かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

戸塚愛児園(3回目受審)

対象事業所名 戸塚愛児園(3回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 恩賜財団 神奈川県同胞援護会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 244 - 0003
戸塚区戸塚町167
tel:045-881-8735
設立年月日 1956年10月31日
公表年月 2018(平成30)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 戸塚愛児園は、JRまたは横浜市営地下鉄「戸塚」駅から徒歩10分ほどの位置にある、昭和31年10月に開所した私立保育園です。近くには自然豊かな川や公園が多く散歩コースに恵まれています。子どもの人権や主体性を尊重することを念頭に、保育目標に「健康で情緒が安定し、のびのびとした子ども」「何事にも意欲的に取り組み、いきいきと遊べる子ども」「集団の中でじぶんを表現し、仲間や周りの人たちと協力できる子ども」「子どもらしい夢や喜びがいっぱいある子ども」を掲げています。定員は204名(0〜5歳児)、開園時間は、平日は7時〜20時、土曜日は7時〜18時です。運動会、お誕生会、季節の行事、異年齢交流や地域の方とのふれあいを通して、豊かな人間性を育てる保育をしています。


《特に優れている点・力を入れている点》
○さまざまな取り組みを通して、保育目標である「いきいき、のびのび、なかよし、ゆめいっぱい」な子どもたちが育てられています
 七夕、ひな祭りなど暦に合わせた行事のほか、夏まつり、運動会、お店屋さんごっこ、お誕生会での発表など、子どもたちが主体性を持って楽しめる行事を実施しています。また、毎月、お話の専門家によるおはなし会を実施したり、移動動物村や人形劇を見たりする機会もあり、楽しみの一つです。丈夫な体作りの一環として、3〜5歳児は毎朝園庭で体操を行い、週2回リトミックを実施しています。年齢や発達段階に合わせて鉄棒、ジャンプ遊び、跳び箱を行っており、月2回体操の専門講師による体操教室を実施しています。年度初めに3〜5歳児が縦割りの4つのグループを作り、月2回、異年齢活動を楽しんでいます。これらの取り組みを通して、保育目標である「いきいき、のびのび、なかよし、ゆめいっぱい」な子どもたちが育てられています。


○60年の歴史ある大規模な園で地域に見守られ、自然豊かな環境に恵まれ、子どもがのびのびと過ごせる保育環境を提供しています
 園は地域に根ざし開所から60年を超え、駅に近い立地ながらすぐ近くには春の桜並木が美しい柏尾川をはじめ、梅林や牛舎のある上倉田の山など、豊かな自然環境に恵まれています。ほかにも自然に親しめる公園や遊具の多い公園、電車の見える陸橋など散歩の行き先はさまざまで、子どもたちの活動の幅が広がっています。園舎はホールやテラス、屋根裏部屋風のライブラリーなどを備えた鉄筋コンクリート造り3階建てで、園庭には遊具が設置され、子どもたちが走り回り、三輪車やキックボードを楽しめる広さがあります。200人を超える子どもたちが通園する大規模な園ですが、幅広い年代の明るく元気な職員が揃い、子ども一人一人の気持ちや自主性を大切にする保育が展開され、子どもたちがのびのびと過ごせる環境を提供しています。


○ 社会貢献活動を通じて地域につながる取り組みに力を入れています
 横浜市の子育て支援事業計画書に従って行う活動で、「つぼみくらぶ」と名付けた地域支援活動を行っています。開催は概ね月に1回で、内容についてはホームページで公表しているほか、園の外掲示板を活用して地域の親子の参加を呼び掛けています。つぼみくらぶでは、お店屋さんごっこ、クリスマス会、人形劇、移動動物園村などを行い、参加した子どもは自分と同じ年齢のクラスに入って保育体験をしたり、給食を食べたりできます。また、一時保育、園庭開放、プール開放、おはなし会、離乳食の作り方講座などを実施し、参加した保護者に保育に関する情報提供を行い、子育て相談にも積極的に応じています。また、地域とつながる取り組みとして「社会福祉法人と地域につながる連絡会」に参加しています。


《事業者が課題としている点》
 今年度の園目標として「地域社会への貢献」を掲げ、子育て支援事業である「つぼみくらぶ」の担当職員を中心に、新たな試みを企画し、実践に向けて準備をしています。また、地域のニーズをとらえるために近隣住民の集会に園長が参加したり、戸塚区社会福祉協議会との距離を縮めていけるように努力しています。このほか、現在、人材育成のシステムについて法人組織改革の中で研修制度を構築しています。今後、職員の意識改革をし、職員一人ひとりが自分の役割を把握し、意欲的に働ける職場を目ざしていきたいと考えています。また、活動内容の工夫、環境設定の工夫など、保育士がもっと自由な発想で保育を展開していけるよう、勉強会や情報交換会などの開催を考えています。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重  保育理念は「児童福祉法に基づき子どもの人権と主体性を尊重するとともに、子どもの最善の利益を考慮しその福祉を積極的に進める」「地域社会との連携を図り、すべての子育て家庭の支援を行う」、保育方針は「明るくゆったりとした環境の中で個々を尊重し、見通しを持って保育を展開していく」「“のびのび いきいき なかよし ゆめいっぱい”を目標に、豊かな人間性を持った子どもの育成のため、家庭や地域と協力し合う」を掲げ、利用者本人を尊重したものとなっています。園長は利用者も職員も、「のびのび、いきいき、仲良し、夢いっぱい」でいられる園でありたいと考えています。保育理念、保育方針、法人理念は園内各所に掲示され、職員会議などで確認し合い、全職員が子ども一人一人の気持ちを大切にする保育の実践に努めています。
 園では子どもたちへのかかわり方などを記した「職員の心得」を年度初めの職員会議で確認し合うとともに、日ごろから各種会議などで、ゆとりを持った保育を心がけ、子ども一人一人の気持ちに寄り添い、個々の特性に合わせた穏やかな言葉かけをする、など子どもとのかかわり方について確認し合って保育にあたっています。また子どもの年齢に応じてわかりやすい言葉で話し、子どもの気持ちを尊重するよう心がけています。
 子どもが1人になりたいときに保育士や友だちの視線を意識せず過ごせる場所として、事務室近くのライブラリー、フリースペース、3〜5歳児の保育室内では壁面収納下部のへこんだスペースなどを活用することができます。職員は必要に応じて声をかけながら子どもの様子を見守ります。子どもと1対1で話し合う必要が生じたときには、保育士は子どもの自尊心やプライバシーに配慮して保育室の隅や廊下、ライブラリー、フリースペースなど、ほかの子どもの視線を気にせず過ごせる場所で、子どもが理解し納得できるように穏やかにかかわるよう心がけています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供  保育課程は保育理念、保育方針、保育目標に基づき、子どもの最善の利益を第一義に作成されています。また、家庭や地域の状況を考慮して平日は7時〜20時、土曜日は7時〜18時まで保育を行うほか、一時保育や育児相談、園庭開放など地域子育て支援も積極的に行っています。保育課程は職員の意向を汲んだうえで、年度末に園長、主任、保育主任が中心となって見直しをしています。保育課程は入園時に保護者に配付して説明し、年度初めの保護者懇談会でも内容について説明しています。改定があれば随時保護者へ説明を行います。
 保育課程をもとに年齢ごとの年間指導計画、月間指導計画、週案、年間食育計画、食育活動計画を作成しています。3〜5歳児の異年齢交流年間指導計画、全年齢共通の年間保健計画も作成しています。日々の計画について子どもたちには年齢に応じてわかりやすく、年齢が上がるにつれ子どもたちには見通しを持って活動できるように伝えています。日ごろから子どもたちの意見や様子から気持ちを汲み取り、自主性を大切にしながら計画を柔軟に変更しています。4、5歳児が中心となる活動「お店やさんごっこ」では、お客さんとなる園児たちをどう楽しませるかも考えながら子どもたちがやりたいことについて意見を出し合い、製作の過程も楽しんで当日にのぞみました。
 入園にあたっては入園説明会に引き続き保育士が保護者と個別に面談を行います。その際、保護者が記入した「児童生活調査表」「入園時調査票」などをもとに、必要に応じて栄養士、看護師、園長、主任も参加して、家庭や子どもの細かな状況、子どもの生育歴、既往歴、アレルギーの有無などについて確認します。あわせて親子のかかわり方や子どもの様子、特性なども観察します。入園時に把握した子ども一人一人にかかわる情報は職員会議などで共有しています。また、記録類は事務室の子どもごとのファイルに保管し、職員間で共有し日々の保育に生かしています。
3 サービスマネジメントシステムの確立  入園時には短縮保育(慣れ保育)をお願いしていて、子どもの様子や保護者の事情を考慮しながら進めています。目安は1週間ほどで、0歳児では最初の2日間は親子登園として家庭での様子の把握や聞き取りや観察に努めています。新入園の0、1歳児については気持ちが安定するよう担当保育士を決め、心の拠りどころとなるタオルなどの持ち込みも認めています。保護者との日々の情報交換は送迎時の会話のほか、0〜2歳児では毎日連絡帳を使用し、食事、睡眠、排泄、子どもの様子について連携して保育を行っています。3〜5歳児では毎日クラスごとにその日の活動内容をボードでお知らせしているほか連絡ノートを使用しています。新入園児受け入れの際は、在園児も含めて不安が軽減できるよう小グループ活動やフリー職員を配置するなどして柔軟に対応しています。
 子どもの成長、発達に応じたクラスごとの年間指導計画、月間指導計画、週案は担任が中心となり、子どもたちの様子、状況に応じて作成しています。年間、月間、週ごとの各指導計画には「自己評価」や「評価・反省」の欄が設けられています。子どもの様子については複数いる担任間で伝え合うほか、必要に応じて乳児クラス会議や幼児クラス会議、全体会議や職員会議でも伝え合い、保育の反省、評価、見直しを行って、次の計画へつなげています。計画には、日ごろから連絡帳や送迎時の会話、行事後のアンケートなどで確認している保護者の意向も汲み取り、反映させるように努めています。
 子どもが就学する小学校に子どもの0〜4歳時の情報も添えた保育所児童保育要録を持参または送付しています。入園時に把握した子どもの家庭の状況や生育歴、既往歴などは「児童生活調査表」、入園時に把握した子どもの睡眠、排泄、アレルギーの有無、食事の状況などは「入園時調査票」、入園後の健康診断や身体測定、予防接種の記録などは「健康診断票」、入園後の基本生活や身体発達、認識発達について細かく項目ごとに確認する「発達記録表」や「個人面談記録」「ケース記録」など、子ども一人一人についての情報が記録されていて、子どもごとに整理しファイリングされています。記録類は事務室で保管し全職員が情報共有して保育にあたるほか、進級時の担任の申し送りにも使用しています。
4 地域との交流・連携  園庭やプールを開放し、地域の親子に参加してもらっています。また「つぼみくらぶ」と名付けた地域支援活動でさまざまな取り組みを行って、参加者に意見や感想、要望を聞くようにしています。つぼみくらぶでは実際にクラスに入って、親子ともに保育を体験することができます。活動の際には園長や主任が育児相談も受け付けています。園長は自治会に参加し、地域のニーズを把握しています。幼保小の連携会議にはクラス担任が中心となって参加したり、戸塚地区の「社会福祉法人と地域につながる連絡会」には園長が出席したりしています。会議に出席した職員は記録を作成し回覧して、主任会議で話し合っています。
 一時保育や交流保育から得られた情報は、職員会議や年度末に年間指導計画を作成する際に職員同士で共有し、今後の活動について話し合います。スイカ割り、クリスマス会、お店屋さんごっこへの招待など多くの子育て支援サービスを行っていますが、計画された行事については、実施前に主任や園長が改めて内容を検討し、地域のニーズと合致しているかどうかを確認しています。育児講座、離乳食の作り方講座など、子育てや保育に関する講習や研修会も行っています。
 一時保育、園庭開放、おはなし会を行った際に、参加した保護者に保育に関する情報提供や育児相談を実施しています。育児相談は活動中でも受け付け、また、面談の機会を設けて育児に関する情報や知識、技術などについて話し合うなど、相談者の要望に随時応じるようにしています。園庭開放やつぼみくらぶなど、地域の親子が参加する機会が週に1度程度あり、その際に職員が保護者と会話を交わしたり、育児相談に応じたりしています。
5 運営上の透明性の確保と継続性  保育所のパンフレット、法人のホームページに園で行っている保育サービスの情報を明示しています。また、園の外掲示板では地域子育て支援事業の資料やポスターを掲示するとともに、つぼみくらぶのチラシを戸塚区役所、戸塚区社会福祉協議会、地域ケアプラザに置いて地域や関係機関に情報提供しています。ホームページの更新は園と法人の両者で行っていますが、園の保育活動をはじめ給食、行事などについては、月に1回以上は更新するようにしています。
 見学の申し込み受付表があり、見学申し込みを常時受け付けています。希望者の問い合わせは電話が一番多く、見学希望日が近い場合でも可能な限り対応しています。保育の基本方針、利用条件、必要な費用、保護者会の有無、保育サービスの内容等については、担当者がパンフレットを使って説明し、担当者が不在の場合は受付窓口が説明しています。1回に受け入れる見学者は10人以下としていますが、見学希望者が増える秋以降は、土曜日の見学会を実施し、できるだけ多くの見学者を受け入れるようにしています。
 職員は自己評価を行うとともに、その結果を職員会議やクラスの会議で報告し合い、今後取り組んでいく保育の内容、受けなければならない教育について検討し、クラスの現在の課題について共通認識を深めています。内容は行う行事や地域支援との連携、保育の質をより向上させるための施策などですが、園長と主任を中心に園の理念、保育の方針と沿っているかどうかを確認しながら課題と改善について話し合っています。
6 職員の資質向上の促進  10か所以上の教育施設から実習生を受け入れています。受け入れ期間は最短3日間から最長3週間までとし、例年15〜20人の学生を受け入れています。受け入れにあたり主任が担当となり、オリエンテーションを実施しています。実習生の希望に合わせ、クラス担任と主任が打ち合わせをして、学校からのプログラムも加味して実習を行い、日々の実習内容を踏まえたアドバイスや提案で実習生をサポートしています。ボランティアと同じように、実習生の活動内容はクラスだよりやホワイトボードの記載を行って保護者にも周知しています。実習の後は反省会を開いて、実習生本人と話し合います。実習生を受け入れて気づいたことは職員会議で議題にしています。
 法人の作成した人材育成計画に従って、園長、主任、保育主任は研修を受講しています。職員は、年1回「自己意向申告書」に記入したものを法人に提出します。この申告書をもとに園長が法人の会長と面談を行い、職員が希望する研修や資質向上に向けた目標設定について話し合っています。
 研修計画は、園長と主任が職員の資質や必要な教育、本人の希望をもとに作成し、法人の承認を得ています。研修計画を立てる際には、前年度の研修の成果を考慮し、担当クラスの保育内容に合った内容になるように、主任が配慮しています。新任の職員は法人が実施する新任研修で法人の理念や勤務規定研修に参加し、研修報告を作成します。報告は園内の職員で回覧したのち、ファイリングします。救急救命法、手洗い研修など子どもの健康管理についての内部研修を園の看護師が実施し、常勤職員、非常勤職員とも受講しています。法人内での施設間交流に希望者が参加することができます。研修の内容は園長が評価し、次年度の研修計画を立てる際に役立てています。

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