かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

和田愛児園

対象事業所名 和田愛児園
経営主体(法人等) 社会福祉法人ピアッツァ
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 240 - 0065
保土ヶ谷区和田2-16-13
tel:045-331-4534
設立年月日 2012(平成24)年04月01日
公表年月 2018(平成30)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 園の運営主体は社会福祉法人ピアッツァで法人化は平成24年4月ですが、開園は昭和27年で今年度で66年目、現在の園長は3代目となる歴史ある保育園です。相鉄線和田町駅から徒歩数分の所にあります。定員は160名で平成29年10月現在145名が在籍しており、延長保育や障がい児保育などを実施しています。近隣の環境は、園のすぐ近くを国道や主要道へのバイパスがあり、駅に近いためマンションや商店が立ち並んでいます。近くには公園がいくつもあり子どもたちは散歩に利用していますが、園の敷地内に裏山があり、日常的に「自然遊び」ができる環境が整備されています。こうした環境の中、子どもたちは四季の自然を感じ、伸び伸びと過ごしています。


《特に優れている点・力を入れている点》
○自然に恵まれた環境の中で感性を豊かにはぐくみ、心身の発達を促す体力作りが実施されています
 子どもたちの体力作りの一環として、5歳児は横浜市内のスイミングクラブに行く「水泳遊び」を月1、2回、3〜5歳児は「運動遊び」を月3回実施しています。さらに、園の裏手にある山の遊び場は自然をそのまま生かし、ブランコやハンモック、すべり台、クライミングロープなどを設置しています。1歳児から裏山の遊び場に出かけることで、年齢を追うごとに高度な遊びや発見をしています。季節ごとに姿を変える木々や花、虫、木の実、落葉樹の枯葉を踏みしめる音、そして風が運ぶ森の香りなどと触れ合いながら、感性もはぐくんでいます。やや急な傾斜を自力で上がる時の集中力や、全身を使ってのバランス感覚、足腰を鍛えることで、基本となる体幹を整えています。ねらいをもって自然体験を重ねるネイチャーゲームを経験している子どもたちは、思いおもいに遊びながら発見する喜びや創造性を養っています。


○絵本の読み聞かせ活動に力を入れ、子どもたちの豊かな心と創造性をはぐくむ援助をしています
 子どもたちの心の育ちに効果のある活動の一つとして「絵本の読み聞かせ」を重要視し、約2000冊の蔵書を使った絵本の読み聞かせ活動に力を入れています。絵本の読み聞かせには「人の話を聞くと楽しいということが心に刻まれる」「想像力をはぐくむ」「自然に読書習慣がつく」「思いやりのある豊かな心が育つ」などのさまざまな効力があるため、子どもの心の育ちのために保育の柱の一つとしており、毎日必ず1回以上、クラスごとに違う絵本を保育士が読み聞かせて、子どもたちの言語能力や創造性をはぐくむ援助をしています。また、読んだ絵本のリストを保護者に渡し、園と家庭で実践して、より効果が出るように取り組んでいます。


○地域とのつながりを大切にして園の運営に生かしています
 保育理念の初めに「地域に根ざし、地域(子ども・保護者・地域)に貢献し、地域一番の保育内容を目ざす」とあるように、地域への貢献も園の重要な使命の一つと考えています。初代園長が町内会会長であった経緯もあり、現園長は町内会とも親しく、地元神社の氏子総代を務めています。園行事の移動動物園に地域の方々を招待したり、地域の高齢者施設と交流したり、運動会は地元中学校校庭で開催して多くの卒園児が参加しています。中学校の職業講座「保育士」の講師を務めたり、職業体験の中学生を受け入れたり、給食材料の買い物で八百屋など地元の商店街を利用するなど、日ごろの付き合いを園の運営に生かしています。現在、園の職員には複数の卒園児がおり、地域を大切にし、地域の期待に応えられる園でありたいと職員は頑張っています。


《事業者が課題としている点》
 保育士の確保と定着、さらに研修などで資質向上を図ることを課題と捉えています。保育サービスの多様化が進み幅広い専門性が求められる中で、職員間で今以上に学び合う機会を確保し、情報を収集したり共有する工夫と努力が必要であると考えます。職員一人一人が自ら資質を向上させられるような環境と、ステップアップを目ざせる仕組みを構築したいと考えています。関連して、業務の省力化も課題となります。また、研修などにより、障がいのある子どもや外国人を受け入れるために必要な知識を得ることも課題としています。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重  園には子どもの人権の尊重を柱としている「職員としての心構え」「保育士としてなすべきこと」「子どもの叱り方」「子どもに対する心構え」などがあり、保育中に起こりうることに対しての職員としての振る舞いや対応法などについて細かく記載しています。その中に、言葉使いはだれに対してもていねいな言葉や優しさの感じられる言葉を使うこと、笑顔での対応、感情的にならないこと、とあります。子どもたちには穏やかに、アクセントを正しく守り、ゆっくり話すことを職員に周知し徹底しています。子どものペースを大事にし、急がせるのではなく「みんな待っているよ」など子どもが意欲を持てるように、その子どもの気持ちに寄り添った言葉がけをしています。
 子どもが一人になれる空間は、ピアノのかげや机の後ろなど、子どもそれぞれにあります。職員はさりげなく見守りつつ必要に応じて声かけをしています。また、こだわりの強い子どもには職員がパーテーションを用いて空間を作ることもあります。一対一で話をしたい時は、子どもの状況に応じて環境を考えています。例えばクールダウンが必要な時は一時保育室や空いている部屋を使います。その時に話ができそうな場合は、部屋の外に出ることで疎外感を感じないように部屋の隅で話したり、廊下で話をすることもあります。子どもの自尊心や人権を辱めたり傷つけることのないように配慮しています。
 入職時には、園長が「個人情報の取り扱い」「守秘義務について」を説明し、職員は内容を確認して誓約書に署名しています。「個人情報の取り扱いのガイドライン」について定期的に園長から職員会議で指導があり、職員に周知しています。実習生にはオリエンテーションで守秘義務について説明し誓約書を受け入れています。保護者からは「園児名簿等個人情報記載に関しての承諾書」をもらっています。子どもの個人情報が記載された書類は、クラスごとに鍵のかかる引き出しに収納し、担任が管理をしています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供  年齢ごとに年間指導計画を作成しています。これを基に、月間指導計画、週案などを作成しています。職員は各指導計画の自己評価欄でクラスごとに振り返りをして、子どもの様子やクラスの様子を話し合っています。そして、ほかのクラスの職員からもアドバイスを受けるなどして良い保育ができるように取り組んでいます。また、食育の年間指導計画は、園の保育目標に沿った年齢ごとに取り組む食へのかかわりを記載しています。活動などの初めには全体の流れを説明し、0〜2歳児の子どもたちには絵や写真を用いて説明しています。発表会はダンスが中心なので、動きや音楽の選択は子どもたちの希望を取り入れ、子どもが興味を持っていることや、主体性を大切にしています。
 保育室以外にも、乳児舎と園児舎それぞれ専用の園庭や、自然に囲まれた裏山など、子どもたちが遊び込める活動の場があります。乳児舎には0、1歳児、幼児舎には2〜5歳児の保育室があります。0、1歳児の保育室にはそれぞれ用途に合わせ背の低いロッカーや絵本のラック、柵を設置しています。2〜5歳児の部屋では机を上手に使っていくつかコーナーを作ったり、パーテーションを使って少人数で遊べる空間を作ったり、子どもが落ち着ける場所を作るなど工夫しています。室内は食事の後掃除をして午睡の場所を作っています。朝や夕方の延長保育では、縦割り保育で過ごしています。また、5歳児が年下のクラスに来て絵本の読み聞かせをするなど交流があります。
 0〜2歳児については個別指導計画を作成しています。指導計画は「子どもの姿」「ねらい」「援助・配慮」「自己評価」から構成されています。3〜5歳児についても特別な課題がある場合には個別指導計画を作成しています。配慮を必要とする子どもへの対応は、職員がそれぞれ研修で学んだことを話し合い、子どもにとって一番過ごしやすい環境になるように個々の発達状況に合わせて対応しています。当初の計画を変更する必要があるときは職員間で話し合い、どのように対応するかを確認しています。保護者とは、日々連絡ノートで情報を交換したり要望を聞いたり、必要に応じて面接するなどして指導計画の内容を確認し、実施しています。
3 サービスマネジメントシステムの確立  配慮を必要とする子どもが入園を希望した場合は、その子どもが園生活を快適に送れるように対応する方針です。配慮を必要とする子どもの特性や、それに対する配慮や対応の仕方については、子どもが通う地域療育センターの職員から様子を聞いてアドバイスを受けたり、職員が外部研修で学び、その内容を職員会議などで周知しています。また、日々の保育の中で気になることがあった場合には職員会議で伝え全職員に周知し、保育に生かしています。配慮を必要とする子どもの相談の記録や各種会議の記録、個別の指導計画などは、職員が必要に応じていつでも閲覧できるように担任のキャビネットに保管しています。
 虐待防止マニュアルを作成し、職員は虐待の種類、早期発見、発生時の対応の仕方、関係機関への相談、通告について学んでいます。児童相談所から通報があった場合は、園から情報を提供し、園に連絡がなく休みが続いている場合は保土ヶ谷区こども家庭支援課に相談して、子どもの家庭を訪問してもらうなど連携をとっています。着替えやシャワー、朝の受け入れ時には健康観察をして、不自然な傷や打撲について保護者に確認しています。心配のある子どもや保護者には声をかけるなど見守っています。保護者に配付する「関係書類しおり」に「虐待について」という項目があり、虐待の種類、通報義務、通報先などを記載し、虐待防止についてのポスターを玄関に掲示して虐待防止の啓発にも努めています。
 食物アレルギーのある子どもについては、横浜市の「保育所における食物アレルギー対応マニュアル」に沿って、アレルギー疾患生活管理指導表を提出してもらい、栄養士が面接し対応しています。職員は、横浜市の研修などに参加してアレルギーに関する最新の知識と技術を学び、研修受講後には報告書を作成して全職員に回覧するとともに、職員会議で研修内容を共有しています。アレルギー除去食を提供する際には専用トレーと専用食器を使用し、子どもの名前と除去食品名を表示して、だれの目にもはっきり区別できるようにしています。また毎月、献立表を該当の保護者に渡し、除去食にチェックを入れてもらい、栄養士が確認しています。
4 地域との交流・連携  園は法人化して6年目ですが、創設は昭和27年で開園66年目、現在は3代目の園長です。保育理念の初めに「地域に根ざし、地域(子ども・保護者・地域)に貢献し、地域一番の保育内容を目ざす」とあるように、地域への貢献も園の重要な使命の一つと考えています。初代園長が町内会会長であった経緯もあり、現園長は町内会や地元神社の氏子(現園長が総代)の集まりなどから、地域の園に対する要望などを聞いています。育児相談や園見学の保護者からも地域の子育て支援ニーズを把握しています。園長は横浜市私立園長会や保土ヶ谷区こども家庭支援課との情報交換を通じて、地域の子育て支援ニーズを収集しています。
 園長や職員が得た地域の子育て支援ニーズに関する情報を、毎月の職員会議で職員全体で共有したり、四半期ごとや年度末の年間指導計画の見直しの職員会議などで、地域の子育て支援について話し合ったりしています。地域の子育て支援サービスとして育児相談に応じたり、園で催す専門業者による「ふれあい動物園」のポスターを掲示板に貼り地域の方々を招待し、多数の参加を得ています。また、地域の保護者による任意の「地域の子どもクラブ」に絵本や紙芝居を貸し出しています。地域の中学校からの依頼で、毎年、職業講座「保育士」の出張講座に職員が参加し、講師を務めています。
 ボランティアの受け入れは「ボランティア受け入れマニュアル」に基づき実施しています。ボランティアは地元の中学校2校の「職場体験」や夏季の「体験学習」の生徒を受け入れています。受け入れ担当は主任か副主任で、ボランティアの配属を受けたクラスリーダーが指導にあたります。受け入れにあたり、職員はマニュアルを確認し、保護者には園だよりなどで事前に知らせています。ボランティア開始前に担当者がオリエンテーションを行い、園の保育の考え方や身だしなみ、保育の留意事項、子どもの人権や守秘義務などをていねいに説明しています。ボランティア体験後の反省会で振り返りと意見交換を行い、感想文などの記録を残し、有益な意見は園の運営に生かしています。
5 運営上の透明性の確保と継続性

 園のパンフレットやホームページなどにより将来の利用者に園の情報を提供しています。パンフレットには昭和27年創設以来の園の沿革や保育目標、保育時間、園の一日、年間行事、園の特色である敷地内裏山での自然遊びなどをカラー写真つきで記載し、保土ヶ谷区のこども家庭支援課や子育て支援拠点こっころに置かせてもらっています。ホームページにはパンフレット内容のほか、保育方針、施設概要・見取り図、定員・クラスなども載せています。園の見学者にはパンフレットを渡しています。保土ヶ谷区こども家庭支援課や横浜市こども青少年局に情報提供しているほか、子育て専門誌などにも園の自然遊びの様子が取り上げられています。
 年度末に行った職員の自己評価の結果は、翌年度の個人目標に反映させています。保育の年間指導計画や月間指導計画、保育日誌、個別指導計画などのクラスごとの自己評価の結果は、クラス会議や職員会議で話し合い、次年度につなげています。自己評価の話し合いの中から、乳児の人手が足りなくなる時間があることが明白となり、忙しい時間は互いにフォローし合うことを確認し、現在5歳児担当職員が時間を割いて乳児クラスの手伝いを行っています。管理職の話し合いで作成した「保育所の自己評価」は園の保育理念や方針、保育課程に沿ったものとなっています。保育所の自己評価や職員の自己評価を、案内文を添えて事務室前に置き、保護者などに公開しています。
 「就業規則」の中の「服務規律」には、守秘義務や個人情報保護など職員として守るべき法や規範、倫理などを明記してあり、全職員は入職時に園長や主任、副主任から説明を受け、誓約書を提出しています。また、「しおり(重要事項説明書)」にも園と職員の守秘義務について記載して保護者に表明し、周知を図っています。園の経営や運営状況は社会福祉法人ピアッツァとして法人のホームページで情報公開しています。子どもの虐待のような人権侵害の報道があった場合には、新聞記事などを基に速やかにミーティングを開くなど、情報の周知と早期発見や注意点の再確認をしています。

6 職員の資質向上の促進  園長の「研修内容の方向性」の考えのもと、担当の主任と副主任、園長が研修計画を作成しています。園内での外部講師による自然遊び研修、乳児視察研修、救命救急法の研修などを午睡時間中に行い、必要な場合は一日2回に分けて実施し、全職員の参加に努めています。外部研修は横浜市や保土ヶ谷区、教育機関などが主催する研修リストから、経験年数や職務の役割に応じて申し込み、参加しています。研修参加者は研修報告を作成し、職員会議で報告するとともに、報告書に資料を添えて全職員に回覧しています。職員会議に参加できなかった非常勤職員などには発表した職員から翌日に内容説明があります。主任と園長は研修成果の活用状況などから研修を評価し、次の研修に生かしています。
 保育に関する自己評価は、年間指導計画は四半期ごとに、月間指導計画は月ごとに、定型化された書式によりクラスごとに行っています。また、0〜2歳児は子どもごとに個別指導計画を作成して毎月自己評価を記入しています。自己評価は期初の目標と関連付けて、例えば「スタートラインに立つと顔が変わり、無事に一人で走り切ったので嬉しかった。一人一人の頑張りや勇気を褒めてあげ、次につながるよう意識していきたい」とあるように、子どもの意欲や取り組む過程などを重視して行っています。職員は自己評価を通じて、自己の実践の改善や次期の計画作成につなげています。
 「キャリアパス基準表」に、園長、主任、副主任、リーダー、一般職員、新任職員の職位とそれぞれに必要な職務能力、役割を明らかにし、それに必要な内部や外部の研修を示しています。通常の業務はできるだけ現場の職員に権限委譲していますが、けがや病気、保護者の苦情などがあった場合には速やかに主任か副主任、園長に報告、連絡、相談するよう徹底しています。ミーティングや職員会議などで職員の提案を募ったり、運動会や発表会、作品展などの園の行事後に職員アンケートを実施して意見を聞いています。毎年8月ごろに、翌年の勤務の意向調査を兼ねた園長との個別面談を行い、勤務継続の可否、クラス希望、職務の満足度や要望、悩みなどを聞き、相談に応じています。

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