園では、近隣の小規模保育園と連携関係を構築し、運動会や生活発表会に小規模保育園の子どもたちを招待しています。園庭は長い階段を上った山の中腹の境内にあり、自然豊かな環境で貴重な体験ができるというメリットもあります。今後は親子が参加できる講演会や研修、施設開放なども検討してはいかがでしょう。
 磯子区では、毎年、庁舎内で区内の保育園を紹介するパネル展示を行っています。園では、保育内容や保育時間、行事など、園の特長をまとめたパネルを制作し、アピールを行っています。さらに、横浜市や神奈川県のホームページの子育て支援情報サイトで情報を提供しています。また、園では独自のホームページを制作中で、この秋には公開する予定です。育児相談は特に相談日を設けていませんが、園見学の際に相談に応じています。今後は育児相談を定期的に開催することを検討してはいかがでしょう。神社と園の掲示版を鳥居の横に設置し、園の行事や毎日の給食内容を掲示し、地域住民への園に関する情報提供に努めています。


5 運営上の透明性の確保と継続性 園の保育理念は職員室や玄関、各保育室に掲示し、保育士が日常保育で判断に迷う時に確認できるようにしています。また、保育理念や保育方針は、年度初めに保育の計画を作成する際に、職員会議で確認するとともに、重要事項説明書を職員に配付し、周知を図っています。職員会議では、保育理念や保育方針に立ち戻って、前月の振り返りを行い、子どもへの接し方などの理念に沿った対応となっているか、確認しています。
 見学者への対応は園長が行っています。電話での問い合わせの際は、子育て相談をする保護者もいます。電話、見学の際に詳しく話を聞いて、必要な助言を行っています。利用希望者の見学の際は、あらかじめ決められたスケジュールに基づいて、しおりやパンフレットを使って説明するようにしています。見学者の質問や相談内容は記録し、必要に応じて職員に共有しています。なお、時間は子どもたちの活発な活動を見学できる午前中を勧めていますが、曜日や時間など利用希望者の都合に合わせるように努めています。
 職員は、月間指導計画に反映するため、クラスごとに日誌に記載した自己評価をもとに、月ごとに自己評価を行っています。月ごとの評価をもとに次期の年間指導計画に反映させるため年間の振り返りを行っています。これらの自己評価は、職員会議に報告され、協議のうえ全体の評価と課題の抽出につなげています。あわせて年度末には、全職員が「保育士の自己評価」を行い、これらをもとに「保育所の自己評価」を作成しています。さらに年度末には保護者アンケートを行い、ここから把握した課題と、保育所の自己評価を踏まえて、次年度の計画を作成しています。また、保育所の自己評価は、報告書にまとめて保護者に配付しています。

6 職員の資質向上の促進 6.職員の資質向上の促進  実習生の受け入れ担当は園長です。受け入れは、中学生の職業体験や、保育士養成校の保育士志望者、看護学校の看護師志望者です。受け入れにあたっては、マニュアルに基づき事前オリエンテーションを行い、実習に対する園の基本方針や、子どもとの接し方などを説明し、実習が実りあるものとなるよう配慮しています。一方、職員には対人援助の実践の機会として、実習生に対する指導、助言を行うよう求めています。さらに、実習終了後には、会議を開いて感想や意見を聴く機会とし、その後の保育に反映するよう努めています。なお、保護者には「園だより」や、送迎時の口頭による説明で、実習生の受け入れを伝えています。
 人材配置は、個人の適性、能力を踏まえながら、経験年数の長い職員と短い職員の組み合わせを原則としています。園長は、この配置を基準として、必要な人材が確保されているかを確認しています。欠員が生じた時は、短期であれば人材派遣会社に依頼し、長期の場合は養成校に対して求人を行います。採用基準は、人間性、社会性、個人としての伸びしろを見込んで選考を行っています。人材育成に向けてキャリアパスを設定し、初任、中堅、ベテランに分けて目標と具体的取り組みを示し、これに基づき研修計画を作成しています。自己評価では、キャリアパスを踏まえて資質向上の目標設定を行い、個人面接を通じて達成度の評価を行っています。
 研修計画の作成担当者は園長です。キャリアパスを踏まえながら、階層、テーマに応じて、横浜市や磯子区、関係団体などが開催する研修を選定し、全職員が参加できるよう配慮し、派遣しています。外部研修に参加した職員は、振り返りのために研修報告を作成するとともに、園内研修で成果を発表することで、成果の共有に努めています。成果のうち保育内容や技術については、園内研修で検証、評価し、園の方針や実情に応じて日常の保育に取り入れるように心がけています。

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