かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

相模原市立上矢部保育園(2回目受審)

対象事業所名 相模原市立上矢部保育園(2回目受審)
経営主体(法人等) 相模原市
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 252 - 0207
中央区矢部新町3-1
tel:042-755-3297
設立年月日 1977(昭和52)年04月01日
公表年月 2018(平成30)年03月 〜
使用評価項目 神奈川県社協版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

<施設概要>
 相模原市立上矢部保育園は、JR矢部駅からは徒歩3分程の場所にありながら、自動車道路に面しておらず、県営住宅や公務員官舎、大型マンションなど中高層の住宅や、大きな樹木に取り囲まれ、季節を感じられる落ち着いた環境で子どもたちの保育を行っています。定員125名のところ現在は126名が在園しており、生後2ヶ月より受け入れを行っています。
 園は昭和52年に開設され、建物も築40年を経過し、必要な補修を施しながら老朽への対策を行い、古さを感じさせない清潔感があります。
 意欲と思いやりのある子どもに育てる保育、地域に根差した保育を目標として保育を実践しています。


<優れている点>
1.子どもの主体性と創造性を伸ばす保育を実践しています
 「豊かな心をはぐくむ保育」を保育理念として、子どもの主体性を尊重し伸ばす保育を行っています。子どもたちはそれぞれ自分に合ったペースで、遊びなどの活動を自主的に選択します。園庭での戸外活動では、遊びを自由に選択し、年齢やクラスに拘らず、自由にのびのびと楽しんでいます。保育士は、子どもの成長が次のステップに繋がるような提案をしながら見守ります。園外散歩も含め、季節を楽しみ体感することで感性を育てる遊びを工夫しています。
 4・5歳児の昼食は、ランチルームがオープンしている70分の時間内で、子どもが自分で遊びに区切りをつけて、好きな時間に食事をとります。大、中、小に盛り付けられた主食を自分で選択し、副食と一緒にトレイに乗せて、子ども同士誘い合いながら好きなテーブルに運びます。おかわりも子どもが自分で決めます。自分で量を選び完食することで、その子の自信につながっています。子ども自らの発想や考えを大切にして個々のペースに合わせた保育が実践されています。


2.職員間の情報共有が積極的に行われ、保育理念の実践につなげています
 全職員ですべての子どもを保育するという方針の下、職員は子どもたちの様子と情報を把握し、共有しています。「乳児の話し合い」「幼児の話し合い」という職員会議を開催し、子どもの成長や発達状態、配慮を必要とする事柄などを全職員で確認します。クラスごとには、毎月子どもの個別的なことや課題、目標などを話合い、情報を共有しています。調理職員も、子どもの摂食状況を実際に見て回り、把握したことを職員会議で伝えるなど、申送りノートや口頭伝達も毎日行いながら、保育を行っています。
 職員会議や参加した外部研修の内容は、必ず職員全員に伝達されるよう回覧しています。
 又、保護者からの意見や提案については、職員会議等で情報が共有され改善に向けた話し合いが行われています。


3.地域への子育て支援が充実しています
 園に配置されている地域担当保育士を中心に、様々な支援メニュ―を用意し、地域での子育て支援を重層的に行っています。
 園独自では、月曜日から土曜日までの園庭開放、図書等の貸出し、毎月行っている保育園の子どもと一緒に過ごす誕生会やスマイル(園児と一緒に遊ぶ、行事参加等)を実施するほか、随時育児相談や育児の情報提供をし、これらをちらしや掲示で地域住民に知らせています。
 大野北地区としては、保健師や民生・児童委員、主任児童委員等とも連携して子育て支援交流会を行い、子どもと一緒に遊びながら保護者の仲間づくりを進めるとともに、他団体の子育て事業への協力、子育てグループへの支援も行っています。


4.マニュアルが組織的に整備され、職員に周知徹底が図られています
 人権を尊重すること、子どもたちや保護者に対して、安全かつ安心の対応をすること、それらの具体的実施についてなど、相模原市が基本的なマニュアルを整備しており、更に具体的な保育場面では園の保育マニュアルがあらゆる場面を想定して策定されています。職員は、これらの内容について、職員会議や自主研修を通して共通理解を深め、保育実践に活かすよう、振り返りや自己チェックを行い、次年度に向けての業務改善につなげるよう取組んでいます。


<独自に工夫している点>
1.異年齢交流による保育で、子どもたちの優しさや思いやりの気持ち、人を大切にする気持ちを育  んでいます
 オープン保育や異年齢保育では、異年齢の子どもたちが遊びや活動を通して触れ合います。その中で、年齢の違いを知り、お互いを認め合って仲間として遊びながら、人を大切にする心が育まれています。年長児は年少児に対して優しさや思いやり、助け合いの気持ちを持つようになり、行動できたことで、自分自身の意欲や自信に繋がっています。年少児は年長児の自主的・創造的な遊び等を通して意欲を喚起され、ルールや言葉の使い方などを学び、子ども同士の関わりが深まっています。


2.保護者との意思の疎通や情報の共有を大切にしています
 保育園での子どもの活動の様子や流行している感染症の情報など、タイムリーに保護者等に伝え、保護者と共に子育てをし、保護者の子育てをサポートしています。
 保護者との懇談会や保育参観、個人面談は、複数日を設定して保護者が都合をつけて参加し易いように、また普段通りの子どもの様子が分かるような参観の工夫がされています。行事の実施後は保護者にアンケートを取り、次の企画に役立てています。
 日常的にも、特に保護者が迎えに来たときには、できる限り子どもの様子を伝え、保護者の方からも園に対する要望や意見を直接事務室で職員に伝えてくれる雰囲気ができており、出された意見等については、職員間で話合い、その結果をもって保護者と話し合う機会を作り、相互に理解し合いながら解決の方法を見出しています。


3.「食を営む力」を育成するための基礎を培っています
 子どもたちに対しては乳児・幼児別の食育計画を策定し、年齢に応じて、食に関する興味や関心を育む工夫と取組みがなされています。食物が体の中でどのようになるか、よく噛むことの大切さなどを「かみかみデー」で伝えます。また、地域の食や食材に関わるボランティアの協力を得て、泥付き野菜を実感し、調理の一部を体験するなど楽しみながら食への関心を高めています。保護者には、食育コーナーを設置し、食に関する情報提供、給食サンプルの展示、離乳食サンプルのファイル、子どもたちに人気のメニューやそのレシピを資料として提供するとともに、子どもたちの調理体験などの活動を写真で紹介しています。


<改善すべき事項>
1.園舎の不審者侵入などへの対策
 施設が40年を経過していますが、不審者の侵入等に玄関の施錠、周囲のフェンスやネットの設置等、工夫と改善を行っています。保護者からは良くなったと評価されています。
 しかし、2か所については、侵入がし易い個所が残っています。南側のフェンスに後付けの高いネットが張られていますが、門扉の部分が低いままになっています。また、空地門は誰でも出入りができるようになっており、空地門から園庭に通じる個所の仕切りネットが十分に機能していないようです。保護者からは建物の老朽化対策と防犯対策に不安に感じている声もあります。設備の限界もありますが、対策を検討すると共に保護者への説明と理解を求めることが期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

相模原市として、市全体の「接遇マニュアル」が策定され、職場ごとに接遇取組推進員を定め、推進員は、参加した研修の内容を全職員に周知しています。園では「保育マニュアル」に、「子どもや保護者への基本的な関わりについての自己点検」「保育に向かう心得」を明記しており、職員は毎年度この内容を読み合わせるとともに、職員会議で人権についての研修をしています。


差別については、園の保育マニュアルに「出生や国籍などによる差別をしない」と明記し、全職員に配布して職員会議で確認・周知しています。その他毎月人権関係の冊子が送付されており、事務室内に配置して随時読めるようにしています。併せて、「保育所・認定こども園等における人権擁護のためのチェックリスト」を年度当初全員に配布し、年度末に職員それぞれが自己チェックし振り返りをしています。


保育の現場では、子どもたちに対して、異年齢児の交流の機会を多く設定しており、思いやりやいたわりの気持ちを育て、他の子どもの存在をお互いに認め合えるような関わりを目指しています。


個人情報の保護・管理について、相模原市条例を基に、園の「運営規定」「保育マニュアル」で明記しています。非常勤職員用の文書も整えられ、全職員が個人情報に関する守秘義務について研修し、会議で確認をしています。個人情報が記載された書類等は、施錠された場所から事務室内だけに持ち出すためのチェックを受け、事務室からは一切持ち出せないことにしています。又、子どもの写真撮影と使用は保護者の了解を取って行われます。実習生や見学者にも、個人情報の保護について印刷物を配布し、周知徹底を図っています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

園での子どもたちの活動の様子は、行事も含め園だより、クラスだより、園内の写真を多く使ったおしらせ掲示などで、タイムリーに伝えられています。個人面談、クラスごとの懇談会や保育参観は、保護者が参加しやすいように複数の日程を設定して行われます。参加できなかった保護者にも、後日内容をおたよりに掲載して知らせています。


保護者の意見や要望は、懇談会等の場のみではなく、日常的に職員に伝えられています。保護者が直接事務室に来て、改善してほしいことなどを話してくれ、職員は出された意見を検討し、その結果で更に保護者と話合い、改善に向けて調整しています。子どもの負担を考慮した遠足の場所が近すぎて、社会性を学ぶ機会にならないとの保護者意見があり、園では路線バスを短距離使用して近くの公園に行ったことは、子どもにも保護者にも実施結果が好評で、その一例です。


一人一人の子どもの発達に合わせた保育プログラムを工夫し、中でも、子どもの自主性を尊重し、話す力や聞く力、相手への思いやりを育んでいます。また、自然とのふれあいを体感し楽しみながら、季節の移り変わりや生き物の成長を直に学ぶ機会を作っています。異年齢交流保育の場面も多く作られており、今年度は、「ワクワクグループ」と名付けた異年齢グループでの食育イベントも行い、年長児が2歳児に箸の使い方を教えたり、クイズを楽しみました。日常的にも、園庭での年長児の秘密基地作りに3、4歳児が加わり一緒に遊んだり、年齢ごとの役割を持って銀河祭りの共同制作を行うなど、保育士はできる限り見守りながら子どもたちの自立を支援しています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

苦情に対する対応については、相模原市の基本方針に基づき「上矢部保育園保育マニュアル」でしくみと手順が具体的に示されています。内容は常時保護者の目に留まるところに掲示し、周知を図っています。苦情まで行かない要望や意見も含め、保護者からの話がある場合は記録にとどめ、即職員間で協議し、保護者も含めて解決に向けた話し合いをしています。


環境整備について、相模原市立保育園園児健康マニュアルに基づき、安全面では、遊具、気温や湿度などの室内環境、消毒液等を毎日チェックし、衛生面では、室内やトイレ、手洗い場などの清掃、子どもが口に入れた玩具洗浄を毎日、砂場、ぬいぐるみやエアコン、絵本、ままごとの道具等の汚染を定期的に洗浄するなど、マニュアルに従って行い、点検と実施結果を「安全衛生チェックリスト」に記載しています。


健康管理について、日常的な与薬は原則行いませんが、必要な子どもについては、必要最小限のものを保護者からの依頼書に基づき、与薬者、与薬時刻等を記載し厳格に行っています。食物アレルギーのある子どもへの対応も、調理室から子どもに提供されるまでの間、園長・保育士・調理員の間で手順に従い声出し確認とチェックが行われています。万が一の緊急事態に備え救急車の手配や保護者への連絡等、電話の傍に手順書を掲示し、体制を整えています。感染症については、日々の保育の中で、流行している感染症情報や対応の仕方について園内に掲示し、保護者に情報を提供し、園と保護者が共に対応できるようにしています。


危機管理について、火災や地震等の発生を想定した訓練が、様々な場面設定で行われています。平成29年度は、防災・不審者訓練が18回計画され、園内だけではなく、園外を散歩中の対策や訓練時間を知らせずに行う突発的な訓練を行うなどの工夫がされています。大規模災害時には、「災害時乳幼児支援ステーション」を開設し、地域の乳幼児支援ニーズに対応することになっており、近隣の保育園とも情報交換の会議を開催しています。


家庭とのコミュニケーションは、園だより、クラスだよりの他に、子どもたちの活動の様子を掲示するお知らせボード、給食やおやつのサンプル展示、流行の感染症について情報を提供するボード、クラスごとの活動ノート等により情報を提供しています。保護者と職員が直接話せる場としては、クラス懇談会と個人面談を設定していますが、いつでも保護者が職員と直接話ができる環境が整っています。保護者の子育てに関する悩みや要望・意見は、職員全体で共有し、統一した対応をすることを心がけるとともに、保護者の子育てをサポートしています。

4 地域との交流・連携

保育園が地域に提供できる機能である子育て支援を、地域交流の柱として、地域担当職員を中心に積極的に行っています。市としての方針でもあり、相模原市内で15名の地域担当職員(保育士)が配置され、上矢部保育園では、地域の親子を対象に親子遊び、子育て相談等を実施しています。上矢部キッズ、上矢部ベビーなど相模原市の子どもセンターと合同で行うもの、他の3つの保育園と合同で行う事業、保健師や主任児童委員などと行う子育て支援のサロン等、重層的な活動を展開しています。


園独自では、月曜日から土曜日までの園庭開放、電話や対面による子育て相談、絵本や紙芝居の貸出等を行っています。毎月の誕生会には、その月誕生の地域の子どもも参加して、園児と同じ手形のプレゼントをしています。その他年に10回、保育園児と一緒に遊び、行事に参加するスマイルも開催し、広く保育園を知り活用してもらう工夫をしています。


近隣の小学校とは、幼保連携事業の一環として授業参観や交流会での意見交換を行い、園児の学校訪問も行われています。児童相談所等との会議、地域の健康づくり普及員の事業への協力等を通じ、地域の関係機関(者)との連携を図っています。


地域のボランティアを受け入れています。英語で遊ぼうや、口笛コンサートなど、園児が外部の人との交流を楽しむ機会となっています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

園の玄関には、保育園運営規定が掲示されています。保育所の適切な運営や保育内容に関して、職員参加で自己評価チェック表を用いて振り返りを行っています。そのことが、具体的に保育園内で流行している感染症情報等を保護者に発信するきっかけともなり、園内には感染状況をタイムリーに知らせ、事故やけがの発生状況を保護者や来園者に情報として伝えるボードが常時設置されるようになりました。地域に対する保育園の情報は、インターネットや園で作成したチラシ・パンフレットを利用し発信しています。地域での子育て支援に関する相談や園の開放事業などの実施については、専任の地域担当者(保育士)が地域に出かけた際にチラシを配り、又公共機関に配置するなどして情報を広めています。園内にも、園のパンフレットや地域交流事業の案内チラシが置かれ、閲覧や持ち帰りは自由に行うことができます。園外の掲示板やフェンスには、地域交流事業の案内等が掲示され、見学者も積極的に受け入れています。


保育目標は、「保育園のしおり」で保護者に伝え、園の保育理念は、「園だより」や「クラスだより」で保護者に伝えています。保護者に伝えるべき大切な情報は、日本語の不自由な保護者にも理解してもらえるよう、ルビを振るなどの配慮がされています。園の行事は年度始めと実施の都度保護者に伝えられます。年2回の保育参観は、保護者の都合を考慮して複数日が設定され、誕生会は親も参加して子どもの誕生を祝っています。その他園での保育の様子は、タイムリーに写真などを園内に掲示し、保護者に知らせています。

6 職員の資質向上の促進

相模原市全体の保育理念と目標は市所管課が策定し、併せて保育園が独自の保育理念及び目標を定め、保育マニュアルに明文化しています。職員は、年度当初の職員会議や自主研修の場においてこれらを読み合わせ、内容を周知するとともに、保護者に配布する園だよりやクラスだよりにも掲載することで、保護者と目標を共有し、一層の意識強化を図っています。


職員研修は、相模原市の職員として基本となる内容の階層別研修計画が策定及び実施されており、その上に、保育園では保育業務に必要な知識・技術等に関する研修を自主的に計画するとともに、外部研修を積極的に活用するなど資質向上に努めています。参加した外部研修の内容は職員会議で報告し、資料とともに全員に回覧します。資料の必要な職員は随時閲覧できるよう整理されています。研修の参加については、全体のバランスや個々の職員に必要な研修を勘案しながら、副園長が管理している研修参加状況一覧に基づいて、受講の促進をしています。


実習生については、市主管課作成の「実習生受け入れマニュアル」に添って保育園で実習計画表を作成し、職員全体で指導内容を共有しながら受入れ、指導を行っています。この保育園の特徴として、保育士実習だけではなく、医療系の学校の看護師や理学療法士を始めとする各種実習生も受け入れています。実習では大学生に普段の子どもたちと接する場を提供するとともに、職員にとっても、保育士という視点以外の医療的な視点からも子どもたちを捉えることを学ぶ良い機会となっています。

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