かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

社会復帰訓練所 就労支援事業所あやめ 

対象事業所名 社会復帰訓練所 就労支援事業所あやめ 
経営主体(法人等) 社会福祉法人 川崎聖風福祉会
対象サービス 障害分野 就労移行支援
事業所住所等 〒 233 - 0013
高津区高津区末長1-3-8
tel:044-888-4853
設立年月日 2008(平成20)年04月01日
公表年月 2018(平成30)年03月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 事業所は、JR南武線武蔵溝ノ口駅から徒歩10分ほどの、閑静な住宅街にあります。1978年に川崎市精神保健福祉家族会連合会(あやめ会)が、精神障害者の作業所として開設しました。その後、2008年社会福祉法人川崎聖風福祉会が、川崎市の指定管理者として運営を引き継ぎ、就労移行支援事業(定員10人)及び就労継続支援B型事業(定員20人)の施設運営を開始しました。現在3期目の指定管理者の指定を受けて運営しています。施設は、精神障害のある方とその家族の努力で、作業所として立ち上げた経緯があります。「働く場」「仲間と集う場」「社会を広げる場」を提供し、加えて、障害を持つ利用者が「願い」や「生きがい」を実現できる場であることを施設運営の基本に置いて、職員は日々の利用者支援に努めています。


《特に優れている点・力を入れている点》
○利用者の得意とすることを活かして個別支援計画を策定しています
 6ヶ月ごとに個別支援計画の見直しを実施しています。個別支援計画に利用者や家族の意向・要望及び本人の目標を明記しています。パソコンが得意である、確認行動をしっかり行う、など利用者特性をストレングスに活かして個別支援計画に反映しています。短期目標を設定し、目標ごとに本人の取り組みと支援内容、達成期間を明記しています。アセスメントモニタリングの結果及びケース記録をもとに、ケース会議で検討し個別支援計画を策定しています。また、利用者の状況の変化に応じ随時個別支援計画の見直しをしています。

○利用者の安定就労をめざした就労支援に努めています
 「施設外実習」「ビジネス系プログラム」「模擬就労」「運動系プログラム」「メンタルケア系プログラム」の5種類の就労移行支援プログラムを整備しています。K-STEP(川崎就労定着プログラム)に力を入れ、安定就労が難しいとされる精神障害者の就労定着支援を推進しています。関係機関と連携し、職場見学や就労説明会、面接会に参加し、また、役所の雇用促進の一環としての短期雇用等の機会を活用し就労につなげています。就労支援は2年間の有期限ですが、6か月で就労先が決定する利用者もいます。

○地域の関係機関と連携し、地域福祉の向上に努めています
 事業所主催の運営連絡会は、市職員や町会の方々が積極的に参加し地域福祉施策に関する情報交換を行っています。地域自立支援協議会に参加し、平成28年度は、「障害のある人もない人も安心して暮らすことのできるまちづくり」をテーマに話しあいました。また、近隣の区民際やバザーに手作り品販売で参加し、1月に利用者も参加し「ええんじゃないかまつり」を開催し、関係機関と連携し顔の見える関係作りを推進しています。

《事業者が課題としている点》
 ・通所経路が傾斜地のため、地震や大雨時のリスクを早急に把握し、対策を講じること ・話しやすい職員に相談が集中する傾向にある。研修は行っているが、力量に差があるため、
 ・自主製品がないため、月々の時給変化が大きい。利用者はある程度安定した収入を望んでいるため、施設外を増やすのかなど検討が必要。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

 支援計画作成の際、本人の話に十分耳を傾け情報を積み重ねておき、選択肢を多く用意して本人の希望に添えるようにしています。家族や相談支援センター等からの情報も得て、選択肢を多く用意します。朝に体調の確認、作業への取り組みができるか、どの作業に取り組むかなど意思を確認しています。日々の引き継ぎや職員会議、ケース会議で利用者への対応を確認し職員間で共有しています。本人のどんな思いが根拠になっているのかに視点を当て、職員は客観的に利用者を理解するようにしています。

 権利擁護の研修に積極的に参加し、職員間の情報共有に努めています。一人の見解ではなく、多数の目で利用者の権利擁護に関する状況を捉えています。職員間の見解の相違はディスカッションし、思い込みに気付いたり、違う見方を知るなど、利用者に合ったより適切なサービスを提供できるようにしています。権利擁護アンケートや苦情解決シートを活用しています。家族の本人への虐待や本人の家族への暴力等、相談支援センターや区役所に相談し、また、ケースワーカー等と連携し虐待問題への適切な対応に努めています。

 トイレ介助等は同性職員が行い、言葉かけの場やタイミング等プライバシーに配慮して支援しています。また、日々の生活の中でちょっとした失敗を気にして、不安を感じ落ち込んでしまう利用者がいます。職員は平易な言葉で本人の気持ちを聞き、本人が追い詰められたような感覚をもたないように注意し、状況によって皆の前で軽い促しで、“皆でそうしよう”と呼びかけ、本人が受け止めやすいようにしています。職員は「権利擁護に関する職員調査票」でプライバシーに関する自身の行動を振り返り、注意を喚起しています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

 年に1回満足度調査を行って集計結果をわかりやすくグラフにし、調査結果を分析し課題に対する解決方法を掲示し利用者に周知しています。職員は、相談したいという利用者の要望に速やかに対応することを心がけています。時間が取れない場合は話を聞く時間を調整し、対応します。利用者の要望を受けてトイレにウォシュレットを設置する等の環境改善を図りました。また、工賃に期待をする利用者も多く、利用者に合った仕事の受注を定期的に確保できるように改善しています。

 落ち着いて話せる環境として相談室を2か所設置しています。ご意見箱を設置し、利用者の意見・要望をいつでも受け付け、全体ミーティングの前に確認しています。全体ミーティングは月1回40分程度開催し、利用者間の情報共有を図っています。利用者の主体性を育むことを目的に、当日司会を利用者が担当します。作業中の音楽で心の負担に感じる曲があり、全体ミーティングで話し合いその曲をやめるようにしました。利用者の一人が気持ちを皆にわかってもらうために議題にし、全員で話し合い、人の苦痛を受け止めて解決しています。

 個別支援計画に基づき、利用者が自らの考えで目標に向けて試してみる機会を作り、自信に繋げています。本人が自信をもって自分から発信できるようにしています。不安になった時など、相談や緊急の連絡を受け対応することもあります。利用者の関係機関と連携して安定した生活を支える支援を実施しています。利用者が話したことを忘れて不安になることがあります。ノートに対応の月日と職員の名を書いて、再度不安になった時に一緒に見て前回の結論を確認します。職員は不安の軽減や統一した方向で利用者が考えられるよう支援しています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

 サービスの開始にあたり、受け入れ決定までに就労移行及び就労継続支援B型の二つの事業の体験実習を10回経験してもらいます。5回目が終了した時点で利用者の思いに沿った支援内容であることを確認するようにしています。入所決定に際し、利用契約書及び重要事項説明書を利用者・家族に説明し同意のサインをもらっています。また、個人情報保護に関する肖像権利用については入所後毎年同意の確認を行っています。

 6か月ごとに個別支援計画の見直しを実施しています。個別支援計画に利用者や家族の意向・要望及び本人の目標を明記しています。短期目標を設定し、目標ごとに本人の取り組み内容と支援内容、達成期間を明記しています。アセスメントやモニタリングの結果及び日々の利用者支援の状況を記録したケース記録をもとに、ケース会議で利用者一人ひとりに最も適した支援内容を検討し、個別支援計画を策定しています。また、利用者の状況の変化に応じ随時個別支援計画を見直しています。

 感染症マニュアルを作成しています。平成20年の指定管理者受任後にインフルエンザやノロウィルスに罹患した利用者は一人もいません。事故報告書やヒヤリハット報告書を整備し、毎月法人のリスクマネジメント委員会に報告し、事故防止に努めています。地震や火災の災害発生に備え、毎年1月と6月の年2回定期的に避難訓練を実施しています。緊急時連絡表を作成し、通報、消火、避難誘導訓練を実施しています。

4 地域との交流・連携

 ホームページやパンフレットを配布し、地域社会に施設の情報を発信しています。ホームページでは事業内容を詳しく載せ、写真で利用者の日中作業の雰囲気を伝えています。ブログには「「働きたい!」その想いを応援します!」のタイトルを掲げ、施設の出来事や感想を載せています。職員、研修生、利用者が思いを率直に述べています。運営連絡会を年1回開催し、町会、あやめ会、区役所等の出席で地域住民の地域福祉への理解が深まるように努めています。施設への疑問や要望を共有できる場としても重視しています。

 地域の関係機関との連携に力を入れています。事業所主催の運営連絡会では、川崎市職員による障害・高齢・認知症の話など、行政の福祉施策に関する話があり、町会の方々が積極的に参加しています。地域自立支援協議会等への参加、協働により、情報の共有や精神保健福祉の普及啓発等の役割も担っています。1月に「ええんじゃないか祭り」を開催し、利用者も参加して模擬店を行いました。顔の見える関係作りを推進し、地域に根差した活動を構築しています。利用者は複数の機関とかかわりをもっており、一貫した支援に繋げています。

 地域の課題として利用者とその家族の高齢化があり、また、利用者の自立が難しいことがあります。ピアサポーター養成講座を終えたものの活動する場がないので、施設の卒業生のフォロー研修の場を作って活動を支援しています。近隣の区民際やバザーに手作り品販売で参加したり、近隣施設で喫茶や事務の補助、商品陳列など実習を行い、地域連携の深まりや利用者のモチベーションアップにつながっています。今後地域の行事にも参加していきたいと考えています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

 「尊厳保持を基本とした個人の尊重」「合理的配慮のもと懇切丁寧なサービスを提供します」等5項目の施設の基本方針を定めています。年度ごとの事業計画に、施設運営の基本的考え方を明記し、利用者支援の重点事項を明示し職員に周知しています。重点事項に、利用者の「気持ち」や「思い」を重んじ、「やりがい」「生きがい」のもてる取り組みを一緒に考えて、個別支援計画を策定すること等6項目を定めています。

  施設は川崎市の指定管理者としての認定をうけており、5年間の事業運営の中・長期計画を策定しています。指定管理者としての計画に、就労移行利用者の確保と稼働率の向上、取引関係事業者連携による工賃アップの取り組み、職員研修の充実及び発達障害者支援に関する人材育成を目標に掲げています。事業計画に事業運営の基本的考え方及び、年度ごとの重点課題を明記し、就労継続支援B型事業及び就労移行支援事業の事業ごとに利用者支援の内容を具体的に明示しています。

 年に1回、定期的に利用者満足度アンケート調査を実施しています。職員の態度や相談のこと等、アンケートの結果より課題を明確にし、改善方法を明示し掲示して利用者に周知しています。また、法人主催で権利擁護アンケートを実施し、職員の人権意識の強化と注意を喚起しています。権利擁護アンケートに基づき改善策を検討し利用者へのサービス改善につなげています。

6 職員の資質向上の促進

 就労支援と就労後2年間の定着支援において、就労に必要とされる生活習慣、働く姿勢、作業能力、社会的スキル・マナーを身につけ、それを継続するための支援を担う人材として、社会福祉士精神保健福祉士、サービス管理責任者、就労支援員等の資格を必要としています。専門性の高い事業であり、退職者等の補充については新規採用や法人内異動で速やかに対応しています。職員の資格取得に力を入れ、育成制度(スクーリング時の職務免除、取得時のお祝い金、資格手当)を設けています。

 法人研修委員会で研修計画を策定しています。新人、階層別で共通認識を習得できるように取り組んでいます。権利擁護研修に重点を置き、発達障害についても学びを深めています。職員の希望研修ではハラスメントや認知行動療法、K・STEP勉強会等を受講しています。研修費に一定の補助があり、県や市の社会福祉協議会の研修と組み合わせて希望の講座を受講しています。法人の研究発表会を2月に実施しており、平成29年度はK・STEP(就労定着支援プログラム、セルフケアシートの活用)をテーマに発表します。

 意向調査や面談により職員の状況を把握し、必要な体制作りに努めています。育児休業での時短勤務や介護休業など活用し、介護離職を防ぐための制度に着目しています。インフルエンザ予防接種の補助金や指定医での健康診断を行っています。法人の安全衛生委員会で職員全員にストレスマネジメント研修「ストレスに対するセルフコントロール」を行いました。毎年ストレスチェックを行い、産業医や臨床心理士のカウンセリングにも繋げています。

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