かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

社会福祉法人白根学園 ぶどうの実

対象事業所名 社会福祉法人白根学園 ぶどうの実
経営主体(法人等) 社会福祉法人白根学園 
対象サービス 障害分野 障害児多機能型事業所
事業所住所等 〒 241 - 0005
旭区白根7-10-6
tel:045-952-1753
設立年月日 1960年05月12日
公表年月 2018(平成30)年05月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 ナルク 神奈川第三者評価事業部
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の特色】
・立地および施設の概要
 福祉型障害児入所施設ぶどうの実は、入所施設、短期入所、日中一時支援の施設で、JR横浜線鴨居駅および相鉄線西谷駅からバスで「金草沢バス停」下車、徒歩10分の、坂道を登り切った、みなとみらいが見渡せる高台にあります。午前10時から12時までは、児童発達支援事業(定員5名)、午後1時から5時までは、放課後等デイサービス事業(定員5名)を実施しています。設置法人の社会福祉法人白根学園は、知的障害者(児)就労・生活支援総合事業として、入所施設、通所事業所、グループホームなど数多くの施設や事業所を運営しています。
・施設の特徴
 入所定員は30名で、主に知的障害児を受け入れています。建物は、平成27年に全面建て替えを行い、ユニット体制のもと、子どもたちは4ユニットに分かれて家庭的雰囲気の中で、地域の学校に通いながら生活しています。今年度より、地域における公益的な取り組みの一環として、子ども食堂を開催しています。

【特に優れていると思われる点】
1.子ども一人一人の意向を尊重した生活支援
子どもたちは、5名から9名の4つのユニットに分かれ、小集団の中で職員と個別の関わりをもち、自分の思いを伝えながら、生活しています。小学生以上は個室で、プライバシーを守れる空間として、衣類や自分のものを持ち込んだり、落ち着いて生活できるようになっています。個別支援計画作成にあたっては、子どもに分かりやすいように、「ぼくのわたしの1年間」として、「私の良いところ・好きなこと・得意なこと・苦手なこと」「今年1年間で何をするか、在学中にどうするか」などの意見や要望を聞き、できることを引き出しながら、自立に向けて支援しています。夏休みには子どもたちの要望で、テーマパークへ一泊旅行をしたり、誕生日外出は職員と二人で子どもが行きたい店に行き、買い物や外食を楽しんでいます。職員は、子どもに寄り添い、自分の意思を表出しにくい子どもについては、日々の暮らしの中で子どもの意向の把握に努め、子ども一人一人の気持ちを受け止めながら、日々の生活を大切にした支援に取り組んでいます。

2.子どもの自立生活に向けたきめ細かな支援体制
ユニット体制での暮らしの中で、一斉に行動するスケジュールは極力設けず、一人一人が自分で取り組めるよう支援しています。食事時間は大まかに決まっていますが個々の状況によって時間を変更したり、入浴時間は自分で決め、家庭と同様のユニットバスに一人で入浴しています。子どもが自分で身体を洗ったり洗髪できるように、脱衣の場所に「おふろの入り方」を絵と文字でわかりやすく説明した文書を貼っています。
子どもが一人で外出できるように、初めの数回は職員が付き添い、その後見守りから一人での外出へと計画的に進めています。嗜好品や衣類の買い物にも、始めは職員が付き添って相談にのり、徐々に一人で出かけ、自分の好みで購入できるようにしています。
ユニットで、みんなでおやつ作りを楽しんだり、衣類の整頓、洗濯や掃除を職員と一緒に体験するなど、子どもの自立生活を支援しています。

3.地域とのつながりを通しての、子どもの生活の充実と社会性の習得支援
地域で行われる祭りや活動にはできる限り参加し、子どもたちが、多世代の人々と触れ合ったり社会的なルールを学ぶ機会としています。子どもたちは、町内で行われる盆おどりやカーニバル、区民祭り、大学の文化祭などに出かけ、お金の使い方や順番を守ることを体験しています。地域にある公園や図書館、地区センター、プールなども利用しています。幼児は、保育園の園庭開放も利用し、他の子どもと関わっています。また、学校の友達が放課後や休日に自由に遊びに来て、玄関ホールや園庭で一緒に遊んでいます。子どもたちは、地域とのつながりを体験しながら社会性を身に着けています。

【特に改善や工夫などを期待したい点】
1.職員の質の向上に向けた更なる取り組み
施設では、「仕事の出来映えシート」「執務態度チャレンジシート」「人権チェックシート」を利用して自己評価を行い、係長や施設長と面談して振り返りを行っています。さらに、個々の職員が習得するべき知識や技術を把握して、職員個別の年度目標を定め、達成度評価をし、職員の資質向上に取り組むことが期待されます。

2.事故防止へのさらなる対策
事故防止対策として、「事故報告書」「ヒヤリハット報告書」があり、今後の再発防止策などが記録されていますが、事故件数は増加傾向にあります。今後は、各ユニットの状況に即した事故防止のためのチェックリストなどを作成して、毎日安全点検をしたり、事故防止の責任者を定めて施設内で安全管理委員会を設置するなど、事故防止のためのさらなる取り組みが望まれます。

3.施設の専門性を活かした地域支援の実施
通所支援事業での児童発達支援、放課後等デイサービス事業や、こども食堂実施時に、管理栄養士や支援員、看護師が子育てや障害児に関わる相談に応じる体制があります。こども食堂にも地域の子どもや保護者が訪れていますので、それらの機会をとらえ、地域の福祉ニーズを把握し、施設として有する機能を活かし、地域住民等を対象とした障害や障害児の子育て等に関する講習などを開催することが望まれます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・倫理綱領や設置法人の基本方針に、人権擁護に対する方針や指針を明示しています。

・設置法人の権利擁護委員会は、全職員向けに年5回人権研修を実施し、全職員は必ず年1回は出席することになっています。

・子どもと職員が日々生活する中で、子どもが意見を述べやすい雰囲気づくりに努めています。職員は、子どもとの信頼関係の構築に努め、子どもの気持ちや発言を受け止めるよう努めています。

・職員行動指針に、「一人ひとりが安心や自信、誇りを持てるような言葉かけや態度、個々の特性を考慮した対応」を定め、職員には新人研修で周知し、非常勤職員には入職時や折に触れて施設長が説明しています。

・職員は、子どもの発達過程や性に対する関心の芽生えを察知し、職員間で話し合える環境があります。性に関する研修は、児童相談所の性教育プログラムを利用し、子どもたちは医師や看護師から話を聞いています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

・子どもの自立に向けて、個別支援計画を作成しています。退所後の生活について、家庭復帰、グループホーム自立訓練施設の利用、措置延長など、子どもに応じた計画を作成しています。

・子どもたちには、成人施設情報、自立サポートセンターの情報を伝えています。自立生活について、退所する先輩に聞いたり、ユニットの職員などに相談しています。設置法人運営の自立宿泊型訓練施設で、自立に向けた訓練を行っています。

・子どもの自立生活の実現に向けて、児童相談所児童福祉司、学校の進路担当職員、担任、家族、施設の担当職員・主任等が参加して話し合い、統一した方針のもとで支援にあたっています。

・年齢や自立度に応じて、子どもが、衣類を買いに行ったり、洗濯したり、自分で衣服の整理整頓ができるよう支援しています。幼児から、小遣いは学年ごとに金額を定めて、自分で買い物ができるように支援しています。

・子どもの単独外出に向けて、手順を踏んで計画的にすすめ、子どもは、単独外出に至るなかで、お金の使い方、交通ルール、公共交通機関の利用方法、買いもののルールなどを体験しています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

・個別支援計画に、項目・達成目標・具体的な支援内容・支援期間・優先順位を記載し、子ども一人一人の状況に応じて支援を行っています。

・個別支援計画の実施状況の評価は、年2回行っています。見直しにあたって、子どもの意向を聞き、説明後、子どもからサインをもらっています。意思表明が困難な子どもについては、利用者本位に検討しています。連絡が取れる家族には、意向を聞いています。

・入所説明時や利用者自治会「えがおの会」、保護者会で、子どもや保護者に苦情解決の仕組みを説明しています。「ぶどうの実の皆さん 保護者の皆さんへ」として、受付担当者、解決責任者、第三者委員の連絡先と苦情解決の仕組みを玄関にも掲示しています。

・オンブズパーソン2名が月2回来所して、面談を希望する子どもと面談し、要望を把握しています。また、子どもたちに親しみを持ってもらえるように、オンブズパーソンを感謝祭やクリスマス会行事に招待しています。

・第三者委員とは、年1回定期報告会を開催し、保護者会やオンブズパーソン、利用者自治会からの意見や要望、事故報告、ヒヤリハットを報告しています。

・感染症マニュアルは看護師が主に見直しをし、職員会議で職員に伝えています。ノロウイルスの流行時に嘔吐処理の仕方について、看護師から主任に指導し、各ユニットで主任が職員に指導をしています。

・事故や災害に適応したマニュアルが整備され、職員会議や、事故事例があった際に、職員に周知を図っています。事故の報告は申し送りや職員会議で行うほか、メール配信で全職員に速やかに報告しています。

・「事故報告書」「ヒヤリハット報告書」があり、事故の内容や対応、原因や経過及び状況を記載し、今後の再発防止策について検討しています。

4 地域との交流・連携

・旭区こども連絡会や、地区社会福祉協議会が実施する会議に参加し、児童発達支援などに関する情報交換を図っています。関係機関との連携の担当者は支援係長で、地域住民から相談を受けた場合に他の関係機関と連携できる体制があります。

・通所支援事業での児童発達支援、放課後等デイサービス事業や、こども食堂実施時に、管理栄養士や支援員、看護師が子育てや障害児に関わる相談に応じる体制があります。

・平成29年4月に「ぶどうの実こども食堂」がオープンし、地域の子どもや保護者が訪れて月に1回、夕食を食べてもらっています。食堂内にノートを備え参加者が自由に感想や意見を書けるようにしています。

・ボランティア受け入れマニュアルに基づき、施設の方針や、守秘義務などを説明しています。バザーやクリスマスなどの行事の際のボランティアには行事アンケートを実施し、意見や感想を把握し、翌年の行事に反映しています。

・子どもたちは、地域にある公園や図書館、地区センター、プールなどの施設を利用するほか、ケアプラザが主催する行事や四季の森区民祭り、旭区民祭り、大学の文化祭など地域の祭りに参加しています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

・職員が守るべき法・規範・理念などについては、「就業規則」「職員行動方針」に明記されており、新任研修で説明しています。

・施設長は、他施設で起こった事件や、報道される児童養護施設などの不正行為・不適切行為を事例として会議などで話し合ったり、新聞記事を全職員に回覧するなどして、職員に啓発をしています。

・ゴミの減量化やリサイクルを意識して、ゴミの分別に取り組んでいます。ユニット内のキッチンには、幼児でも分別が容易にできるように色分けしたゴミ箱を設置しています。

・施設長は、子どもを尊重した理念の実現に向けて、リーダーシップを発揮しています。朝、ユニットを巡回し、登校前の子どもたちに話しかけたり、表情を見るなど、子どもの様子の把握に努めています。

・施設長は、採用時に理念や基本方針を説明するほか、採用後は職員会議で、具体的な支援に沿って基本方針を職員に伝えています。また、年2回の個人面談や、会議などでの職員の発言などから理念や基本方針の理解度を確認しています。

・平成29年度から平成32年度までの中期計画に、「加齢児対策」「通所支援事業の充実」「職員研修の充実」「地域における公益的な取組の検討」を挙げ、職員会議で報告しています。

・年4回、設置法人が広報誌を発行し、関係機関に施設の情報を提供しています。ホームページでは、ブログを随時更新し、行事などを報告しています。

・利用希望者からの問い合わせにはいつでも対応できる体制があり、見学は子どもたちのプライバシーに配慮し、曜日や時間は見学希望者の都合に合わせ対応しています。見学者にはぶどうの実と設置法人のパンフレットを配付して説明しています。

6 職員の資質向上の促進

・「人材育成計画」があり、主任に求められる期待水準が定められ、主任クラスの職員がスーパービジョンに関する内部研修、外部研修を計画的に受講するプログラムがあります。

・グループごとに主任を配置しています。主任はスーパーバイズの手法を学び、個々の職員が精神的にも肉体的にも良好な状態で仕事に取り組めるよう配慮したり、職員の能力や経験に合わせて助言をしています。

・施設長は、運営に必要な人材構成をチェックし、設置法人のホームページや複数の就職サイトに求人案内を出しています。学校への働きかけも行っています。設置法人のホームページには、仕事の内容、やりがい、採用条件などを掲載していますが、十分採用できない現状があります。

・強度行動障害支援者育成研修、てんかん基礎講座、性教育研修、自閉症セミナー、接触嚥下研修、新任職員研修、接遇・マナー研修、チームリーダー研修、施設長研修、中堅職員キャリアアップ研修課程に参加するほか、権利擁護問題研究大会、知的障害福祉関係職員研究大会などに参加しています。

・研修後は「派遣研修報告書」を作成して回覧するほか、職員会議で内容を発表する機会を設けています。

・業務は、常勤職員と非常勤職員の組み合わせで行っています。送迎、通院、連絡会出席時も非常勤職員だけになることはなく、同様な組み合わせで、複数対応で行っています。

・今年度より、設置法人として、全職員を対象に、職員満足度調査を実施しています。調査後は、集計講評としてまとめ、傾向や特徴を分析し、課題を抽出しています。

・年2回、人事考課として、係長、施設長が職員面談し、職員の満足度や意見・要望を聞いています。

・実習生受け入れマニュアルがあり、事前のオリエンテーションで施設の方針や実習中の心得、守秘義務などについて説明しています。

・実習前の事前オリエンテーションで、実習生に課題を出し、課題意識を持って実習が効果的に行われるよう工夫しています。

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