かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

別所保育園

対象事業所名 別所保育園
経営主体(法人等) 社会福祉法人 芳浄会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 232 - 0064
南区別所2-14-10
tel:045-714-1178
設立年月日 1978(昭和53)年05月01日
公表年月 2018(平成30)年04月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 運営主体は社会福祉法人芳浄会です。開園は昭和53年5月で40年目を迎えました。京浜急行または横浜市営地下鉄「上大岡」駅から路線バスで6分、最戸町下車徒歩4分ほどの所にあります。定員は90名(平成30年1月現在98名在籍)で、延長保育、障がい児保育を実施しています。
 近隣の環境は古くからの住宅が道路沿いに広がる一方、駅にも比較的近く丘の上にまで新興住宅が増えてきている地域です。園は丈夫な体をつくる、豊かな心を育てる、自発活動を身につける、を保育目標として、小学校に行っても困らない、をモットーとする保育指導をしています。子どもたちは適度に広い園庭にある大型遊具やさまざまな遊具を活用して活発に遊びを楽しみ、伸び伸びと過ごしています。


《特に優れている点・力を入れている点》
○「学校に行って困らないこと」を念頭に、活動ごとに「目あて」を作り、集中して物事に取り組む力をはぐくんでいます
 活動の前には、子どもたちに「○○をするので、○○をします」という流れと目あてをていねいに説明しています。例えば、1歳児では、職員が白い画用紙を掲げ、これから画用紙に好きな絵を描くことを説明し、クレヨンを使い、さまざまな描き方(点、直線、曲線など)で絵を描いて子どもたちに見せています。ほかのクラスの製作の時間でも、完成品を見せて、手順を説明します。このように、言葉に視覚をまじえて手順を説明することで、子どもたちは、何をどうしたら完成するかを理解しています。作品の完成度はさまざまですが、活動のゴールが見えているため、子どもたちは落ち着いて椅子に座り、集中して取り組んでいます。製作以外にも目あてを作り、園の保育方針の一つ「学校に行って困らないこと」を念頭に、集中して物事に取り組む力をはぐくむ保育を実践しています。


○子どもの人権に配慮した「児童対応基準」があり、子ども一人一人が尊重されています
 日常保育における児童に対する基準、適切な対応を目的として作成された「児童対応基準」があります。その中には、「児童の呼称」「指導的な叱り方」「体罰の禁止」「言葉がけ」などについて、子どもの人権を尊重した対応について記載されています。「児童対応基準」に基づいて、職員は、子どもの年齢が低いころから、情緒や思いやりの心をはぐくみ、命の大切さを理解し、良いことと悪いことの区別などがつくように、日常の保育の中で言葉がけをしています。子どもたちは園で生活をしながら、自然に人権を尊重することの大切さがわかるようになってきています。例えば、転んだ子どもが歩くのが遅くなると、「大丈夫?」と声をかけるなど、友達を思いやる様子が見られました。職員は、子どもの良いところを伸ばし、子ども一人一人を大切に見守って保育を実施しています。


○保護者との連携をしっかりとっています
 保護者との連携を図るために、工夫をしています。年度初めに行事予定表を配付し、保護者の参加を条件とする行事、さらに家族での参加が望ましい行事については入園説明会やクラス懇談会で説明し、了解を得ています。親子での製作や餅つきなどを実施して、保護者の活躍の場を作っています。クラスだよりにはその月のカリキュラムを具体的に記し、現在、活動や生活習慣づくりのどこに重点を置いているかがわかるようにしています。保護者が運営する「父母会」(保護者組織)があり、年6回程度会を開いています。父母会は、運動会など園の行事を手伝うだけでなく、交通安全教室や人形劇のイベントなどの手配を行ったり、給食試食会を園と相談して進めたりしています。父母会から園に対する建設的な意見が出されることもあり、園はその内容を検討して改善につなげています。


《事業者が課題としている点》
 職員全員を対象にした一斉研修の機会をなかなか設けることができないため、今後はどのように機会を作っていくか職員と話し合っていきたい。また、各種マニュアルの理解度についても多岐にわたるため、少しずつ改善していきたい。地域への貢献活動については、赤ちゃん教室を開いても参加者が少なく、子育て世代がなかなか表に出てこないのではないかと感じていることもあり、今後は地域への情報の周知方法などについても考えていきたい。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 園の保育理念は、「児童福祉法の理念に則り、子ども一人ひとりを大切にし、保護者や地域から信頼され愛される保育園を目指す」とあります。保育方針は「子どもにとって安心、安全で、安らぎの場であることを目標とする」を基本しています。これらは、採用時に配付される「児童対応基準」に沿って職員の意識と取り組みについて説明しています。また、職員会議でも、日ごろの保育を理念と照らし合わせ実例をふまえて共有しています。保育理念、保育目標を園玄関に掲示しています。「学校に行って困らないこと」を念頭に置いて実施される給食、食育、3歳以上の英語教室、体操教室などのサービス内容は保育方針に沿ったものになっています。
 園には、日常保育における児童に対する基準、適切な対応を目的として作成された「児童対応基準」があります。その中には、「児童の呼称」「指導的な叱り方」「体罰の禁止」「言葉がけ」などについて、子どもの人権を尊重した対応が記載されています。そして、子どもに対する言葉のかけ方では、否定的な言葉を使わないことを職員は周知しています。子どもに対して、あいまいな言葉ではなく、具体的に伝え、子どもが自発的に頑張ろう、行動しようと思えるような言葉がけをするように配慮しています。さらに、職員間でもお互いに注意し合っています。
 個人情報について、ボランティアや実習生にも受け入れ時にマニュアルに沿って確認を取っています。保護者には、「個人情報等の使用にあたってのお願い」という書面を渡し、具体例をあげて配慮してもらう事項を明記して了解を得ています。また、クラス内に掲示する写真についても保護者の了解を得たうえで掲示しています。職員は日常的に「個人情報取り扱い規定」、守秘義務の重要性について周知し、さらに職員会議においても注意喚起をしています。職員にも、園内の撮影は園長の許可がある場合以外は禁止しています。個人情報が含まれる書類は事務室の中にある書庫に施錠保管されています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

 保育課程に基づき、1期〜4期までのねらいに沿った年齢ごとの「年間指導計画」があります。そして、年間指導計画を基にして「月間指導計画」「週日案」を作成しています。この指導計画を作成するにあたってはクラスごとに話し合い、さらに乳児会議や幼児会議で他の職員の意見も取り入れています。園では製作をするときに、完成品を見せ、「目あて」を子どもたちに伝えて活動することを大切にしています。指導計画を作成するとき、例えば「外遊び」という大きなくくりがある場合、どのような外遊びがしたいか、職員が子どもたちの活動の様子や、子どもたちの興味、意見を汲み上げて計画に取り入れるようにしています。
 入園決定後に入園説明会を行い、園長が重要事項説明書に沿って園の説明をしています。その際に「面接票」「家庭調査票」などを配付しています。配付物は家庭で記入し、後日行われる新年度入園面接に持参してもらっています。面接では、配付した資料や母子手帳を参考に保育士が面接を行って、子どもの様子、保護者とのかかわりなども観察しています。面接では、子どもの好きな遊び、アレルギー、保護者から園への希望などを聞き取り、面接の記録は園長が目を通し、統括主任、主任、担任に周知されています。さらに、職員会議で個々の子どもの状況について情報交換し全職員が共有しています。面接時に得た情報、例えば子どもの既往症、アレルギー疾患などは日々の保育に生かされています。
 0、1歳児の部屋では、0歳児には畳の部分で遊具などが用意され、ゆったりとハイハイができ、子どもが落ち着ける居心地の良い空間になっています。0歳児と1歳児の部屋は、0歳児が座る長椅子で区切られ、0歳児はこの長椅子で1歳児の方向を見ながら製作や食事をしています。0歳児の食事と活動の場所は畳の空間で、1歳児の部屋と午睡の場所を確保しています。ほかの年齢の保育室は独立しており、部屋の中を仕切って食事、睡眠それぞれのスペースを作っています。2階には乳児専用のテラスがあり0〜2歳児の交流が日常的に行われています。同じように1階の園庭では3〜5歳児の交流があります。1階にはホールがあり雨の日などは異年齢で遊べる空間となっています。


3 サービスマネジメントシステムの確立

 入園説明で短縮保育について説明しています。短縮保育は、子どもの状況や保護者の就労状況に応じて保護者と相談のうえ個別に対応しています。0、1歳児の担任は決まっています。子どもの心の拠りどころとなるタオルなどの持ち込みにも対応しています。0〜2歳児の連絡帳は、園と家庭での子どもの状況がわかるようになっていて、ときには保護者の気持ちなどが記載されていることもあります。職員は保護者に口頭でも子どもの様子を伝え、保護者の気持ちにも沿うようにして信頼関係を築いています。担任は持ち上がりを基本にしています。特に2歳児には、幼児クラスに進級して環境が大きく変わることに配慮して、2月ごろから幼児の園庭や幼児階のトイレの使用をしたり、ゲームなどでルールや約束に触れたりする機会を作っています。
 配慮を要する子どもを受け入れる体制があり、配慮を要する子どももみんなと一緒に過ごすことが楽しいと感じられるように支援をしています。職員は障がい児保育や統合保育、ADHD(注意欠如多動性障害)、配慮を必要とする子どもの個別指導計画のたて方などの研修を受講して、研修後は研修報告を行い、情報を職員間で共有するなどしています。特別な配慮を必要とする子どもの受け入れに際し、個別のケースについては職員会議や保育会議で話し合い情報を共有し、全職員がその子どもに同じ対応ができるように配慮しています。必要に応じて、園長が保護者と個人面談を行っています。なお、対象となる子どもには要配慮児指導計画を作成しています。
 園は自園給食で子どもたちに提供をしています。食物アレルギーのある子どもの情報は入園説明会後の面接で周知し、食物アレルギーのある子どもについては、横浜市の「保育所における食物アレルギー対応マニュアル」に沿って、保護者にアレルギー疾患生活管理指導表を提出してもらい対応しています。そして、会議などで子どもの情報を職員間で共有しています。アレルギー除去食を提供する際には、専用トレーに子どもの名前、アレルゲンの種類を表示して、だれの目にもはっきり区別できるようにしています。献立は保護者にも確認をしてもらっています。


4 地域との交流・連携

 園の保育課程の表題部に保育理念として「児童福祉法の理念に則り、子ども一人ひとりを大切にし、保護者や地域から信頼され愛される保育園を目指す」と記して、また、園の社会的責任として「地域に根ざす児童福祉施設として、子育て家庭や地域の要望に応える」として、園は在園児だけでなく、地域の子育て支援も園の重要な使命として取り組んでいます。公園に散歩に出かけたときに出会う親子連れや、園庭開放、園の行事に参加された保護者などから、園への要望を受け意見を聞いています。また、育児相談を受け付けて、相談者からも園への要望を聞いています。園長は横浜市や南区の園長会、南区社会福祉協議会福祉部会会長として会合に参加して子育て支援ニーズの把握に努めています。
 将来の利用者のために、南区こども家庭支援課や南区地域子育て支援拠点「はぐはぐの樹」、別所コミュニティハウス(町内会館)に園のリーフレットや入園のしおり(入園案内)、重要事項説明書などを置かせてもらい、いつでも見てもらえるようにしています。入園のしおりには外国製の大型遊具を備えた園庭や園舎の写真とともに、園の概要(沿革、規模や保育時間、定員など)、保育方針、目標、年間行事、一日の保育活動、費用など必要な情報を記載しています。園の情報は南区こども家庭支援課や横浜市こども青少年局のホームページなどに情報提供しています。なお、園のホームページは更新手続き中のため現在休止中で、更新が待たれます。
 利用希望者からの問い合わせには入園のしおり(入園案内)や重要事項説明書、園のリーフレットなどを事務室に置き、これに基づいて園長または統括主任が常時対応できるようにして、保育理念や方針、サービス内容などを説明しています。利用希望者には見学ができることを案内しています。園の見学は子どもたちの活動の様子がわかる平日の午前10時ごろをお勧めしますが、都合がつかない場合は、保育に支障を来たさない範囲で見学者の希望に応じています。見学者には入園のしおりを渡して、園長や統括主任より園の理念、方針や園の特徴、サービス内容などを説明して、園内を案内しています。


5 運営上の透明性の確保と継続性

 就業規則の中の服務規律には守秘義務や個人情報保護など職員として守るべき法、規範、倫理などを明記してあり、全職員は入職時に園長から説明を受け、誓約書を提出しています。また、園の保育理念でも子どもの人権尊重などの倫理を学んでいます。職員が行う自己評価でも保育理念の理解とともに守秘義務などを守っているか確認をしています。決算書などの経営情報は横浜市管轄の社会福祉法人芳浄会として情報公開されています。世間で発生した子どもの虐待などの人権侵害事例は新聞記事などを基に速やかにミーティングなどで学び、早期発見や注意点の再確認をしています。
 環境保全について、ごみの減量化では子どもたちにごみの分別について話をして、実際に自分で分別できるよう指導しています。リサイクルのための取り組みではペットボトルや牛乳パック、ティッシュなどの空き箱、新聞紙、段ボールなどの廃材を工作材料にし、省エネルギーの促進では不要な箇所の速やかな消灯、エアコン使用の適正管理、照明のLED化などにより節電に努めています。緑化の推進では、園の空き地やプランターで野菜を育てたり、草花を栽培したりしています。訪問調査時は、保護者が協力して集めたペットボトルを切って、その中で40匹のかぶとむしの幼虫を育てており、また、「節電しましょう」や「おみずをたいせつに」のステッカーを電気スイッチの近くや手洗い場に貼るなど、環境への取り組みを明文化して、運営に生かしています。
 園の保育理念、保育方針、保育目標を玄関に掲示し、職員や保護者が常に確認できるようにしています。また、これを記載した入園のしおりを全職員に配付しています。園長は年度初めの職員会議で保育理念、方針、目標を説明し、周知を図るとともに、重要なポイントを随時職員会議などで説明しています。また、保育理念、方針、目標は保育課程の表題部にも記載して、クラス会議などで指導計画の振り返りを行う際にも保育内容が保育理念や方針に合致しているかを確認しています。職員は年度末の自己評価でもこれらの理解度を問われています。園長との個別面談では、園長は職員が保育理念や方針を理解して保育実践を行ってきたか確認しています。


6 職員の資質向上の促進

 園長の年度の研修計画に基づいて、統括主任は横浜市や南区、大学、教育機関などの研修案内を職員に提示して希望を募り、また本人や職務に必要な研修は園から指名して具体的な研修計画を取りまとめています。内部研修は毎月定例の職員会議の中や感染症など必要の都度行っており、非常勤職員も必要な研修には参加できるようにしています。外部研修や南区の福祉作業部会での福祉施設見学にも参加しています。外部研修参加者は研修報告書を提出して職員会議で内容を発表して、職員の研修内容の共有を図っています。研修に参加できなかった職員には研修報告を回覧しています。園長と統括主任は研修後の保育への活用状況などから研修を評価し、次につなげています。
 職員は年度末に保育理念や守秘義務、子どもの最善の利益などの諸項目について年度を総括した5段階の自己評価を行っています。職員の自己評価を基に、園長と統括主任が園の自己評価を作成しています。子どもの健康で丈夫な体作りと広い視野を養うために、月2回の体操教室と週1回の英会話を実施し外部から体育講師や外人講師の指導を受けています。
 保育に関する自己評価は、年間指導計画は四半期ごとに、月間指導計画は週ごとの活動内容を記載して月ごとに、これに日ごとの日誌を含め、クラスごとに定型化された書式により行っています。自己評価は計画の目標やねらいと関連付けています。保育の自己評価は、例えば5歳児の指導計画では「子どもたちが苦手なことに挑戦したり、力を合わせて運動会の練習に挑戦していく中で、自然と一緒になって応援し合ったり、喜び合ったりしていた」とあるように、その結果だけでなく、子どもたちの挑戦する意欲や取り組む過程を大事にして行っています。職員は自己評価を通して、自己の実践を振り返り、その内容の改善や次の計画作成につなげています。


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