かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

特別養護老人ホームかわいの家(3回目受審)

対象事業所名 特別養護老人ホームかわいの家(3回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 奉優会
対象サービス 高齢分野 特別養護老人ホーム
事業所住所等 〒 241 - 0804
旭区川井宿町69番地1
tel:045-954-4500
設立年月日 2010(平成22)年04月01日
公表年月 2018(平成30)年06月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社 R−CORPORATION
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

●【特別養護老人ホームかわいの家の概要・立地】
特別養護老人ホームかわいの家(以下、かわいの家という)は、東京都世田谷区にある社会福祉法人奉優会(以下、法人という)の運営であり、特別養護老人ホーム、ケアハウス、短期入所生活介護、通所介護、認知症対応型通所介護、高齢者福祉センター、地域ケアプラザ、訪問介護、居宅介護支援事業、地域包括支援センター、認知症対応型共同生活介護、小規模多機能型居宅介護を展開する中の一つとして、平成11年に設立されました。法人はこれらを東京都及び神奈川県に展開し、社会のシステムとして利用者ニーズの具体化に向けて取り組み、福祉サービスを広く提供し、地域、社会に貢献しています。
・かわいの家は、相鉄線鶴ヶ峰駅からバスで10分余り、バス停から徒歩3分の戸建て住宅が立ち並ぶ住宅地の小高い丘に位置し、周辺は緑が多く残り、四季折々の自然と澄み渡った空気を感じ、どこまでも広がる空、見晴らしの良い環境の中、静かに時間が流れる「かわいの家」があります。近隣には小・中学校もあり、今後、地域の中核施設として、地域コミュニティの核として期待されます。
●【特別養護老人ホームかわいの家の事業方針】
法人ビジョンは、「ソーシャル・ドリーム・コーポレーション」〜地域に暮らす高齢者ひとり一人のその方らしい暮らしを大切にします〜、これを基に、かわいの家のビジョンとして、「これからもわたしらしく過ごせる我が家あったかわいの家」〜人生のやり残しゼロを目指して〜を掲げています。かわいの家では、ユニットケアの手法を活用しながら、入居者の尊厳を大切にし、利用者一人一人の「好みやこだわり」を共有し、真の生活ニーズの把握から充足(人生のやり残しゼロ)を目指し、今まで「諦め」があったのならば、それを「望み」に変えられるよう、ユニットケア(個別性の向上)にユニットスタイル(専門性の向上)を加え、その方の「私らしい生活」となるよう、介護の質の向上に努めています。職員の質の向上に向けて、一般社団法人日本ユニットケア推進センターが主催するユニットリーダー研修の施設実習において、当施設が「実地施設」になることを1つの目標に設定しています。施設実習の受け入れのための環境作りが体質の改善につながること以上に、当施設の介護の質の向上につながると共に、業界全体の介護の質の底上げに寄与できると考え、日々研鑽を図っています。施設の構成は、ユニット型特別養護老人ホームであり、10人定員のユニットが9ユニットと、10人定員のショートステイユニットが1ユニット設けられ、1階は管理棟と2ユニットを設け、2階と3階に各4ユニットで構成されています。施設内のフロアは、中央の広いロビーを挟んで両側各2ユニットを設け、浴室、事務スペース、機材・衛材置き場とつながり、入浴での同性介助の対応等、ユニット間で協力し合える職員体制作りを構築しています。かわいの家では、組織として特徴ある優れた点が各課での取り組みとして多くあり、向上と探究を続けている施設です。
<優れている点・特に良い点>
1.【ユニットケアの効果】
かわいの家は、ユニット型特養であり、従来型の特別養護老人ホームでは実現できなかった主に3つのメリットがかわいの家にはあります。1つ目は、今までの暮らしの継続にあり、「家」には個室でのプライバシー確保と、キッチン、お風呂等、生活文化に即した同様の機能の中で暮らせることにより、見当識障害が少なく、最後まで「家」で暮らし続けられます。2つ目は、個々のペースで基本的生活習慣が行えることにあり、「個人」として自分に合ったペースで生活ができます。3つ目は、少人数ケア体制で、固定した職員の配置により、安定した支援と、顔馴染の入居者たちと安心して過ごせ、きめ細かいサポートの下、一人一人の些細な変化・反応も見逃さないケア体制があります。認知症等で自分のことを表現できない人に対しては、専任職員の細やかなサポートが付き、重度化して心身機能が低下した方、安静、休養が必要で介助が必要な方には、些細な反応を読み取るサポートを行うユニットケアが実現しています。
2.【24時間シートの活用】
ユニットケアが有用であることを明確にし、さらに、些細な変化・反応も見逃さないケアや些細な反応を読み取るサポートとは何かを大切にし、探究する手法として「24時間シート」を活用しています。個々の入居者のペース(生活のリズム)を把握し、聞き取り項目の分析から、入居者一人一人の意向・ニーズを抽出し、「24時間シート」に記録し、それに基づく個々の支援を方針としています。一人一人の24時間の暮らし方を聴き取り、データ化することで、個別ケアの実践の根拠としています。例えば、高齢者が訪れて楽しい場所→買い物をする場所、また、人的ネットワークの構築→年齢が上がると友人が少なくなる→施設が交流の機会を設ける等、その人らしい生活の維持のサポートを常に検討しています。入居者が行く頻度を増やしたい場所、行って楽しい場所は、「買い物をする場所」として「24時間シート」から示された分析を基に、施設内でできる「わくわく商店街」(旭区の商店街からの出張販売)やスーパーの移動販売車等を導入し、入居者の満足につなげています。
3.【職員の質の向上・人材の育成】
ユニットケアの効果も、「24時間シート」の活用も、基本は職員の対応が全てです。かわいの家では、「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」を取り入れ、認定された評価者講習修了者(アセッサー)による職員の指導や、アセッサー有資格者の増加を目指し、職員の質の向上に努めています。目標として、前半は評価基準の見える化を図り、職員の介護技術の標準化を図り、後半には1名でも多く段位取得者を輩出することを目標にしています。非常勤職員の新入職員に関しては、プリセプタ―制度(トレーニングシステム)を導入し、正規職員との組み合わせで業務および運営を円滑につなげ、良好にコミュニケーションも図っています。これらをキャリアパスに連動した人事体制で、かわいの家では高いレベルでの介護技術の平準化を図っています。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ●かわいの家は、長期的に「ソーシャル・ドリーム・ウェルフェア・コーポレーション」を目指し、入居者本人を尊重した理念および基本方針を設定しています。施設の理念や基本方針の実現に向けて年度事業計画を策定し、その人らしい暮らしを支援するためにケア向上委員会活動を推進しています。ケアの基本は、「あったかいケア」に置き、職員は常に「利用者は満足しているのか」を考えながらのケアが身についています。
●身体拘束に関して、「身体拘束防止推進委員会」(通称:0キープ委員会)を設け、拘束の定義、指針を基に研修、カンファレンスを実施し、職員の意識の啓発を行い、根本となる不適切ケア防止の推進を図っています。入居者と家族に対しては、入所時の契約の際に、身体拘束に関して施設としての方針を説明しています。毎月、正規職員にサービスマナーチェックを実施し、年2回、施設全体でチェック、振り返りを実施しています。
●人権擁護では、職員に対して、服務規程、採用時研修、拘束の定義を確認し、指針を設けて取り組んでいます。「リスクマネジメントプロジェクト」では、身体拘束、人権擁護、虐待防止についての処置や対応について管理し、ルールブックを作成して全職員に配付し、周知しています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ●入所に先立ち、入所時アセスメントを実施し、必ず入居者本人・家族と面接を行い、面接時の情報や生活支援課による自宅訪問や、サービス担当者からの情報等を収集し、複数の職種で話し合いの場を設けて実施しています。サービスの実施内容については、「課題聞き取りシート」や「排泄・睡眠データ」を取り込んだ入居者一人一人の「24時間シート」により把握し、パソコンネットワークでの情報を加え、より良いサービスに取り組んでいます。「24時間シート」は、入居者本人にとって極めて有効で、満足度を維持できる方法として推進しています。
●食事は対話を楽しむ場と考え、家庭的な雰囲気を心がけ、職員も一緒に食事を摂り、楽しい時間としています。炊飯は各ユニットで行い、おかずの盛り付け、味噌汁作りは入居者と一緒に行い、味付けについても個々の相談に応じています。入居者個々の栄養状態については、アセスメント(解決すべき課題の把握)を行い、食事への配慮に努めています。
●かわいの家の浴室設備は、各ユニットの個別浴槽の他、機械浴槽(リフト式:中間浴)、寝たまま入浴できる寝台浴槽の3種を備え、入居者の身体状況に応じて安全を確保できるよう浴室の種類を変えて行っていますが、個浴での対応の移行を目的にし、なるべく寝台浴は使用しないようにしています。入浴が難しい場合には足浴対応を行い、希望・必要があればシャワーや清拭等の対応も行っています。
●排泄については、入居者個々の仕草やサインを見逃さないよう支援に努め、入居者個々のインターバル(間隔)をデータ化し、「24時間シート」に記録し、定まった時間に便座に誘導するよう、自立に向けた支援を行っています。また、日中の職員の手厚い時間帯に、2人介助でトイレ誘導を実施し、なるべく座位での排便を促しています。
●機能訓練については個々の機能の評価を行い、理学療法士(PT)が課題と共に、有用な方法を確認し、機能訓練計画書を立案・実施を行い、チェックを実施しています。ユニットごとに生活リハビリを実践し、成果を上げた内容は施設として取り入れ、作業訓練士(OT)がアドバイスを行う等、適正な生活リハビリに努めています。
●施設の広報誌(あったかわい便り:事務課で発行)を発行し、家族に施設の情報を届けています。また、毎月、『生活記録』として、前月分のケース記録と血圧・食事量の一覧を郵送しています。施設のホームページはこまめに更新し、活動の様子や食事について掲載し、見やすく、わかりやすく提供しています。

3 サービスマネジメントシステムの確立 ●入居者の状況に応じた取り組みでは、入居者個々のペース(生活リズム)を把握し、「24時間シート」に基づく支援を、かわいの家の方針としています。「24時間シート」は、家族に対してもわかりやすく説明することができ、入居者については、食事形態や、移乗方法、排泄方法、日中の過ごし方等のフォローに生かして活用し、入居者一人一人への適切なサービスの提供ができています。
●事故防止対策については、事故対応マニュアルが整備され、「リスクマネジメント委員会」を設け、事故が発生した場合は事故原因の分析を行い、施設会議に提案して再発防止に努めています。ヒヤリハットについては、メモ程度の用紙を作成し、職員が日々気づいた事柄をすぐにメモできる体制を構築し、事故報告書につながる効果を発揮しています。施設では、見守りカメラを導入しており、事故検証、気づき、確認を可能とし、再発防止に役立っています。
●苦情解決の体制では、相談、苦情対応に関するマニュアルを整備し、重要事項説明書に相談・苦情対応窓口を明示し、施設の担当・担当責任者、横浜市担当課も記載し、直接苦情を申し立てることができることを入居者、ご家族に説明しています。個別援助計画更新時に、ご家族にアンケートを実施し、意見を聞く機会を設け、施設の改善に努め、また、「入居者の会」、「ひだまりの会」(家族会)の開催を通して意見を聞く機会を設けています。
●医療依存度の高い入居者に関する対応マニュアルを整備し、医療記録と介護記録を記載しています。研修を修了した介護職員により吸引、経管栄養滴下を行い、介護職員で医療行為が行えることで、入居者が看護師の滞在時間に関係なく吸引、経管栄養滴下が受けられ、吸引、経管栄養滴下の待ち時間が減少し、自由な時間が増え、離床して散歩をする等、生活の幅が広がっています。

4 地域との交流・連携 ●かわいの家は、川井地区の地域支援ネットワークに加入し、地域ケアプラザ、行政、地域包括支援センター、地区社会福祉協議会、霧が丘町内会、学校、保育園、ボランティアセンター等と交流を図っています。入居者と一緒に行う公園の清掃や、支援ネットワークに加入して災害時の受け入れ19名等への協力、霧が丘地域ケアプラザとの協働、町内会の盆おどり・運動会に参加し、地域と交流を図り、福祉ニーズを把握しています。かわいの家の納涼祭にも地域の方をお招きしています。地域のボランティアの方等から、地域の情報を入手し、必要に応じて事業計画に反映させています。
●地域の人たちに施設行事やスーパーの移動販売車の開催時には地域の方にも参加を呼びかけ、交流を図り、地域の活動にも参加しています。施設を地域に開放し、会議室の貸し出しや、町内会に備品の貸し出し等を行い、相互協力体制を持ち、さらに、消防団、自治体と防災協定書を交わしています。
●職員の守るべき規範は、就業規則、運営規定、倫理規定に明文化し、職員に周知・徹底しています。経営・運営状況等の情報は、施設内に決算報告書を自由に閲覧できるよう設置し、ホームページ、広報誌でも公開しています。不適切な事例等は、システムの事務連絡に示し、ユニットリーダー会議の議題に挙げて議論を行う等、啓蒙し、管理職はユニットミーティングに参加して注意喚起を行っています。

5 運営上の透明性の確保と継続性 ●横浜市の方針(3R夢)の掲示を行い、ゴミの分別、リサイクルを徹底しています。分別ゴミは産廃業者に依頼し、施設内の節電、節水に努め、電気消費量の削減の促進を行っています。環境配慮の考え方については、ファシリティマネジメント施策によりコスト削減目標を定めて取り組んでいます。
●法人の事業運営に影響のある情報は、行政、神奈川県高齢者福祉施設協議会、横浜市、地区社会福祉協議会、報道、インターネット等から収集し、分析は法人系列施設で構成した戦略プロジェクトで実施しています。課題解決は事業計画に組み込み、管理職だけでなく一般職員も共有しています。
●中・長期計画について、理事会に外部の専門家も参加し、法人の3か年中期計画を策定し、施設でも作成しています。さらに、特養のユニットリーダー研修の受け入れ実施施設になることを目的に、全職員で研鑽を図り、取り組んでいます。次代の施設運営の後継者の育成では、常務理事を理事長に、現施設長・副施設長の育成を考え、法人で研修プログラムが用意されています。

6 職員の資質向上の促進 ●人材育成計画は、施設が求める人材像(職位、俸給、職務分掌等)に沿って策定しています。かわいの家では、EPA(経済連携協会)人材育成計画に基づき、ベトナムより介護福祉士候補者を継続して受け入れ、現在、かわいの家に就職しています。法人の人事制度改定に伴い「職務・役割等級制度」を導入し、職員が自らの役割を担うことができるよう職務・役割に連動した研修体制を整備し、活力ある人材の育成に向け、契約職員を含む全ての職員を対象に新研修制度を設け、スキルアップを推進しています。平成29年度、かわいの家の重点施策として、「ハイスペック人材の育成」を掲げ、ハイスペック人材育成@〜Cを設け、行動計画を示し、目標達成を目指して取り組んでいます。
●かわいの家では「ISO文書管理フォルダー」を設け、「NIコラボ」(電子メールやスケジュール管理・ 情報共有等を行うための多機能グループウェア)で共有化を図っています。また、職員の技術レベルの評価基準を定め、採用時の研修で図り、採用職員のレベルの一貫性を確保する取り組みを行っています。今年度、課長がアセッサー講習を終了し、今後、各介護職員の評価を行う予定でいます。現在、アセッサーは6名が在籍しています。
●職員の評価の期待水準については、職員の経験・能力、習熟度に応じた役割について明文化し、指導できるレベルを示しています。日々の業務改善の提案は、手順変更手続きのプロセス書を備え、提案できる体制を構築し、年1回、職員に対してアンケートを実施し、業務向上と改善を図っています。人事考課制度により、個別面接・調査等を行い、職員の満足度、要望等を把握し、助言、サポートを行い、職員の意欲につなげています。

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