かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

くりの丘

対象事業所名 くりの丘
経営主体(法人等) 社会福祉法人川崎市社会福祉事業団
対象サービス 障害分野 生活介護他
事業所住所等 〒 215 - 0032
麻生区栗木台 5-17-19
tel:044-819-5410
設立年月日 2013(平成25)年04月01日
公表年月 2018(平成30)年04月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 「くりの丘」は小田急多摩線黒川駅から徒歩5分の閑静な住宅街にあります。川崎市社会福祉事業団が平成25年4月に開設した定員50人の生活介護事業所です。特別支援学校卒業生の受け入れ対策として設立され、定員20人でスタートしました。平成29年4月現在の利用者数は54人で、1日の平均利用者数は48人です。利用者の平均年齢は27歳で、障害支援区分4以上の利用者が全体の80%を超えています。
 法人の基本理念に「充実したサービスの提供」「地域に根差した施設運営」「職員の資質能力の向上」「法人の経営基盤の整備」を掲げています。法人は川崎市を代表する福祉サービス事業者として、誰もが地域社会において安心して快適な生活を営める福祉社会作りを目ざしています。4つの基本理念に基づき一人ひとりの命が大切にされ、尊厳が守られる「共生社会」の実現を目ざしています。

《特に優れている点・力を入れている点》
○利用者代表者会、利用者会、希望する余暇プログラムへの参加など、利用者が自らの意思で決定することを支援しています
 月1回利用者の代表が集まり、利用者代表者会を開催しています。職員が司会進行を手伝い、利用者が要望を何でも言えるように配慮しています。代表者は固定せず希望によって出席しています。月末に利用者が全員出席で行う利用者会は、利用者代表が司会を務め職員がサポートしています。活動の際に所属するグループにこだわらず自由な席で間に職員が入り、利用者の主張が伝わりやすいように配慮しています。また、利用者は毎日異なるプログラムに自由に参加することができます。職員は利用者の意思決定を見守り支援しています。

○ボランティアを積極的に受け入れ、地域との関わりを深め共に楽しむこと、地域に貢献できることを大切にしています
 年1回「くりの丘音楽祭」ではダンスや音楽の発表とボランティアのミュージカル、バルーンアート、模擬店、自主製品の販売を通して家族や地域の方々との交流を楽しんでいます。自治会館前や県営住宅前、近隣マンションなどで空き缶収集の協力を得ています。ボランティアは毎年100名程度におよび利用者にとっての新たな人間関係といえます。利用者の魅力を知り応援してくれるボランティアを積極的に受け入れています。

○自主製品はクォリティーの高さを特徴としています
 余暇活動で利用者が描いた絵を使って自主製品の手作りアクセサリーや小物入れ、ポストカード、メッセージカード等を創作しています。自主製品の作成については、多数の利用者が取り組めるように職員が工程を細分化し、何人もの手を通して製品が出来上がるように工夫し協働の意識があります。自主製品は福祉を全面にださずに、市民ミュージアムで販売され、高い評価を受けています。また、近隣小学校、養護学校のバザーや麻生福祉祭り等さまざまな機会で、自主製品を販売しています。

《事業者が課題としている点》
 ● アセスメント手順のシステム化を図り、徹底する。
 ● 自閉症の利用者対応について、より安定・安心した生活ができるよう職員間で
知識や技術の向上を図る。
 ● より多くの工賃を支給するため、報酬の高い作業種目の開拓する。 

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 利用者が自己選択、自己決定ができるようにその人に合った選択の方法を工夫して提示しています。朝の会で作業内容を提案し利用者の意向を確かめ、嫌だという表現をした際には体調を聞いたり連絡帳でコンディションを確認し、利用者の気持ちを受け止めたうえで別の作業を提案しています。社会人として仕事に取り組む姿勢を大事にしています。午後の活動でもアート、スポーツ、書道など希望に応じて参加することができます。写真やシールを用いて進行の流れを示し、視覚的に選択しやすいように配慮しています。

 事故防止・権利擁護委員会の活動として、ヒヤリハットを分析し事故防止を図り、また、虐待防止マニュアルを作成し、身体拘束をしないケアの意識について徹底を図り、また、人権チェックリストを活用し定期的にセルフチェックを実施し、結果を職員間で共有し人権意識の強化を図っています。くりの丘職員行動規範に、「一人一人の可能性を大事にし多くの体験を応援し共に乗り越えていくこと」を明記し、毎年見直しを行い職員に周知しています。プライバシーに配慮した支援に努めています。失禁では「あわてず、さわがず、すみやかに」を合言葉に、同性介助で本人だけでなく周囲の人にも配慮し、職員が協力して汚物処理や清潔保持の対応をしています。消毒液で滑らないよう注意するなど職員間で申し合わせをしています。職員は、チェックリストを用いて利用者を長時間待たせたり、訴えを無視・拒否する態度、職員による支援の不一致など利用者が不安を感じるようなことをしていないか、自らの支援を振り返り注意を喚起しています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 年1回、法人で利用者満足度調査を行い、利用者の要望を把握し対応に努めています。平成29年度は利用者の要望に応じ玄関前の出入りの雨よけを設置しました。また、日常の連絡事項が担当職員に伝わっていなかったことの指摘を受け、連絡の仕方や漏れの防止について職員会議やグループミーティング及び日々のミーティングで話し合い、話し合いの結果を書面にまとめ職員に配付しています。年4回の事業報告会で利用者満足度調査の要望や対応の結果をまとめ、書面で利用者・家族に報告しています。

 月1回利用者の代表が集まり、利用者代表者会を開催しています。職員が司会進行を手伝い、利用者が要望を何でも言えるように配慮しています。代表者は固定せず希望によって出席しています。また、毎月末に全員出席で行う利用者会は、利用者代表が司会を務め職員がサポートしています。ふだんの活動時に属しているグループにこだわらない自由な席で、間に職員が入り、利用者の主張が伝わりやすいように配慮し、利用者の意思決定を支援しています。発語が少なかったり意思表示が難しい利用者は積極的にコミュニケーションを取るよう個別支援計画を立てています。職員は、発声の仕方や本人が選んだ絵、歌からも本人の意思を確認しています。生活動作のボディサインを共有し、“何をどれくらい、次に何をする”と視覚的に示し事前の約束をすることで、本人が見通しを立て落ち着けるようにしています。本人が楽な姿勢を保てるように配慮し、音に敏感な利用者には口話とジェスチャーを活用してコミュニケーションが取れる工夫をしています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

 パンフレットは文字を大きくし、すべての漢字にルビをふり、施設運営の目的や活動内容を明記し、大変わかりやすい内容です。施設利用の前に必ず体験利用をしてもらい、自分が通いたいと思う施設であることを確認してもらいます。重要事項説明書にも全てルビをふり、利用者の反応を一つ一つ確認しながら利用者と家族にわかりやすく説明しています。サービス利用開始後は担当職員制を敷いて利用者が安心できる関係作りを行い、連絡帳を用いて丁寧に家族との情報共有を図りながら利用者の不安やストレスの軽減に努めています。

 活動グループごとにミーティングを行い、利用者の日々の状況を勘案し個別支援計画の原案を作成します。半年ごとにケアカンファレンスを行い、また、支援計画策定会議を開催し日中作業のチャレンジ目標等の職員間の情報共有を図り、利用者・家族の同意のもとに個別支援計画を策定しています。半年ごとの個別支援計画の見直しに合わせて、計画の達成状況を振り返り課題を整備し次の計画を策定しています。支援計画策定会議で個別支援計画の目標ごとの達成状況を評価し、ケアプラン評価シートに記録し、利用者の同意をもらっています。

 日々の利用者サービスの実施内容を、随時職員が記録システムに入力しています。グループごとに日々の記録内容を確認し、利用者の体調の変化や家族からの連絡事項など職員間の申し送りの情報共有にもれがないことをチェックしています。毎日朝・夕実施の職員ミーティングで、記録システムから申し送り等必要情報をプリントし、家族の連絡ノートの情報、ヒヤリハットや緊急を要する情報等の職員への周知を図っています。また、月1回の職員会議でグループごとの月々の活動状況について職員の間の情報共有を図っています。

4 地域との交流・連携

 年3回広報誌を発行し300部を近隣自治会や学校、関係機関等に配布しています。ホームページを作成し、利用者の日中活動等の情報を発信しています。現在は年2回程度の更新ですが、今後写真等を入れ更新回数も増やしたいと考えています。毎日の地域の公園や道路の清掃は、地域住民に施設を知ってもらう機会になっています。近隣の小学校と交流し、清掃や日中活動の体験を通して子どもたちの障害者への理解を深めています。今後は利用者が小学校を訪問する機会を工夫したいと考えています。

 施設長は、川崎市障害福祉施設事業協会、川崎市障がい者施設しごとセンターのメンバーとして活動しています。溝の口の大規模店舗内で自主製品を販売し、駅前での「『KAWASAKI産SUN』フェスティバル!」に連続で出店しています。魅力ある自主作品を販売し成果を上げています。工賃向上や利用者の社会参加を目的に、区自主製品販売連絡協議会合同販売会を開催し成果を得ています。  
施設長が麻生区社会福祉協議会ボランティア活動振興センター運営委員や福祉教育推進委員として活動し、関係機関との関係作りに努めています。また、区内の地域ケア会議に出席し、高齢者の集いにも参加して毎年新メンバーにくりの丘をアピールでき地域に広く知ってもらう機会としています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

 法人としての基本理念、基本方針をホームページやパンフレットに掲載し、また、くりの丘職員行動規範に、「いかなる理由があろうとも体罰はしません」「利用者のプライバシーを尊重し、個人情報を本人・ご家族の了解をえずに外部に伝えることはありません」を明示し全職員に周知しています。事業計画の冒頭に、法人の基本理念及びノーマライゼーションの理念に基づき、職員行動規範を遵守することを明記し、また、利用者・家族に対し、4月の事業報告会で理念・基本方針及び施設の事業計画について説明し、周知を図っています

 法人の中・長期計画が策定され、平成28年度から5年間の重点目標を明記しています。中・長期計画では、充実したサービス提供、職員の資質向上、法人基盤の整備等の目標を掲げ、対策を明示しています。中・長期計画を踏まえて単年度の事業計画を策定しています。事業計画の策定は、グループミーティングで支援の現場で抱える課題を整理し重点課題を検討し、調整会議でグループごとの検討案について話し合い、事業計画を策定しています。また、重点目標を明記し、重点目標の実現に向けた事業内容を明示しています。

 業務分掌に施設長以下職員全員(契約職員を含む)の業務内容を個人別に明記し、全職員に配付しています。施設長は毎月開催している職員会議と調整会議で、利用者の所属する4つの活動グループごとに個別支援計画の達成状況、事業計画の課題への対応状況を把握し、計画達成に向けて職員意識の共有を図リ、サービス支援の効率化についても職員間の情報共有を図っています。利用者が安心して通所し楽しく日中作業や余暇活動に取り組める雰囲気作りを大切にしています。平成29年度の稼働率は、当初の94%から97%に改善しています。

6 職員の資質向上の促進

 職員行動規範に遵守すべきルールやマナーを明記し、職員の姿勢を示しています。職員行動規範を年度末に見直し職員に周知し、事業計画とリンクさせサービス向上に取り組んでいます。利用者の未来を共に考え、地域で共に歩み、ぶつかった壁を共にのり超えていくことを信条としています。法人の人事管理トータルシステムにより育成、評価、処遇を一体的にとらえ、年2回の管理者面接を実施しています。目標管理評価では業務の視点、それぞれの評価項目、そのポイントを示し判断基準に沿って評価します。

 法人の職務基準に基づき研修体系を整備しています。研修委員会を立ち上げ職員アンケートを実施し、アンケートの結果を基にOJTに偏ったことによる支援技術の不足に対し、内部研修の充実を図ることで職員育成を図ることにしました。外部研修への参加と伝達研修の実績が増加しています。自閉症実践療育、モチベーション向上、支援における不適切行為をなくすための研修等を実施しています。2月に法人の研究発表会があり、「やってみたからできたね」という利用者のチャレンジを支援する取り組みを取り上げています。

 法人の人事管理トータルシステムによる職員育成活用システムを一体的にとらえた人事管理を実施しています。年2回の施設長面接で職員の目標管理や就業に関する意向、実践の状況を確認しています。年1回職員健康診断とストレスチェック、腰痛健診を実施しています。11月の問診から産業医の面接を予定しています。2年に1回産業医の巡回もあります。神奈川県福利協会、川崎市勤労者福祉共済に加入しています。法人内のサークル活動に参加しリフレッシュしています。

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