かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

川崎市南部地域療育センター

対象事業所名 川崎市南部地域療育センター
経営主体(法人等) 社会福祉法人 川崎市社会福祉事業団
対象サービス 障害分野 地域療育センター
事業所住所等 〒 210 - 0806
川崎区中島3-3-1
tel:044-211-3181
設立年月日 2014(平成26)年04月01日
公表年月 2018(平成30)年07月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 市民セクターよこはま
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の概要】
川崎市南部地域療育センターは、JR川崎駅東口より、市営バスで、約15分の市立川崎高校前で下車するとすぐ前にあります。平成26年に開校した併設型中高一貫校である川崎市立川崎高等学校・附属中学校との合築となっています。建物は鉄筋コンクリート作りの7階建て1階部分の一部に併設されています。診療部門と通園部門は中庭を囲んで回遊できる形となっており、ホールの他に、水治療室、スヌーズレン室(感覚刺激空間)、多目的室4室、指導室10室の他に言語聴覚室や心理室などがあります。外来は廊下つながりで独立しています。
同センターは、昭和63年4月1日に川崎市により開設され、平成26年4月1日から、指定管理となり、社会福祉法人川崎市社会福祉事業団が運営しています。同法人は、数多くの高齢者施設、障害者施設、児童施設等を運営し、全ての市民が地域社会において安心して快適な生活が営める福祉社会づくりをめざして運営する社会福祉法人です。
同センターは、障がいのある、または、その疑いのある子どもの成長や発達の相談を受け、情報の提供や診療、子どもに合わせた療育支援を行っています。対象児童は0歳〜18歳未満、開所日・時間は、月曜日〜金曜日 午前8時30分〜午後5時となっています。利用実績は、地域支援事業では、全利用者数2,732名、新規相談者数512名、外来療育事業では、外来診療科延べ利用者数2,652名、外来評価・訓練延べ利用者数8,166名、通園事業では、定員90名(児童発達支援40名・医療型児童発達支援40名・短時間児童発達支援10名)となり、契約児数は144名となっています。

◆高く評価できる点
1、子どもとその家族の地域での生活を尊重したサービスの提供に努めています
一人一人の個性が大切にされ、充実した社会生活を送ることができるように、質の高い福祉サービスの提供に努めています。子どもと家族が家庭や地域で安心して過ごすことができるよう地域の関係機関と連携して、就学前から、学齢期、そして卒業後の支援サービスへと繋ぐ為に、18歳までの支援継続を掲げています。
そのために、保育所訪問・小学校訪問を継続し、学齢期の子どもたちへの支援に力を注いでいます。就学時には臨床心理士が申し送り資料を作成し、小学校に送付しています。状況によっては園長やケースワーカーが直接小学校に出向き、子どもの状況を説明する配慮をしています。
また、保護者支援をセンターの大切な使命と捉え、家庭の状況や家族の精神的な不安や悩み事に真摯に寄り添うことに配慮し、保護者からの相談や質問にはいつでも応じています。それぞれの家族や家庭の状況を考慮し、保護者の精神的な支えともなるように支援を行っています。
保護者講座を、年間10回から11回の頻度で開催し、外部の人も参加できる公開講座や専門職員による実践的な学習会なども行っています。保護者講座の内容は、発達障害や小児高次脳機能障害の基礎知識、就学準備講座、先輩ママの話を聞く会など、様々なテーマを設定しています。

2、積極的に、地域の関係機関への支援に取り組んでいます
幼稚園・保育所への巡回訪問を積極的に行っています。幼稚園・保育所から数多くの相談が寄せられ、随時、相談に応じています。地域支援を大きな柱と捉え、川崎市の指定を受けている「保育所等訪問事業」では、スタッフの専門性を生かし、一貫したチームアプローチを行っています。
1日単位の訪問の他に、数か月の期間を設けた技術支援にも取り組んでいます。学齢期支援チーム内のケースワーカー・理学療法士・臨床心理士が、毎週2名ずつで小学校のクラスに入る形の支援を3ヶ月の設定で実施し、クラスの環境を変える技術支援により、明確な改善がみられる結果を得ています。

◆独自に取り組んでいる点 
1、ボランティアとの連携による地域支援の取り組み
ボランティアを積極的に受け入れています。カットボランティア(地域の理美容室での散髪が困難な子どもを対象に、定期的にセンターで散髪)・キッズボランティア(きょうだい児の預かり)・音楽ボランティア(不登校の子どもを対象に音楽を楽しむ会を毎月開催)・チャレンジボラ(センターの夏祭り手伝いボランティアを社会福祉協議会が中高生に向けて募集し、毎年10名の参加)等が活動しています。また、保育園での土曜サロンにケースワーカーが参加し、身近なところで相談できる機会を作っています。ファイトクラブ(学齢肢体不自由児スポーツ活動グループ)の実施やひよこグループ(1歳児運動発達遅滞児)をプレ通園として位置づけ、親子で一緒に参加し、親子の絆を深める機会となっています。
通園エントランスにて、作業所等のパンの販売の場を提供しています。地域の作業所の支援と共に、保護者の負担を軽減する効果に繋がっています。

◆改善や工夫が望まれる点
1、経営管理意識の徹底
法人としての中長期計画に沿って、センター長・園長は常に先を見通した課題の設定や検討を行っています。将来に向け、管理職のこうした意識を職員と共有化し、センターが一丸となった運営の実現化を進めることが期待されます。
平成30年に開設5年目を迎え、センターは様々な取り組みの実践とその結果を出しています。面談から初診までの待機期間が保護者にとって子どもと向き合う有意義な時間となるような工夫や、医師や専門職職員の増員を図り診察日を増やすなど、多くの経営努力が見て取れます。しかし、利用者の増加に伴う業務量の多さに対し慢性的な人員不足があります。理念等に沿った支援を継続して実施するために、どのような職員を育成したいかを示したビジョンの明文化や、センター長・園長を支える主任クラスの職員がスーパーバイズできる体制作り等が望まれます。効率的な運営による職員の労働環境改善、さらに個々の職員の自己啓発を援助する制度や仕組みの構築が期待されます。
また、現在積極的に取り組んでいる地域支援をさらに拡充し、川崎市内の関係機関と連携して、子どもとその家族を地域で支援する仕組み作りの手腕に期待します。

2、マニュアルの活用による危機管理対策の徹底
マニュアル・チェックリスト等の内容は、職員が支援を行う上で安全上、配慮すべき事項が掲載されるだけでなく、全職員が主体的に関わり、確実に行うことができるように定期的に見直し、安全確認の頻度等実行性のある仕組み作りが望まれます。
設備の清掃や日常の点検は、点検等の項目を表にして掲示するなど、日常的に職員が、効率的に的確に確認できる仕組み作りをし、内容の見直しを行った場合には、確認日を記載することが望まれます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ・法人の基本理念として、@充実したサービスの提供、A地域に根ざした施設運営、B法人の経営基盤の整備、C職員の資質・能力の向上を揚げ、これを組織目的として、「ひとりひとりの個性が大切にされ、充実した社会生活を送ることができるように、質の高い福祉サービスの提供に努める」ことを掲げています。また、センターのチラシには、概要として、「心身の発達に遅れや偏りのある、または何らかのご心配のある乳幼児・学童を対象に、相談及び診断・評価、訓練・療育まで総合的で一貫したサービスを行い、お子さんの健やかな成長・発達を促すお手伝いをします。また、お子さんとご家族が家庭や地域で安心して過ごすことができるよう地域の関係機関と連携して支援します」と揚げ、子どもとその家族の地域での生活を尊重したものになっています。 
・権利擁護委員会があり、子どもの人格を辱めたり、自尊心を傷つけるような言動を行ってはならないことが、全職員に周知徹底され、子どもに対する暴力や子どもを呼び捨てにするなどの威圧的な言葉遣い、子どもを無視するなどの行為が行われないように、職員が自ら確認する為のセルフチェックシートがあり、子どもの人格を尊重する仕組みがあります。 
・虐待対応マニュアルがあり、虐待の定義、施設従事者の責務、通告と守秘義務等についての記載があり、虐待の類型や早期発見のポイントに関する周知が図られています。また、こども家庭センター(中央児童相談所)等の関係機関と連携しており、連絡・相談する体制があります。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ・保護者講座を、年間10回から11回の頻度で開催しています。この他に、外部の人も参加できる公開講座(年3回)や通園学習会(専門職員による実践的な学習会/年1〜2回)なども行っています。講座の内容は、発達障害や小児高次脳機能障害の基礎知識、就学準備講座、先輩ママの話を聞く会など、様々なテーマを設定しています。
・子どもの進路に関する支援として、年に2回、川崎市教育委員会のケースワーカーを招き、年長児(5歳児)保護者向けと、年中児(4歳児)保護者向けの就学説明会を行っています。子どもの進路についてはケースワーカーが主に対応しますが、子どもと保護者の日常に最も近い立場にいる担当保育士も、就学説明会や学校見学会に加わる体制を作り、より細やかに対応しています。
・初診までの待機期間には臨床心理士によるカウンセリング及びケースワーカーが保護者の話しを聞くサロン、保護者向けの勉強会紹介などで、保護者の抱える不安に寄り添っています。また、平成29年夏に「ひよしなかよしサロン」を幸区に開設し、初回の面接もここで出来る環境を整えました。
・センターは、就学前→学齢期→卒業後と継続した支援で18歳までの子どもを支える目標を掲げ、保育所訪問・小学校訪問等に力を注いでいます。就学時には臨床心理士が申し送り資料を作成し、学校に送付しています。状況によっては園長やケースワーカーが直接学校に出向き、子どもの状況を説明する配慮をしています。
3 サービスマネジメントシステムの確立

・子どもの入園前の状況、家庭等の環境、他機関の利用状況、保護者の意向を把握し、支援計画は、一人一人の子どものアセスメントに応じて、子どもとその家族が地域で生活していくことを念頭に置き、中期・長期の目標を立て、年に3回開催される保護者連絡会の機会を活用し、保護者に趣旨と内容を説明し、保護者の意向も受け止め、内容についての了解を得ています。 
・苦情解決制度が整備され、契約書・重要事項説明書に苦情対応と苦情受け付けについて記載していますが、第三者委員に直接申し出る仕組みづくりが望まれます。
・医療的ケアが必要な子どもの情報については、保護者との情報交換を密に行い、子どもの生活を支えています。人工呼吸器を使用する子どもの受け入れ時には、機器メーカーから子どもが使用しているものと同じ機器を用いて取り扱いの説明を受けるなど、医師の指示書に準じた処置や対応を努めています。
・事故防止委員会があり、事故・ヒヤリハット報告書に記録された発生した経緯と対応策等を元に、原因を分析し、同様のことが繰り返されないよう業務等の改善を図っています。さらに、マニュアル・チェックリスト等の内容を検討し、職員が支援を行う上で安全・確実に行う為に実行性のある仕組み作りが望まれます。


4 地域との交流・連携 ・幼稚園・保育所への巡回訪問を積極的に行っています。地域支援担当者と臨床心理士で訪問し、観察・評価・保育士とのカンファレンスの手順で技術支援をしています。
・技術支援を目的とした学校訪問を実施し、依頼件数は年々増加し、昨年度は78件に対応しています。18歳までの継続した支援を重要と捉え、各専門職で構成した「学齢期支援チーム」を作り、1日単位の訪問の他に、数か月の期間を設けた技術支援にも取り組んでいます。
・川崎区・幸区の福祉保健センターからの依頼に応じ、1歳6か月児・3歳児の乳幼児健康診査に出向いています。両区の福祉保健センターとは、各区の「子ども支援ネットワーク会議」や、これに伴う部会会議などで、頻繁に意見交換を行い良好な協力関係を築いています。
・川崎市教育委員会による川崎市立学校教職員長期社会体験研修として、教職員1名を1年間の単位で受け入れています。研修期間中は、療育センターの機能を知ってもらうと同時に学校訪問などに参加し教員の立場からの見解を求めるなど、実践的な研修内容としています。また、こうした長期間の研修生の他にも、保育士や研修医の受け入れも行っています。  

5 運営上の透明性の確保と継続性 ・外部への情報提供として、川崎区・幸区両区の福祉保健センターや幼稚園・保育所等に配布用としてパンフレット等を提供しています。また、運営法人のホームページに、施設内容や支援内容の情報提供をしています。さらに利用希望者が知りたいと思われる、より具体的な情報提供の為に、昨年広報委員会を設け、より充実した広報活動に向けた検討を始めています。
・平成29 年度の職員体制について不適切な対応がありました。現在は、すでに適正な職員配置がなされ、改善が行われています。質の高いサービスを安定的かつ効率的に提供できる体制を構築することが望まれます。
・多様な委員会を設け、センターの課題を把握し、改善していく為に、関係職員の意見を取り入れ改善に活かしています。センター長、園長は、支援内容の管理や課題の把握・改善を行い、支援の総合性・一貫性を意識しながら、センターの経営に努めています。
・職員間のコミュニケーションが良好であり、職員は、個々の職員が抱える業務への不安や気がついた課題について、主任クラスの職員へ伝えることができる環境となっており、個々の職員の能力や経験に合わせて的確な助言や指導・相談の役割を果たしています。さらに、主任クラスの職員が、スーパーバイザーとしての役割を果たすために、業務の流れやシステムにおいて、個々の職員の業務の状況を把握できる業務体制とカウンセリング手法を学ぶなど、スーパーバイザーとしての力量を高める取り組みが期待されます。

6 職員の資質向上の促進 ・経験年数に応じた目標とその実現のために、個々の職員の資質向上に向けた目標を設定し、全職員を対象に、年に2回、園長面接を行い、目標の設定及びその達成度の評価を行うほか、自己評価や職員相互による検討を行うなど、人材育成を効果的に進めるように努めています。理念等に沿った支援を実施するために、どのような職員を育成したいかを示したビジョンが明文化されることが期待されます。
・目標管理制度があり、職員は、年度初めに目標を立て、年度末にその評価を行うために、園長が年に2回、面接を行って個々の職員の支援技術について自己評価や職員相互による検討を行うなどの取り組みを実施しています。  
・職員の意見・提案を積極的に受け止め、利用者の立場を考慮したサービスを提供するように努めています。職員からも、地域のニーズに応えるために必要と思う取り組みについての提案等が出やすい環境となっています。

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