かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

横浜市錦保育園

対象事業所名 横浜市錦保育園
経営主体(法人等) 横浜市
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 231 - 0812
中区錦町5番地
tel:045-621-5180
設立年月日 1971(昭和46)年07月01日
公表年月 2017(平成29)年06月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 ナルク 神奈川第三者評価事業部
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の立地・特徴】
1.立地および施設の概要
  横浜市錦保育園は昭和46年7月に開所されました。園は約700uの園庭を持つ平屋の園舎(約430u)で、JR京浜東北線桜木町駅、根岸駅からともにバスで約20分の本牧ポートハイツ(港湾団地)内にあり、1歳児〜5歳児まで定員63名で現在60名が在籍しています。近くには本牧埠頭があり、倉庫、工場の多い地域の一角にありますが、近隣に錦町第一公園、第二公園のほか、いくつかの公園もあり、子どもたちの散歩先となっています。

2.園の特徴
  園目標は「元気いっぱい、みんな仲良し、あふれる笑顔」で、園全体で子どもたち全員を保育する姿勢を持ち、日々の保育に取り組んでいます。地域の子育て支援の中心となる施設として、園庭開放、育児相談、育児講座、交流保育、赤ちゃんサロン、親子の保育体験などの活動を積極的に行っています。外国籍の子どもも多く在籍しています。

【特に優れていると思われる点】
1.日常の保育における理念の実践
  職員は園の保育理念で掲げるとおり、「子どもの主体性を尊重し、一人一人の興味や関心を大切にした保育」を心がけています。子どもの発想をもとに「ごっこ遊び」につなげたり、子どもたちが好きな絵本から劇遊びに発展させています。各クラスの指導計画の中でも、例えば「拾ってきたドングリを使い、必要な用具を子どもたちに考えてもらいながら立体の工作を行った」「運動会やおたのしみ会など共通の話題を通して、皆の前で発表する機会を設けていった」などの振り返りを行っています。子どもたちの主体性を育み、物事に興味、関心を持って工夫していこうとする方針が各クラスの保育姿勢として表れ、日々の保育で実践されています。

2.多様な地域への育児支援
  中区における公立保育園として、地域への様々な育児支援を実施しています。年に2回の育児講座(親子のふれあい遊びや保育園の人気メニュー試食)や季節の行事やどろんこ遊びなどを一緒に楽しむ交流保育(年10回)、保育体験(毎月2回、含む給食体験)、園庭開放・たまごルーム(育児支援ルーム)の開放(月〜金曜日の午前中)、育児相談(月〜金曜日午前中)、看護師の健康相談・身体測定(月1回)などを計画的に実施しています。また、一時保育、あかちゃんサロン、プレママ・プレパパ保育園体験なども随時、申し込みを受けて実施しています。これらの育児支援のポスターを園の入り口案内板に掲示し、中区広報にも掲載して、積極的に地域住民に知らせています。

3.外部研修・園内研修による職員の資質向上
  横浜市こども青少年局、中区などで開催される「配慮が必要な子の保護者支援」「食物アレルギー」「子どもの心に寄り添う支援」「虐待チェック」「3歳児保育」などの研修を、職員は積極的に受講しています。園内研修は担当を決め、職員会議の中で研修報告や園のマニュアルの見直し、保育課程の見直し、人権研修、個人情報の取り扱い、虐待対応などをテーマに定期的に実施して、職員の資質向上を図っています。職員会議には非常勤職員も2名出席しており、出席できなかった職員には職員会議録を必ず回覧し、全職員で情報を共有しています。

【特に改善や工夫などを期待したい点】
1.保護者の要望・意見を園運営に活かす工夫
  園として大きなクレームについては「苦情受付報告書」に記録を残していますが、日常寄せられる、細かな要望、苦情の記録についての蓄積や整理は不十分な状況です。
保護者から日常寄せられる細かな要望・意見などに対しても一つ一つ丁寧に対応して、記録の蓄積・分析を行い、園運営に活かしていくことが期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・職員は、子どもの呼び方を含む言葉遣いや子どもの人権を尊重することなどを、職員会議などで確認しています。また、穏やかでゆったりとした言葉で子どもたちに話しかけるよう心がけ、子どもと話すときには、目線にも気をつけ、子どもが理解できる言葉で分かりやすく話ができるようにしています。職員は注意する場合も、様々な言葉かけを場面に応じて使い分けができるように、職員間で話し合いを行っています。

・保育室の中には死角にならない程度にパーテーションなどを利用して、子どもが一人になれる空間を作っています。子どもは押入れの下や職員の机の下などのスペースを一人や少人数でゆっくり遊びたい時に利用しています。

・個人情報漏洩防止マニュアルがあり、職員に周知しています。実習生、職業体験、ボランティアに対しては、オリエンテーションの際に説明しています。また、「個人情報に関するチェックリスト」を作成し、クラスごとに月1回振り返りを行っています。入園時の保護者説明会で個人情報の取り扱いについて説明し、承諾を得ており、写真などの使用に関しては同意書を提出してもらっています。

・職員会議のなかで、虐待の定義を職員に周知し、虐待について個別の事例、予防・対応などを話し合っています。虐待が明白になった場合や疑われる場合には、中区こども家庭支援課、横浜市中央児童相談所や医療機関などの各関係機関とも連携できる体制をとっています。

・登降園の際に保護者から丁寧に話を聞き取り、保護者の気持ちの変化、子どもに対する思いなどを汲み取るように努めています。

・グループ分けや出席簿、並ぶ順番などで性別による区別をしていません。製作で使用する色や好きな遊び、並ぶ順番や席順などもなるべく子どもたちが自分たちで決められるように促しています。男の子や女の子と決めつけた指導の仕方をしないよう、固定観念で保育をしていないかどうかを職員会議などで確認しています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

・個人面談は年1回期間を設けて行うほか、希望に応じて随時応じています。保護者懇談会は、年2回実施し、その際には、子どもたちの日々の様子を写真に撮りパワーポイントで紹介したり、保育の様子を動画で流すなどしています。
 
・低年齢児(1、2歳児)の保育室は、それぞれ低い棚をおいておもちゃを取り出しやすくしており、またいくつかコーナーを用意して、少人数でじっくり遊べるように工夫しています。全クラス食事と午睡の場所を分けており、清潔で快適な環境となるよう気をつけています。

・子どもが自由に表現できるように、絵の具、粘土、折り紙などを発達に応じて保育に取り入れています。また発達に合わせたリズム遊びなども取り入れています。裏紙や廃材、牛乳パックなどを用意し、子どもたちが自由に使えるようにしています。いつでも書きたいときに紙や色鉛筆などが使えるように保育室の棚に用意しています。5歳児は自分の道具箱にお絵描き帳やクレヨンを用意し、使いたい時に出して使えるようにしています。

・それぞれの子どもの食べるペースや好き嫌いを把握し、残してもよいことを伝え楽しい雰囲気の中で食事ができるように声かけをしています。苦手なものがあっても無理強いせず「一口だけでも食べてみようね」と声かけしています。

・4歳児から当番活動を行い、配膳は子どもたちが行い、5歳は盛り付けも行っています。子どもたちは、栽培した野菜を調理してもらったり、自分たちで調理するなどの経験を保育に取り入れています。

・午睡、休息は子どもの状況に応じて対応しています。午睡の時間前に眠くなってしまった子どもには早めに午睡に入れるようにしており、また眠れない子どもには静かに過ごせるように、衝立でスペースを作るなど工夫をしています。午睡の際はカーテンを閉め、部屋を暗くし、静かに安心して眠れるようにしています。

乳幼児突然死症候群に対する対策として1歳児は10分ごと、2歳児は25分ごと、呼吸チェックをしています。5歳児は年明け頃から午睡時間を短くし、就学に向けて午睡をしない日を設けています。

・トイレットトレーニングは一人一人の発達状況を重視して家庭と連携をとりながら進めています。1歳児はオムツ交換時にそれぞれの子どもの排泄のリズムを把握し、2歳児はトイレでの排泄が成功したら記録し、尿意の間隔を把握しています。1、2歳児は活動の節目に声かけをしています。お漏らしをしてしまった場合は決して叱らず、声かけをして早めにトイレに行くことを確認し、優しく対応しています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

・入園案内や重要事項説明書に基本方針・利用条件・サービス内容などが記載され、利用希望者の問い合わせに対応できるようになっています。電話での問い合わせや園庭開放での来園時に、予約のうえ見学できることを案内しています。

・入園時の「短縮保育」の必要性を保護者に十分に説明し、家庭環境や子どもの育ち、保護者の就労状況などに配慮して個別に計画を立て、無理なく園生活に慣れていけるようにしています。子どもが心理的拠り所にしているタオル類やおもちゃがある場合は、持ち込みをしてもらっています。1、2歳児クラスには個別の連絡帳があり、その日の子どもの様子などを細かく記載して、保護者との連携を密にしています。

・クラスごとに一人一人の子どもの状況を話し合い、年間指導計画、月間指導計画を作成しています。ねらいに対してどうであったかをクラス担任を中心に職員間で話し合って評価・反省をし、次期計画を作成しています。また、カリキュラム会議の中で、各クラスの振り返りを発表してアドバイスをもらったり、職員の情報共有に努めています。

・苦情・要望の受付担当者・解決責任者は園長とし、第三者委員の氏名・連絡先と共に玄関に掲示しています。行事後にアンケートを取り、意見箱、クラス懇談会、個別面談などで保護者の要望を聞いています。入園時に保護者に配付する「重要事項説明書」にその他の相談窓口として、横浜市福祉調整委員会を記載し、保護者に紹介しています。

・「健康に関するマニュアル」に沿って、子ども一人一人の健康状態を把握しています。「保育所における感染症ガイドライン」(横浜市)を参考に感染症マニュアルを作成しています。保護者には入園説明会で、感染症発生時の園の対応や登園禁止基準を説明しています。特に、衛生管理マニュアルについては、毎年度末に改定、見直しを行っています。

・安全管理マニュアルがあり、事故発生時、火災発生時、警戒宣言が発令された時の対応などをまとめ、職員に周知しています。緊急時の連絡体制を、事務室に掲示し、保護者にもメール配信システムの利用方法を周知し、緊急時に備えています。毎月、火災・地震・津波を想定した避難訓練、通報訓練、消火訓練を行っています。

・職員は救命救急法の研修を受けており、AEDの研修は年1回必ず複数の職員が受け、会議で共有しています。

4 地域との交流・連携

・保育園の情報はパンフレット、横浜市のホームページで提供しており、園のパンフレットを園見学者に配布しています。外部の情報提供媒体の「子育て支援情報サービスかながわ」に園情報を掲載しています。

・今年度より一時保育を開始し、そのほか、園庭開放、施設(たまごルーム)開放を月曜から金曜日に行い、交流保育は年10回ほど行っています。夏は地域の親子に向けてプール開放を行い、また地域の親子に絵本の貸し出しも行っています。中区保育施設合同育児講座で、ふれあい遊びや、手作りおもちゃなど、遊びのヒントになるものを紹介しています。また自園でも赤ちゃんサロンでの看護師による育児相談や身体測定のほか、育児講座として「離乳食について」「歯磨き講習」「人気メニューの試食会」などを行っています。

・幼保小連携事業を通じて、小学校、幼稚園、民間保育園と学校訪問や一緒に遊んだりして交流しており、中学生の職業体験も受け入れています。横浜市立中図書館に出かけ、4、5歳児が絵本や紙芝居を借りています。また、横浜港を一望できる「横浜港シンボルタワー」にも散歩に出かけ、利用しています。日常的に近隣の公園に出かけ、出会う人に挨拶したり、公園で親子連れや高齢者と交流しています。

・ボランティア受け入れマニュアルがあり、受け入れに際しては、園目標や保育姿勢、個人情報の遵守、守秘義務などを説明しています。受け入れの記録はファイルして保管しています。読み聞かせのボランティアが2か月に1回、訪問してくれます。また、中学生の夏休み職業体験も受け入れ、終了後に感想を聞いています。

・中区子ども家庭支援課、中区福祉保健センター、横浜市中央児童相談所、横浜市中部地域療育センターなどの情報はファイルなどにまとめ情報を職員で共有しています。要支援家庭について定期的に報告をするなど日常的に連携しています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

・「横浜市職員服務規程」に職員が守るべき法、規範、倫理などが明文化されており、また、「横浜市職員行動基準」には、公務員としての行動の規範が定められており、全職員に周知されています。テレビ、新聞などの子どもに関する事故・事件については、常に関心を払っており、園で起こりうるリスクとして、職員会議で未然防止に向け話し合い、対応策を検討しています。

・理念、基本方針を園内に掲示するとともに、理念・基本方針を明文化した「重要事項説明書」を全職員に配付しています。園長は年度初めの職員会議で職員に理念・基本方針を周知しています。職員が指導計画を策定する際には、理念、基本方針に沿っているかを園長、主任が確認しています。

・新保育所保育指針についての研修、新聞などのニュース、保育の情報誌などから、事業運営に影響のある情報を得て、分析・検討に努めています。園長は、横浜市全体園長会、中区園長会などで情報を収集し、重要な情報については職員会議を利用して職員に周知しています。

・運営面での重要な改善課題がある場合は、職員に周知し、全職員で取り組むようにしています。地域の保育ニーズに応えるうえで課題としていた「一時保育」を今年度から開始しています。

6 職員の資質向上の促進

・横浜市の人材育成計画として「横浜市人材育成ビジョン」があり、その中に保育士のような専門職については、保育士人材育成キャリアラダー(専門職を対象に、はしご(ラダー)を昇るように、着実に力をつけていくことを目的に作成されたもの)に、保育士として身に付けたい専門能力がステップ1(職員T)、ステップ2(職員U)、ステップ3(職員V)の段階に応じて明確に示されています。職員は、年度初めに園長と面談して、目標共有シートを作成し、年度末に再度面談をして、目標の達成度の振り返りと評価を行っています。

・横浜市こども青少年局、中区、白峰学園横浜女子短期大学保育センターなどで開催される研修につき、園長が個々の職員の希望や経験年数に応じて計画し、受講できるようにしています。職員は、「配慮が必要な子の保護者支援」「食物アレルギー」「子どもの心に寄り添う支援」「虐待チェック」「3歳児保育」などの研修に積極的に参加しています。

・横浜市制定の保育士の自己評価、保育所の自己評価を毎年実施しています。外部研修で得た知識は職員会議で発表して情報を共有し、その中で良い事例や保育園に必要なことを取り入れるようにしています。課題を有する子どもの保育は、横浜市中部地域療育センターからの指導・助言を受けています。

・第三者評価への取り組みを全職員で行い、各項目について各自が検討し、職員会議で話し合っています。また、保育士の自己評価の結果から不十分だったところを見直して、どのようにして取り組んでいったらよいかを、リーダー会議、乳児会議、幼児会議、保育会議で話し合っています。

・園の保育方針と園目標、今年度の課題、取り組み状況、保護者アンケート結果、次年度の課題・改善点を明記した「保育所の自己評価の結果について」を年度末に作成し、各クラスと全体の掲示板に掲示し、保護者に公表しています。

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