かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

笹山保育園

対象事業所名 笹山保育園
経営主体(法人等) 社会福祉法人すぎのこ福祉会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 240 - 0051
保土ヶ谷区上菅田町951-15
tel:045-381-7465
設立年月日 2003(平成15)年06月01日
公表年月 2018(平成30)年05月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 ナルク 神奈川第三者評価事業部
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の立地・特徴】
・立地および施設の概要
笹山保育園は、1969年(昭和44年)に神奈川県立の保育園として開設され、2003年(平成15年)に現在の設置法人「社会福祉法人すぎのこ福祉会」に運営を民間委託された、歴史ある保育園です。
広い園庭(878u)を含む敷地については、神奈川県より貸与されたものであり、延べ面積605u強の建物については、県より設置法人に譲渡されて、現笹山保育園が運営されています。
園は、横浜駅西口バスターミナル、市営地下鉄ブルーラインセンター南駅(鴨居経由)、相鉄上星川駅からバスに乗り、笹山団地の中にあり、周囲には畑や林などの自然が多く残る環境に立地しています。
定員は0〜5歳児まで90名、現在の在籍数90名の中規模園です。園の立地上、保護者のほとんどが周辺の団地の居住者が多く、また、障がいのある子ども、外国籍の子どもなどを積極的に受け入れています。
・園の特徴
園は2階が2歳児室、1階に0、1、3、4、5歳児の独立した部屋が並び、各部屋と園庭の間の幅の広い屋根付きの木製テラスは、各クラスへつながっています。年長さんがテラスでやっている工作、作業を年少さんが見て、興味を抱き、自分たちも同じことをやりたいという気持ちを掘り起こす、異年齢保育の絶好の場として活用されています。園の保育の特色は、「泥んこ遊び」「はだし保育」「布おむつ」です。

【特に優れていると思われる点】
1.子どもの主体的、自発的行動を大切にした保育
日案で決まっているプログラムとは別に、遊びや製作など、子どもが主体的に自発的にやりたいことを、園は支援する方針を持っており、職員は子どもが何をやりたいかを、注意深く聞き取って、保育に結び付けています。例えば、子どもが「自分たちで獅子舞いを作りたい」と言っているのを職員が聞いて素材を用意し、4歳児クラスで獅子舞いを共同製作しています。
また、職員一人がテラスで率先して「凧作り」などを始めると、興味を持った5歳児の子どもたちが、職員の周りに寄ってきて、何をしているのか質問し、「自分たちもやりたい」と言い、凧作りを始めています。部屋の外のテラスに、4歳児、3歳児も寄ってきて、クラスごとに違った素材を使った、形、絵などのデザインも違った凧作りが、園内に広まりました。

2.多様な地域子育て支援活動
園では地域担当の職員を配置し、地域の子育て支援活動として、園庭開放(毎日)、絵本の貸し出し、交流保育(泥んこ遊び、プール、散歩、体育遊び、園行事への招待)など、地域の未就園児親子を対象に、種々の企画を打ち出しています。それらの行事・活動を2か月ごとに園発行の「どろんこ通信」などで、情報提供しています。特に、広い起伏にとんだ園庭と、水浸しになる地形なしではできない、「泥んこ遊び」は多数の参加者を得て、大好評です。また、年3回育児講座(絵本講座、離乳食講座、ベビーマッサージ講座)を開催し、毎回4〜5世帯の参加があります。育児相談では土・日曜日を除く全日にわたり、電話や来園での相談で障がいのある子どもの相談などを受け入れています。

3.全園児への個別指導計画の作成と、子どもの意向に沿った指導計画の策定
毎年、期初に各クラス別に話し合い、全園児の個人別の年間指導計画を立てています。運動会の計画・反省を挟み、ケース会議などで話し合い、9月に前半の反省を、期末に年間の反省をして一人一人の状況に応じたきめ細かな保育に注力しています。
また、子どもの、気付き、自発性、主体性を大切にした保育を実践するため、各クラスとも、ぎりぎりまで子どもの意向に合わせるよう、反省・分析を重ね、次月の指導計画を作成するようにしています。そうすることで、季節だから次月はこれとこれをプログラムしようとする計画ではなく、子どもたちの意向に沿ったプログラムで運用するようにと考えて、保育を進めています。

【特に改善や工夫などを期待したい点】
1.不審者対策の工夫を
園の敷地面積が広大で、周辺地域と接触するフェンスが低いこともあり、保護者アンケートでは、54%の保護者から、「どちらかといえば不満」「不満」の回答を得ています。不審者侵入対策として、日中の玄関の施錠や登降園時の監視体制の強化を含め、さらなる対策検討に努めることを期待します。

2.保育所としての自己評価の公表を
職員の自己評価結果を受け、職員会議で話し合い、園としての課題を明らかにして、優先順位をつけ、役割を分担し、改善に取り組んでいます。今後、保育内容などについての園としての自己評価結果や抽出された課題について、園だよりや保護者会で説明し、公表することが望まれます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

保育課程には禁止のことばを避けるなどの職員の心構えが記載されており、それを基に保育を行っています。職員は、クラスの年間計画を作成するときに話し合い、再認識しています。

・守秘義務の意義や目的は園長が入社時に説明をしており、全職員に周知しています。守秘義務マニュアルの中に、子どもやその家庭に関する情報を口外しない、公共の場で子どものことを話題にしない、個人情報はシュレッダーにかけて破棄するなど、個人情報取扱のガイドラインを記載したものを各クラスに置いて職員に周知しています。

・遊びや行事の役割、持ち物、服装などで性別による区別はしていません。遠出の散歩などは体力のある子どもでグループ分けをし、順番、整列なども性別にしていません。職員同士はその日の出来事はその日のうちに話すという環境にしており、無意識に性差による固定観念で保育をしていないかなどを常に話し合っています。

・虐待の定義については、常勤職員は保土ヶ谷区などの園外研修を順番に受講し、職員会議でその内容について説明し、全職員で知識を共有しています。虐待の予兆を発見した職員は、直ちに園長に報告し、園長から関係機関(児童相談所、保土ヶ谷区こども家庭支援課)へ通告し、相談する体制は整っています。

・園では外国籍の子どもで、宗教上の除去食を提供しています。また、国の習慣から、園での薄着やはだし保育を心配することがあり、園ではその意向を受け入れて保育しています。また、離乳食での進め方も大きな差があり、新入園時面接の際に、十分に情報を聞き、対応しています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

・保育課程は、「理念」「笹山子ども像」をもとに策定されており、子どもにとって最善の利益を追求しています。園では保育園の役割として、保護者の就労などでの「保育に欠ける子ども」について、保護者に代わって子どもの健康的発達を保障し、また、地域の未就園児に対する「遊びへの参加」を支援する旨、保育課程で謳っています。

・小さい年齢のクラスは、子どもがおもちゃを自分で取り出して遊べるように低い引き出し付きの棚や、押し入れの中におもちゃ別に分類した箱を用意しています。幼児は部屋の構造上、おもちゃを保育室の棚に出していませんが、子どもの声を聞いて数種類のおもちゃをたたみや敷物でコーナーを設けて用意し、好きなおもちゃで遊べるようにしています。絵本は自由に取り出せる本棚を用意しています。

・乳児では少なめに盛り付けて、お代わりの要求ができるよう配慮し、4、5歳児はバイキング形式で当番が盛り付けています。子どもたちは「減らしてください」とか「もっと入れてください」と言って自分で食べられる量を申告しています。

・幼児クラスでは食べた後の食器は自分たちで片付けています。5歳児クラスは当番活動で食事の盛り付けを行い、食べる前にメニューを伝えるなど食材に興味が持てるよう工夫しています。また、年4回は3〜5歳児が共同で給食を作って食べるという、わくわくランチ活動を取り入れています。

・午睡では、眠くない子どもにも布団で横になり身体を休めるように伝え、特に新入園児で午睡に抵抗感が見られる場合は無理強いせず、その子どもの気持ちに沿って対応しています。職員は子どもがかけ布団で口をふさがないように、仰向けに寝かせるようにし、0歳児は身体が沈み込まないマットレスを使用しています。0歳児は5分ごと、1歳児は10分ごとに呼吸チェックを行いチェック表に記録しています。2歳児以上は午睡の様子に気を配っています。

・トイレットトレーニングについては保護者と連携し、登園時、おやつの前後、活動の前後、午睡の前後など、一定の間隔で排泄の声かけをし、その時のおむつなどのぬれ具合で一人一人の排泄リズムをとらえ、個人差を尊重して進めています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

・保育課程は、保護者に対して新入園児説明会や保護者説明会において、資料配布の上、説明しています。

・保育課程に則り、職員全員で各年齢、月齢の「年間指導計画」を作成します。各年齢クラスの「月間指導計画」は、前月末までに、子どもの姿から発達状況や要求を整理し、さらに年間指導計画も鑑みて作成しています。指導計画作成にあたっては、子どもの気づきを主とした、子どもの主体性を生かすべく配慮して作成しています。

・食物アレルギー疾患のある子どもについては、入園時に保護者から医師の「アレルギー生活管理指導表」を提出してもらい、栄養士は保護者と面談して、対応を協議しています。職員は、厚生労働省や横浜市、保土ヶ谷区の「アレルギー疾患に関する研修」を受講し、疾患の原因や症状、対処方法などの知識を学び、受講内容を職員会議などで説明し、全職員に周知しています。合わせて事務所に食物アレルギー児一覧表を貼りだして、全職員の注意を喚起しています。

・健康管理マニュアルにより、職員は、その日の子どもの健康状態を把握しています。園での子どもの健康状態は、必要に応じてお迎え時に口頭でしっかりと伝えるようにし、降園後の子どもの症状によっての対応法の説明や、また、医者の受診を促し、その後の様子は園にも必ず連絡をくれるようにと話しています。

・嘱託医による健康診断を年2回、歯科健診を年1回実施しています。健康診断は児童健康台帳に記録し、歯科健診は専用のカルテにファイルしています。健康診断結果は口頭で、歯科健診は横浜市歯科医師会の結果表でその日のうちに保護者に伝え、連絡を取っています。

・感染症が発生したら玄関とクラスに、症状・クラス名・登園基準・対応などを掲示して保護者に情報提供しています。保育中に発症した場合は保護者に電話をして子どもの状況を伝え、すぐに迎えに来られない時は、園長または主任がほけん室で子どもを見ています。

・汚物処理、清掃などは「衛生管理マニュアル」に基づき、掃除チェック表を用いて行っています。保育室床掃除は1日2〜3回、おもちゃは、0歳児は毎日、1歳児は週1回、季節ごとにすべてのおもちゃを水洗いするなどして清潔な状態が保たれています。1年に2回、業者に依頼して害虫駆除を行っています。

・園では、消火避難訓練年間計画を作成し、月1回、避難訓練を実施しています。消防・救急車の通報訓練は年2回、年1回は保育園の前にある公園への誘導訓練を実施しています。また、職員は、保土ヶ谷区園長会主催の救急救命法の研修や、心肺蘇生法の講習会に参加して、救急救命法を身につけています。

・新入園児説明会で保護者に説明し、手渡している「保育のしおり」には、第三者委員の連絡先と苦情解決制度を明記しています。また、第三者委員の連絡先は玄関に掲示してあります。園単独では解決が困難な場合には、保土ヶ谷区こども家庭支援課などと協力して対応できる体制にあります。苦情が出された場合には、「苦情解決制度」にのっとり対応し、「苦情受付記録簿」に記録し、職員会議で全職員に周知し、欠席者には、会議議事録で周知しています。

4 地域との交流・連携

・横浜市保育所地域子育て支援事業の一環で、地域の未就園児の親子を対象に、年間を通してどろんこサークル活動を行っています。利用している保護者からの意見を聞く中で、施設に対する要望を把握し反映させています。地域子育て支援のサークル活動で園庭開放、交流保育(どろんこあそび、体育あそび、お散歩の会、園の行事への参加、プールあそびなど)を提供しています。

・育児相談の看板を園の入り口や園庭のフェンスに出して知らせています。電話での相談や来園での相談で、障害のある子どもの相談などを受け入れています。

・年3回育児講座を開催しています。6月の絵本の講座は絵本の好きな職員が担当、7月の離乳食の講座は栄養士が担当、9月のベビーマッサージの講座には系列保育園の看護師が担当しています。各講座には4〜5世帯の参加がありました。

・笹山保育園が2か月に1回発行する「どろんこ通信」や園の掲示板に園の行事を掲載して、情報提供をしています。「どろんこサークル会員」へはお知らせを送付しています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

・園のホームページに、@布おむつ使用、A泥んこ遊び、Bはだし保育など、園の特徴的な保育スタイルの説明と園状況についての情報を発信しています。外部の情報提供媒体として地元新聞や保育専門雑誌などに園情報を提供しています。

・園のホームページやパンフレットなどに、将来の利用者が必要とする情報を掲載しています。見学者に対しては「保育のしおり」により、さらに詳細に説明しています。

・園では、ごみの分別、エコキャップ運動、ラップの芯、牛乳パックなどは教材に再利用しています。ゴーヤによるグリーンカーテンや不要な部屋でのこまめな節電を実施しています。季節の変化で子どもが病気になるのを防ぐために、夏も冬も可能な限り自然な空気を取り込むようにしています。

・園の「基本理念」などは、職員室に貼りだし、また、それらを網羅した「保育のしおり」も毎年職員に配布しています。職員会議では、園長は必要な都度、「基本理念」「笹山子ども像」「保育の目標」「保育園の役割」を網羅している「保育課程」に立ち戻り説明し、議論を整理しています。運営会議や給食会議、その他係ごとの打ち合わせ、話し合いから出された意見について、わかりやすくまとめた課題を職員会議にて提案することで、園長は、職員の理念・基本方針の理解度を把握しています。

6 職員の資質向上の促進

6.職員の資質向上の促進 ・園では保育人員に不足が予測された場合には、@ハローワーク、A職員の口利き、B横浜市集団就職説明会などを通じて募集を掛けます。園と入職希望者、双方の確認が取れるように、1〜3日間の実習期間を設け、園の方針、理念について実習の中で体験してもらい、双方の納得が得られた場合に採用となります。

・園では、毎年度の保育課程に、「基本理念」「笹山子ども像(8項目の子どもの「成長」と「発達」の支え)」「保育の目標」「保育園の役割」を打ち出し、それを実現させるための、年間研修計画を立て、職員の理論学習を促しています。

・笹山保育園では、二十数年前に、園の期待される保育士像として「翔べ子どもたち」を作成し、現在でも保育士の資質向上に向けたバイブル(期待される職員像)として活用しています。

・全職員は年2回、現状の自分の反省と、次期何をどうしたいかを書き出した「意向申告」を提出し、目標管理を行い、期ごとに評価反省をしています。園長は、各職員から出される「意向申告」をまとめると同時に、自らも毎年度初めに「目標管理シート」を作成し、中間の10月、年度末に、「保育所の自己評価」を含めて、評価・反省・見直しを行っています。

・園では、主任クラスを計画的に育成するため、横浜市および保土ヶ谷区の「主任育成研修」を、対象とする職員を人選の上、受講させています。

・園には実習生受け入れマニュアルがあり、受け入れに際しては、職員、保護者に対してその意義を十分説明の上、受け入れています。実習生は、5つの大学や専門学校の学生であり、年間約15人程度の実績があります。実習生のプログラムについては、本人の希望を活かすべく、職員が話し合いの上、クラス配置を決めています。最終日には、主任、担任を含めた複数職員と実習生とで反省会を持ち、意見交換を行っています。


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