かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

横浜市野庭保育園(2回目受審)

対象事業所名 横浜市野庭保育園(2回目受審)
経営主体(法人等) 横浜市
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 234 - 0056
港南区野庭町635
tel:045-844-9419
設立年月日 1974(昭和49)年11月25日
公表年月 2018(平成30)年04月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 ナルク 神奈川第三者評価事業部
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の特色】
・立地および施設の概要
横浜市野庭保育園は、昭和49年11月25日に港南区内の横浜市立保育園として開園しています。園舎は平屋(一部2階構造)の鉄筋コンクリート造りで、増改築を経て現在の建物になっています。園の定員は105名で、現在96名が在籍しています。園へのアクセスは横浜市営地下鉄ブルーライン上永谷駅、上大岡駅、JR港南台駅からバスを利用し、バス停「みやのくぼ」から程近い市営野庭団地内にあります。近隣には母子支援センター、子ども家庭支援センター、地域療育センターがあり、連携が図りやすい環境にあります。
・園の特徴
毎日の園庭遊びのほか、団地内の遊歩道や抜け道など車が通らない安全な環境の中を歩き、公園や広場などに出かけています。子どもたちが年齢発達に応じた活動、探索活動、季節の移り変わりを楽しめるような散歩コースがたくさんあります。
地域ニーズに応えられる子育て支援事業の具体的な事業として、なかよしひろば(園庭開放)(月〜土9時30分〜12時)や玄関フロアにつくった赤ちゃん休憩コーナー、保育園プチ体験、交流保育(年3回)、絵本貸し出し(月〜土9時半〜12時)、出前保育、夏の期間のプール開放、誕生会など園行事参加を提供し、丁寧に対応するため有償ボランティアを配置しています。リズム遊び、歯磨き講座、健康についてなど育児講座を年8回開催しています。

【特に優れていると思われる点】
1.「子ども中心」「子どもの意思を大切」にした保育
数人の子どもの遊びのなかからヒントを得て、集団でできる遊びに発展させたり、子どもの好きな絵本の世界から劇や製作の作品に仕上げたりしています。職員が一緒に遊んだり、子どもの発達に応じて穏やかにわかりやすく話しかけたり、子どもが興味を持ったことをさらに深められるように援助しています。時間や気持ちにもゆとりをもって接することを心がけ、どんな場面でも急がすことなく、子どもの気持ちを推し量る態度で接しています。また、乳児、幼児に関係なくスキンシップを多くして、子どもたちが職員に十分に甘えている様子が見られました。

2.環境設定の充実
乳児クラスにあるテラスのような空間、4歳児クラスの一角にある陽だまりの空間、押し入れ下の空間、玄関の赤ちゃんコーナー、廊下の絵本コーナーなど子どもたちが一人やグループでも楽しめる空間づくりをしています。天井が高く解放感のある廊下は「野庭緑道」と名付けて子どもの作品を展示しています。子どもたちが一生懸命に取り組んだ作品を大切にすることで、子どもの自尊心や意欲を高めています。園での取り組みを保護者に知ってもらう手段ともしています。また、職員の声も環境と捉え、子どもに遠くから声をかけるのではなく、必要な情報は耳元で伝えるよう心がけており、職員の声のトーンやボリュームにも意識を置くようにしています。

3. 研修を通じた職員の資質やモチベーションの向上
横浜市の「保育士人材育成ビジョン」「保育士キャリアラダー」に基づき各職員の持つ知識や経験に照らし、目標を明確にした計画を策定し、人材育成を推進しています。職員自ら立てた目標に合った研修を受講し、その年の目標達成に向けて取り組むなど資質の向上に努めています。職員会議で個々の取り組みの中間発表を行い、お互いの意識啓発に役立てています。さらに大学など外部の研修もすすんで受講し、スキルアップに努めています。園内研修についても計画的な課題のほか、懇談会の進め方、手話など取り入れて欲しいという職員の提案を取り入れながら行っています。

4.職員間の連携を図る工夫
職員の多様な職種、勤務形態がある中で、情報を共有し、連携を図っていくために様々な工夫をしています。事務室内のホワイトボードのレイアウト、書き方など工夫をし、当月の園全体の予定や当日と翌日の予定、業務の流れなど、必要な情報が速やかかつ確実に伝わりやすいようにしています。ミーティングノート、引継ぎノート同様、職員間の日々の情報提供及び共有や連携のための重要なツールとなっています。園内研修の「野庭HANDMADECLUB」は保育に活かす小物を手作りしながら、職員間のコミュニケーションを深める機会にもなっています。また、福祉員は毎日15時30分からのミーティングで保育の確認をしています。毎月の職員会議後には、福祉員会議、アルバイト会議を開催し、内容を共有しています。

【特に改善や工夫などを期待したい点】
1.子どもがより快適に過ごせるような環境への配慮の継続
昭和49年の開設から増改築を経て現在の園舎になっており、老朽化は否めませんが、職員の努力で清掃マニュアルに基づいた毎日の清掃のほか、床のざらつきに気づいたらまめに拭くなど園内は清潔な状態を保っています。トイレのリフォーム(床面を乾燥させ、衛生的に保つドライ化について)は横浜市に申請をしています。その他、廊下の床の修繕や冬場は大変冷え込む赤ちゃんコーナーのさらなる環境対策など、配慮を続けられることが期待されます。

2.乳児の個別指導計画に個別の振り返りの記録ができる書式の定型化
3歳未満児の個別の指導計画はクラスの月間指導計画内で作成をしています。「現在の子どもの様子」から「保育士の配慮」「家庭との連携」を検討し、職員間での振り返り、話し合いを経て次月の計画につなげています。現在の書式であるクラスの「取り組み状況と保育士の振り返り」欄「自己評価」欄のほか、発達や成長の個人差が著しい3歳未満児の個別指導計画に対しての評価、振り返り欄の設定について、今後の検討が期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・保育理念の大項目は、「現在をもっともよく生き、望ましい未来をつくりだす力の基礎を培う」としています。保育方針は、「子どもたちが本来持っている育つ力を十分に発揮し、自らの人生を主体的に生きて行かれるよう、適切な援助をしていく」「すべての子どもたちが、自分をかけがえのない存在と感じ自信を持って生きていかれるように」で、4項目からなる保育姿勢と園目標「優しい見守りの中で 元気に遊ぶ子、意欲を持ってやってみる子、自分もまわりも大切にする子」を掲げています。園長は、理念や方針に基づいて、「子ども中心」「子どもの意思を大切に」を常に考え保育をするよう職員に話をし、職員は実践につなげています。

・子どもの人権保護について職員は横浜市入庁時に研修を受けるほか、毎年人権研修を受け、また、子どもの人権についての研修も受けています。横浜市個人情報取り扱いガイドラインをもとに、年1回必ず園内研修として確認しています。

・職員は、子どもの発達に応じて穏やかにわかりやすく話しかけ、急かすことなく、時間や気持ちにもゆとりをもって接するようにしています。また、子どもの意見に耳をかたむけ、様子から意思を汲みとるなど、子どもの意思を尊重して対応しています。

・保育室内の押し入れの下のスペースや、ままごとコーナー、絵本コーナーなどを設置し、安全に配慮しながらも子どもが大人の視線を感じずに過ごせるようにしています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

保育課程は、常に子どもの姿に合わせたものになるように毎年見直しを行っています。今年度は、SIDS(乳幼児突然死症候群)への対応の見直しをし、追加記載をしています。保護者には、入園説明会で園長が保育課程の対象年齢の部分を説明し、前期懇談会で担任が、保育課程に基づいた各クラスの年間指導計画・月間指導計画への流れに沿ってクラス運営をしていくことを説明しています。保育課程は各クラスに掲示をしています。

・保育課程に基づき、年齢ごとに前年度の反省をふまえ年間指導計画を作成しています。その後の月間指導計画、週案を作成する際は、一対一の関わりを意識した保育をする中で日々の子どもたちの考えや発言、興味関心を受け止め、職員主導と子どもの自主的活動とのバランスや柔軟性を考慮しています。

・職員が一緒に遊んだり、声をかけて、子どもが興味を持ったことをさらに深められるように援助しています。年間異年齢活動計画を立て、計画的に交流の機会を持っています。玄関ホールや、廊下の絵本コーナーで、日常的に異年齢交流ができるほか、毎週1回「のばっこ」として、リズム運動や散歩、畑に行くなどして異年齢で過ごしています。吹き抜けのある解放感ある廊下を「野庭緑道」と名付けて子どもの作品を展示し、保護者に見てもらうほか、作品を大切に扱うことで子どもの自尊心や意欲を高めています。

・食事、排泄、睡眠については一人一人の発達状況・健康状態や生活パターンを把握・考慮しながら、保護者と連携を取り、家庭との連続性を心がけています。食事について、子どもたちの好き嫌いや発達に応じた噛む力などを把握して、味付けや食材のかたさ、飲み込みやすさなどに配慮して提供しています。栽培活動、クッキング、当番活動、食環境整備は年齢発達に応じて実践しています。

・個別の連絡帳、送迎時のやりとり、懇談会、個別面談、保育参加、園行事など保護者との交流の機会を設けています。園だよりなど毎月の配付物で情報提供をしています。年2回の懇談会ではスライドやパワーポイントなど映像を用いて、生き生きとした子どもの様子を伝えています。プロジェクターを使い、毎月のクラスだよりでは、写真で日常の保育や行事での子どもの様子が保護者に分かりやすく伝わるよう工夫しています。

・保護者会組織があり、1歳児以上の各クラス複数名の委員がいます。保護者会主催で和太鼓演奏会や移動動物園、観劇会などの行事があります。

3 サービスマネジメントシステムの確立

・入園時に把握した生育歴(児童票、健康台帳など)を始め、子どもの成長発達記録は、0歳児は個人日誌に毎日記録し、1〜5歳児は半年ごとに経過記録に記録しています。子どもの記録は事務室の鍵のかかる書庫に保管し、必要に応じて職員はいつでも見ることができます。進級時には担任が、児童票や経過記録を基にして引き継ぎメモを作り、子どもの特徴など、配慮すべき事項を次の担任に伝えています。

・障がいのある子どもやアレルギーのある子ども、虐待を含む家庭支援の必要な子どもなど、特に配慮を要する子どもを援助するため、横浜市や港南区の研修で得た最新の情報を基に職員会議、園内研修報告などで話し合い、日々の保育に活かしています。

・保護者から要望や苦情を受けた場合には、職員会議、ミーティング時、ミーティングノートなどで全職員が情報を共有し、随時話し合うようにしています。また、平成19年度からの苦情要望のファイルがあり、保存の必要な案件を残しています。の他、年度末保護者アンケートからの意見・要望を分析、回答し、改善に活かしています。

・健康管理・衛生管理・安全管理などに関する各マニュアルを整備し、マニュアルに基づいた対応や訓練を行っています。行政、医療機関、児童相談所など必要な関係機関・地域の団体をリスト化しています。

4 地域との交流・連携

・地域ニーズに応えられる子育て支援事業の年間計画を立てています。なかよしひろば(園庭開放)、赤ちゃん休憩コーナー、保育園プチ体験、交流保育、絵本貸し出し、出前保育、夏の期間のプール開放、誕生会など園行事参加を提供しています。丁寧に対応するため有償ボランティアを配置しています。事前申込制の各種事業についてはキャンセル待ちが出る場合があります。リズム遊び、歯磨き講座、健康についてなど育児講座を年8回開催しています。

・横浜市や港南区のホームページに園の情報を掲載しています。チラシを作成して、園庭開放や子育て講座、交流保育などの子育て支援事業の情報を案内し、園庭開放の利用者に配付したり、港南区役所に置いています。さらにチラシは赤ちゃん休憩コーナーに置くほか、散歩にも持参して、出会った地域の方に渡しています。

・近隣の小学校1年生と年長児が交流したり、中学生の職業体験を受け入れたりしています。近隣の保育園の子どもたちと園庭や相手の保育園、公園などで交流しています。和太鼓行事や移動動物園に招くなど、積極的に他園の子どもたちとの交流を図っています。

・4歳児が地域のケアプラザを訪問し、デイサービスのお年寄りと交流しています。また、公園愛護会の方と一緒に公園に花を植えたり、ボランティアグループ「野庭をあ・じ・わ・う会」の方々に伝承遊びを教えていだたくなど、計画的に交流をしています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

・横浜市職員行動規範があり、不正・不適切な行為を行わないよう入職時の研修で周知しています。その後も人権、コンプライアンス、虐待など研修を受講し、意識を高めています。

・横浜市や港南区のホームページに園の必要事項など諸情報を公開しています。

・年度末の保育課程の見直し時に、理念、方針、目標について振り返りを行って理解を深める機会としています。新年度には、異動者や新採用職員に園長があらためて伝えています。また、職員会議などで折にふれ、理念や方針に基づく園運営について皆で考える機会を作っています。

・職員に向け、「主任のスキルアップアンケート」を主任自ら行っています。アンケートは職員の満足度アップや課題解決を目指していますが、主任が楽しく生き生きと仕事に取り組む姿勢を日々示すことで、職員が目指す保育士の一つの指標となればと考え、主任に相談をしやすいか、主任は楽しそうに仕事をしているか設定しています。

・事業運営に関する情報は、横浜市、港南区の会議、研修などを通じて提供があります。関係機関との連携の中でも地域の情報や専門機関の情報収集ができており、区内公立保育園間で共有しながら取り組んでいます。

6 職員の資質向上の促進

・実習生の受け入れにあたっては、学校や本人と相談の上、部分実習や責任実習内容についてプログラムを作成しています。日々の実習後に担任との話し合いの機会を設け、また、実習最終日に反省会を行い、意見交換をしています。

・横浜市の「保育士人材育成ビジョン」「保育士キャリアラダー」に基づき各職員の持つ知識や経験に照らし、目標を明確にした計画を策定し、人材育成を推進しています。

・人事考課制度により、職員は年度初めに目標共有シートを作成しています。年2回、園長面談を通し、達成度を評価しています。その他、職員会議で個々の取り組みの中間発表を行い、お互いの意識啓発に役立てています。大学など外部の研修もすすんで受講し、スキルアップに努めています。園内研修についても今年度は、第三者評価、消防士を招いてのAEDの使い方、手作り品を保育に活かすための「庭HANDMADECLUB」など計画・実施をしています。さらに、懇談会の進め方、手話など取り入れて欲しいという職員の提案を取り入れながら行っています。

・非常勤職員に対しては、園内研修のほか、福祉員やアルバイト職員向けの研修を始めとする港南区内の研修への参加の呼びかけ、資料の提供、研修報告書閲覧などから学びにつなげ、資質向上に取り組んでいます。福祉員は毎日15時30分からのミーティングで保育の確認をしています。毎月の職員会議後には、福祉員会議、アルバイト会議を開催し、内容を共有しています。

・職員の自己評価は年間・月間・週案の指導計画の実施結果に対する評価・反省のほか、チェックシートやキャリアラダーを活用し行っています。今年度第三者評価の自己評価にも取り組み、園内研修で理解を深めています。

・園長が不在のときはマニュアルに沿って、主任を中心に可能な限り、権限を委譲しています。各担任はクラス運営に責任を持って対応しています。判断が難しい場合の最終的な結果責任は、園長、さらにその上の市や区の上司が負う体制になっています。

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