かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

蟹ヶ谷保育園(3回目受審)

対象事業所名 蟹ヶ谷保育園(3回目受審)
経営主体(法人等) 川崎市こども未来局子育て推進部運営管理
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 213 - 0025
高津区蟹ヶ谷339番地
tel:044-751-9040
設立年月日 1964年04月01日
公表年月 2017(平成29)年11月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社 R−CORPORATION
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【概要・立地面の特色】
川崎市蟹ヶ谷保育園は、昭和39年4月に開園しました。JR南武線武蔵新城駅からバスで15分ほどの住宅地に位置し、鶴見川支流の矢上川南側沿いにあります。園舎は鉄筋コンクリートのL字形の平屋建てで、大きな正方形の敷地は辺が東西南北に対面し、園舎屋は東、南に面して朝から明るい陽の光に包まれています。広々とした開放感溢れる園庭には砂場、滑り台、雲梯、ブランコ、鉄棒等が設置され、ブドウ、みかん、柿などの実のなる木々が植栽された豊かな緑と、菜園には四季の野菜を栽培し、ウサギの飼育も行っています。年長児はウサギ小屋の掃除、水やり、餌やりの当番をする等、子どもたちが心身共に健全に育まれる自然環境を整えています。蟹ヶ谷保育園は、生後43日から小学校就学時未満を対象に、定員90人(現在入所児童101人)の保育園です。園では、『生きる力にあふれる子ども』を保育目標に掲げて、乳幼児人間形成基盤の育成に取り組んでいます。蟹ヶ谷保育園は、高津区のブランチ園として地域支援、公民連携、人材育成の役割を担い、園庭開放、室内開放、地域行事の協力等、活発に地域交流活動を実施し、地域に貢献しています。

<特に良いと思う点>
【1.一人ひとりを尊重し、自己肯定感を培う保育の取り組み】
園では、子どもの自己肯定感の育みに力を入れています。大人(職員)が子ども一人ひとりの存在を認め、大事にし、子ども自身が大事にされていることを知り、子どもは自信を覚え、「自分が好き」、自分を大切な存在であると感じられる感覚を大事にし、他人への思いやり、受け入れる気持ちが自然と生まれるよう、自分の存在に対して肯定的な感覚が湧きあがる土台作りを実践しています。また、子どもの将来を見据え、自分が苦しい立場になっても他人を虐めない、苦しみ等を乗り越えることができるよう、職員は子どもを認め、大事にし、褒める保育を子どもの最善の利益と考え、実践しています。

【2.積極的な地域交流活動の取り組み】
蟹ヶ谷保育園はブランチ園として、地域支援、公民連携、人材育成の役割を担い、地域に開かれた保育
園作りに取り組んでいます。地域の子育て支援として、毎日、園庭開放を行い、週1回、室内開放し、
定期的に育児相談を通して親子でのランチを実施しています。他、地域に向けて、遊びの広場(年10
回)、食育講座(年2回)、健康講座(年2回)、お父さんと遊ぼう(年2回)、実習生の受け入れ(保育
士、看護師、栄養士、職業体験)を積極的に取り組んでいます。地域への協力では、自治会の季節行事(夏まつり、運動会、もちつき、ラジオ体操)に園庭開放にて(「を行い」ではいかがでしょうか)地域に貢献しています。また、地域の老人ホーム、デイケア等に訪問し、地域の異世代と交流を図る等、園全体で地域交流活動に取り組んでいます。

【3.「はーと通信」による保護者へのメッセージ】
蟹ヶ谷保育園では、保護者とのコミュニケーションの1つに園だよりと共に、「はーと通信」を発行し
ています。「はーと通信」には、職員が担当するクラスの出来事を通して、日々の子どもの姿・成長を
伝え、出来事から子どもの表情、表現や気持ちを表し、その場の職員の対応、職員自身が感じたことや、
保護者への投げかけ等、心を込めて記載されています。保護者は、園での子どもの様子を、活字や描
写を通して、自分の子どもに重ね、感じることができ、投げかけに対しても保護者に考える機会を
与えています。また、園の考え方、保育の取り組みへの理解の促しにもつながり、現場の職員が伝える
「言葉の力」はメッセージ性が強く、良い取り組みです。

<さらなる期待がされる点>

【1.職員の資質向上について】
職員の資質向上に関しては、職員の自己評価に基づく課題等を踏まえ、保育所内外の研修等を通じて、各職員の職務内容に応じた専門性を高め、必要な知識及び技術の修得、維持及び向上に努めています。
子どもに対する職員の接し方については、時代と共に保護者の価値観、世論等により、昔の保育の常識から現代の保育の在り方にシフトしていく必要があり、行為については思いに留まるにしても自己啓発、自己研鑚が求められます。職員の自己研鑚に関する努力と共に、園としての組織的な取り組みを一層期待致します。

【2.保育内容の理解の促し】
園では、各年齢保育の他に、異年齢保育での、ごっこ遊びリトミック、芋掘り、サッカー教室、観劇、誕生会、交通教室、運動会、発表会等の活動を取り入れ、全園児での活動を園全体で1つになって取り組むことも多く設定しています。今回の保護者アンケートでの意見も加味しながら、保育活動の「見える化」の機会として、玄関ホールや、廊下、保育室等を活用して、取り組みの展示やと工夫を図り、さらに、子ども、保護者、職員で一緒に思い出作り等の活動も一考されてはいかがでしょうか。

【3.門扉の施錠について】
園舎は、矢上川沿いの車道から建物の間の一人通れる程の狭い通路を南に抜けてくると園庭東面の裏口門扉があり、園庭の南面には車道に面して正門があります。正門と裏門の門扉は金具で開閉を止めていますが、比較的、誰でも開閉ができます。また、園庭は広くて大型遊具もあり、周囲は樹木が植栽されており、不審者が紛れる不安も否めず、保護者からも2ヶ所の門扉のセキュリティに不安を抱く意見も寄せられています。園では不審者侵入に備えた訓練もしっかり実施していますが、施錠における危機管理について、再度、検証を図られることを期待します。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ●園の必要な情報は、川崎市のホームページ、パンフレット、スマホから見ることができる高津区役所のSNSにより公開しています。月1回、曜日を設定して園見学を実施し、柔軟に見学希望者に対応できる体制を整えています。また、保育体験利用は、子育て支援における月2回開催の「親子のランチ」で受け入れています。サービスの利用開始にあたり、保護者へ園の運営方針、重要事項説明書、個人情報使用同意書等、利用に関する決まりを説明して同意を得ています。
アセスメントの書式は統一した様式を活用し、子どもの心身の状況・生活状況について記録し、職員で共有を図っています。また、入園前と入園後に保護者と面談を行い、子ども一人ひとりの特性や特徴を把握し、記録を行い、要望や要求に関しても確認して保育につなげています。指導計画は、保育課程を基に、各クラスで子どもの姿に合わせて原案を作成し、園長が確認を行い、全体職員会議にて討議を図り、最終計画を策定しています。
●川崎市の規定に基づき年齢・月齢に応じて個別指導計画、児童票記録を行い、日誌記録、健やか手帳を通して健診記録、成長記録を行っています。児童票、保健日誌、保育日誌、会議議事録等の個人記録は、事務室の鍵のかかるロッカーに保管しています。記録記入に関しては、情報開示も視野に入れ、文章の書き方等に留意しながら、作成するようにしています。子どもの状況等については、クラス会議でのケース検討、全職員によるケースカンファレンスを実施し、共通理解を図っています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ●園では、「子どもの人権の尊重」を考える機軸を、「子ども自身の発想で行動する」、「遊ぶ」、「生活できること」に置いています。乳児は個々に合わせた保育を実施し、幼児は園内で自由に動き、安定して過ごせるよう、子ども自身で選択できる場所、時間を持つように配慮し、発達段階、個人差を考慮しています。また、子どもが自主的に行動できることを目標にして保育にあたっています。
●子どもを尊重したサービス提供について、「川崎市子どもの権利に関する条例」を基に年1回、人権について話し合い、川崎市保育課に内容を報告しています。配慮の必要な児童については、職員間で共通認識を図り、子どもにとって最善の利益を考慮しています。虐待の早期発見については、マニュアルを完備し、朝の視診、午睡時の着替えの観察を大切にし、送迎での子ども、保護者の変化に気付くよう留意しています。
●個人情報の保護について、個人情報マニュアルを整え、職員は研修に参加して理解を深めています。個人情報に関しては、入園のしおりに明示し、重要事項説明書に個人情報使用同意書を添付し、入園説明会で説明を行い、保護者から同意を得ています。また、保護者との連絡は口頭や連絡帳、資料で手渡しするよう心がけ、特に、研究会や作品展等に出す写真については、必ず保護者の同意を得ています。

3 サービスマネジメントシステムの確立 ●利用者満足の把握に向けて、玄関に意見箱を設置して意見を述べられる環境作りを行い、保護者役員会、個人面談の機会を設け、保育園に対する要望等を聞き、各行事後には感想を紙面で提出してもらう等、意見等を受け止めて保育に生かすようにしています。保護者からの要望や意見等は、会議等で共有し、改善等を話し合い、次年度に生かしています。保護者からの意見等はフィードバックし、園だよりに掲載し、でき得る範囲内で順次、改善に努め、利用者満足につなげています。
●苦情解決の仕組みについては、意見箱(はぁーとBOX)を設置し、苦情解決窓口、苦情解決責任者、第三者委員の連絡先等、苦情解決体制を園内に掲示し、直接苦情を申し出ることができることを掲示し、保護者に知らせしています。園長をはじめ、職員は、子どもや保護者の目線に立って声を掛けやすいように努め、相談しやすい雰囲気を心がけ、連絡帳では保護者の質問や感想に触れていくように留意しています。
●職員は、子ども一人ひとりの気持ちを大切に受け止め、担任は勿論、園全体で、子どもの可能性を大切にし、良いところを見、褒めることを大切にして保育にあたっています。乳児クラス及び、配慮が必要な子どもには個別指導計画を作成し、全園児の発達の過程や生活環境等を理解し、受容し、個々の子どもの発達に沿った保育を心がけています。幼児クラスでは、計画的に異年齢保育の実施や、年長児が3歳児の保育室に午睡後の手伝いに行く機会を設ける等、他人を思いやる心を育んでいます。

4 地域との交流・連携 ●登降園時には挨拶や声掛けを行い、連絡帳、健康チェック表に目を通して子どもの様子を確認し、前日の保健日誌で個々の気になる児童を把握し、保護者に子どもの様子や、健康状態等を確認して把握しています。乳児クラスでは、連絡帳で密に連携を図り、家庭での様子を把握し、年間指導計画に沿って24時間見通した支援を行っています。
●延長保育では、子どもが落ち着き、安定した気持ちで過ごせるよう配慮し、0歳〜2歳児、3歳〜5歳児の年齢に分かれてゆったりと過ごせるようにしています。幼児は5歳児の保育室でおやつを摂り、広い空間で自由に遊んでいます。幼児クラスの特例保育時間は、合同保育とし、異年齢の交流を行っています。平日の園庭での自由遊びや、土曜日は自然な交流を通して交流する等、異年齢で楽しく遊べる時間を持っています。
●食事では、テーブルや椅子の高さを調整して座りやすく落ち着いて食事ができるように配慮しています。年長児は11月よりバイキング形式で食事を行い、みんなで楽しく食事が摂れるように工夫しています。アレルギー除去食については、医師の指示書に従い、誤配膳、誤食が無いよう細心の注意を払って除去食を実施しています。また、配慮食も提供を行い、要望に応じて宗教食も対応しています。食育活動は、園庭で季節の野菜等を栽培して食育に取り組み、食育の活動内容は給食だよりを発行して保護者にお知らせし、給食室前のボードに人気のあるメニューレシピを掲載して食への関心を促しています。

5 運営上の透明性の確保と継続性 ●理念・基本方針は、ホームページ、パンフレット、入園のしおりに掲載し、玄関、各クラス、事務室の目につきやすい場所に掲示し、保護者に理解を促しています。園見学者には、保育園概要を配付しています。保育理念を基に運営方針、保育目標を定め、職員に周知し、職員会議で折に触れ、目指す保育について説明し、共通認識を図っています。年度末には反省会を設けて確認しています。
●中・長期計画は、川崎市保育基本計画として策定され、園の保育理念、保育目標の実現に向けた計画になっています。事業計画(保育課程、指導計画、行事計画等)は、保育方針、保育目標に基づき、子どもの利益を最優先した自己肯定感を重視し、年度当初に計画的・組織的に策定しています。さらに、計画に沿い、園長、園長補佐、乳・幼児の主任を中心に、年度末に職員会議で反省、見直しを図り、課題を明確にして次の計画に反映する体制を構築しています。
●園長は、運営方針を作成し、年度初めに職員会議で説明を行い、園長の役割と責任を明確にし、職員の職務分担表を配付しています。また、各職種の業務内容、係分担、行事分担を示し、可能な限り現場の職員に権限を委譲し、責任を明確にしています。そして、年間指導計画、月間指導計画、日誌等に必ず目を通して確認し、助言・指導を行っています。また、研修計画を策定し、区の人材育成研修、保育課人材育成研修への参加を奨励し、人間関係会議、環境会議に出席できるよう調整を図り、職員全体のレベルアップに努めています。

6 職員の資質向上の促進 ●地域に向けた情報は、高津区の子育て情報ガイド(ホッとこそだて・たかつ)に、行事、園庭開放、身体測定、絵本、遊具、パネルシアター貸し出し等の情報を提供しています。園の掲示板では、園のポスター、川崎市や高津区の子育てに関する情報等を掲示して地域に発信し、自治会の掲示板も活用させてもらい掲示や配布をしています。園独自の行事は、園庭開放や、移動動物園、保育園見学時に案内し、参加を呼び掛けています。
●関係機関との交流、団体との連携では、幼保小の連絡会議、民間を含む年長児担当者会議、民生・児童委員、主任児童委員連絡会議、要保護児童関係者連絡会議、園長・校長連絡会議、苦情解決第三者会議、看護師育成会議、地域支援担当者会議等の会議に園長や担当職員が参加し、会議内容は都度、職員会議等で報告しています。
●地域の関係機関・団体の共通の課題に対して、児童相談所、地域療育センター、保健所等と連携を図り、ケースカンファレンスを実施し、問題解決に向けて協働して取り組んでいます。また、幼保小の連携会議、民生・児童委員連絡会議、主任児童委員会議、要保護児童関係者連絡会議等に参加して福祉ニーズの把握や問題の解決につなげています。

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