かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

横浜市南日吉保育園

対象事業所名 横浜市南日吉保育園
経営主体(法人等) 横浜市
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 223 - 0062
港北区日吉本町4-10-52
tel:045-561-6560
設立年月日 1965年07月01日
公表年月 2018(平成30)年07月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 ナルク 神奈川第三者評価事業部
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の立地・特徴】
横浜市南日吉保育園は、昭和40年年7月に開設し、53年目を迎えています。市営地下鉄日吉本町駅から徒歩8分の、UR市営住宅などの集合住宅が多く、近隣には小学校3校、中学校1校があり、子育て世代が集まっている地域に立地しています。待機児童対策として現在、児童は0歳児から5歳児まで93名(定員78名)が在籍しています。建物はRCコンクリート2階建てで、380uの園庭を有しています。園舎の通路側には畑や花壇があり、近隣住民との触れ合いを通じて社会性を身に付ける環境があります。
食育活動、リズムあそび、地産地消、異年齢交流、地域支援を保育の5本柱とし、「家庭的な雰囲気の中で心身ともに健康な子どもを育てる」ことを保育方針にしています。延長保育、一時保育、障がい児保育、地域育児支援事業として交流保育・育児講座・園庭開放・育児相談を実施しています。

【特に優れていると思われる点】
1.子どもたちの関心事を大切にし、自主性、主体性を育てる保育
職員は子どもの姿をよく観察し、子どもの興味や関心、やりたい気持ちに寄り添い、子どもの自主性や主体性を大切にしています。お楽しみ会の出し物では、3歳児は遠足で食べたお弁当が忘れられなくて「お弁当作り」をテーマに劇遊びを、4歳児は誕生会での職員のハンドベルの演奏を見て、自分達も「ハンドベルをやりたい」とリクエストしました。5歳児はお気に入りの「野菜王国」をテーマにして登場人物の衣装や踊りを、自分たちで考えて作り、演じることができました。また、子どもたちは日常の園生活の経験から、避難訓練ごっこや保育園ごっこ、絵本から想像した劇ごっこなど、子どもたち同士で意見を出し合い、思いを膨らませてごっこ遊びが発展できるよう、職員は見守り、援助しています。

2. 子どもの成長に合わせて運動機能の発達を促す工夫
天候がよいときは、朝や夕方の日が暮れるまで全クラスが園庭で遊び、近隣の公園にも週2、3回散歩に行っています。鉄棒やジャングルジムなどの固定遊具のほか、フラフープ、縄跳び、ボール、竹馬などで運動能力を高めています。また、室内ではごっこ遊びやゲームの時などに手作りの草履を履いて遊んでいます。3〜5歳児はリズム運動の時間を持って、しなやかな身体づくりとリズムにあわせた表現活動に取り組んでいます。乳児クラスでは広いスペースにクッションで高低差や斜面を設けて充分ハイハイができる環境を用意し、段ボールで作ったトンネルをくぐったり、つかまり立ちや伝え歩きが安全にできるように工夫しています。また、戸外では歩く距離を伸ばし、バランスのとれた身体づくりに取り組んでいます。

3. 園の畑を活用した食育
  園の畑でピーマン、茄子、キュウリ、おくら、さつま芋、玉ねぎ、大根など、様々な野菜の種をまき、水やりをして成長する姿を楽しみ、収穫して給食の食材にしたり、クッキングの材料にして、食への関心を高めています。クッキングタイムでは、幼児はそら豆、玉ねぎ、ニンジンなどの皮むきをし、食材が調理されて食事に出されることに関心を持つ機会になっています。園の方針として地産地消を大事にしており、5歳児は毎月JA(農協)に行って自分達が食べる給食の食材を購入したり、旬の食材について育て方や味わい方を説明してもらい、地元の野菜に関心を高めています。

4. 積極的な地域の子育て支援
  地域の子育てを支援する取り組みを積極的に行っています。
@「ぴーちゃんクラブ(赤ちゃんサロン)」(年8回)、育児講座(年2〜3回)、リズム交流、泥んこ交流、園庭開放で地域住民と交流し、育児情報の提供や育児相談を行っています。園の調理職員も参加して離乳食について解説しています。参加者からアンケートをとり、要望や感想を把握して次年度の企画に反映しています。
A園が運営主体になり、民生委員、主任児童委員、公民の保育園の職員、港北区地域ケアプラザの職員などが参加して、年2回、港北区北部での「にこにこ子育て広場」を開催し、地域の親子200名〜400名が参加しています。園が場所を提供し、ゴザや棚、絵本などの備品を貸し出しています。
Bベビーステーションとして子どものトイレの貸し出し、授乳やおむつの交換場所として園を開放しています。

【特に改善や工夫などを期待したい点】
1. 個別月間指導計画に個人別の保育士振り返り欄を設定
3歳未満児の月間指導計画では、毎月、クラス全体の取り組み状況と保育士の振り返りを行い、自己評価を実施して所定の欄に記載しています。また、個別指導計画については、「現在の子どもの様子」から、「保育士の配慮事項」 「家庭との連携」を検討して記載し、職員同士で振り返り、話し合って、次月の計画につなげていますが、現在の横浜市の0、1、2歳児の個別指導計画の書式には、個別の子どもの支援についての職員の評価・振り返り欄がありません。個別指導計画の自己評価が記載できるよう、横浜市の書式の改善が期待されます。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・保育理念は「私たちは一人ひとりの子どもの最善の利益を第一に考え、保育を通じて主体的に生きる権利を保障します」であり、全職員がミーティングで確認し、指導計画を作り、実践しています。

・子どもの発達・年齢に合わせて言葉のかけ方、声のトーンに留意し、子どもとのやりとりを職員がお互いにアドバイスするようにしています。

・子どもの目線で話を聞き、気持ちを汲み取りながら、必要なときは代弁をしています。子どもの人格を否定するようなことはせず、肯定的な言葉を使うようにしています。

・職員は毎年人権についての研修に参加して、講義だけでなく見学や実地研修などで、子どもを人格ある一人の人間として接することを認識しています。

・個人情報の取り扱いについて、全職員は入職時に説明を受け、毎年、園長はヒヤリハットの事例などを出して研修を行っています。保護者に個人情報の取り扱いについて説明し、子どもの写真を掲載することに関して、入園時に書面による許可を得ています。さらに掲載する写真ごとに保護者のサインをもらっています。

・個人情報に関する記録は、事務所の施錠できる棚に保管しています。個人ノートを渡す場合も、職員間でチェックしたあと保護者ともチェックしています。

・無意識に性差への先入観で保育をしていないか、事例を出して職員会議や福祉員会議、アルバイト会議で話し合っています。「男の子だから」「女の子だから」という声かけはしないように気を付けています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

・子どもの目線に合わせた低い棚に名前や写真を貼っておもちゃや絵本を置き、自分で取り出し片付けができるようにしています。

・保育室にはコーナーを作り、好きなおもちゃで落ち着いて遊べるようにしています。畳マットや手作りの長いす、長座布団なども常設しています。

・一日の保育の中で、子どもがじっくり遊びこめるように、柔軟にプログラムを変更しています。また、職員は子どものごっこ遊びが楽しめるように、布やエプロン、人形などを準備したり、子どもの発想に合わせて一緒に考えて製作しています。遊びの場面では集中できるようにコーナーを衝立で囲うなど、遊びが発展するように配慮しています。

・畑と花壇で稲や野菜、花などを、種まき、水やりをして育てています。収穫したものをクッキングやリースなどの製作に使っています。畑には多くの虫が育ち、虫探しに没頭する子どももいます。

・リズム遊びでは、ピアノのリズムに合わせて、体の動きを自分でコントロールする体験をしています。また、体幹を鍛えられるように、室内ではごっこ遊びやゲームの時などに手作りの草履を履いて遊んでいます。0歳児にはハイハイが十分にできるスペースを用意し、手作りのトンネルや斜面を牛乳パックなどで作成し、キルティングでくるんだサークルの中など、ハイハイや伝い歩きを安全にできるような工夫をしています。

・職員は、発達に応じて仲立ちや代弁をしたり、双方の話を聞いて解決策へと導いたり、一方的な意見に偏らないように見守っています。

・異年齢同士の子どもが関わりを持てるように、3、4、5歳児から一人ずつ組み合わせて3人組にし、その組を集めて大きく3つの異年齢グループを作って月に数回一緒に過ごし、散歩や、製作、運動会、おたのしみ会、おみせやさんごっこなどの活動をしています。

・食べ始める前に食べられる量を子どもに尋ねて、完食できる喜びを味わえるようにしています。嫌いなものもきっかけがあれば食べられるようになるため、無理に食べさせることはなく、おしゃべりながら楽しく食べるようしています。

・野菜の栽培やクッキング保育に取り組み、給食時には当番が料理名を読み上げ、職員が食材は何かを説明して、皮むきを手伝ったトウモロコシやタマネギが入っていることなどを伝えて、食事に興味を持たせるようにしています。

・眠れなくても横になって休息をとることの必要性を子どもに伝えています。午睡の時間の前に眠くなる子どもには、午前寝をさせることもあります。乳幼児突然死症候群対策として、うつ伏せ寝にならないように気を付け、0歳児は5分、1歳児は10分、2歳児は20分ごとに呼吸のチェックを行い、記録しています。

・子どもの発達により排尿の間隔があくようになれば、保護者と話し合ってトイレットトレーニングを始め、連絡を密にして後戻りしないようにしています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

保育課程に基づき、各クラスの担任が年間指導計画、月間指導計画(0〜2歳児と特に配慮を要する子どもについては月間個別指導計画)、年間食育計画、異年齢保育計画、保健計画、週案を作成しています。作成にあたっては、子どもの様子から汲み取った意思や意見を大切にして、子どもの主体性を育てるようにしています。

・入園前の面接時に保護者からアレルギーについて聞き、食物アレルギー疾患のある子どもの保護者と園長、調理職員、担任が面談し、主治医のアレルギー疾患生活管理指導表を提出してもらい、除去食を提供しています。文化や習慣、宗教による違いにも対応しています。

・入園後の子どもの育ちや家庭環境について、「経過記録」に成長・発達を継続的に記録しています。就学前に提出する「保育所児童保育要録」は、入学前の小学校に持参または郵送しています。

・「重要事項説明書」に苦情受付・解決責任者は園長であることと、苦情解決第三者委員2名の氏名・連絡先を明記し、意見箱を設置して、保護者の要望を汲み取るようにしていることを、入園時に説明しています。また、玄関に掲示して保護者に周知しています。

・健康管理マニュアルが整備されており、入園時に保護者に健康台帳を提出してもらい、子どもの既往症について関係職員に周知しています。熱性けいれんなどは、全職員に周知しています。

・年度初めと感染症が流行する時期に、全職員がマニュアルの読み合わせを行い、マニュアルは各クラスとトイレに掲示しています。嘔吐処理の研修を受けた職員が、全職員にレクチャーしています。登園停止基準やその対応について重要事項説明書に記載され、保護者に配付しています。

・災害対応マニュアルにより全職員は、緊急時の安全確保、職員の行動および連携について、地震や火災を想定した通報・避難訓練を毎月実施し、確認し合っています。

・不審者侵入時の危機管理対応マニュアルがあります。警備保障会社や警察への直通の緊急連絡装置があります。年に3回想定を変えて不審者対応訓練を行い、そのうち1回は生活安全課の警察官の指導を受けています。

4 地域との交流・連携

・赤ちゃんサロン、育児講座、リズム交流、泥んこ交流、園庭開放、絵本の貸し出しを行い、地域住民と交流する中で、育児情報の提供や相談など子育て支援ニーズを聞いています。港北区福祉保健センターの保健師から要支援家庭の支援の要望により、一時保育を1日4名(1名は緊急枠)受け入れています。

・ベビーステーションとして子どものトイレの貸し出し、授乳やおむつの交換場所として園を開放しています。園が主催する区内のにこにこ(子育て)広場では手形コーナーや遊び場を提供し、また、近隣の保育園に紙芝居を貸し出しています。園の外の道路に沿って花壇や畑を設けて、近隣住民に癒しの場を設け、友好関係を維持しています。

・園が運営主体になり、民生委員、主任児童員、公民の保育園の職員、港北区地域ケアプラザの職員などが参加して、年2回、区内の担当地域での「にこにこ子育て広場」を開催し、地域の親子200名〜400名が参加しています。

・幼保小連携事業で、園の年長児が小学校、幼稚園と交流し、互いに施設見学や遊びの交流をしています。また、近隣の保育10園のドッジボール大会に参加しています。また、近隣の中学校の職業体験学習やボランティア、高校生のインターンシップ、大学生の保育実習を受け入れています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

・保育理念・保育姿勢・園目標を園内に掲示し、職員と保護者が常に参照できるようにしています。園内研修、各種会議のなかで、園長、主任が保育理念・保育姿勢・園目標について説明し、理解を深めています。年度末に全職員で振り返りを行い、次年度に向けて内容を確認しています。

・横浜市制定の就業規則に倫理規程、服務規程を明記し、職員が職員行動基準に則り、不正・不適切な行為を行わないよう入職時の研修で周知しています。また、コンプライアンスに関する不適切事例について横浜市役所や区役所から情報を得て、園長が職員会議、カリキュラム会議、毎日のミーティングなどの機会に職員に随時伝え指導しています。人権研修やコンプライアンス研修、個人情報保護研修を職員全員で受けています。

・園の重要な意思決定について、保護者役員会、懇談会を通じて説明、話し合いをし、理解を得られるように努めています。職員には、リーダー会議にて意見交換し、全体会議で全職員にて周知しています。本年度の園舎改築、お楽しみ会2部制への変更について、事前に十分に説明と話し合いを行っています。

・横浜市公立園として「よこはま3R夢」に取り組み、保護者にも発信しています。ごみの分別を明文化し、図で表記して、子どもと一緒にごみの減量化、資源の再利用に取り組んでいます。

6 職員の資質向上の促進

・「横浜市人材育成ビジョン」があり、職員の経験年数による目標を明確に示して
います。職員は、毎年人事考課制度の中で自己評価を行い、課題を明確にして目標を定めています。園長は職員の個人面談で、達成度について職員にフィードバックしています。

・研修一覧を年度初めに職員に提示し、本人の希望や園長の勧めにより研修を受講
しています。職員は受講記録を作成し研修資料とともに職員全員に回覧して、職員会議で報告しています。重要事項は園内研修で、全職員が共有しています。今年度は「環境」をテーマに、遊びの環境、保育室の環境などについて各クラスで振り返り、子どもの変化や動線について確認し合っています

・年間指導計画や月間指導計画、保育日誌、特に配慮を要する3歳児以上の個別指
導計画には、自己評価欄があり、自己評価は指導計画のねらい、配慮事項に対して、振り返りをしています。

・職員は毎年、年度末に自己評価を行っています。職員の自己評価や保護者アンケートをもとにして、職員会議で園の自己評価に取り組み、次年度の課題・改善を明記した「保育園の自己評価」を3月に保護者に公表しています。

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