かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

横浜市立笹下南保育園

対象事業所名 横浜市立笹下南保育園
経営主体(法人等) 横浜市
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 234 - 0052
港南区笹下6丁目28番9号
tel:045-841-4284
設立年月日 1980(昭和55)年05月01日
公表年月 2018(平成30)年06月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 ナルク 神奈川第三者評価事業部
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の特徴】
・立地および施設の概要
横浜市立笹下南保育園は、JR根岸線洋光台駅または京急線上大岡駅から江ノ電のミニバスで約10分の戸建ての多い静かな住宅街にあります。昭和55年に開園し、定員106名のところ、0歳児から5歳児まで、107名の園児が在籍しています。園の前にバス停がありますが、車で通園する家庭も多く、園には5台分の駐車場を備えています。園内には、年齢別の保育室のほかに育児支援室を兼ねた保育室があり、地域の子育て家庭を対象とした育児講座や交流保育などのほか、在園児の活動でも日常的に使用しています。1,944uの園庭には、プール、大きな築山、ジャングルジム、鉄棒、滑り台、モンキーネットなどの多様な固定遊具を備え、砂場、花壇、畑、田んぼが整備され、姫林檎や夏蜜柑など多種類の実のなる木が植えられています。園庭沿いの側溝では季節によって、オケラやカニなどを観察することができます。散歩に行く、10カ所以上ある公園でも、どんぐりや落ち葉拾いなどができ、自然に恵まれた環境です。

・園の特徴
広い園庭の中にある花壇や田畑で、様々な花や野菜、米を栽培しています。野菜や米の成長を観察し、収穫して食べる、などの保育活動につなげています。子どもが植物を育てる喜びを知り、見る、触る、嗅ぐなど五感で感じられることを大事にしています。5歳児の稲作体験では、環境ボランティアの方に、田おこしから脱穀まで指導してもらったり、近隣の方に園庭の樹木の手入れを手伝ってもらうなど、地域の方々との交流が盛んです。
雨が降っていなければ、園児は毎日、園庭に出て遊んでいます。虫探しをしたり、築山を上り下りしたり、鬼ごっこや三輪車で走り回るなど、年齢や発達に応じて身体を動かす遊びの時間を存分に設けています。

【特に優れていると思われる点】
1.配慮を要する子ども一人一人に合わせた対応の工夫
園は、障がい児や、配慮を要する子どもの受け入れを積極的に行っています。障がい特性に配慮し、関係機関や保護者とも連携しながら、その子どもに合った個別の支援方法が検討されています。
園舎は築38年となる古い建物で、全体的にバリアフリー構造にするのは難しい状況ですが、一部のトイレには立ち座り動作を補助する手すりを付け、姿勢が安定するよう便座の周囲に手作りの足台を置いたり、手洗い場の水道のハンドルの一部をレバー式のものに変更するなど、環境整備に配慮しています。保育室内の椅子にも足台をつけたり、座面に滑り止めシートを貼りつける、身の回りの素材で手作りした歩行補助具を活用するなど、それぞれの障がい特性に対応して、様々な工夫をしています。
また、子どもの発達に合わせた言葉でこれから何をするのかを伝えるだけでなく、一日の流れや活動などを示すホワイトボードや、絵カードなどを用いて視覚的に説明したり、子どものこだわりや考えをそのまま受け止め、ゆっくり自分のペースで進めてよいことを伝えるなどすることで、配慮を必要とする子どもはもとより、他の子どもも安心して過ごしています。

2.地域との活発な交流と良好な関係づくりへの努力
運動会、おたのしみ会、昔あそびの会、卒園式などの行事に地域住民を招待しています。昔あそびの会では、近隣の年配の方々にコマまわし、お手玉などを教えてもらっています。5歳児の稲作体験や、園庭の樹木の剪定のボランティア来訪による交流のほか、公園愛護会との公園にひまわりを植える活動を通じての交流(ひまわり交流)、地域住民も参加する園の避難訓練など、地域との多様な交流があります。
開園してから40年近くがたち、近隣住民は園に親しみをもち好意的ですが、園では、地域と友好的な関係を築く努力を継続しています。朝夕勤務の非常勤職員が園前のバス停までの道路や地域のゴミ収集場所を清掃したり、公園清掃に参加するなどしています。園長や主任が近隣を訪問して年度初めに新入園児の数を伝えたり、行事の開催前にはチラシを手渡しして招待したり、騒音や送迎時の車の出入りなどで迷惑をかけていないか、折に触れ、確認しに行くなどしています。日常的にも職員や子どもは地域の方に積極的に挨拶をしています

3.職員の研修時間を確保する工夫とチームワーク 
「知識は皆の宝」との考えから、研修で得た情報を職員間で共有することを大切にしています。外部研修を受講した職員は研修報告書を提出し資料とともにファイルに綴り、必要な時に、どの職員でも見ることができるようにしています。また、園内研修として他の職員に伝達することで学習内容を共有して、日々の保育に活かしています。さらに、毎年、テーマを決めて、園内研修を定期的に行っています。
園内研修は職員会議など会議の時間の中での伝達のほか、子どもが午睡する時間帯のうち30分間や、終業間際の15分間などを活用して実施しています。非常勤職員に対しては、主任やベテラン職員が、園内研修を実施しています。午後から出勤する非常勤職員の清掃業務を常勤職員が代わって行う日を設けて、研修時間を確保したり、同じ内容の研修を2回実施することで、すべての職員が研修を受けられるようにしています。
平成29年度は業務マニュアルの見直しに取り組みました。クラスごとにそれぞれ担当分野を決めて見直しを行い、会議で意見を集約し共有を図りました。さらに、クイズ形式で、マニュアルの内容の解度を確認する園内研修を行うことで、意識づけを図りました。非常勤職員の園内研修の時間を設けたことは、コミュニケーションの機会の確保にもつながり、全職員が新しい知識を共有して、一丸となって保育の質の向上に取り組んでいます。

【特に改善や工夫などを期待したい点】
1.乳児の個別指導計画に個別の振り返りの記録ができる書式の定型化
3歳未満児の月間指導計画では、毎月、クラス全体の取り組み状況と保育士の振り返りを行い、自己評価を実施して所定の欄に記載しています。また、個別指導計画については、「現在の子どもの様子」から、「保育士の配慮事項」「家庭との連携」を検討して記載し、職員同士で振り返り、話し合って、次月の計画につなげていますが、現在の横浜市の0、1、2歳児の個別指導計画の書式には、個別の子どもの支援についての職員の評価・振り返り欄がありません。個別指導計画の自己評価が記載できるよう、書式の改善が期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・園の業務マニュアルの中に、「人権への配慮」について明記しています。子どもの人権について、園内外の研修で全職員が学ぶ機会があり、子どもを一人の人間として尊重することを基本的な考えとして保育をしています。

・毎月の職員会議で、子どもの名前を呼び捨てにしないことや、否定的な言葉かけをせず、一人一人の気持ちや発言を肯定的に受け止めるようにすることを確認しています。

・園の業務マニュアルの中に、個人情報ガイドラインが整備されています。個人情報の取り扱いについては、保育園のしおり兼重要事項説明書にも明記されており、入園説明会で保護者に説明しています。

・遊びや行事の中の役割、持ち物や服装、順番、グループ分けなどを、意図的に性別で区別をすることはせず、製作物の素材は、子どもが好きな色を選べるように様々な色を用意しています。

・「横浜市子ども虐待防止ハンドブック」および園の虐待防止マニュアルを備え、園長から全職員に虐待の定義および早期発見について周知して虐待の予防に努めています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

・面談時には、生育歴や家庭での様子、入園後に心配なこと、園への要望や子どもへの願いなどを聞き取り、面談票に記録し、カリキュラム会議などで報告・共有して必要な支援の内容や関わり方を検討しています。

・入園直後の短縮保育については、入園説明会で説明するとともに、保護者と進め方を相談し、個別の事情に配慮して柔軟に対応しています。

・トイレットトレーニングや離乳食、歯磨きなどについては、保護者の意向や家庭での様子を確認しで計画に反映しています。

・職員は、日々の保育の中で、子どもの興味・関心を把握するように努め、集団の遊びや行事の内容を決めるときには、子どもの意見を反映させています。

・各保育室には、子どもの手の届く棚やかごに種類ごとにおもちゃを入れ、自分で自由に選んで取り出せるよう、絵や文字でわかりやすく表示をしています。

・ホームページを毎月更新し、「子どもたちの様子」や育児支援について、写真とコメント入りで伝えています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

・一人一人の子どもの生育歴の違い、発育・発達・健康状態を適切に判断しながら、子どもの基本的人権を尊重し、最善の利益を第一義に考えて保育課程を作成しています。

保育課程に基づき年齢ごとの年間指導計画・月間指導計画・週案、0〜2歳児および特別な配慮を要する子どもについての月間個別指導計画を作成しています。

・幼児についても、特別な課題がある場合には、個別指導計画(年4回)を作成しています。アレルギーや家庭の事情など、配慮が必要な子どもについては、月間指導計画の「個別配慮」欄に、個別の状況や配慮事項を記載しています。

・「食育計画」があり、「栽培を通して、食の楽しさや大切さがわかる子ども」をねらいに掲げ、職員は、子どもが植物を育てる喜びを知り、見る、触る、嗅ぐなど五感で感じられることを大事にしています。

・食物アレルギーのある子どもには、かかりつけ医の「生活管理指導表」に従って、誤食の無いように手順に沿って除去食を提供しています。

・感染症が一人でも発生した場合には、速やかに保育室内の掲示板と玄関前に「感染症情報」を掲示し、感染拡大を防ぐよう呼びかけています。

・「避難訓練計画」を基に、火災・地震・不審者侵入を想定し、想定場所や想定時間を変えて、毎月避難訓練、通報訓練を実施しています。

・職員は、こども青少年局や港南区主催の救急救命法講座を受講したり、消防署の指導により園内研修で救急救命法を学んでいます。

・小さなケガであっても、夕方のミーティングおよびクラスごとにある引継ぎノートで情報共有し、保護者に伝えています。ケガや事故については、原因を検討して再発防止策を図っています。

ヒヤリハットはクラスごとに記録し「ヒヤリハット集計表」にまとめています。

・園の苦情解決マニュアルが整備されています。保育園のしおり兼重要事項説明書に、苦情解決制度の記述があり、入園説明会で説明しています。

・保護者の意見や要望は、個別面談やクラス懇談会で聞いているほか、直接伝えてもらえるように、日ごろから信頼関係構築に努め、個人連絡ノートや送迎時の会話からも汲み取るようにしています。意見箱を玄関先に設置しています。

・要望や苦情があった場合は、受けた職員が速やかに園長、主任に伝え、協議して対応しています。内容によっては、港南区こども家庭支援課と連携して解決する体制ができています。

・些細な要望・希望も把握できるように、各クラスの保育日誌に「要望・苦情・トラブル対応」の書式を添付しています。

4 地域との交流・連携

・港南区の広報や港南区のホームページ、横浜市こども青少年局の「はぴねすぽっと」、港南区子育て情報ガイド「こうなんまっぷっぷ」、園のパンフレットにより、保育園の情報を提供しています。

・地域の子育て家庭を対象に、園児との交流保育、園庭開放、プール開放、お楽しみの日、見学会、保育園プチ体験、絵本貸し出し、誕生会、育児講座(年3回)を実施しています。

・育児相談日は月曜日から金曜日の午前中に設けていますが、それ以外の時間も随時応じています。

・関係機関の窓口は園長で、港南区こども家庭支援課、横浜市よこはま港南・南部・東部地域療育センター、児童相談所、地域ケアプラザ、地域子育て育児支援拠点「はっち」などとは必要に応じて連携を図っています。

・運動会、おたのしみ会などの行事に地域住民を招待したり、環境ボランティアとの稲づくり、公園愛護会とひまわりを植える「ひまわり交流」、地域住民も参加する避難訓練、地域住民と交流する昔あそびの会など、地域住民やボランティアなどと協力して計画的に交流を図っています。

・中学校や高等学校の職業体験は毎年3、4名ほど受け入れています。

・民間保育園と3園で、ふれあい公園でおにぎり弁当を一緒に食べ、ドッジボール大会を行っています。

・園見学は常時可能ですが、毎年10月に「保育園ってどんなところ?」という見学会を行っています。5歳児が園内のどこを案内するかを話し合い、見学者に園内を案内しています。その後に職員が保育園紹介の動画(音声付)を上映し、保育園の特徴などを説明しています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

・職員の守るべき規範については、服務規程、横浜市職員行動基準、全国保育士倫理綱領に明文化されており、職員に周知しています。職員は、職員証とともに「横浜市職員行動基準」を常に携帯しています。

・理念、基本方針は採用時に園長から説明するほか、年度初めの会議で全職員で確認しています。理念、基本方針を事務室内に、保育課程を各保育室に掲示し、常に意識するようにしています。

・園長・主任は、年間指導計画、月間指導計画、行事計画等に、保育所の理念や基本方針が反映されているか、その都度確認しています。また、職員の日々の保育や取り組みを見て、理念や基本方針を理解しているか確認しています。園長は職員と定期面談のほか、随時、面談の機会を持ち、職員を指導しています。

・園長は、横浜市こども青少年局保育・教育運営課や港南区こども家庭支援課、市立全体責任職会議、港南区市立園長会議、港南区合同園長会議に参加するほか、港南区区政運営会議報告などから、園運営に関わる最新の情報を得ています。

6 職員の資質向上の促進

・横浜市には人材育成の方策として「保育士育成ビジョン」が整備されており、経験・能力・習熟度に応じた役割の期待水準が明文化されています。

・全職員に平成28年から改訂された「保育士キャリアラダー」(保育士として身に付けたい専門能力の一覧表)が配付されており、「キャリア自己分析表」(保育士の自己評価)を異動時にも携帯する仕組みがあります。

・園長と主任が職員の研修ニーズに配慮して研修計画を作成しています。毎年、テーマを決めて、内部研修を定期的に行っています。園内研修は子どもが午睡する時間帯のうち30分間や、終業間際の15分間などを有効に活用して実施しています。

・園外研修として、横浜市こども青少年局主催の研修、港南区の研修、民間機関主催の研修などに、積極的に参加をしています。研修後は、研修報告書を作成し、研修内容を職員会議などで報告しています。

・障がい児保育について、よこはま港南地域療育センターの実地研修や、こども青少年局、港南区主催の研修に、各職員が積極的に参加して最新の情報を学習しています。3か所の地域療育センターから巡回訪問があり、助言を受けています。

・実習の目的を把握し、実習クラスや部分実習・責任実習について調整し、効果的な実習ができるようプログラムを工夫しています。

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