かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

川崎市中部身体障害者福祉会館 作業室「こすぎ」(2回目受審)

対象事業所名 川崎市中部身体障害者福祉会館 作業室「こすぎ」(2回目受審)
経営主体(法人等) 公益財団法人 川崎市身体障害者協会
対象サービス 障害分野 生活介護・就労継続支援
事業所住所等 〒 211 - 0068
中原区小杉御殿町2-114-1
tel:044-733-9675
設立年月日 1988(昭和63)年04月01日
公表年月 2018(平成30)年07月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社 R−CORPORATION
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

<施設の概要・特徴>
川崎市中部身体障害者福祉会館作業室「こすぎ」(以下、「こすぎ」という)は、公益財団法人川崎市身体障害者協会(以下、法人という)の経営です。法人は、障害者協会8施設、身体障害者団体9団体を母体として川崎市全区に、あらゆる障害に係る施設を展開し、地域の福祉ニーズに貢献しています。「こすぎ」は、JR線・東横線武蔵小杉駅から徒歩15分、川崎市中部身体障害者福祉会館の1階部分にあり、日中生活介護、就労継続支援B型事業を実施しています。川崎市中部身体障害者福祉会館は、昭和63年に会館事業を開始し、館内には、会議室、交流室、日常生活訓練室、視聴覚室、リハビリ室、相談室を備え、市民に施設を開放し、障害者の生活に関する相談や、ボランティア育成に関するサービス等を実施しています。「こすぎ」では、生活介護サービス定員15名、就労継続支援B型定員10名、1日の平均利用者数は15名の状況です。「こすぎ」は武蔵小杉駅に近く、駅前には超高層の居住マンションが続々と開発され、商業地、住宅地として目覚ましい発展が見られ、利便性の良い地域ですが、少し駅前から離れると静かな住宅地が密集し、その一角に位置しています。


<特によいと思う点>
【朝の会の実施と利用者の健康管理】
 「こすぎ」では、全利用者(就労継続支援B型・生活介護)と職員で全体の朝の会を行っています。利用者が日直職員(サポート役)と司会進行を行い、司会者が利用者一人ひとりに話しかけた言葉を、みんなに聞こえるよう繰り返し丁寧に伝えています。利用者にとっての社会性は非常に重要であり、利用者が自分の意思をみんなの前で表明する習慣を大切に捉え、一人ひとりの主体性を引き出し、自発的な行動へつなげるよう支援しています。また、朝の会は利用者の健康を見る指標であり、健康管理の上でも大切なステップとしています。

 

【作業受注の充実】
前回の評価調査では生産品受注の強化が望まれる点として挙げていましたが、今回、自主製品の充実と受注の増加への改善が図られており、自主製品としての陶芸製品は、色付けに工夫して仕上げが一段と良くなり、作業受注もタオル等の品目も増えていました。特に、就労継続支援B型の利用者はいろいろな得意分野を持ち、「得意」を生かせるよう作業を選択できる体制が設けられています。作業室も大幅な改修により動線に配慮され、働きやすく改善が図られ、工賃も上がり利用者の作業意欲が高まり、良いサイクルに向かっています。


【地域交流の推進】
年1回、川崎市の福祉会館4館で「交流会」を開催し、交流友の会の企画内容は、利用者に聞いて決めています。企画ではカラオケ大会やオセロをする年もあります。また、福祉会館4館では毎年作品展も開催しており、今年の実施は、溝の口の「ノクティプラザ」で開催し、各福祉会館が作品を持ち寄り、利用者の作品展を5日間行いました。「こすぎ」は、タオルのマスコット(フッキーちゃん)、陶芸の歯ブラシ立て、コースター等の作品を出品しました。「こすぎ」でできた交流を更に、4会館の交流・ネットワークを生かしています。


<さらなる改善が望まれる点>
【生産品受注のさらなる強化について】
前述の如く、作業受注の向上が利用者の作業意欲増進に効果を高めています。進める中、利用者個々に応じた作業量の想定の課題や、多すぎるのも問題ではあると思いますが、少ないのも問題であると思われます。現状の利用者の得意分野における問題もあり、更に、「納期」を加味すると、受注活動は難しいと思われますが、なるべく多くの利用者の方々が「やりたいと思う作業」があるような受注が望ましいと思いますので一層の努力を期待しています。


【看護師によるさらなる健康の維持管理について】
利用者の障害の特性、障害が重度な方を考慮し、リスクマネージメントには十分に留意していることと思われます。静養室は整備され、使いやすく配慮され、作業室利用中では、看護師が常駐して、体調が優れない利用者に医療的なチェックのための聴診器、血圧計、吸引機、応急手当セット等も整備しています。また、季節のインフルエンザや、感染性胃腸炎(ノロ)等に十分注意を図り、利用者の健康管理に関する配慮と環境を整備し、万全を期していますが、口に出して言えない方への寄り添い等に一層の配慮を期待します。


【潜在的な利用希望者への対応について】
地域には、障害を持ちながら十分な介護を受けられない、もしくは利用できるサービスを知らない潜在的な利用希望者、希望しながら順番を待っている方々のニーズを受け、利用の相談支援への職員体制も整備されていますので、気軽に、川崎市中部身体障害者福祉会館作業室「こすぎ」に利用者、家族が聞きに来られるよう情報発信を図り、より一層、地域生活を支える対応、地域の障害者支援への体制を進めて行かれることを期待しております。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

●日常生活の支援(食事、排泄、更衣、移動、日中活動等)では、利用者個々の障害状況に合わせ、利用者の意思や要望を尊重し、細やかな対応及び支援を行っています。日中活動は、それぞれができる作業を選択してもらい、無理のない範囲で活動しています。余暇では、行事の日帰り旅行での意向アンケートを実施し、利用者の提案で行先を決めることがあります。利用者を尊重したサービスについては、各職員の対応に差異が生じることがないよう、朝・帰りのミーティングや、職員会議でサービス提供内容を検証し、共通理解を図っています。


●基本的人権については、今年度より「セルフチェックシート」を全職員に配付し、館長が回収及び集計し、内容はサービス管理責任者に伝えています。法人では「障害者虐待防止委員会」を設置し、メンバーは、保護者代表、事務局長、管理者、各部門のリーダー、サービス管理責任者、看護師、運営委員の代表者で構成し、年1回、定期会議を開催し、必要に応じて随時、委員長が障害者虐待防止委員会を招集する体制を構築し、重点的に虐待の早期発見に努めています。


●個人情報の取り扱い、プライバシー保護については、重要事項説明書に記載し、利用契約時には個人情報を他で使用する(例えば広報誌等に写真等個人情報を掲載等)場合の可否を確認しています。個人情報保護については、法人でマニュアルを整備し、個人情報のファイルは厳重な管理と、守秘義務の徹底を図っています。利用者に対しては、利用者一人ひとりの気持ちを理解し、生活場面等で適切な配慮と支援を行い、排泄時には同性介護を基本としてプライバシーに配慮しています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

●受注作業の内容や、分担、各作業内容は、利用者の自己決定に沿って利用者主体の支援に努め、「納期」に余裕がある場合は利用者に作業を選択してもらっています。レクリエーション活動や外出プログラム等では、利用者の話し合いで決めています。定期的に利用者と職員の話し合いの場を設け、意見、希望等や、満足度を把握し、活動に生かしています。川崎市中部身体障害者福祉会館のフェスティバルの開催や、季節行事(節分、花見、七夕、クリスマス等)を行い、利用者が楽しめる機会を設けています。


●利用者からの意見や要望は、投書箱を設置し、車椅子の高さを考慮して利用者が投函しやすい場所(2か所)に設置しています。また、「思いカード」を作成し、受けた意見や要望に対しては「返事カード」で回答するよう工夫しています。利用者が相談しやすい環境については、複数の相談方法や相談相手の体制を整え、気軽に相談できる雰囲気作りを行っています。意見や要望に関しては、基本的に即時対応を心がけ、直接的な意見、投書にかかわらず、職員間で内容を共有し、対応について検討を図り、記録し、サービスの改善に努めています。


●職員は、利用者の障害特性や個性等に配慮し、コミュニケーションを図るツール(トーキングエイド等)を活用すると共に、利用者本人が納得できるまで確認し、確実に対応できるようにしています。また、利用者同士の話合いの時間や、交流を楽しむための機会を設け、「こすぎ」に通所しやすいよう楽しい雰囲気作りに努めています。就労を目指している利用者については、相談支援センター、援助センターと相談し、自立支援計画に記載して支援しています。作業・活動の場面では、利用者の負荷にならないよう配慮しています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

●法人ホームページ、川崎市障害福祉案内「ふれあい」(案内書)に掲載し、情報を提供しています。利用者の問い合わせや見学等の要望があった場合は、必ず活動体験を実施し、施設情報について個別に対応しています。地域相談支援センターは在宅の利用希望者の7割を把握し、支援が必要な利用者の紹介を受けています。サービス管理責任者やケース担当職員が中心となり、スムーズな集団参加のために場面の説明を行い、タイムスケジュールを手渡しています。作業開始時では個別対応をし、不安を軽減できるように配慮しています。


●「こすぎ」の利用に当たり、利用者本人、家族、前利用事業所、学校等の情報及び利用者の日々の生活状況を確認し、健康面の変化等の見落としを防ぐために、日々の打合わせや報告を密にし、所定の様式に記録しています。利用開始に際して個別面談で要望等を確認し、アセスメント表を作成しています。日々のサービス実施状況記録(支援内容、特徴的な行動、健康状態等)は作業室日誌に記載し、個別にはケース記録・看護記録等に必要事項を記録し、ミーティングで全職員に周知し、必要に応じて追記を行い、共有しています。


●「こすぎ」が提供するサービスについては、基本事項や手順を文書化した「支援マニュアル」に沿って実施しています。「支援マニュアル」には各項目の作業内容が図入りで示され、支援の標準化が図れるよう整備されています。利用者個別の留意事項については、別紙に作成し、活用しています。また、利用者の尊重・プライバシー保護を基本姿勢とし、職員の対応に差異が生じないよう実施方法の統一化を図っています。利用者の状況は、職員会議、ミーティングで支援方針・方法を話し合い、職員間で統一したサービスの提供に努めています。

4 地域との交流・連携

●地域に向けて、法人のホームページ、川崎市のホームページ、及び、「中身館通信」にて情報を提供しています。運営委員会では、町内会長に参加してもらい、川崎市中部身体障害者福祉会館が開催する「中身館フェスティバル」に近隣各町内会の会長に案内すると共に、町内の回覧板で周知し、掲示板への貼り出し等にも協力を願い、地域や見学者、実習生、体験学習参加者にも案内し、理解を促す機会としています。会館の事業として、障害者やボランティア等に活動場所をや、障害福祉の普及啓発を目的とする各種講習会を開催しています。


●市民による福祉講座(障害者の居る家庭に向けた住宅改造の説明会、障害者サービス活用法等)の開催では、会議室や作業室の貸与を行っています。ボランティアの受け入れでは、事前に事業内容や業務等の基本姿勢について説明を行い、登録手続き等を行い、利用者の日中活動や外出行事等のボランティアをお願いしています。また、近隣の小学校、中学校の体験学習を受け入れています。


●定期的な連絡会等では、川崎市障害福祉施設長会議、中原区社協評議員会、川崎市社協施設長会、館長会議、川崎市の障害者施設の担当者会議に参加し、情報の共有化、情報交換を行っています。地域の福祉ニーズを把握するため、川崎市中部身体障害者福祉会館主催の「中身館フェスティバル」では地域の住民、地域の障害児者施設と交流し、障害者の地域生活向上のための福祉ニーズを把握しています。運営委員会では、福祉事務所所長、各種障害者団体の責任者、地元町内会長等に出席してもらい、様々なご意見を受け、運営に生かしています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

●「こすぎ」の「施設運営計画」の中に運営方針を掲げ、日々の支援にあたっています。また、作業室運営規定・職員行動指針・職員倫理綱領を、事務室の目に付く場所に掲示して示しています。川崎市中部身体障害者福祉会館は、川崎市指定管理施設であり、5か年の中・長期計画が策定され、計画に沿って基本方針を作成し、運営方針は基本方針に基づいて策定しています。運営方針は、年度初めに職員会議で説明し、理解を促しています。「こすぎ」では、長期利用者が多いことを考慮し、マンネリ化しないよう常に考えています。


●日々の業務やミーティング、職員会議等において、管理者の役割と責任を明確にし、サービス管理責任者や職員の業務が確実に遂行できるようにし、館長の職務分掌については、事業所管理及び運営規定に明文化され、職員会議等で自らの責任を表明し、職員が果たすべき役割を明確にし、円滑な業務につながるよう指導力を発揮しています。経営母体は、公益財団法人川崎市身体障害者協会であり、経営は法人事務局主体で実施され、職員からの業務改善提案については、事務局から川崎市身体障害者協会に上申しています。


●個別支援計画は、モニタリングにより、利用者個々のサービス提供の検討を行い、事業報告書作成時にサービスの見直しを実施し、年度末に振り返りを行い、次期計画に反映しています。問題提起はセッション(生活介護、就労継続支援B型、看護師、サービス管理責任者、事務、館長)ごとに実施しています。全体研修は、館長を中心に内部研修を企画・実施し、ミーティングや職員会議で利用者の視点に立ち、より質の高いサービスに向けた評価・検討を行い、体制の整備を図り、サービスの質の向上に努めています。

6 職員の資質向上の促進

●人員体制は、館長と法人事務局で検討し、定められた最低基準を上回る必要な人材・人員の確保に努め、サービス提供に支障がなく、手厚いケアが行えています。人員の配備は、職員の適材適所を見極め、人事異動を行い、雇用は有資格者の人材確保に努めています。職員の負担を考慮すると共に、事故が生じた場合を想定した人事配置を心がけています。


●職員の質の向上について、事業計画に掲げ、年間教育計画を策定し、施設内外の研修計画も示しています。研修は、職員が個々に希望に応じた内容の研修を受講し、職員は研鑽を図っています。川崎市や区の研修の案内は提示し、職員の勤務を配慮して参加を促しています。研修受講者は、研修報告書を提出し、館長が評価を行い、年度末に、事業報告書作成時に年間の研修の見直し及び反省を行い、次年度の計画に反映しています。外部研修は年1回以上、職員の能力に合わせて参加を勧め、内部研修は全員参加とし、人材育成に努めています。


●館長は、年度末に職員と個別面談を行い、就業状況の把握に努め、嘱託職員とパート職員は次年度の更新時に意向の確認を行っています。また、個別に業務振り返りの他、職務相談等を通して意向を把握し、職員の有給休暇の取得状況や時間外等労務管理を行っています。利用者アンケートの実施結果において、評価の低い側面について、悪い点を抽出し、改善について職員会議で話し合い、組織全体で取り組むよう指導力を発揮しています。

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