かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

森の樹保育園(2回目受審)

対象事業所名 森の樹保育園(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 なずな
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 222 - 0037
港北区大倉山1-22-5
tel:045-533-0242
設立年月日 2005(平成17)年04月01日
公表年月 2018(平成30)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

[施設概要]
 森の樹保育園は、社会福祉法人なずなにより平成17年4月に開設された保育園です。東急東横線大倉山駅から徒歩7分程の所にある園は、定員120名、開園時間は7:30〜20:00(土曜7:30〜18:30)です。
 保育の基本的な考え方は「保育とは幼児期において欠かすことのできない、人生においてもっとも大切な教育である」です。この幼児教育は一人一人の子どもの個性に合わせた創造的な保育をすることによって、実現されると考えています。
 園には裸足で遊べる園庭の他に園舎の屋上にある広い草屋根と自然農の畑があります。保育の理念を具体的に表現した園舎は、木の温もりのある建物で、全面開口パネルシャッターで保育室が屋外と一体になる開放的な保育園です。


≪優れている点≫

1. 園内の園庭、草屋根と畑を活用して、自然を感じ健康な体力造りを行っています
 都会の中にあっても子どもたちが自然を感じ、思う存分遊べるように環境を整えています。園庭は、土と砂と水、そして周囲に植えられた木の実のなる樹木や落葉樹だけで、遊具やおもちゃを極力置いていません。樹木や草花がたくさん植えてあるのは、少しでも空気がきれいになるようにという配慮もあります。たくさんある木陰は、夏は日よけにも役立ち、子どもたちは涼しい環境の中で思う存分走り回っています。
 さらに園舎の屋上に草屋根(つめ草広場)と自然農の畑もあります。つめ草広場は子どもたちがかけっこができる平な広い野原です。子どもたちはここで鬼ごっこをして走り回ったり、草冠を編んだりして遊んでいます。
屋上の草屋根からさらに一段高いところに自然農の畑もあります。1年で30種類以上の野菜が収穫できる畑で、ここに入れるのは年長組だけという特別な場所で、子どもの憧れとなっています。畑へはあえて階段を設置せず、丸太かはしごで上ります。 
 園内に森のように木々や草原、畑を作り、子どもの育成に役立てています。園舎も園庭に向けて壁を開放できるようになっており、自然を感じ生活できるようになっています。


2.保育理念を実践して子どもたちが伸び伸びと元気よく活動しています
 森の樹保育園の保育方針は「@子ども一人一人が持つ個性と発達を尊重する保育をすること。A自己肯定感・自立心・自律心・創造力・生きる意欲をはぐくむこと。」です。園舎と園庭はこの保育方針を具体的に表現して建てられています。室内の床は無垢で弾力性と抗菌性に優れた檜を使っています。壁は杉壁で木の良い香りがします。
 毎日子どもたちが接する床と壁に自然の木を感じさせ、子どもたちの五感を育んでいます。190uの広いホールは子どもたちの運動発達を促しています。このホールは、歌の練習や音楽会の会場としても使われます。グランドピアノ、和太鼓、マリンバなど本物の楽器も常備して子どもに合わせて活用しています。朝の体操や遊びなどで利用する以外にも雨天時は体操場にもなり、いつでも走り回って遊ぶことができます。廊下も広く、雑巾がけなど行い子どもの成長に役立てています。
 0歳児室には、広くて長い赤ちゃん用階段があります。抗菌性を持つヒノキ造りの階段を使い、赤ちゃんたちがハイハイで上り下りしています。階段の幅と段差は乳児用に設計されて運動発達が促されるようになっています。


3.職員へ充実した研修実施で、保育の質を高めています
 保育の質を保つため、法令で定められた基準を上回る数の保育士を確保するよう日頃から努めています。「保育の質を高めるためには、園で働く職員全員の(保育技術から人間性まで)の向上が不可欠」との考えから、研修の機会を数多く設けています。研修のプログラムは、職員から研修アンケートを提出してもらい、職員全員で研修計画を立案しています。
 「歌や演奏技術の習得」「音楽表現・リズム運動に対する理解と実践学習」「心身の発達段階に関する学習」「民俗行事や民俗音楽の体験学習」「職員のコミュニケーションを図るワークショップ」などが計画されます。各テーマの専門家に講師を要請して、平日夜間の研修会、土曜日の研修会などを行っています。「職員同士が皆で集まって勉強し、話し合えることが大切」と考えた結果で、市などが行う園外研修にも参加します。講師は森の樹保育園と連携がある幅広い分野の専門家にお願いし、連携しながら共に学んでいる他園の職員と学習しています。
 園として、「生きる意欲を持つ子どもに育てたい」という願いで保育を行っています。この願いを実現するために、職員一人一人が「生きる意欲とは何か」を知り、実感するようにしています。職員が生きる意欲や、豊かな文化を求めて生きていかなければ、生きる意欲を持つ子どもには育たないと考えています。職員には、「楽しく豊かに生きることを知り、毎日いきいきと楽しく保育する」ために、自分の良さを知って、自分の能力をのばしていく研修を多く取り入れています。


≪課題や改善することが期待される事項≫

1.新職員の育成と園の理念を継承する保育士の確保が期待されます
 園では活発に園内研修を開催しています。さらに子どもの心身の発達と障害に関することから、音楽、教育一般、コミュニケーションのあり方、組織運営まで、さまざまな専門分野の方が協力をしてくれています。外部の専門家との連携は、職員の意欲と能力を高めることにも大きな役割を果たしています。
 しかし、職員の継続確保は難しい状況です。また、新職員が実践を通じて園の理念に沿った資質を高めるのにも時間を要します。今後は新職員の育成と核となる中堅層の充実を実現する制度が求められます。次世代の保育士育成に努め、園の理念のもとに保育が実践されることが期待されます。


2.園の理念、方針のもと保護者の要望を検討することが期待されます
 園は理念・方針を実践しており、体力造りに力を入れ子どもたちは元気よく活動しています。また、保護者が企画して保護者学習会を実施し、園も参加しています。保護者は代表を決めて保護者主催の学習会を自主的に運営しており、園は要請により場所提供や保育に関する説明などの支援を行っています。
 しかし、保護者の要望は様々であり、社会的環境等が変化する中で、いろいろな意見や要望を持ち園に期待しています。園として環境変化や保護者の状況を把握して、どのような保育活動を盛り込むかの検討が期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

基本理念では、「人間形成に大切な、生まれてから6年間の年長までに、自分への自信を持ち、自立へのエネルギーに満ち溢れて学齢期へ向かってほしい」との願いを持ち、子ども本人を尊重したものとなっています。


子どもには自分からやろうとする心を重視して、「リズム」運動などの活動になかなか加われない子どもに対しても、子どもが自発的にするまでゆっくりと待ちます。一人でいたいときや少ない人数で遊びたいときのための空間が用意されています。お誕生会は、その子の誕生日に誕生を祝うため、主役である本人の意向を取り入れて当日の過ごし方を構成し、皆でお祝いしています。


個人情報・虐待対応・情報提供に関してはガイドラインを職員に周知しています。園長を中心に児童相談所との連絡は速やかに取れるような体制がとられています。


性差に関しては職員間で十分話し合われ周知されています。順番に関して子どもが納得できるように考え誕生日順やチーム順などで行われています。自然に男女の違いを受け入れる事が望ましいと考え遊びの中で男女が別れてくるときはそれを尊重しています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

子どもの意思や意見が反映できるような柔軟性のあるカリキュラムになっています。春の散歩ではオタマジャクシに、皆が熱中して観察します。足が出て手が出て池からいなくなるまで夢中なので、この時期に計画も柔軟に変更して散歩を増やしています。散歩で拾ったどんぐりでコマを作ったりおままごとをしたりと、子ども自身の興味や意欲が伸びていくように、一人一人の子どもが興味を持ったことを深めることが出来るように自由な時間を多くとっています。


子ども一人一人が絵を描く事を大切にしています。卒園児は一人一人大きな画用紙に絵を描いて、その作品が一人一人の卒園証書になります。一人一人が自由に描きたいと思ったときにはいつでも描けるように画材と紙が用意されています。一斉に机の前に座って同じものを描く事はせず、保育士が対応できる人数の子どもたちと丁寧に会話をしながら描きたいものを描いていきます。


保育士は毎月園内研修として歌とピアノの講師を招き発声の練習をして、さらに次月に歌う曲の練習をしています。その歌を聴いて子どもたち自身が歌いたい歌を覚えていきます。0歳児、1歳児は言葉より先に歌を覚えそれから言葉に発展していく事もあります。

3 サービスマネジメントシステムの確立

園の基本方針や取り組み、行事等は、入園前説明会、園のしおり、園だよりおよび口頭で保護者へ伝えています。保護者の就労状況を考慮し、長時間保育・延長保育を行っています。保護者の意向については、全園児に設けられた個別連絡ノート、送迎時の会話、家族への連絡、行事の後の自由記載欄を設けてのアンケート実施等、さまざまな角度から働きかけて汲み取るように努めています。


苦情対応については、受付責任者および担当者、第三者委員名と連絡先が園のしおりにて明記され、保護者へ周知しています。園独自で解決困難な場合には、必要に応じて外部の機関との連携体制がとられています。


子どもの健康管理は、嘱託医による定期的な検診やその他機関と連携し対応しています。感染症発生の際には玄関に掲示され保護者への周知をしています。衛生管理については、職員は、2歳児以上の園児と一緒に毎日床の雑巾がけをし、その他、定期的に場所を決めて清掃し快適に過ごせるように努めています。


安全管理については、インシデント・アクシデントレポート(事故報告書)なども整備され、安全委員会で再発防止が話し合われています。各種マニュアルが揃えられ、必要時に応じて会議で話し合い、子どもたちが快適で安全に過ごせるように努めています。

4 地域との交流・連携

地域の子育て支援ニーズの把握は、「地域の赤ちゃん会」「保護者学習会」を通じて把握しています。他園との年長児同士の交流会などでも実践的な勉強を通じて把握しています。毎月開催される園見学に来園される方々に対して、子育てについての勉強会「地域の赤ちゃん会」の開催をお知らせし、毎回10名程の参加を得ています。


近隣へ回覧板や掲示にて園の行事を事前にお知らせして、近隣の方々のご理解ご協力をお願いしています。幼保小の交流会には園長が出席して、積極的な情報交換を行っています。地域の方々向けに行事等の掲示をして、近隣の方々との交流をしています。


利用希望者の問い合わせや見学希望には、丁寧に応対していますが、園児の日常生活も考慮して、施設の見学は月1回にまとめて対応しています。子育てについての相談・質問があれば説明会の後に残っていただき、話し合いを行っています。園が支援する子育てサークルに入園前にも参加することもできるように対応しています。また、ボランティアについてですが、現在受け入れているボランティアは3種類があり、夕方のお話会や手遊び会、縫い物の見守りに活躍していただいています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

園のホームページに、園庭での水遊び、泥んこ遊び、ホールでの竹馬遊びやお茶会など、日本文化を肌で感じている様子や、「畑でとれた」など園の特徴を中心に紹介しています。パンフレットも子どもたちが楽しく体を動かし楽しく生活している様子が感じられるものを作っています。職員全員は自己評価書をまとめて、「自分の保育を振り返って」(できていること/できていないこと/原因/理想)と「森の樹の保育を振り返って」にまとめています。これを「保育所としての自己評価」に反映して、園として取り組むべき課題を明文化して取り組んでいます。保育所としての自己評価書は、玄関ホールで公表しています。


創立当初から父母会(保護者が自主的に、クラスごとの保護者代表を選び組織を作っています)発足するなど、保護者と園は保育の両輪として協力関係を築いています。近隣の地域の方々とのつながり、協力していただいている外部のさまざまな専門家との連携が、年々深まり、良好な協力関係が築かれています。各分野の専門家には、園の運営に関しての助言をいただき、職員の研修の講師もお願いています。保護者の方々からは父母会を中心に、活発な勉強会を行って、ご意見、ご提案をまとめていただき、多くの提案があり、改善に努めています。


園の保育理念や目標を実現するために、園の理念に理解を持つ外部の専門家の方々から、さまざまな助言や提言をいただく機会を設けています。子どもの心身の発達と障害に関することから、音楽、教育一般、コミュニケーションのあり方、組織運営まで、さまざまな専門分野の方が協力をしています。外部の専門家との連携は、園の社会性を高め、保育の質を高め維持していくことを目指しています。園の規模拡大や新たな園の創設ではなく、保育の在り方を掘り下げて、よりよい保育を目指すことが、この園の中長期計画となっています。

6 職員の資質向上の促進

職員には、「今年の目標」「手ごたえ」「十分できなかったこと」「これからの目標」「来年はどんな仕事をしたい」がテーマで、年1回自己評価書を提出し、園長と個別に話し合いを行っています。この話し合いの中で、職員ごとに不足していることの勉強会・研修参加の話し合いが行われます。また、スーパーバイザーによる助言・指導を日常的に受け、業務に生かされています。この目標を達成しつつ、保育の質を保つために、法令で定められた基準を上回る数の保育士を確保するよう日頃から努めています。


職員から研修アンケートを提出してもらい、職員全員で研修計画を立案しています。「歌や演奏技術の習得」「音楽表現・リズム運動に対する理解と実践学習」「心身の発達段階に関する学習」「民俗行事や民俗音楽の体験学習」「職員のコミュニケーションを図るワークショップ」などが計画されます。園長としては各テーマの専門家に講師を要請して、夜間や土曜日に開催しています。職員同士が集まって皆で学習し、話し合うことが大切と考えています。市などが行う園外研修にも参加します。


園として、保育は「生きる意欲を持つ子どもに育てたい」という願いとともにあります。実現するには、保育をする職員が「生きる意欲とは何か」を知り、実感していることが必要と考えています。職員が生きる意欲や、豊かな文化を求める姿を見せて、生きる意欲を持つ子に育てています。職員には、自分の良さを知って、自分の能力をのばしていくことを大切にしてもらい、「楽しく豊かに生きることを知り、毎日いきいきと楽しく保育してほしい」伝えています。

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