かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

小学館アカデミーしんかわさき保育園

対象事業所名 小学館アカデミーしんかわさき保育園
経営主体(法人等) 株式会社小学館集英社プロダクション
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 212 - 0058
幸区川崎区鹿島田1-1-3 新川崎スクエア3階
tel:044-542-3561
設立年月日 1950年05月01日
公表年月 2017(平成29)年08月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社 R−CORPORATION
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【概要・立地面での特色】
小学館アカデミーしんかわさき保育園は、株式会社小学館集英社プロダクションの経営です。株式会社小学館集英社プロダクションは東京都千代田区に本社を置き、1都3県に認可、認証保育園を展開し、神奈川県下では川崎市・横浜市に認可保育園を運営し、「楽習保育?」を特徴とした保育理念により、小学館アカデミー全園で一貫した保育を実践しています。小学館アカデミーしんかわさき保育園の設立は平成25年で、南武線鹿島田駅前に小学館アカデミーかしまだ保育園としてスタートしました。1年前に新川崎スクエアに移転し、駅からアーケードにより雨に濡れずに園舎に入れる利点を持ち、園名称も小学館アカデミーしんかわさき保育園に改めて再出発いたしました。この地域は、横須賀線新川崎駅、南武線鹿島田駅と遊歩道で結ばれ、JRのヤード跡地を含めて再開発の地として注目され、ファミリー層も増加傾向にある地域です。小学館アカデミー保育園は楽習保育?を含む一貫した保育理念により展開されていますが、特に、この保育園は新築であり、保育室の構成が新たに工夫され、斬新な構成により小学館アカデミー保育園の1つのコンセプトが示された素晴らしい作りとなっています。

【特に良いと思う点】

【1.楽習保育?の確立】
小学館アカデミー保育園では、首都圏の保育園を開設以来、理念を『「あったかい心」をもつ子どもに育てる』に据え、保育の柱を「楽習保育?」に置いて推進してきました。「楽習保育?」は「ラーニングセンター」、「本育?」、「ネイチャープログラム」、「リズミック」、「コミュニケーションプログラム」、「入学準備プログラム」が固定化され、「楽習保育」では「?」(商標登録マーク)を取得し、「楽習保育?」を柱として確固たるものに成長しました。今後さらなる展開の基礎が確立されたと評価できます。

【2.本育?の推進】
「楽習保育?」と共に、本育も「?」(商標登録マーク)を取得し、「本育?」として推進しています。「楽習保育?」との違いは、“楽習”保育として身近に楽しく保育の柱に据えた保育理論、システム性にあるのに対し、本育?は、本、絵本の活用により子どもの豊かな成長を育むプロセスにあると考えます。法人事業の基礎である「本(活字)」を表現した、本育?のイラストもできました。ハードの面での小学館ライブラリーの充実と共に、ソフトの面での“1日1回の読み聞かせ”に力を入れて連動を図って行きたいと考えています。


【3.職員の連携、信頼関係の醸成】
小学館アカデミーしんかわさき保育園では、3歳児から特徴的なサークル活動を取り入れています。サークル活動では、1つのテーマを設け、子ども自身がどう考え、どう思うか、個々の思いをみんなで話し合い、子どもの疑問や不思議、思いを保育士が具現化して見せる取り組みを行っています。取り組みの背景には、率先して取り組む園長の統率力と職員の実行力があり、子どもに発見と創造力の育みに大きな影響をもたらせています。園では、職員間の連携、信頼関係が構築され、1歩踏み出す保育が特徴と言えます。


<さらなる改善が望まれる点>

【1.新しい生活でのケアについて】
旧仮園舎とは対照的に、新園舎は駅ビル内にあり、園庭はビル4階に相当する屋上にあり、生活環境は180度異なります。保育は以前の時代から継続され、子ども達は新しく整った保育室で新しい玩具等に喜び遊んでいます。子どもは順応性が高く、具体的な支障は無いと思いますが、子どもの些細な心のケアを心に留め、見守りながら保育を実践していかれることを期待しています。

【2.食育への取組み】
植物等の栽培については、旧仮園舎時代もプランターでの栽培に取り組んでいましたが、土の園庭があり、土に触れる機会や身近に自然な環境の中での取り組みは貴重な経験を得ていました。新園舎では近代的な環境下であるからこそ緑が大切であり、食育の中で稙物の栽培・収穫から調理を行うなど今後、大切なテーマでもあると思います。しかし、近隣の法人系列園と共同で芋掘りに行く機会も設定されており、さらに、積極的に自然に触れる機会を設けていくよう期待されます。

【3.楽習保育?の保育理論化】
小学館アカデミー保育園の「楽習保育?」は、保育の幅を広げる点でほぼ完成に近いと思います。ラーニングセンター、本育?、ネイチャープログラム、リズミック、コミュニケーションプログラム、入学準備プログラムとやるべき項目は固定化され、職員個々の手法も益々広がりをみせています。これをさらに進化させるには根本となる保育理論の構築も望まれます。例えば、モンテッソーリの保育理論、ピアジェの構成論が挙げられます。「楽習保育?」については、実践から構成される理論となっていくよう期待いたしております。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

●園内研修等で、児童憲章、保育所保育指針、川崎市子どもの権利に関する条例の確認を行い、子どもの人権を最優先にする保育に努めています。非常勤職員を含め全職員で人権チェックリストを活用し、子どもの人権について考え、自らの保育を見直す機会を設けています。園では、個人制作の色や素材の選択等、子どもの表現の自由を大切にし、個人の意思を尊重して保育を進めています。また、運動会の行事では、幼児クラスは競技コースを子ども自身で選択できるようにしています。

●虐待の早期発見については、施設運営の手引きに沿って朝の視診を丁寧に行い、日常保育の中で変化に気付くよう留意し、職員間で情報交換を密に図っています。保育中に気付いた僅かな変化についても園長に報告し、直ぐに情報共有をする体制を確立しています。園長は関係機関(幸区の担当看護師、児童相談所、川崎市南部地域療育センター、民生委員等)と連携して適切な対応ができるよう体制を整えています。

●個人情報に関して重要事項説明書に明示して保護者から同意を得、情報を外部と取り交わす必要が生じた場合も必ず、同意を得ています。また、対外文書や監査、第三者評価時の情報公開等についても書面で確認しています。プライバシー保護については、特に肖像権について、入園前に書面で取り交わして承諾を得た上で掲示、掲載を行っています。職員に対しては、守秘義務について周知徹底を図り、配属前研修等により理解し、入職時に誓約書を提出しています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

●利用者満足の把握に向けて、法人独自の保育課程を基に、園独自で保育課程を策定し、保育課程に沿って年間指導計画を作成し、計画に基づいて保育を実践しています。園運営は施設運営の手引きに基づいて遂行しています。また、保護者の個人面談を実施して相談や要望等を聞き、行事後の保護者アンケートから意見を抽出する等、保育に反映させるよう努めています。子どもについては、一人ひとりの意見に耳を傾け、気持ちを尊重するようにしています。

●相談や意見が述べやすい環境作りの工夫では、登降園時などに保護者と関わりを深め、意見や相談をしやすいよう配慮し、人間関係や雰囲気作りに努めています。子どもについては、幼児クラスを中心にサークル活動を行い、自分の感情や意見を言葉や文章で発表し、また、人の意見を聞くことで共感や善悪の区別、ルールとマナーについて相手の気持ちを考える、相手の気持ちを受け止める意識を持てるようにしています。

●職員は、個々の子どもの家庭環境、生活リズムを把握及び理解し、1対1での対応を心がけ、子どもの要求を受け入れ、気持ちを満たしてあげられるよう丁寧に関わっています。気になることがある子ども、配慮が必要な子どもについては、個別指導計画を作成して職員間で共有し、個別に対応に努め、園全体で適切な対応ができるよう工夫しています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

●園の必要な情報は、ホームページ、ブログ、幸区こども支援室に園のパンフレットを設置し、幸区の広報誌にも園の行事予定を掲載して提供しています。園見学者へは見学説明会を開催し、パンフレットを配付しています。サービス利用開始後は慣らし保育を実施し、保護者と相談しながら個別に対応し、子どもや保護者の負担が軽減されるよう配慮し、降園時は、園長を含め職員は保護者一人ひとりと話す時間を持つよう心がけています。

●避難訓練は、年間避難訓練計画に沿って月1回実施し、様々な状況(火災、地震、水害、不審者訓練、午睡時、早番時、延長時等の事態状況)を想定して訓練を行っています。地震想定訓練では、だんご虫の姿勢を知らせ、頭を守り、マットを掛ける訓練も取り入れ、子ども達が自ら身を守れるよう訓練に臨んでいます。また、災害時の保護者への引き渡し訓練や、安心伝言板・災害伝言ダイヤル・園のブログでの保護者及び職員に対して連絡体制の訓練等、緊急時に備えた訓練を年2回程度実施し、安全確保に取り組んでいます。

●提供するサービスの実施方法については、法人独自の保育課程、園独自の保育課程を基に年間保育計画を作成し、計画に沿って保育を実施し、運営は施設運営の手引きに基づいて実践しています。保育課程の実施状況上の問題点や課題については、週次、月次、期、年間で把握及び迅速な対応に努め、次期計画に反映するようにしています。クラス内の職員の業務を明確にし、職員会議で各クラスの状況報告を行い、必要に応じて話し合いを行い、標準化を図っています。

4 地域との交流・連携

●地域に向けた情報は、幸区の広報誌「お散歩にいこうね」に毎月の地域交流事業の案内を掲載し、 NASスポーツクラブ新川崎の施設にもポスターを掲示しています。園見学者にはパンフレットを配付して説明を行い、利用を促しています。ホームページのブログでも園の情報を発信しています。地域の子育て支援に積極的に取り組み、毎月の交流保育、子育て支援行事、お話し会等、地域の親子に案内しています。必要に応じて、地域の婦人会の方々に保育に参加してもらい、園の理解と共に園の情報を地域に伝える協力をお願いしています。

●地域との交流については、定期的に近隣の高齢者デイサービス施設に訪問し、高齢者の方々と交流を行っています。子育て支援事業のお話し会では、年齢を設定して絵本の読み聞かせを行い、参加者に応じた年齢のクラスに参加して交流できるようにしています。地域のボランティアの受け入れでは、事前に園の保育方針を伝え、「ボランティアの心得」を基にオリエンテーションを実施し、婦人会、中学生の体験学習、職員の子女等を積極的に受け入れています。

●関係機関との交流、団体との連携では、幸区の公立・私立の園長会に出席し、民生委員、児童委員との会議、幼保小連絡会に出席し、近隣小学校との連携や交流計画について話し合いを行い、地域のニーズを把握しています。また、区内の要保護児童地域対策連絡会議に参加し、育児能力、生活能力が希薄なケース別の保護者や、児童相談所及び幸区役所のカンファレンスが必須な保護者の受け皿として幸区行政の一翼を担い、取り組んでいます。

5 運営上の透明性の確保と継続性

●保育理念、保育方針は、ホームページ、園のパンフレット、入園のしおりに掲載し、常に目につくよう園内にも掲示を行い、保護者に説明をして理解を促しています。職員の行動規範は施設運営の手引きに記載され、保育の実践に活かしています。職員に対しては、配属前研修、職員会議等でマニュアルの読み合わせを行う等、繰り返し教育を行っています。園では、園内研修の一環として全職員が一人1枚、理念と方針の手書きを行い、自分の書いたものを他のクラスに貼り出す活動を行い、理解を深めると共に理念を体得する効果が期待できます。

●園の運営については、施設運営の手引きに沿って職員と連携を図りながら円滑な施設運営に取り組んでいます。園長は、常にサービスの質について留意し、保育実施上の課題を抽出して改善に努めています。また、職員の職務分担表により責任を明確にし、法人の定める「求められる職員像」を基づいて育成指導に努め、個々の職員に合った研修への参加を積極的に推進しています。経営や業務の効率化では、事務職員と共に予算管理体制を整え、毎月定期的に振り返り及び確認し、より良い運営に努めています。

●サービス内容について、定期的に評価を行う体制を整備し、年間指導計画については定めた時期に評価基準に基づき年1回以上、自己評価を実施し、毎月、月目標に対する振り返りを行っています。また、前年度の評価結果を分析及び検討を行い、次年度の保育サービスの質の向上につなげています。職員は、個人能力向上シートにより年3回自己評価を行い、園長との面談で目標を共有すると共に、個々の課題の抽出と改善策を話し合い、保育力の向上につなげています。

6 職員の資質向上の促進

●人材の採用、人員体制に関しては、法人本部で一括で行い、法人本部の採用育成課が主体となり採用年間計画を立て、園ごとのバランスを加味し、新卒・国家試験・復職・現職・遠隔地に分け、戦略を立てて人材の確保に取り組んでいます。人員体制については、小学館アカデミー保育園の職員に求められる職員像及び、それに沿った行動目標です。また、専門性・社会人性・人間性を総合的に判断し、一般職員から主任、園長への人事管理へとつなげる考え方を定めています。パートで勤務している職員から正規職員への登用も斡旋しています。

●園長は、職員と個別面談を実施し、職員一人ひとりに課題を設定して個々の課題に基づき、法人本部の研修を含めた研修計画を作成し、計画に沿って研修を促し、職員の資質向上、専門性を高めるよう取り組んでいます。園長は、年度初めに職員一人ひとりに1年間の課題を設定し、職員は積極的に計画に沿って研修に参加し、幼保小連絡会主催の勉強会で「吃音」についてのテーマ研修や、県主催の研修にも参加しています。研修受講後は、研修報告書を作成して職員会議で発表を行い、報告書は回覧して共有を図り、保育に生かしています。

●園長は、職員の就業状況や意向を把握し、休暇、福利厚生の確保に努めています。また、有給休暇の消化バランスを定期的に確認し、分析した結果を法人本部職員とともに検討し、人員体制に関する具体的なプランへ反映させています。年末年始等の有給休暇は地方出身者を優先的に取得できるよう配慮しています。定期的に園長との個別面談の機会を設け、年1回、法人本部担当職員とも面談できる機会を作り、職員の要望等を聞き、心身の健康状態にも配慮しています。小学館アカデミー保育園では、職員に対して半休制度を取り入れています。

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