かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

横浜市奈良保育園(2回目受審)

対象事業所名 横浜市奈良保育園(2回目受審)
経営主体(法人等) 横浜市
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 227 - 0036
青葉区奈良町1843-1
tel:045-961-6276
設立年月日 1975(昭和50)年05月20日
公表年月 2018(平成30)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

[施設の概要]
横浜市奈良保育園は青葉区の南西部に位置する公立保育園です。周辺は緑が多く自然豊かな地域で、東急こどもの国線「こどもの国駅」から徒歩10分ほどの住宅地にあります。園周辺には地域ケアプラザや地区センター、小学校が点在しています。
開所時間は7:00から19:00(土曜日は7:30から16:30)まで、定員は1歳児から5歳児までの69名で現在68名が在園しています。
園目標に「健康な体をつくろう」「たくさんあそぼう」「楽しく過ごそう」を掲げ、子どもたちが意欲的に遊びながら生きていく力をつけて、楽しく過ごせることを大切にしています。開園して42年になり、親子2代にわたって保育園を利用している家族もあるなど、温かい雰囲気の中、家庭に次ぐ『第二のおうち』となるような保育を目指しています。

 

≪優れている点≫

1.恵まれた環境の中で、子どもたちは元気いっぱいに遊んでいます
保育姿勢の一つに「恵まれた環境や自然の中で思い切り遊びに熱中し、楽しめるような援助をしていく」を掲げ、職員は子どもが主体的に意欲的に遊べる環境を整えることに努めています。園庭には欅や木蓮などの樹木、小さな築山や畑、田んぼがあり、すべり台、ジャングルジムなどの遊具が設置されています。子どもたちは毎日外遊びを楽しみ、野菜や花を育て、田んぼで稲刈りを体験しています。園の周辺には10ヵ所もの自然豊かな公園や遊び場があり、週に1〜2度出かけています。
保育室内にはロッカーの配置や部屋の壁際・隅を工夫した小さなコーナーを設けています。いくつもの角型テーブルと小さな丸いテーブル、職員手作りの椅子などを置いて遊べるようにしています。おもちゃ棚には園の長い歴史の中で、大切に使われてきた多種多様のおもちゃが、種類別に置かれて自由に使えるようになっています。保育室の壁面に子どもたちの絵が職員手作りの額縁に入れて展示され、子どもの作品を大切にする職員の姿勢がうかがわれます。

 

2.職員の工夫により家庭的で使いやすく温かい雰囲気を創っています
園舎は築42年の建物ですが、昨年改修されたトイレをはじめ、カーテンやロッカー、おもちゃ棚のカバー類などが桜色の濃淡で統一され、園舎内全体が清潔で温かく優しい雰囲気で包まれています。玄関の棚にはシクラメンの鉢植、壁面には、卒園児が一生懸命一針ずつ縫って作った大きな布製のカレンダーなどが飾られています。玄関には色画用紙の保管棚が置かれていますが、布のカバーがかけられ温もりが感じられます。
トイレや保育室壁面、手洗い場など水回りの小物類はワイヤーネットやかごなどを効果的に使って、子どもたちや保護者が使いやすいような配慮が随所に見られます。また、保育室のテーブルの脚にはキルティングの布で手作りしたカバーが巻いてあり、子どもが転んでぶつかっても、怪我をしにくい工夫をしています。
 今ある環境の中で、過ごしやすく創意工夫を重ね温かみある快適な空間で保育が行われています。

 

3.地域の人々との交流や子育て支援の積み重ねで、地域の保育園としての役割を担っています
青葉区の公立保育園で取り組んでいる「子育て応援保育園」として、地域の子育て支援サービスを積極的に行っています。園庭開放や育児相談・交流保育・育児講座・ふれあい給食・ひだまり広場など園の専門性を活かした多彩な事業を定期的に行っています。地域の親子が安心して過ごし子育ての相談ができる場所を提供し、園児と地域の子どもの交流を図っています。
近隣の敬老会の方を招待して園児の歌を披露しています。近隣の地域ケアプラザや地区センターの催しに参加して、世代間の交流も積極的に行っています。開園から40年以上が経過し、地域の方との交流も長く、親子2代で通園した方もいます。
地域の店舗の協力で、手作りの引換券で園児が買い物体験をしたり、園で育てたサツマ芋を業務用の窯で焼いてもらって「おいもパーティー」をしています。園の畑や田んぼの生育状況を気にかけてくれる方、ぶどう棚の剪定に毎年来てくれる方がいます。「おもちつき」には卒園児の親族が杵と臼を持ち込んで指導してくれるなど、地域の暖かい目が注がれています。近隣の家を回って園の行事をお知らせし、園児がついたお餅をお裾分けする交流もしています。地域の人々の理解と協力を得て、地域の保育園としての役割を担っています。

 

4.子どもたちが給食を楽しく食べられるように、食育に取り組んでいます
  「食育カリキュラム」「畑の計画」をもとに、子どもたちが『食』に興味をもち、「たべることって楽しい」と思えるように食育に力を入れています。今年度の園課題に「子どもたちが給食を楽しく食べられるように」を挙げています。子どもに収穫やクッキングの取り組みを通して、食への関心が持てるように働きかけています。また、調理室から保護者へ食育に関しての発信を丁寧に行っています。
園にはプランター栽培の他、4か所の小さな畑と田んぼがあり、ブドウ、ブラックベリー、ブルーベリーも実をつけます。プランターでは人参、かぶ、きゅうりなど、畑ではゴーヤやさつま芋、三尺豆、ジャガイモなど育てています。きゅうりはかっぱ巻きやきゅうりもみに、ゴーヤは誕生会の後で、園長と調理の職員とのお店「かっぽう なら」で、子どもたちの目の前でてんぷらにして、揚げたてをごちそうしました。子どもたちは大絶賛でした。5歳児クラスはジャムやお米作りに挑戦しています。

 


≪課題や改善することが期待される事項≫

1.マニュアルの適正管理が期待されます
マニュアルには横浜市統一のマニュアル、区単位で作成されたもの、奈良保育園作成のものがありますが、一冊にまとめて事務室で保管しています。各保育室では必要に応じて、写しを部分的に保管したり、掲示して活用しています。園は正規職員の多くが経験豊富なため、マニュアルで確認することなく保育の実践が出来ています。マニュアルを必要に応じて見直すものと、定期的な見直しをするものと分けて行っています。横浜市作成のマニュアル類は作成部署や作成年月日が記載されていますが、園で作成したものについては作成部署や作成日、改訂日の記載のないものが見られます。マニュアルごとに見出しをつけてファイリングしていますが、目次は作成していません。
常勤職員の定期的な異動や非常勤職員の入れ替わりを踏まえて、マニュアルの適正管理が期待されます。目次をはじめ、作成部署や作成日、改訂日の記載はもとより、健康管理、衛生管理、安全管理など内容が多岐にわたるものについては種類ごとに使いやすく整理するなどして、常に最新のマニュアルが速やかに活用できるような管理が期待されます。

 

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

保育理念では「子どもの人権や自発性を尊重し最善の利益を保障する」などを謳っています。保育方針は「時代のニーズや地域の特性を理解し、子育てに関わる人々が喜びを持って子育てができるように支援の充実に努める」ほか4項目を定めています。保育理念や保育方針を具現化するために、園目標と3項目の保育姿勢を定めて、園内に掲示しています。これらの理念、保育方針などは利用者本人を尊重したものになっています。


職員は人育理念では「子どもの人権や自発性を尊重し最善の利益を保障する」などを謳っています。保育方針は「時代のニーズや地域の特性を理解し、子育てに関わる人々が喜びを持って子育てができるように支援の充実に努める」ほか4項目を定めています。保育理念や保育方針を具現化するために、園目標と3項目の保育姿勢を定めて、園内に掲示しています。これらの理念、保育方針などは利用権研修及び全職員参加の園内研修で子どもの人権や、保育者の言葉による虐待について学んでいます。職員は大きな声を出すことなく、子どもたちが集中するまで静かに待ち、穏やかに、ポイントを押さえた話し方で接しています。子どもには肯定的な言葉かけを心がけています。子どもが一人で過ごせる場所は、ロッカーの置き方を工夫して作られたコーナーや衝立・事務室を利用するなどしています。


職員が遊びや行事の役割・服装・順番・整列などで、性別による区別をすることはありません。折り紙やレゴ遊びなどでは、男の子女の子の数人で教え合い、自由に作って遊んでいます。職員は、性差による先入観や固定観念が無意識の中に残っていないかと常にふり返りをしています。障害のある子どもについては、保護者の同意を得たうえで、地域療育センターの巡回相談で助言や情報を得て日々の保育に活かしています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

職員は日々の保育の中で子どもの意見や意思を汲み取る努力をして、指導計画の作成や見直しに反映させています。子どもの自主性や主体性を育て発揮できるような指導計画になっており、子どもたちの状況を考慮しながら柔軟に対応しています。1、2歳児の個別指導計画は、クラスごとの月間指導計画に含まれており、一人一人の子どもの成長に合った配慮が行われるように、乳児会、カリキュラム会議などで検討しています。


園庭には築山、砂場、ジャングルジム、小さな田んぼと畑があります。子どもたちはアリやダンゴムシと遊び、田植えをして、稲刈りまで体験しています。畑ではゴーヤやさつま芋などを育てています。採れた作物は調理して食べ、子どもの食への関心を深めています。幼児クラスでは手作りのお絵かき帳を個々にもち、自由に楽しめるようにしています。「リズムと歌の年間計画」をもとに、年齢や発達に合った歌やリズを取り入れています。リズム遊びは全園児で、和太鼓は幼児クラスが保護者会の協力を得て、外部の講師を招いての練習を月に一回行い、保護者を招待しての演奏会も楽しんでいます。


「食育カリキュラム」「畑の計画」をもとに、子どもたちが『食』に興味をもち、「たべることって楽しい」と思えるように食育に力を入れています。保護者会のために場所を提供し、議題によって園長やその他の職員が参加して保護者の意向を把握しています。「夏まつり」「もちつき」は園と保護者会の共催で、計画から実施まで連携して行っています。保護者会が主催する「観劇会」の劇団や演目の選定は園と保護者で情報共有し、保護者とコミュニケーションを取っています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

「保育園のしおり」に苦情解決制度について記載し保護者に説明をしています。苦情受付担当者、苦情解決責任者ともに園長とし、2名の第三者委員を定めています。園の行事に第三者委員を招待して保護者に紹介するとともに、園の保育内容を知ってもらう機会にしています。


「奈良保育園衛生管理マニュアル」を作成して衛生管理を行っています。マニュアルには子どもたちが健康で活動できるように、日ごろから保育環境を清潔で安全に整えておく必要があるとして、消毒役の種類と用途、おもちゃ、手指、砂場、寝具などの消毒法や下痢便、吐物の処理についてなど、詳細に記載されています。昨年夏は蚊の駆除に取り組み、職員で下水用桝の清掃をして蚊の発生が少なくなっています。


火災監視及び不審者侵入等の防止策として、警備会社に委託し、24時間体制で警備しています。消防署や警備会社と連携し、地震や火災、集中豪雨を想定した年間の「防災訓練計画」及び、不審者侵入を想定した「防犯訓練計画」を毎月1回実施しています。災害時に備えて幼児クラスは上履きを使用し、保育室にヘルメットを保管しています。年齢別の事故防止チェックリストや室外安全点検表などを用いて園舎内及び遊具の安全点検を実施しています。固定遊具は年1回、業者による安全点検を行い、家具には滑り止めや転倒防止金具、乳児室扉にはロックをつけています。事務室にAEDが備えて職員は救急救命法の講習を順番に受けています。

4 地域との交流・連携

青葉区の公立保育園で取り組んでいる「子育て応援保育園」として、園庭開放、交流保育、育児講座、ふれあい給食、ひだまり広場など多彩な育児支援サービスを行っています。参加者に保育アンケートを実施して地域の子育て支援ニーズを把握する努力をしています。毎週木曜日の育児相談では子育ての不安や悩みの相談を受け、園で行っている子育て支援事業や関係機関を紹介しています。


近隣の敬老会から高齢者を招待し、お茶を飲んで自己紹介の後、ふれあい遊びや歌を楽しんでいます。5歳児が地区センターの「すこやか会」に参加して高齢者と会食し、歌の披露をしました。地域ケアプラザのお祭りで作品の展示や太鼓を披露するなど、地域の中で世代間交流をしています。


青葉区福祉保健センターで配布している冊子の中で紹介されており、園が作成した育児支援事業についてのチラシも置いてもらっています。青葉区の保育園紹介のパネル展に参加し、園の情報を展示しました。地域子育て支援拠点「ラフール」のホームページでは近くの子育てスポットとして紹介されています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

自己評価のチェックリスト作成し実施しています。「職員全体の自己評価」から「保育所の自己評価」を作成し、評価結果を踏まえて「今年度の課題、取り組み状況・保護者アンケート結果」を公表しています。昨年度は展示コーナーのわかりやすい展示など5つの課題について取り組んでいます。


横浜市公立の保育園として、保育の基本的な理念をまとめた「よこはまの保育」に則って保育を行っています。コンプライアンス研修、個人情報については全職員が受講し、園独自に「より良い職場づくりのために」の文書を作成して全職員に周知しています。園の情報については横浜市や青葉区ホームページに掲載されています。大きな事件や事故については青葉区こども家庭支援課から記者発表などで、再発防止に向けての取り組みを含めて公開しています。


各部屋の目につきやすい場所に、園目標を大きく掲示してあります。園目標や保育姿勢は園のしおりにも掲載してあり、入職時に説明するほか、必要があれば機会をとらえて会議などで話しています。非常勤職員が多く、入れ替わりが激しい中で、園長は職員の行動を見て理念や保育姿勢などが理解できているかの判断をしています。

6 職員の資質向上の促進

「よこはまの保育」を実施するために、横浜市こども青少年局が策定した「保育士人材育成ビジョン」に、保育士の人材育成の基本方針や育成の体系・取り組みについて示されています。転勤や退職、育児休暇などに伴う職員の補充は正規職員については局で、嘱託職員は区で、アルバイト職員は園で行っています。年度当初、常勤職員は園長と1年間の目標共有シートを作成し、園長と面談しながら目標設定をし、年度末に振り返りを行っています。園長は面談の中で職員の思いを聴くことを大切にしています。


年間研修計画をもとに計画的に研修に参加しています。研修の担当者は主任です。総務局主催の人材育成体系研修、各区で実施している人権研修をはじめとする外部への研修には昨年度、延べ38人が参加しています。今年度の内部研修は感染症対応や人権研修のほか、2回目の福祉サービス第三者評価受審に向けて、保育所の自己評価をしながら一年間を通して全職員で話合っています。また、勤務時間外に手作りおもちゃ製作の自主勉強を6回行っています。


職員としての経験・能力や習熟度に応じた役割は保育士人材育成ビジョンの中で、「横浜市保育士人材育成計画〜保育士に求められる役割、能力、知識」として詳細に明示されています。クラスの運営や子ども・保護者への対応については基本的にクラス担任に任せています。相談や助言を求められる場合でも、自分の考えを持ったうえで出来るように指導していますが、最終的な責任は園長が負う体制になっています。業務の改善提案は職員のシフトの公平さなど、職員は気が付いた点を指摘して改善につなげています。

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