かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

川崎市立東小田保育園(3回目受審)

対象事業所名 川崎市立東小田保育園(3回目受審)
経営主体(法人等) 川崎市
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 210 - 0846
川崎区小田5丁目14番11号
tel:044-355-6620
設立年月日 1972(昭和47)年07月01日
公表年月 2018(平成30)年03月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 一般社団法人 アクティブ ケア アンド サポート
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)
【施設の概要】
 昭和47年に開園した川崎市の公設公営認可保育所です。周辺は住宅街で外国籍の利用者も通うなど多様性に富んでいます。園舎は2階建て、園舎前の園庭は100メートル走やサッカー等ができる広さで、野菜畑も設けています。2階屋上の園庭で夏のプール、三輪車や縄跳びなどで遊びます。隣接公園など散歩コースを設定し、大型遊具で遊び、樹木や草花に触れています。「子どもの健やかな育ちを支援する。保護者の就労と育児の両立を支援する。地域の子育て家庭を支援する」を保育理念とし、ブランチ施設として区内の「地域の子ども・子育て支援」及び「民間保育所等への支援」などを担っています。
【特に良いと思われる点】 
保育課程に、「異年齢児との交流」を織り込み、幼児は週1回「なかよしデー」や1・2歳児の交流保育、朝・夕の交流保育を実施するなど年間を通して異年齢による保育に取り組んでいます。3・4・5歳児が一組になり、リズム集会やごっこ遊び、散歩などを行うことによって、年齢を越えて関係性ができています。
・保育士、看護師、栄養士の三者が連携して、それぞれの専門分野から子どもに話しています。保育士は危険のない歯ブラシの使い方や仕上げ磨き、看護師は永久歯や歯の磨き方、栄養士は植物繊維やカルシウムなど歯に良い食べ物などを写真や実演でわかりやすく具体的に話しています。
・地域に向けて「おにわつうしん」を発行し、保育園の情報を開示するなど適切な関係が築けるように取り組んでいるほか、区内のブランチ型施設としても進めています。訪問調査の日、地域のデイサービスセンターへ、3歳児が利用者の誕生祝いに出かけました。高齢者と子どもたちが和気あいあいと交わり、楽しそうな雰囲気を見ることができました。本年度は、地域のボランティア団体の協力を得て、子どもが自然環境(エコ)に興味や関心を持つように一緒にエコプロジェクトに取り組み、「スマートライフスタイル大賞最優秀賞」を受賞しました。
【さらなる改善が望まれる点】 
・行事は日常の保育に変化や潤いを持たせ、生活や遊びを豊かにします。みんなで作り上げることにより協同体験が生まれ、発達や成長を育みます。家族や友達の前で発表することにより、子どもの意欲や達成感を育てることになります。幼児は運動会や子ども劇場など行事を催していますが、乳児に対する取り組みは少なく、今後の課題と思われます。
・川崎市個人情報保護条例に基づき職員は入職時に守秘義務の誓約書を提出しています。保護者には、保育運営上の利用目的を明示し同意を得ています。現状、個人情報の開示請求に対する態勢は不十分と見られます。今後、速やかに整備し、周知することが期待されます。
・保育の業務が多忙で、職員に多くの負担がかかっていると見られます。こうした状況は、保育園も利用者の意見からも認識しています。現状は、フリー職員の活用などで対応していますが、根本的な解決…業務の合理化・効率化・簡素化などに至っていないように思われます。例えば、記録は、全ての会議記録が同一様式に残せるように工夫し、負担の軽減を図っています。このような工夫を更に発展させ、ブランチ型施設としても他の保育園のモデルになるような取り組みが期待されます。
評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ・日常の保育において、性差への先入観による固定観念を植え付けないように配慮しています。外国籍の子どもも含め子どもの人権の尊重に配慮し、文化や価値観、生活様式の違いを尊重しながら日々保育に務めています。
・子ども一人一人の自主性を尊重し、無理強いすることなく意欲を引き出すことに努めるとともに、肯定的な声かけを心がけています。行事のアンケートやコミュニティボックスなどを活用し、家庭と連携しながら保育を行っています。苦情受付担当者・責任者、第三者委員などを明確にし、苦情対応に仕組みを整えています。「かわさき虐待対応マニュアル」に基づいて独自の「虐待の発見と対応マニュアル」を作成し、これに沿って虐待防止・早期発見に努めています。必要に応じて、関係機関と連携できる態勢を整えています。
・保護者説明会や各クラス懇談会において、保護者に個人情報の扱いを説明し同意を得ています。写真などの掲示によって個人情報保護が懸念される場合、その都度説明し保護者の同意を得ています。常勤職員をはじめ、臨時職員、実習生やボランティアにも守秘義務の遵守を周知し徹底しています。子どもの生活環境に変化があった場合は、その事情を職員全員が共有し、言葉かけなどに配慮しています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ・運動会や子ども劇場など大きな行事の後に、アンケートを実施し、保護者の意見や要望を聞いています。各クラスで個人面談を行い、一人一人の子どもの発達の確認や保護者の要望などを把握し、保育に反映しています。年2回、クラス懇談会を実施しています。事前に調査票を配り、困っていることや子育てに関する課題を記入してもらい、その内容をもとに意見や提案を出し合い、話し合っています。こうした意見や要望などを踏まえて、担任や園長補佐、園長が検討し、対応をまとめています。
・苦情の申し出を受け付け、迅速に解決する苦情解決制度を整え、担当者や責任者を決め、第三者委員を設置し、保護者が利用できることを伝えています。重要事項説明書や入園のしおりに、連絡先や氏名を記載しています。苦情解決制度について、玄関に掲示しているほか、コミュニティボックス(意見箱)を設置しています。市の「保育園苦情解決要綱」に基づきマニュアルを作成し、苦情の申し出があった際、職員で状況の把握と対応を検討し、迅速に解決に取り組むこととしています。
児童票や健康診断、個人記録表(発達記録)などにより子どもの状況を把握しています。登園時に、保護者から「健康記録表」や「連絡表」、口頭で子どもの状況を把握し、その日の生活が快適に過ごせるように心がけています。異年齢の子どもの交流を週1回計画し、リズム集会やごっこ遊び、散歩、園庭遊びなどを共同で体験し、生活を豊かにしています。各クラスには、テーブル、コーナー、マットなどを設置し、床位置から発達に適した遊具が自由に取り出せる環境を設定しています。自由遊びの時間、子どもが主体的にのびのびと遊ぶ姿が見られました。
・登園時、保護者から「健康記録表」や「連絡表」、口頭で家庭での様子を確認しています。トイレトレーニングや着替えなど生活習慣が身につくように家庭と連携し、子どもの発達の状況に合わせて個別支援計画に織り込み取り組んでいます。一日の子どもの保育状況は乳児は連絡帳、幼児はその日の「クラスの活動」を幼児連絡票(クラスノート形式)に記載しており、迎えの保護者が読むようになっています。また、保護者に担当職員が口頭でその日の子どもの様子を伝え、連続性に配慮した保育を行っています。
・0歳児の長時間保育では担任及び関係職員が日中の保育を継続し、安心して過ごせるように環境を工夫しています。1・2歳児はクラスを基本にコーナー保育を行い、落ち着いて好きな遊びを楽しめるように援助しています。幼児は、異年齢保育の体験から互いの関係性ができていて、5歳児の保育室に集まり、遊び込んでいます。時間が遅くなるに従い子ども数が減少し寂しくなることもあり、職員が子どもに関わる度合いを密にし、傍らで安心して過ごせるように配慮しています。
・食事をおいしく楽しく食べられるように取り組んでいます。数人のグループに分かれてテーブルにつき、子どもは会話を楽しみながら食べています。献立は2週間サイクルで立て、旬の食材を使用し、塩分を見直し、栄養面、味付け、彩を工夫しています。行事食は、節句や七夕など伝統文化に因んだ料理を提供しています。食物アレルギー・体調不良の子どもには、医師の指示書に基づき保護者と連携し安全な食事を提供しています。食育活動年間計画を作成し、マナーを身につけることをはじめ、野菜の栽培、調理、配膳・片付けの手伝いなどに取り組んでいます。
3 サービスマネジメントシステムの確立 ・保育園の概要や方針、保育内容、保育料、所在地などを写真や地図を添えて、市のホームページや保育園のパンフレットでわかりやすく説明しています。見学希望の問い合わせに対し、日時を調整して案内しています。保育の様子を見てもらい、発達に応じた保育や異年齢保育、外遊びを多く取り入れていることなどを説明しています。新入園児には、慣らし保育を行い、担任が密に連絡をとりながら、保護者や子どもの不安軽減に努めています。小学校就学前に教諭を迎え、入学への心構えや入学前までにできるようになってほしいことを講演してもらっています。
・児童票をはじめ、健康診断記録、面接記録、個人記録表などの書類で、子どもや保護者の状況及び意向を把握しています。こうしたアセスメントによってニーズを捉え、指導計画を作成して子どもの発達に応じた保育を行っています。個人情報保護方針に基づき、個人情報の利用目的を示し保護者の同意を得て記録などに使用しています。個人情報の開示請求に対する態勢は不十分と見られ、今後の検討が期待されます。手順書やマニュアル類は整備し、職員全員が携帯、活用し、定期的な見直しを行っています。
・事故や感染症の発生時など緊急時の安全確保について、対応マニュアルや職員体制を整え、職員全員にマニュアルに配付し、周知しています。看護師を中心に日常の子どもの健康管理態勢を整え、感染症が発症した時は速やかに保護者へ連絡し、周知するとともに、まん延防止対策を実施しています。災害時対応マニュアルや緊急連絡網を整えているほか、月1回避難訓練や通報訓練を実施しています。不審者対応マニュアルを整備し、不審者対応訓練を実施しています。事故防止のため、担当職員が園内外の設備や遊具の点検・修理に取り組んでいます。
4 地域との交流・連携 ・保育園が地域の一員(または資源)としての役割を果たすため、有する機能や専門性の活用やボランティアの受け入れに取り組んでいます。地域に向けた便り「おにわつうしん」などを発行して保育園の情報を発信し、開かれた組織となるように努めています。また、地域の子育て家庭に、園庭開放をはじめ、水遊び・身体測定・体験保育・育児相談などの事業に取り組んでいます。中高生ボランティアや職場体験を受けれています。本年度は、地域のボランティア団体の協力を得て、子どもが自然環境(エコ)に興味や関心を持つように一緒にエコプロジェクトに取り組み、「スマートライフスタイル大賞最優秀賞」を受賞しました。
・幼保小実務担当者会議や地域子育て支援担当者連携会議などに参加し、地域の福祉向上及びニーズを把握するため必要な情報を入手しています。公民認可(認可外含む)園長連絡会や園長校長連絡会などにも参加し、有益な情報を入手しています。個別の支援についてケースカンファレンスを実施し、市の南部療育センターや保健福祉センター、区の福祉事務所などとの関係を密にしています。民生委員・主任児童委員との連携や小田子育てサロンへの参加を通して、地域の福祉向上のための情報の把握に努めています。
5 運営上の透明性の確保と継続性 ・市立保育園としての理念や方針に基づいた基本方針や目標を策定しています。これらを全体職員会議において職員に周知し、行動規範としています。目指す内容が分かりやすく、日頃行っていることを織り込んでいます。方針・目標は、玄関や事務室などに掲示し、保護者へ周知するとともに、理解を求めています。年度初め保育説明会において、資料を作りスライドを使って説明するなど視覚にも訴えています。また、説明内容を図式化するなど、分かりやすくするために工夫しています。
・市の「新たな公立保育所のあり方基本方針」に基づき、ブランチ型施設としての役割を果たすとともに、「保育の質の向上」と「地域の子育て支援」に取り組んでいます。各会議を通して、市の「保育の質ガイドブック」をもとに情報共有を図っています。保育の質の向上を目指し、計画的に園内研修が行っています。職員全員が「キャリアシート」を作成し、こうした活動を記録するとともに、これをもとに園長との定期的面談で確認し、業務の改善・保育の質向上につなげています。
・提供する保育について、職員が作成した「キャリアシート」や園長との面談などを活用しながら、組織的に質の向上に取り組んでいます。第三者評価を受け(前回は2013年度)、改善事項を取り上げ、全体職員会議などで話し合いながら改善に取り組んでいます。事業環境の変化について、市の担当部署との連絡を密にして必要な情報を入手しています。地域の保育ニーズの動き、社会の意識や考え方の変化を踏まえて、新しい取り組みは全体職員会議など職員の意見や提案を取りいれ、検討する仕組みを整えています。
6 職員の資質向上の促進 ・職員は、市の保育所配置基準に基づいて配置されています。子どもの状況などを配慮した職員配置が行われ、時差勤務や週休代替などを取り入れています。適切な保育を目指し、年1回全職員が自主考査(自己評価)を実施しています。全国保育士会倫理綱領や児童憲章を基にしたマニュアルを作成し、意識高揚を図っています。人材配置について、必要な人材の確保は保育園の組織的な課題として共有化しています。
・市の人事評価制度に従って園長は職員との個人面談を行い、適切な人材構成に取り組んでいます。臨時職員・非常勤職員との懇談会や個人面談を実施し、職員全員で適切な保育に取組んでいます。区の公営保育園実習生受入マニュアルに従って、実習生の受入・育成に取り組んでいます。市の職員研修計画に従って、職員の資質向上のための研修を受講しています。人材育成の一貫として「キャリアシート」に基づいた個人目標や受講履歴などを参考に、必要な研修を受講しています。規定の研修以外に自主研修にも取組み、スキルアップにつなげています。
・職員の就業状況の管理は、担当職員が担い、リーダー・フリー会議で問題点を改善するなどの勤務体制の整備に取り組んでいます。園長と職員との個人面談などで職員の意向を確認し、キャリアラダー(市の職員を対象としたキャリアップのための仕組み)にも取り組んでいます。産業医の職場巡視(年1回)において、休暇状況・時間外・職場環境などの見直しを行っています。希望があれば市の「こころの相談室」につなぎ、専門家に相談できる仕組みが用意されています。

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