かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

菊名愛児園(2回目受審)

対象事業所名 菊名愛児園(2回目受審)
経営主体(法人等) 宗教法人 日本基督教団横浜菊名教会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 222 - 0011
港北区菊名4-5-1
tel:045-401-0431
設立年月日 1942年06月15日
公表年月 2018(平成30)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 市民セクターよこはま
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の概要】


宗教法人日本基督教団横浜菊名教会附属 菊名愛児園は、JR横浜線・東急東横線「菊名」駅から徒歩7分ほどのところにあり、線路に沿った道から少し山側に入った住宅街の静かな環境です。園舎は2階建てで園庭と屋上を備えています。
定員は、120名で生後6ヶ月から就学前までの乳幼児を受け入れ、保育時間は、平日7時30分から、19時まで、土曜日7時30分から15時30分としています。
運営主体は、宗教法人日本基督教団横浜菊名教会で、保育所の開設は1942年です。園のすぐ近くに母体の教会があり、園児が牧師による礼拝に参加したり、教会の空き室を保護者との相談に利用したりするなどしています。
園の基本理念は『神を愛し 隣人を愛する』、保育方針は「(1)愛を育む (2)個性を育む (3)社会性を育む (4)心と体を育む」です。保育目標は、「@神様を信頼し、安心して日々を過ごすことができるようにする。A子どもたちが明るくのびのびと園生活を送り、日々成長できるように保育を行う。B生き物や植物など、身近な自然とふれ合うことによって、命の大切さを感じると共に、好奇心や探求心を育てる。C豊かな歓声を育て、自分の思いを表現できる力を養う。D異年齢の子どもたちが共に生活をすることによって、自立心や、優しさ、いたわり、そして信頼を持つことの大切さを育てる。E国や文化の違い、成長の違い、育った環境の違いを尊重し、豊かな社会を体験できるようにする。F日常の保育の中で、食べることや運動することを大切にし、心と身体の健康を高めていく。」としています。     


◆高く評価できる点

1、子どもたちには、動と静のバランスの良い育ちの姿がみられます
子どもたちは、とてものびのびと保育園生活を過ごしています。屋外活動を十分に確保する園の方針で、天気が良ければ、ほぼ毎日散歩に出かけたり、夏場はプール遊びをしたりして思う存分体を動かして遊んでいます。散歩では坂道や階段をダイナミックに登り、木々の間を走り抜ける子どもたちの強い脚力が見られ、日頃の運動の成果が表れています。
また、キリスト教主義の保育の柱となる「祈り」は、子どもの園生活で重要な位置を占めています。活動の節目節目に全員で手を合わせ、黙とうし、今ここにあることを神に感謝する時間があります。宗教面での理解がまだ難しい年齢の子どもたちにとっても、目を閉じて祈るという行動が共同生活におけるクールダウン効果をもち、落ち着きや他者への思いやりの気持ちの育ちとなっています。

2、活動に応じたきめ細かな環境設定により、異年齢保育を充実させています
3歳〜5歳児クラスの異年齢保育を、4年前から取り入れています。75人(3歳児24人、4歳児25人、5歳児26人)を、4グループに分けた保育体制です。保育所の生活をきょうだいでの暮らしのようにしたいとの目標を定めて取り組んできた体制です。日々の保育の中で年上の子どもが年下の子どもを見守り、助け、年下の子どもは生活面だけでなく制作活動においても年上への憧れや目標を持つことができます。異年齢の発達の差による保育の進め方について、園全体で検討を重ね、子どものためのより質の良い保育を目指して体制作りをしてきました。一日の中でも4グループではありながら、活動に応じて2グループずつ、又は1グループずつに、きめ細かく環境の設定を変化させます。18人〜19人の1グループ内でさらに4、5人ずつの小さなグループを作り、小集団での関わりの良さと全員で楽しむ集団遊びの体験ができるように工夫をしています。

3、職員は子どもの意志を尊重して保育にあたっています
職員は、否定語を用いず穏やかな言葉遣いで子どもに接することを意識的に行っています。一人一人の子どもの意志を尊重し、どんな場面においても強制することがありません。一斉活動に参加しない子どもに対しても「〇ちゃん、あとでやる?」と、優しく問いかけています。ただ、好きにさせるという事ではなく、その子どもの存在を認めた声かけをして、子どもを信じて見守る姿勢で保育をしています。子どもたちは、こうした信頼関係の中での生活を通し、大変穏やかな表情です。
 
◆改善や工夫が望まれる点

1、地域子育て支援への取り組みの活性化が望まれます
地域への子育て支援サービスとして、育児相談・交流保育・園庭開放・育児講座・絵本の図書館など多くの取り組みを行っていますが、以前に比べ参加者が少なくなっている現状です。育児相談については、第2・4火曜日に実施している園庭開放日の来訪者や見学者からの相談に応じていますが、毎週開催の相談日を設けるには至っていません。園としては、子どもが少なくなっている地域性の課題や、他団体によるサービスの存在などの原因は把握しているものの、打開策への動きとはなっていません。地域住民へ向けた広報の工夫を含め、子育て支援サービスの活性化が望まれます。
 
◆さらに取り組みが望まれる点

1、園の方針や取り組みについての保護者への説明方法に、さらなる工夫が望まれます
今回の保護者アンケートでは、数点に不満回答が比較的高い結果が出ています。それぞれについて、観察やヒアリングを行ったところ、園として十分に実施していることが、保護者に伝わっていないことや子どもの利益にとって最善と考える仕組みについて、保護者の理解が不十分と思われることなどがうかがえました。保育参観には多くの出席者があり、保護者会とのコミュニケーションも良好な現況です。この他にも、保護者懇談会や個別面談の機会もあり、このような保護者との接点から解決策が見いだされると考えられます。積極的な取り組みが望まれます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ・園はキリスト教主義による保育を行っており、基本理念は「神を愛し隣人を愛する」としています。保育目標の一項には「国や文化の違い、成長の違い、育った環境の違いを尊重し、豊かな社会を体験できるようにする」とあり、利用者一人一人を尊重するものとなっています。
・年2回、園の保育方針及び子どもの人権尊重について、職員間で話し合う機会を設けています。また、子どもの呼び方については「さん」「くん」「ちゃん」とし、呼び捨てにはしていません。
・個人情報の取り扱いについては「入園のしおり」に明記し、保護者に説明しています。ホームページなどへの子どもの写真掲載については、その都度、掲載の可否を保護者に確認しています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 保育課程は園の基本理念・保育方針・保育目標や、保護者の状況及び地域性などを考慮し、子どもの最善の利益を第一義にして作成し、入園説明会で保護者に説明しています。また、保護者に配付する入園のしおりには、「年間保育計画」として、年齢ごとの具体的な成長の姿を記載しています。
・保育課程に基づき年齢ごとに年間指導計画・月間指導計画・週案を作成しています。さらに、幼児クラスでは異年齢グループの年間指導計画も作成しています。
・乳児は、個別指導計画を作成しています。幼児については、特別の課題がある子どもには個別指導計画を作成しています。配慮が必要とされる子どもについては、保育日誌に個人記録欄を設け、関係する職員間での周知を図っています。
・3歳〜5歳児クラスの異年齢保育を行っていますが、パーテーションを活用し、保育室を活動に応じて2分割・4分割にしています。乳児クラスにおいても可動式の仕切りや敷物などにより、保育室の環境構成を工夫しています。
・子どもたちは絵本読み・あやとり・ブロック遊び・粘土遊び・お絵かき・ごっこ遊びなどを自由に楽しんでいます。また一斉活動においては、友達と一緒に遊んだり競い合ったりするなかで、友達を気遣う気持ちやルールを守る大切さを学んでいます。
・屋上や園庭のプランターで、夏野菜(ゴーヤ・トマト・茄子・ピーマンなど)や草花(チューリップ・パンジーなど)を栽培しています。子どもたちは、毎年、裏庭の竹林で筍掘りや、地元商店会主催のジャガイモ掘り等の体験もしています。
・リズム遊び・歌・制作・描画・書道など、子どもの表現力を育てるプログラムを作成しています。保育室には画用紙や折り紙などを十分に用意しています。
・子どもたちが食べることに関心を持つように、年間食育計画をたてています。野菜の収穫、給食食材の下準備(そら豆のさや取り、トウモロコシのヒゲ取りなど)、クッキングなどを年齢に応じて取り入れています。
・旬の食材を使い季節感のある献立作りを心がけています。バイキング形式の食卓にしたり、おでん鍋を囲んで食事をしたりするなどの楽しい雰囲気作りに配慮しています。
・人気メニューのレシピを、折々に給食だよりに載せています。また、玄関にはその日の給食サンプルを展示し、お迎えの保護者に見てもらっています。離乳食や懇談会でのおやつの試食の機会も作り、子どもの食事作りの参考にしてもらっています。
・年度末には、保育内容・保育環境・保護者対応などへの設問で構成された保護者アンケートを実施しています。結果は分析を行い、保育方針理解の把握に役立てています。また毎月の園だよりには、日々の保育を通して具体的な内容を取りあげ、園の保育方針が理解してもらえるように努力しています。
・送迎の保護者とは、できる限り口頭での会話を心がけ子どもの様子を伝えるようにしています。連絡帳は、0・1歳児クラス、2歳児クラス、幼児クラスの3種類の様式を用いて保護者との情報交換を行っています。また、個人面談を年2回実施しています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 ・子どもたちの発達や状況に応じ、月間指導計画の作成・評価・見直しを行っています。指導計画の評価や見直しは、毎月職員会議で報告し、意見を出し合って作成する仕組みがあります。
・子どもや家庭の個別の状況・要望は決められた書式に記録し、事務室内の書庫で保管しています。
・特に配慮を要する子どもについて、職員会議で話し合い、記録しています。職員は要配慮児童の保育に関する研修に参加し、参加した職員は職員会議で研修報告をし、研修内容を職員間で共有しています。
・アレルギー疾患のある子どもの受け入れを行っています。医師からの「保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導表」に基づき保護者と話し合い、適切な対応をしています。
・文化の異なる子どもに対しては、それぞれの国の文化や生活習慣、考え方の違いを認め尊重しています。世界の国々の文化や習慣を描いた絵本を豊富に用意し、子どもたちが、様々な国や地域があることを知る機会を作っています。
・相談・苦情受付担当者は主任、相談解決責任者を園長であることや、第三者委員に直接苦情を申したてることができることを「入園のしおり」(重要事項説明書)に明記し、保護者に周知しています。
・外部の苦情解決窓口の紹介は、行っていません。「横浜市福祉調整委員会」や「かながわ福祉サービス運営適正委員会」など外部の苦情解決窓口の提示が望まれます。
・子どもの既往症については、入園時に保護者から情報を得ており、この記録を基に関係する職員間の周知をしています。また、クラス毎に「健康チェック表」を備え、登園時に体温・睡眠時間・健康状態を保護者に記入してもらっています。保育時間内は10:00と14:00にチェック表に記入し一日の子どもの健康状態の把握をしています。
・感染症等への対応に関するマニュアルがあり、入園時に保護者に配付する「入園のしおり」には、登園停止基準を設ける感染症の一覧を明記し、これに基づき保護者に説明しています。
・衛生管理に関するマニュアルがあり、各クラスには嘔吐処理セットを備えています。
・安全管理に関するマニュアルがあり、地震・火災等を想定し、備品の転倒防止対策・防火靴及び防災頭巾の常備・防火対応のカーテンや敷物などの対策を講じています。園舎は耐震補強工事を実施済みです。
・子どものケガについては、軽いものであっても必ず口頭で保護者に報告しています。「事故・怪我報告書」には、受診の有無にかかわらず事故やケガの状況や対応を記録しています。また「ヒヤリハット報告書」も備え、内容・原因・改善策などを記録し、事故防止対策をしています。  
4 地域との交流・連携 ・地域の子育て支援として、交流保育・園庭開放・プール開放などを行っています。交流保育は、移動動物園、運動会、もちつき、ランチ交流などのイベントをしています。また、園庭開放は月2回(7〜8月除く)、プール開放は週1回(7〜8月)としています。さらに、絵本の図書館を設け、地域の親子などを対象に絵本の貸し出しを行っています。
・育児講座は、食育に関すること・遊びに関することなど、テーマを変えて計画的に行っています。
・地域への子育て支援サービスをさまざま行っていますが、以前に比べて利用者が少なくなっているのが現状です。園の取り組みを積極的に地域へアピールするなどの工夫が望まれます。
・園庭開放日の来訪者や見学者などから育児に関し相談があった場合は、対応していますが、定期的(週1回以上)な相談日を設けて対応するには至っていません。
・子どもたちは地域住民と日々の散歩で交流したり、5歳児がお泊り保育時の買い物に地元のスーパーマーケットを利用したりするなどしています。また子どもたちは、地元商店会のイベント(ジャガイモ掘り・ハロウィン・JR駅見学など)にも参加しています。
・近隣保育園10園による「港北区南部エリア地域ドッジボール交流会」に5歳児が毎年参加しています。
・園のホームページがあり、園の基本方針やサービス内容など、将来の利用者が関心のある事項について、わかりやすい構成で掲載しています。
・「ヨコハマはぴねすぽっと」(横浜市のホームページ)や、港北区の子育て支援のホームページに、園情報を提供しています。またNPO法人刊行の保育園紹介誌への情報提供もしています。
・中学生・高校生の職業体験を受け入れています。受け入れマニュアルがあり、活動前のオリエンテーションでは、このマニュアルに基づき園の方針、及び利用者への配慮などを説明しています。学生の職業体験のほかに、図書館司書が月2回、子どもたちに絵本の読み聞かせに来てくれています。
・実習生を積極的に受け入れています。受け入れマニュアルに基づき、職員と実習生それぞれに説明を行い、園児への紹介と保護者へのお知らせをしています。  
5 運営上の透明性の確保と継続性 ・保育士等の自己評価(非常勤職員も含む)を踏まえ、保育所としての自己評価を行っています。
・職員の行動指針として「保育士のマナー」を作成し、全職員に周知しています。
・他施設での不適切な事案などについては、記事をコピーして職員に配付すると共
に、職員会議の議題にあげて話し合っています。
・職員が牛乳パックや菓子箱などを使って、手作りの椅子や足置き台・おもちゃを制作するなどして、リサイクルに取り組んでいます。また、ゴミの分別を子どもたちに伝え、保育室内には分別タイプのゴミ箱を設置したり、ペットボトルキャップ回収を行い、回収箱を玄関に設置するなどしています。省エネルギー対策としては、LED電球への順次の移行や、省エネルギータイプの電気機器への移行などを行う他、幼児クラスの手洗い場には、水の出しすぎを注意する掲示などもしています。こうした具体的な実践は多く行っていますが、園としての環境への考え方を明文化するには至っていません。
・園の重要な意思決定については、2ヶ月ごとに開催される保護者会会議で継続的な意見交換をしています。決定や変更の理由や根拠を提示し、何度も説明会を開いて理解と協力を得るようにしています。4年前の異年齢合同保育への変更にあたっては、保育士・栄養士が検討チームを作り、意見を出し合い取り組んだ経緯があります。
・主任クラスの職員を計画的に育成するプログラムを作成するには至っておらず、今後の課題としています。
・主任はリーダー会議に出席するほか、保育日誌の確認などから、各職員の業務の把握をし、一人一人の職員の能力や経験に合わせ、的確な助言や指導を行っています。また主任は出来るだけ職員に声をかけ、日常会話の中から職員の精神的・肉体的な状態の把握をするように心がけています。
・事業運営に影響のある情報は、園長が横浜市私立保育園園長会・港北区社会福祉協議会保育所分科会・キリスト教保育所同盟などから得ています。重要な情報は、園長・主任での話し合いやリーダー会議での議論をするほか、適宜職員会議などで一般職員にも知らせています。
・中長期的な事業の方向性は、運営法人で計画を作成しています。事業運営やサービスの新たな仕組みの検討、後継者の育成についても運営法人が計画的に行っています。
6 職員の資質向上の促進 ・「人材育成に関する計画書」を策定しています。入職時には、宗教法人としての園の基本理念・保育方針・保育目標を十分に説明し、キリスト教主義に基づいた保育姿勢を理解してもらうようにしています。
・職員は四半期ごとに自己評価を行い、期ごとに「次への課題」として、園長が達成度の評価をしています。
・職員は横浜市や港北区で行う研修、地域の他園への実地研修、キリスト教保育所同盟の研修などへ参加しています。園内研修は、「緊急体制演習」として、非常勤職員を含む全職員参加で感染症対応の想定演習を年1回実施しています。また、乳児クラスの保育士が幼児クラスでの保育を行う出張保育研修も取り入れています。外部研修に参加した職員は職員会議で必ず研修報告し、内容によっては担当クラスで実践しています。非常勤職員も、園内研修へ参加しています。
・非常勤職員の指導担当は、各クラスリーダーが務めています。また、園長が非常勤職員対象の打ち合わせを毎日行い、日々の連絡事項の周知と共に非常勤職員とのコミュニケーションの場ともしています。
・職員の自己評価と保育所の自己評価を毎年行っています。園はこの評価結果から表出した課題への取り組みについて、さらに検討を深めたいと認識しています。
・指導計画に関する自己評価は、結果に捉われることなく子どもが取り組む過程を重視しています。指導計画に関する評価及び反省を次の月間指導計画・年間指導計画作成に反映し、職員はさらに自己目標の達成度評価を次年度の目標設定につなげています。
・日常の保育及び保護者対応などをクラスやグループの担当職員が責任を持って対応しています。一般職員から園長までの職務分担表を作成し、報告・連絡・相談の流れをフローチャートにして職員に周知しています。
・園長が毎年一人一人の職員と個別面談を行い、職員の満足度や要望を把握しています。

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