かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

市場保育園(3回目受審)

対象事業所名 市場保育園(3回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人ICA(Ichiba Child Association)
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 230 - 0004
鶴見区元宮1-17-33
tel:045-581-6169
設立年月日 2012(平成24)年04月01日
公表年月 2018(平成30)年07月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 ナルク 神奈川第三者評価事業部
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の立地・特徴】
・立地
 市場保育園本園・分園は京浜急行線鶴見市場駅またはJR南武線尻手駅より徒歩約10分の場所にあります。古くからの町工場や住宅、商業施設、新興住宅などが立ち並んでいます。道路を挟んで市場小学校があり、卒園児の9割が入学しています。

・施設の概要
 昭和15年(1940年)に「市場保育園」の前身である「市場幼稚舎」を開園し、昭和24年(1949年)に横浜市からの要請を受け、幼稚園舎の一部に50名定員の「市場保育園」を開設しました。園舎は平成7年に改築された鉄筋2階建てで屋上があります。園庭が600uあり、子どもたちが走り回ったり、固定遊具や砂場、平らなスペースでドッジボールをして自由に遊んでいます。園庭には、畑、実のなる樹木や草花・植木が多くあり、季節を楽しんでいます。
平成28年(2016年)に、近隣に木造2階建ての分園を開設し0、1歳児26名(定員26名)が在籍しています。既存の園舎は本園として、2〜5歳児104名(定員104名)が在籍しています。「市場幼稚舎」は現在「市場保育園直接契約部(3〜5歳児)」(認可外保育施設)として本園内別棟に併設されています。
 平成23年(2011年)から「市場保育園本園・分園」「市場保育園直接契約部」は、個人立から代表者が運営する社会福祉法人ICA(Ichiba Child Association)立に移行しました。
 
・園の特徴
 保育目標に「なかよしの子ども(人と関わる力の育つ保育)」「健やかな子ども(子どもの主体性が尊重される保育)」「夢を持つ子ども(自主性を育む保育)」「見守られる子ども(異年齢保育・チーム保育)」を挙げ、子どもたちが自ら主体性をもって行動できるように、環境作りに園を挙げて取り組んでいます。

【特に優れていると思われる点】
1.社会性を育む子ども同士の交流
 保育目標の「なかよしの子ども(人と関わる力の育つ保育)」「見守られる子ども(異年齢保育・チーム保育)」をもとに、異年齢合同の活動や、交流を日常的に行っています。幼児クラスでは、3〜5歳児混合縦割りのクラス編成をしています。職員の見守りの中で、遊びや生活を一緒にして色々なお友だちと交わり、模倣や刺激を受け、積極的に物事に取り組んだり、意欲を高めたりしています。譲り合ったり、悔しい思いをしたり、話し合ったりする経験を重ねて、思いやりや感謝の気持ち、どう行動したらよいかなどを自分で考えられるようになり、年齢に応じた役割も自然にできるようになっています。

2.開かれた運営と地域コミュニティへの働きかけ
当園は積極的に園を開放し地域と交流を図り、地域の保育園に対する理解を深めています。
(1) 開かれた運営
@ 未就園児童親子向けの2歳6か月未満対象の「親子であそぼう会」と、2歳6か月以上対象の「みんなであそぼう会」を、多目的ホールを開放して年間5回開催しています。
A 多目的ホールを近隣の人たちの書道教室・ダンス教室に開放しています。
B 園庭を毎週火曜日10:00〜11:30に開放し、毎回5組〜20組程度の親子が来ています。そこではいろいろな育児相談も受けています。
C 地域の方々を運動会に招待し、30人くらいの方々が見学又は参加しています。
D 地域の夏祭りでは、御旅所として園庭を開放し、子ども神輿、大人神輿を招いています。職員も神輿担ぎに参加しています。
(2) 地域コミュニティへの働きかけ
@ 近隣の高齢者施設(通所デイサービス)に5歳児が訪問し、お年寄りにソーラン節やダンスを披露しています。

3.職員の資質向上への努力
 設置法人の研修(保育の専門家を招いての講演会)参加や、鶴見区主催、横浜市主催、横浜市社会福祉協議会主催の研修を積極的に受講しています。園内の「資質向上委員会」の係が内部研修を企画・担当し、「見守り保育についての話し合い」「保育園新指針について」「子どもとの関わりをビデオにとり検証する」などを行いました。
 職員一人一人の資質向上のために、全職員が「個別目標シート」で、「職場での役割」「担当クラスについて」「保育について」「目標の達成のためには」「5年後の姿」などを設定し、半年ごとに自己評価を行っています。
 非常勤職員は研修に参加するほか、「資質向上」「危機管理」「環境整備」などのグループワークや、各行事係担当に入るなど、常勤職員と同様の活動をし、クラス運営に携わっています。

【特に改善や工夫などを期待したい点】
1.送迎時の保護者対応
 第三者評価保護者アンケートの「送り迎えの際のお子さんの様子に関する情報交換について」では、保護者回答で不満足度が38%(不満12%、どちらかといえば不満26%)となっています。保護者とともに、子どもの成長を共感できるように、その日の子どもの様子を伝えるための工夫が期待されます。

2.相談、要望・苦情の記録
 園庭開放や園見学時、地域住民向けの「遊ぼう会」や子育て支援事業において、育児上の相談や質問を受けていますが、記録が確認できませんでした。また保護者からの意見や要望、苦情などについては、全職員に周知し対策を講じていますが、これについても記録が確認できませんでした。日常寄せられる細かな要望、意見なども記録に残し、蓄積・整理して、解決や地域の子育て支援に活かすことが期待されます。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・設置法人統一の保育理念は「子どもたちが健やかな身体とやさしい心を持ち人の輪の中でいきいきと育つことの出来る環境を追求する」とし、基本方針は「情緒の安定した生活を送ることが出来る環境(人的・物的)を用意する」など4項をあげています。市場保育園の保育目標は「なかよしの子ども」「健やかな子ども」「夢を持つ子ども」「見守られる子ども」とし、子どもを尊重したものとなっています。

・子どもの発達に合わせて言葉がけをするように心がけ、ゆっくり、わかりやすい言葉で穏やかに話をしています。何をするにも、まず、子どもの気持ちや考えを聞き、受け止めるように心がけています。

・採用時、非常勤社員も含め個人情報守秘義務遵守の誓約書を提出しています。「個人情報取扱規定」があり、全職員に採用時、個人情報の取り扱いや守秘義務について周知しています。

・保護者には入園時に、子どもの写真など個人情報の取り扱いについて説明しています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

保育課程は、保育理念、基本方針に基づき、子どもの最善の利益を第一義に作成しています。保育課程に基づき、年齢ごとにクラス担当職員が話し合い、指導計画を作成しています。子どもの様子、クラスの状況を見ながら、子どもの意見を取り入れて、自主性や主体性が育つように計画には柔軟性を持たせています。

・低年齢児クラスは、活動・遊びの場、食事の場、午睡の場を分けています。低い棚や仕切りで区切ったり、畳、敷物、クッションなど用意し小集団で落ち着いて過ごせるようにしています。月齢や発達段階により、棚や低い台などを利用しています。2〜5歳児は、午睡の場は保育室と別の部屋を使用しています。年齢による午睡時間のずれは、寝るスペースの場所を工夫しています。

・子どもが手の届く位置に玩具や絵本を配置し、自由に取り出して遊べるようになっています。棚やテーブルを活用して各コーナーを設け、一人一人が遊び込める環境を確保しています。

・園庭の畑にスイカ、メロン、さつまいも、じゃがいもなどの苗を植え、プランタでいちご、きゅうり、レタスなどを育て、成長する姿を見て楽しみ、収穫してクッキングの食材にして味わっています。

・散歩先の公園で春の花を眺め、園庭の柚子の木で見つけたアゲハ蝶の卵を育てたり、どんぐりや枯れ葉を集めて写真立てを作るなど、生き物や自然に親しみを持つように配慮しています。

・食事は子どもにあわせて職員が量を調節して、子ども自身が「完食できた」ことに満足できるように配慮しています。ジャガイモの皮むき、ニンジンなど野菜切り、柚子ジュース作り、味噌づくりなどのクッキング保育、バイキング形式の配膳、調理担当職員が魚をさばいてみせるなど食事や調理への関心を高めています。

・午睡では、なかなか眠れない子どもには、職員がそばについて身体をさするなどして安心して眠れるようにしたり、眠れない子には、寝ている子の妨げにならないように玩具で遊んだり静かに絵本を一緒に見るなど配慮しています。

乳幼児突然死症候群の対策として、呼吸チェックと、あお向けの体勢になるように注意しています。就学に備え4歳児後半ころ、保護者と相談して午睡有無を選択し、5歳児から基本的に午睡を無くしています。

・トイレットトレーニングは、一人一人の発達に合わせて保護者と連携をとりながら、それぞれのペースで進めています。

・地域の施設利用、交流については、鶴見図書館に絵本を借りに行き、子育て支援事業「ゆうづる」のイベントに遊びに行ったり、森永工場見学をしています。

・市場小学校と年3回交流会をし、運動会では体育館、運動場を、発表会では体育館を借りています。近隣の高齢者施設に年長児が行き交流しています。地域の夏祭りでは御旅所として園庭を開放し、子供神輿や大人神輿を招き、職員も神輿担ぎに参加しています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

・入園説明会、面談で「ならし保育」について保護者に説明しています。10日程度を予定していますが、各家庭の都合にも配慮して期間を決めています。乳児においては、1日目は保護者と一緒に過ごすようにしています。

・食物アレルギー、発達の遅れなど特に配慮を要する子どもを積極的に受け入れています。個別のケースについては、ケース会議で報告検討し記録を残しています。

・虐待が明白になったときは、鶴見区こども家庭支援課、横浜市中央児童相談所に通告・相談する体制となっています。疑わしい場合や見守りが必要な場合には、職員会議で全職員に周知し、身体状況、食事の様子など細かく観察しています。場合により、鶴見区こども家庭支援課の保健師やケースワーカー、地域の主任児童民生委員、横浜市中央児童相談所と連携をとる体制となっています。

・「重要事項説明書」「入園のしおり」に意見、要望、苦情受付けについて明記し、入園説明会で保護者に説明しています。第三者委員の連絡先を「重要事項説明書」「入園のしおり」に記載しています。園玄関内に第三者委員の連絡先を掲示しています。園内に「横浜市福祉調整委員会」の案内ちらしを掲示しています。鶴見区子育て支援拠点の「横浜子育てパートナー」の相談案内ちらしを園玄関に置いています。

4 地域との交流・連携

・子育て支援ニーズについては、地域の親子向け事業(親子で遊ぼう会、みんなで遊ぼう会)・一時保育・園庭開放(毎週火曜日開催)・鶴見市場地域ケアプラザ主催の子育て支援活動「ゆうづる」への参加や園長が鶴見区園長会、幼保小連絡会議、地域の小・中学校区の会議などに出席し、情報交換と地域のニーズ検討をしています。

・運動会や発表会のポスターを門に貼り、近隣住民に参加を呼びかけています。ダンス教室や書道教室に多目的ホールを貸し、地域の子どもたちが参加しています。

・利用希望者の問い合わせには、園の基本方針やサービス内容に関しては園長あるいは主任が対応し、電話の場合は、見学できることを案内しています。見学はパンフレットを基に説明し、各クラスの活動の様子を見学してもらっています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

・園のパンフレットや設置法人のホームページで、情報提供をしています。子育て支援事業「ゆうづる」のイベント時に、園のパンフレットを配布しています。

・保育士の自己評価を踏まえ、話し合いをもとにした園の自己評価の結果は、設置法人のホームページに載せています。印刷したものを園内に掲示して公表しています。

・「業務マニュアル」「就業規則に職員のあるべき姿、守るべき倫理、服務規程を明記し、全員に周知しています。また職員会議で、職員の不正、不適切な行為を行わないよう意識啓発を図っています。

・ゴミは分別して、子どもにも伝えています。廃材を利用して作品づくりやおもちゃを作っています。段ボールの御神輿、迷路を作ったり、ペットボトルを使って楽器を作ったりしています。節電、節水に努めています。まめに、エアコンの設定温度を調整しています。夏場の水遊びや、植物の水やりも水を大事に使うよう子どもに伝えています。

・事業運営に影響のある情報は、設置法人事務局で収集、分析しています。園では、園長が鶴見区園長会議や行政機関から情報収集しています。重要な改善課題については、職員会議、リーダー会議で話し合い、保育所全体の取り組みとしています。

6 職員の資質向上の促進

・人材育成については、設置法人作成の「キャリアパス」に基づき、研修を受講しています。職員は一人一人が毎年度、「個別目標シート」で、「職場での役割」「担当クラスについて」「保育について」「目標の達成のためには」「5年後の姿」などを設定し、半年ごとに自己評価を行っています。園長が年2回面談し、目標の達成度、研修成果についての評価を行っています。

・研修担当は園長としています。設置法人が外部講師を招いて研修を行うほか、園内では「資質向上委員会」が「勉強会(内部研修)」を担当しています。非常勤職員も研修に参加できる体制となっています。

・業務については、経験年数、勤務時間などを考慮して組み合わせに配慮しています。非常勤職員は補助業務との位置づけではなく、クラス運営に携わっています。また「資質向上」「危機管理」「環境整備」などのグループワークや、各行事係担当に入るなど、常勤職員と同様の活動をしています。常勤職員同様、「個人目標シート」で半期ごとの振り返りをしています。

・年間指導計画、月案、週案に評価反省の欄があり、定型化された書式となっています。子どもの育ち、意欲、活動への取り組みを重視して、振り返りを行うようにしています。

・設置法人作成の「キャリアパス」があり、経験、習熟度に応じた役割が期待水準として明文化されており、職員に配付しています。職員がまんべんなく、色々なクラスやグループワーク、役割を経験できるようにしています。

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