かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

ウィング・ビート

対象事業所名 ウィング・ビート
経営主体(法人等) 社会福祉法人 電機神奈川福祉センター
対象サービス 障害分野 就労移行支援
事業所住所等 〒 213 - 0001
高津区溝口3-9-4津田メディカルビル1階
tel:044-822-0411
設立年月日 1951年04月01日
公表年月 2018(平成30)年04月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

<施設の概要・特徴>


就労移行支援事業所ウィング・ビートは、東急田園都市線高津駅から徒歩2分の大変交通の便の良い所にあります。社会福祉法人電機神奈川福祉センターが、平成26年に定員20名の就労移行支援事業所として業務を開始しました。ウィング・ビートは、発達障害者が一般企業に就職するために必要な力を身に着ける施設です。PC業務や事務作業、清掃、軽作業、職場実習などの発達障害の特性に応じた特別のプログラムを提供しています。利用者は様々な仕事を体験しながら、自身の強味を活かせる仕事を探します。利用者自ら自己アセスメントを実施し、就労に向けて自身がやるべき課題を認識し、職員と一体となって就労を目指します。
 法人の理念に、「障害者の社会的自立を目指す」「地域社会の充実を目指す」「福祉に対する啓発」を掲げています。職員は利用者一人一人の個別性に注目し、利用者の個別目標に沿って支援します。周囲とのコミュニケーションに苦手意識を感じていた利用者が、コミュニケーションプログラムや企業とのコラボレーション企画を通して自信をつけて施設を卒業していきます。
 

<特によいと思う点>


1.豊富な実習体験と就労後のアフターケアが利用者の安心感につながっています
法人のスケールメリットを生かし、また、ハローワークと連携し就労先企業を開拓しています。平成28年度は、26の企業に延べ1295人の実習を受け入れてもらいました。稼働日数は243日で一日あたりの実習者数は5.3人でした。利用者は就労まで平均6回の実習を経験しています。利用者の就労後のアフターケアに力を入れています。就労後の定着率は過去3年間で81%です。期限を定めることなく、本人や企業に対する直接的な支援に加えて、就労者の会、家族セミナー活動への支援が定着率の向上につながっています。


2.就労支援の目的を短期間で実現しています
20を超える個別プログラムと50種類に及ぶ集団プログラムを編成し、年齢や社会経験の有無等特性に合った働き方を指導しています。8ヶ所の体験実習先と連携し、利用者の希望や状況に合わせた実習を支援し、短期間で就労の見通しを持てるようにしています。当施設の入所から就労までの期間は平均13ヶ月です。就労支援の目的を早く達成していることがうかがえます。年2回企業見学会を実施し、働くイメージの醸成や、やりたいことや、やれることを見極める機会等にしています。


3.利用者のモチベーションの向上に配慮した支援です
2週間に1度の定期面談時に、利用者の意向を把握しています。年度末には利用者向けの満足度調査を実施しています。満足度調査結果の集計は、パソコンスキル向上の訓練として利用者に依頼しており、調査の分析とその情報開示をオープンに行っています。施設利用を検討するための体験実習生への初日対応や、年に1度開催される内覧会で、利用者が主体となって関係機関や地域住民に施設やプログラムを紹介しています。また、毎週更新される利用者ブログでは、利用者の事業所に対する想いを発信できます。


<さらなる改善が望まれる点>


1.サービス提供の標準化の一層の推進
事業の特性上、就労を目標に設定し、2年間で就労を果たさなければならないことから、本人の希望とは異なる目標を提案せざるを得ない背景がある為、利用者からは個別の計画策定について要望を聞いて計画に基づいた支援が出来ていないとの意見もあります。
 アセスメントから個別支援計画の作成、個別支援計画実践の記録からアセスメントの課題の抽出を、一連のPDCAの仕組みの標準化を図ることで一層のサービス支援の質の向上につながることが期待されます。


2.地域ボランティアの活用と障害者への地域理解の推進
現在ボランティアの受け入れはしていませんが、月に2回、地域の方が実施している公園清掃への参加や、地域の町内会の催事ポスターの作成依頼を受けるなど、積極的に障害者への地域理解の推進を図っています。今後も障害者福祉に関する地域の理解が深まることが期待されます。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 定期面談や個別面談で、個別の状況に加えて要望や不満などを確認して支援に反映させています。集団プログラムのメンバー構成については、利用者間の不満に配慮し調整を行っています。各利用者に固定した担当者がいないため、重要な相談を受けたときは、都度他職員との情報共有の是非を確認しています。また、質疑応答のルールが守れないなど利用者への指摘が必要な場合には、その場ではなく他の利用者のいないところで指摘し、「だめ」と否定せずに指導やアドバイスをしています。
新任職員研修時に権利擁護についての講義がパッケージされています。毎日行う「ニュース」と名付けた報告と情報共有の会合で、利用者尊重のサービスについて職員の共通理解を図っています。利用者の気持ちを汲み取って対応する意識と技術を磨くため、入職一年目にアサーション研修を行う計画を立てています。また年に1度、第三者委員を含めた苦情解決事業報告会を実施し、利用者尊重の基本姿勢について検討しています。法人全体研修や事業所内研修で、虐待防止を職員に周知しています。若い職員には事例検討の研修会を行っています。
個人情報については、契約時に法人の定める「個人情報保護規程」に基づく旨の同意書を取り交わした上で、就労前実習や施設移行先等への情報提供をしています。契約書には、本人、代理人・身元引受人がサインしています。職員は、入職時に個人情報保護の研修を受けています。職員の部屋に利用者が入ることもあるので、個人情報の取り扱いは日々慎重に行っています。毎月輪番制で個人情報管理を担当する職員がいて、机上に個人情報の書かれた書類が置いてあるなど違反事例を目にしたときは、レッドカードを置いて注意しています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 2週間に1度の定期面談時に、利用者の意向を把握しています。年度末には利用者向けの満足度調査を実施しています。満足度調査結果の集計は、パソコンスキル向上の訓練として利用者に依頼しており、調査の分析とその情報開示をオープンに行っています。利用者自身に事業所の内容を紹介してもらうことで、利用者の事業所に対する考え方を把握しています。毎週のブログで事業所のサービス内容を記し、内覧会で利用者が主体となって関係機関や地域住民に施設やプログラムを紹介しています。
個別支援計画については、通所開始当初からの目標変遷や、今何をすべき時期か一目でわかるような「支援経過表」を添付し、理解が深まるように工夫しています。「講習」プログラムでは、コミュニケーション・生活・健康など、様々な要素を盛り込み、自立の一助にしています。利用者の同窓会イベント"Master's Club"では、現利用者との交流企画を設けています。定期面談以外に、利用者が不安を抱えた時などには、随時面談を持ち対応しています。通所日数や利用時間なども心身の状況を見ながら柔軟に対応しています。
20を超える個別プログラムと50種類に及ぶ集団プログラムを編成し、年齢や社会経験の有無等特性に合った働き方を指導しています。8ヶ所の体験実習先と連携し、利用者の希望や状況に合わせた実習を支援し、短期間で就労の見通しを持てるようにしています。当施設の入所から就労までの期間は平均13ヶ月です。就労支援の目的を早く達成していることがうかがえます。年2回企業見学会を実施し、可能な限り利用者の体験実習を支援し、継続できる就労であることを見極めるようにしています。
法人のスケールメリットを生かし、また、ハローワークと連携し就労先企業を開拓しています。平成28年度は、26の企業に延べ1295人の実習を受け入れてもらいました。稼働日数は243日、一日あたりの実習者数は5.3人でした。利用者は就労まで平均6回の実習を経験しています。利用者の就労後のアフターケアに力を入れています。期限を定めることなく相談窓口を設定しています。就労後の定着率は過去3年間で81%です。就労者の会、家族セミナー活動への支援が定着率の向上につながっています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 利用者支援プログラムごとに作業手順書及び職員用の指導マニュアルを作成しています。プログラムは「強味・苦手の把握と必要な対策を持つ」「自分に自信をつける」「自己肯定-大人としての意識を持つ」「協調性、役割に対する責任を持つ」の4点を目標にしています。個別プログラムは20種類以上があり、軽作業、事務系作業、清掃作業があります。集団プログラムは講習、研究発表、運動、コミュニケーション及びグループワークがあり、平成28年度は延べ100回程度の集団プログラムを実施しています。
3ヶ月ごとにアセスメントを実施し支援ニーズを把握しています。アセスメントは所定の様式により、生活や就労に関するスキル、対人スキルや職場適応性等項目別に3段階評価を行います。本人によるアセスメントと全職員によるアセスメントを実施し、本人の希望を尊重し個別支援計画を策定しています。個別支援計画の課題に沿った支援の状況を支援経過表に記録しています。3ヶ月ごとに目標達成状況を評価し課題の継続の必要性について支援経過表に明記し、個別支援計画の見直しに反映しています。
利用者の日々の生活状況や日中作業の取り組み状況は、個々のプログラムの担当職員がオンタイムに「ニュース」データとしてPCに入力しています。また、アセスメント、個別支援計画、個別支援計画の実践記録の支援経過表等のデータは全て「ニュース」データとしてPCに入力し、全職員で共有しています。職員一人ひとりがPCを所持し、随時必要情報を確認し職員間のコミュニケーションを図っています。
生活管理表を用いて精神疾患の利用者の体調管理に気をつけています。体調と天気・気圧との関係など人それぞれの特性に配慮し体調の変化を見守っています。年一回定期健康診断を実施しています。感染症防止マニュアルを整備し職員に周知しています。保健福祉センターの保健師が講師となり今年11月に感染症予防研修を実施し衛生意識の注意を喚起しています。
4 地域との交流・連携 年に1度、利用者が主体となって関係機関や地域住民を招き、施設の様子やプログラムの内容を紹介する「内覧会」があります。また、3ヶ月に1度定期広報誌” ゛Wing beat life"を発行し、関係機関に配布するとともに、ホームページにも載せています。利用者が訓練や就職への思いを語るブログも開設し、週に1回更新しています。年に3回、コミュニケーションに苦手意識を抱く地域の求職者を対象に、「就活アプリ」という無料講座を開催し、就活ノウハウや、作業体験の機会を提供しています。
全国就労移行支援事業所連絡協議会、PDD関係機関連絡会議、高津区自立支援協議会、川崎市地域自立支援協議会全体会、中部地区就労支援ネットワーク会議の定期的な会合に出席し、情報交換や連携に努めています。中部地区就労支援ネットワーク会議は法人内の他事業所が主宰し、ウィング・ビートも主体的に活動に参加しています。高津区自立支援協議会では、施設の担当者と連携を図っています。また、利用者や家族の高齢化を見据えて、区内の包括支援センターとの交流企画に携わり、連携を深めています。
全国就労移行支援事業所連絡協議会において、全国レベルでの情報把握に努めています。また、幹事事業所を務め、厚生労働省などに政策提言等を行っています。NPO法人ジョブコーチ・ネットワーク主催のJC-net会議において、シンポジウムでパネリストとして発表したり、「選ばれる工夫」と題したポスター発表をしました。川崎市地域自立支援協議会全体会に高津区の委員として施設長が参加し、市の福祉政策等へ意見具申をしています。
5 運営上の透明性の確保と継続性 「障害者の社会的自立を目指す」「地域福祉の充実を目指す」「福祉に対する啓発」を理念に掲げています。また、「最善・最適な幸福の提供」「絶えざる研鑽と成長」を職員の使命と誓いとして宣言しています。職員は、理念及び使命と誓いを明記したカードを常時携帯し、理念の実践に向けての注意を喚起しています。理念をパンフレットやホームページに掲載し、また、障害者の職場の創出や働く力の育成、アフターフォロー等について利用者や家族に説明し、理念の実践に向けた施設の方針をや考え方への理解が深まるようにしています。
運営法人では、事業ごとに「3か年計画」を策定し、ウィング・ビートの3か年計画では、施設の運営方針及び発達障害者の就労スキルの向上等を重点行動計画として明記しています。また、法人の平成29年度事業方針に平成30年度以降は6か年計画を策定することを明記し、次期計画は報酬改定・制度改正に沿い障害者雇用率の改正への対応等の実施が明記されています。中・長期計画を踏まえ、単年度の事業計画を策定しています。事業計画に重点目標を明記し、就労移行支援事業、定着支援、運営全体の分野別に事業方針を明確にしています。
年に2回施設長は全職員と面接し、職員が理念や施設の方針に沿った利用者支援を実践していることを評価し、考課面接シートを用いて職員育成の目標管理を行っています。キャリアパスを明記した7クラスの標準業務一覧を整備し、業務や役割を明確にしています。全国就労移行支援事業所連絡協議会の幹事事業所としての役割を通して、管理者は報酬改定や定着支援事業創設等施設の動向やトレンドを把握し、事業運営に関する課題を明確にしています。
6 職員の資質向上の促進 定着支援事業を推進していくため、職員の増員を図り、将来の中核となる人材の確保に取り組んでいます。職員は「標準業務一覧」の各項目について自己評価を行い、考課面談において評価のすり合わせを行って、今後の目標を設定しています。法人入職時には個人情報保護や権利擁護の研修があり、事業所内研修では障害者関係の法律や職業倫理の研修を行っています。年に1度の法人職員全体研修では、虐待防止などの職業倫理を取り上げています。法人には資格取得の報奨金制度もあります。保育士、社会福祉士の実習受け入れを行っています。
法人でキャリアパス制度を導入し、7段階の各ステージにおいて細かく定めた「標準業務」を一つずつ達成していくことでステップアップしていく仕組みになっています。個々の標準業務の達成に向けて、現場の通常業務の中で職員を育成していく計画を事業所独自で立てています。職員は研修参加後にレポートを作成し、イントラネットにアップロードしています。事業内容の見直しや業務内容の変化に伴って標準業務が変わっていくことを踏まえて、現在見直しを進めています。
時間外勤務状況について、全員分のデータを前月、或いは昨年同時期と比較しています。残業削減の取り組みを行っています。育休や育児短時間勤務の延長など、女性が出産後も職場に戻りやすくしています。記録の煩雑さが残業に結びつくことを避けるため、テキスト関係のソフトウェアを導入し、リアルタイムに状況を記録したものにキーワードで検索をかけることで、多種の記録書類の作成が可能になりました。各職場に職場代表がいて、職場代表会議を組織しています。

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