かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

大豆戸どろんこ保育園

対象事業所名 大豆戸どろんこ保育園
経営主体(法人等) 社会福祉法人どろんこ会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 222 - 0032
港北区大豆戸町943
tel:045-710-0906
設立年月日 2015(平成27)年04月01日
公表年月 2018(平成30)年06月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 園は社会福祉法人どろんこ会の系列園です。開所は平成27年4月1日のまだ3年目の新しい園です。定員は90名で入所世帯は72世帯です。産休明け保育、延長保育、障がい児保育などを実施しています。場所は東急東横線大倉山駅から徒歩で10分ほどの所にあります。近隣は閑静な住宅街ですが、園の周囲はマンションに囲まれています。散歩などに利用している公園は大小混ぜていくつもあります。そういった静かな環境の中、子どもたちは伸び伸びと過ごしています。


《特に優れている点・力を入れている点》
○子どもたちが主体的に遊べる環境が整っています
 2階が0、1歳児の保育室になっており、天蓋をつけ静かに過ごすスペースや、ホックなど手先や指先を鍛えるコーナー、絵本コーナーなど低年齢の子どもにふさわしい環境設定を工夫しています。また、1階の2〜5歳児の保育室は広いワンルームをついたてや棚で仕切り、年齢ごとの保育室を設定していますが、異年齢で活動できるように自由に行き来できるようになっています。絵本ラックでの絵本コーナーやブロックコーナー、ままごとコーナー、製作コーナーなどいくつかのコーナーを自由に作ったり、表現遊びで広いスペースを利用したいときは何もないスペースにするなど、その時々の保育に合わせて自由に環境設定を行っています。0、1歳児も2〜5歳児も子どもたちが興味や関心のあるものに自ら取り組めるように、いろいろな活動に主体的に取り組める環境を整えています。


○年間食育計画を立てて実践し、とりわけ畑作業が充実しています
 食育に関する年間計画表を作成しています。計画の柱はクッキング、栄養士指導、野菜の収穫、食育絵本となっており、それを月別に記しています。とりわけ畑担当者の指導による野菜の収穫活動は、3〜5歳児が中心となってダイナミックに展開しています。近隣に借りている畑で、畝作りや種まきをしてじゃが芋、さつま芋、こんにゃく芋、里芋などを育て、収穫した野菜をどのように食べたいか子どもたちが話し合って決めています。今年はさつま芋を収穫し、焼き芋にしたいということで実施しました。ただ、近隣から煙などのクレームがありましたので、来年はふかし芋に変更する予定です。また、園主催の「どろんこ祭り」で得た収益でかまどとせいろを購入し、六穀米を炊き、おにぎりを作ってみんなで食べました。あまりにおいしかったので生活発表会の際に保護者にも食べてもらいました。このようなさまざまな食の取り組みで、子どもたちは土に触れ、畑仕事を通して食の大切さを学んでいます。


○地域の子育て中の親子のための活動を計画的に実践しています
 地域・子育て支援年間計画を作成しています。主なテーマは、自然食堂(じゃが芋ニョッキ、肉まん、五平餅など)、芸術学校(鯉のぼり、新聞紙遊び、スタンプ遊び、凧作りなど)、自然学校(自然探検で春を楽しむ、どろんこ遊び、落ち葉遊びなど)、寺親屋(絵本の読み聞かせ、トイレットトレーニングのポイント、ベビーマッサージなど)です。これらの活動を月別に計画し、実践しています。そして、地域支援の通信「ちきんえっぐだより」を毎月発行し、その月の予定、活動報告、ニュースなどを載せています。このほか「青空保育」と称して、毎月、子どもたちと近くの公園に出かけ、近隣の子育て中の親子を巻き込んで絵本や紙芝居、シャボン玉などで楽しんでいます。このような地域の子育て中の保護者の要望に応える地域支援活動を幅広く実践しています。


《事業者が課題としている点》
 職員の育成を課題の一つとしています。法人のプロポーザル制度を活用して職員が自ら考えて行動する主体性を育成したり、法人研修や外部研修などの成果を園会議やクラス会議で共有し、園全体での実践や課題解決につなげたいと考えています。さらに、複数の職員がさまざまな勤務体制で保育する中、子どもの遊びが日々つながっていくような人的環境を整えたいと考えています。また、保護者対応での傾聴力の育成も課題としています。保護者対応についてマニュアルで十分理解したうえで、クラス会議の中で、保護者の立場になって考えることをテーマに話し合いたいと考えています。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

 系列園全体の保育理念は、「にんげん力。育てます。」とあり、2大保育方針は、「センス・オブ・ワンダー」「人対人コミュニケーション」となっています。そこに込められた思いは、野外活動の重要性や全ての人との触れ合いの大切さなどです。これら、保育理念や保育方針は、次年度へ向けての保育の方針を決定する年度末の策定会議で、リーダー職員のもとに周知徹底の確認をしています。また、園内の全ての活動を網羅した冊子「保育品質マニュアル」を全職員に配付し、昼礼や職員会議で読み合わせを行い、理解を深めるようにしています。なお、新規採用の職員には、OJT(職場内研修)や実習を通じて保育理念や保育方針の理解に努めるようにしています。
 保育品質マニュアルの中に、「児童・保護者の人権に関するガイドライン」があり、職員に周知しています。また、「児童・保護者の人権に関するチェックリスト」には数十項目があり、職員は年2回、4月と10月に実施して各自振り返りを行い、個人や園全体の改善点を明らかにしています。チェック項目は、威圧的な言葉遣いをしないことや穏やかに子どもに接すること、子どもの自主性や気持ちを尊重すること、否定的な言葉を使わないことなどで、詳しくチェックするようになっています。子どもに大きな声やきつい言葉で接する職員がいた場合は、気がついた時点で施設長が、そのつど注意するようにしています。
 入園説明会の時点で、個人情報の取り扱いについて保護者に説明しています。その中で「お子様の個人情報の取り扱いについての承諾書」の説明をして、承諾を得て、その書類をファイリングして保管しています。また、ボランティアや実習生にはオリエンテーションの際に、個人情報の取り扱い(守秘義務)について説明をして、厳守するように要請しています。職員については、各自に配付している「保育品質マニュアル」の中に情報の取り扱いの文書があり、各自読みこんで理解しています。なお、個人情報が保管されているロッカーは昼間は職員が見ますので開けていますが、保育終了の際は、遅番職員が施錠しています。なお、昼間、職員が不在のときは必ず施錠するようにしています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供  各クラスの職員が保育課程を確認しながら指導計画を作成しています。0、1歳児は子どもの気持ちに寄り添い、何に興味を持っているかを意識し、遊びたいものを選んで行えるようなコーナー保育の実践を計画の中に入れています。2〜5歳児は、当番の決め方、散歩の行き先などいろいろな場面で子どもたちの自由な意見を重視しながら作成するようにしています。今年度、散歩については前日に子どもの行きたいところを聞いておき、当日、ボードに二つのコースを書いておき、子どもたちが行きたいところにチェックを入れるなどして、選択して行くようにしました。このほかにもチーム分け、順番などに関するいろいろな決まりごとも子どもたちの意見を取り入れるような保育をしています。
 1階に2〜5歳児の保育室が横1列にあり、ついたてやロッカーで仕切っています。基本的には各年齢のスペースはありますが、互いに行き来できるようになっています。2階は0、1歳児の保育室になっています。園では、0、1歳の異年齢、2〜5歳の異年齢で過ごせるようにしています。そして、2〜5歳児は活動の内容によって、部屋の使い方、仕切り方などの変化をつけています。また、一時保育室や支援室、廊下、縁側など子どもたちの人数や活動内容によって使用する場所を選んでいます。食事と午睡に関しては、縁側給食を実施したり、保育室をついたてで分けて半分は給食用、あとの半分は午睡用にしたりするなど、衛生面に配慮するように工夫しています。
 年齢や発達に合わせた環境設定について職員間で話し合い、整備をしています。室内では、空き容器や自然物を使った製作、折り紙、お絵かき、絵本、ままごと、ブロックなどのコーナーを作り、子どもが自分で遊びを選び、遊び込めるよう配慮しています。子どもたちの興味に合わせておもちゃを入れ替え、使いたいものがすぐに使えるよう整理整頓しています。おもちゃ棚や机、ついたてを使用してコーナーを分け、一人で遊びたいときなどには、ついたてを利用して柔軟にスペースを確保しています。
3 サービスマネジメントシステムの確立  日々の保育にあたっては、日誌や週案などクラス内で省察にあたり、反省をし、次への作成に生かすようにしています。月案については、各セクションの担当職員による月案会議を行い、毎月、評価、反省をして次月につなげています。なお、子どもの様子や天候の具合によっては月案や週案を柔軟に変更するようにしています。保護者の指導に関する意見や要望は、連絡帳に書いてもらうようにしています。そして、そういった中で得た意見や要望は指導計画に反映させるようにしています。また、年1回実施している保護者アンケートの中に指導計画についての詳細な項目がありますので、そこで出された意見や要望についても検討し、改善につなげるようにしています。
 入園時に食物アレルギーのある子どもについて把握しておきます。そして、そういった子どもに関しては、担任、栄養士、看護師、保護者で定期的に、およそ半年に1回、面談を実施し、子どもの状況について話し合い、子どもに合った対応ができるようにしています。また、園内研修を行い、全職員が事故防止に努めています。給食提供については、全員の氏名を記載し、アレルギーのある子どもにアンダーラインを引き、日々確認できるようになっている「食事人数表」を看護師が作成し、朝、調理室に渡します。調理室ではそれをもとに除去食を作り、調理員同士で確認します。職員が調理室に取りに行きそこで再度確認し、その後、一緒にテーブルに着く職員が、持ってきた職員と確認をするなど、二重、三重のチェックを行っています。
 「危機管理マニュアル」に基づいて、事故や災害に備えた安全対策を実施しています。危機管理マニュアルは「保育運営マニュアル」の中にファイリングされ、事務室に置いて職員がいつでも閲覧できるようにしています。また、全職員に配付している「保育品質マニュアル」に「危機管理・発生時対応」を記載し、いつでも確認できるようにしています。地震を想定して、保育室の棚は背合わせにして転倒防止に努め、倒れやすいものには滑り止めマットを使用しています。法人、行政、医療機関など緊急時の連絡先一覧表を作成しています。毎月避難訓練を行い、速やかに避難誘導できるようにしています。職員は、採用時に上級救命講習を受講し、園内では消防署の協力を得て救命救急講習を実施しています。
4 地域との交流・連携

 運営理念の一つである「地域のみんなが子どもを育てるコミュニティづくり」をもとに、地域の子育て支援活動に取り組んでいます。地域の子育て支援ニーズは、子育て支援センター「ちきんえっぐ」の活動を通じて把握しています。特に、「地域・子育て支援年間計画」をもとに実施している子育て支援プログラムへの参加者から、アンケートや直接意見を聴くことを通じて把握しています。また、子育て支援センターで発行している「ちきんえっぐだより」を、公園での散歩時に地域の親子に渡しながら要望を聞き、支援プログラムに反映しています。子育て支援活動は、港北区内同ブロックの系列園と情報交換や検討会などを行い、連携して運営しています。
 地域の子育て支援ニーズは、子育て支援担当者を中心に毎月の職員会議で内容を整理し、職員間で話し合っています。また、近隣の系列園と連携して、地域子育て支援の年間計画策定会議を行い、支援活動の年間計画を作成しています。特に、地域子育て支援プログラムとして、寺親屋(育児講座)、自然食堂(親子クッキング)、自然学校(散歩、どろんこ遊び)、芸術学校(親子工作)、子育て相談などを実施しています。また、地域での子育てを支援するためのサービスとして、園庭開放、青空保育(公園での絵本読み、紙芝居、シャボン玉交流などの出前保育)、トイレットトレーニング、離乳食講座などを提供しています。
 子育て相談にあたっては、相談内容に応じて地域の関係機関と連携して対応しています。関係機関との連携は、施設長、主任を連携担当者とし、相談内容に応じて関係機関の担当者と連絡を取り、迅速に対応しています。特に、港北区こども家庭支援課、港北区福祉保健センターの相談窓口との連携体制を整えています。また、療育に関する相談に対しては、横浜市総合リハビリテーションセンターの紹介を通じて対応しています。専門分野の知識が必要な相談内容については、嘱託医、看護師、栄養士や法人本部と連携して的確な対応を図っています。関係機関の連絡先は、連絡簿を事務室内に掲示して全職員に周知しています。

5 運営上の透明性の確保と継続性  園全体の自己評価にあたっては、各職員および各クラスの自己評価をもとに、リーダー会議において課題を抽出し改善事項について協議しています。各クラスの自己評価は、月案や週案の振り返りをもとに行っています。リーダー会議では、施設長、主任、クラスリーダーが参加し、当該年度の課題に対する取り組み状況、次年度の課題および改善点を協議しています。また、年度末には、各職員が希望する保育活動を提示するプロポーザル形式の策定会議を実施し、保育方針や運営基本方針に沿って保育課程や年間指導計画の振り返りを行っています。園の自己評価は、事業報告として法人のホームページで公表しています。
 年度単位の事業計画書は、施設長が前年度事業報告書や園の運営状況を基に作成しています。作成にあたっては、主任やクラスリーダーの意向や、現場の実態を確認し、運営方針や保育方針、子育て支援事業などの重点実施事項を記載しています。また、事業計画書の最後に園の3か年計画として、各年度の重点実施事項を記載しています。事業計画書の内容は、年度初めの職員会議で職員に説明しています。また、事業計画の策定を通じて、主任やクラスリーダーの育成を図っています。今後は、事業計画に対する各職員の参画意識をより高めるとともに、具体的な中長期計画書を作成し、園のビジョンや方向性を明示することが期待されます。
 全職員に対して、法令遵守規定および就業規則の服務規定をもとに、守るべき法や規範、倫理に対する意識づけを行っています。特に、保育における人権尊重に関しては、「児童・保護者の人権に関するチェック表」をもとに、子どもおよび保護者の人権を尊重した保育を行うための行動規範を周知しています。また、虐待防止に係る重要事項を全職員に説明し、意識や心構えの重要性を周知徹底しています。事故や不適切な事案に関しては、法人の施設長会議や事故防止委員会などにおいて発生事案の内容を集約し、再発防止に努めています。園の運営状況は、「運営状況報告書」を法人本部に提出し、全園に公開しています。
6 職員の資質向上の促進  年間研修計画を策定し、法人本部や園内で実施する保育業務にかかわる内部研修、専門知識の修得を図るための外部研修を全職員に提供しています。研修の受講にあたっては、研修希望アンケートをもとに各職員が希望する研修を受講しています。また、業務上必要とされる研修の受講を推奨しています。特に、職員全員の受講が必要な研修テーマについては、同一内容の研修を複数回実施したり保育現場の勤務体制を調整し、全職員が受講できるようにしています。また、系列園からの実地研修を積極的に受け入れ、情報の共有化を図っています。研修受講後は、研修報告書を作成するとともに、職員会議や昼礼などの場で研修内容を発表しています。
 各職員の業務遂行能力の向上にあたっては、スキルアップシートおよび「保育士コンピテンシー(望ましい行動、能力)」による自己評価をもとに、計画的に取り組んでいます。スキルアップシートには、職位や職種別に専門技術、保育力、計画性などの項目ごとの評価着眼点を明示し、各職員の本人評価をもとに一次、二次評価者が評価をしています。保育所の自己評価については、毎月実施される法人本部主催の「保育の質を上げる会議」に職員の代表が参加し、園全体の保育を振り返るとともに、課題を整理し改善に取り組んでいます。また、横浜市の保育監査や第三者評価、法人本部の内部監査を定期的に受け、保育業務の改善につなげています。
 施設長は、園の運営に必要な人材を確保し適材適所の人員配置を行っています。特に、保育現場の人材構成が適正な状況にあるかをチェックし、不足が生じる場合は、法人本部と連携して迅速に募集手続きを行い補充することを推進しています。新規採用職員に対しては、系列園で10日間の保育実務の実地研修を行っています。正職員については、年1回開催される法人本部主催の正職員研修やスキルアップ講座を提供しています。各職員の資質向上にあたっては、「スキルアップシート(人事評価シート)」をもとに面談を実施し、課題を抽出しています。今後は、各職員の重点目標を明確にし、個別育成計画を策定するとさらに良いでしょう。

詳細評価(PDF500KB)へリンク